・麻雀もの。全力でネタです。
・麻雀わからないと、多分全然わかりません。
・とりあえずまