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ユーリィ陵辱の欝物語です。

どこか遠くで、波の音が聞こえる。寄せては返す、単調な音。
ぼやけた視界がすこしだけ焦点を取り戻す。どこだろう、ここは。薄暗い部屋。
古ぼけた時計。
体の上に重さがある。ぎしり、ぎしりと軋むベッド。

ああ――わたしは、犯されてるんだった――

一方的な暴力によるセックス。でももう痛みはなく、愉悦もない。
たくさんの男たちが性欲を吐き出していったそこは男たちの体液で一杯になって
いて、
突き上げられるたびに白濁した粘液がごぷっという音をたてる。
波の音に身を任せているうちに、男の動きが早くなった。意味をなさない喚き声
とともに、精が放たれる。
男が身体から出て行くと、すぐに次の男がのしかかってきた。挿入されるとき、
わずかな痛み。

なんで――こうなったんだろう――

力が入らない身体を無理矢理引き起こされ、床の上に立たされる。
股の間から、ダラダラと大量の白濁液が流れ落ちていった。太い指が股間に侵入
し、ぐいぐいと粘液を描きだしていく。痛い。
太もものあたりに、少し血の跡がこびりついている。怪我をさせられたんだろう
か。
男たちはわたしの身体をベッドへと戻す手間を惜しんだのか、わたしを抱えたま
ま背後から貫いた。
ぐらりと膝が崩れ、上体がかしぐ。顎をつかまれ、男の器官を口に含ませられた
。そして、激しく前後から突きたてられる。息ができない。

――また、眠ってしまっていたようだ。わたしはベッドに横たわっていた。遠く
で聞こえる波の音。
目の前に、黒い服を着た男の顔が見えた。首に巻いた黄色いマフラーには、人間
の頭をもったライオンの刺繍。
「目が覚めたかい、ユーリィさん」
霧に閉ざされた海のようなわたしの頭のなかに、霧笛が鳴った。霧笛は霧を切り
開き、あざやかな海面を浮かび上がらせる。
そうだ。そうだ、わたしはユーリィ。王者の剣のメンバー。わたしたちは非合法
な活動に従事するギルドを摘発するために――
「まったくね、誤算だったよ。ひどい誤算だ。ネストルくんが、まだ君を抱いて
いなかったとは。おかげで面倒が増えてしまった。
 君はもうセックスの快楽を体で覚えていると思ったものだからね。まあいい。
今後は気をつけることにしよう」

わたしは必死で体を起こそうとするけれど、指先ひとつ動かすことができない。
黒服の男は、乳白色の巨大な棒のようなものを取り出した。月明かりの下、つや
やかに光っている。
わたしは軽く息を呑んだ。ちょっと前まで経験としては知らなかったとはいえ、
彼が持っているものが男性の器官を模したものであることは、見れば分かる。
彼は私の胸の上にソレを乗せた。囁くような問いかけ。
「これが、どうやって使うものかわかるね?」。わたしは弱弱しく首を横に振る
。
「そんなに挿入されたいかい?」。わたしはもう一度、首を横に振る。
「なら、ちょっとしたナゾナゾに答えてもらおう。全問正解なら、君を帰してあ
げる。でも間違えたら――わかるね?」。弱弱しく、わたしは彼の顔を睨んだ。
彼は微笑んだままだ。

「では、第1問。生まれたときは4本足、成長して2本足、さらに成長すると3
本足になる怪物は?」
子供騙しのナゾナゾだ。こんなゲームにつきあうのはイヤだったが、抵抗すると
もっと酷いことになると思った私は、かすれた声で「人間」と答える。
「正解。さすがは王者の剣で一番のインテリさんだね。これがネストルなら、一
週間は悩んだだろう」
「さて、第2問だけど、これが最後の問題だ。正解すれば、約束どおり逃がして
あげよう。
 人間は、人間を滅ぼしてしまおうと企む怪物と戦争をしています。その怪物と
は?」
彼は何がしたいのだろう? 私は躊躇いながらも、「竜」と答える。
「不正解。残念だったね。ああ、それともやっぱりコレが欲しかったのかな?」
黒服の男は、私の胸の上に置いた器具を手に取った。
信じられないくらい巨大な塊が、わたしの体を引き裂いていく。おそらくは何十
人という男を受け入れてきたわたしの体は、異物の侵入に悲鳴をあげていた。
「やっ、や、いやっ、無理、無理っ、お願い、ですっ、い、いたっ、やめ、て、
くださっ」
「無理なものか。もう半分くらい入ってるよ? 大丈夫、すぐに良くなって、自
分から腰を振るさ。みんなそうだった」
体のなかに、巨根がじとりとからみついてくる。異様な感覚に、思わず眩暈がし
た。それにあわせて――わたしの中で何かが溶けていく。
「あ、あうぅ、何か――ヘン。ヘン、な、あ、ああっ」
男が私の肉芽をつついた。生まれて初めて、私の心は肉の悦びを知る。腰がガク
ガクと震え、器具はさらに奥へと突き進む。
やがて、硬い異物が、体の深奥を突く。声にできない悦楽。口から垂れる、あぶ
くのような涎。もう、声も出せない。

少しずつ、異物が暖かさを帯びてきた。男はわたしの体をときに激しく、ときに
柔らかに、器具を使って責め立てる。耳元に聞こえる波音が、どんどん高まって
くる。
わたしはまるで獣のように、波音にあわせて腰を振る。追い詰める波がわたしの
意識を攪拌し、駆り立てる波がわたしの理性を溶かす。
そのとき、私の耳元で男の囁き声。「――になる怪物は?」
わたしは自分自身を必死でかきあつめる。「人間」
男はやさしく微笑み、ささやく。「――その怪物とは?」
視界と意識がぐるぐると回るなかで、何かがわたしをこちら側に踏みとどまらせ
た。「竜」
男は陰惨な笑みを浮かべ、もう1本、器具を取り出す。彼はそれを私のお尻に押
し当てる。
わたしは涙と涎で顔をぐしゃぐしゃにしながら、新しい快楽を受け入れた。

次に意識がもどってきたとき、どれくらいの時間がたったのか、わたしにはわか
らなかった。
口には件の器具がねじこまれ、下半身には2本のそれがつきたてられている。わ
たしの体は天井からロープで吊り下げられていた。
ぼんやりと、黒服の男を見る。波の音にあわせてわたしの体はゆらゆらと揺れ、
そのたびに息が止まるような愉悦が駆け抜ける。
わたしの口から、器具が抜かれた。男が囁き、わたしは答える。
男がもういちど囁いた。崩壊した理性が新しい答えを見出し、わたしはその答え
を口に出す。

男は、これ以上はないというくらいの笑みを浮かべた。

かすむ意識が波間に沈むその寸前、去っていく男の背中に、わたしは最後の問い
を投げかける。
「ネストルは――どうなったの――?」
男はゆっくりと振り返ると、静かに告げた。「馬鹿め。ネストルは死んだわ」
ゆっくりと闇が落ちていく。遠くで聞こえる潮騒は、いまではもうわたしの頭の
中で鳴っている。わたしは、それを受け入れた。
なにもかもが、どろりと溶けていく。
ああ。それでいい。

こんな世界は、もう、イヤだ。


わたしは窓辺に置かれたベッドに座って、新しいお客を迎え入れる。わたしはこ
の潮風が好きだ。友人は髪が痛むと言って嫌がるけど。
お客は、なかなか凛々しい感じのサムライさんだった。わたしの好みだ。全身い
たるところに残る古傷は、彼が歴戦の戦士である証拠。きっと、あっちもすごい
に違いない。
わたしはにっこりと、営業用スマイル。

けれど、サムライさんはわたしを見た途端、泣き出してしまった。

どうしたの? サムライさん。何か悲しいことでもあったの?
もしかして、わたしが、昔の女のことを思い出させちゃった?
それとも、故郷に残してきた女性のことを、思い出させちゃった?
だったらごめんね。
そのぶん、いっぱいサービスしてあげるから。
いっぱいいっぱい、普段はしないことでもしてあげるから。
そうだ、ナカでイっちゃっても、今日だけは許してあげる。

――イヤだ、わたしまで泣けてきちゃった。なんでだろう。
不思議ね、サムライさん。こんなの初めて。
いいわ、今日はお仕事抜きで相手してあげる。
時間なんて気にしないで、たくさんしましょ?
どんな嫌なことだって、エッチすればみんな忘れられるから。
エッチしてる間は、ちゃんと、忘れていられるわよ?
だから、しましょ。
ここは自由な南の島。
大丈夫、あなたの夢見た女は、いまごろ誰かと寝てるわよ。

そうだ、まだ名前、聞いてなかったわね。
うん、泣かないで? ゲンブさん、ね。いい名前じゃない。
さあ、ゲンブさん、わたしを抱いて。わたしを、あなたの好きにして。

泣かないで、ゲンブ。泣かないで。お願い。泣かないで。
あのひとのことを、忘れて。あのひとのことは、ほっておいて。
あと少しだけ、忘れさせて。

あと少しだけ、夢を見させて。

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最終更新:2013年05月04日 23:20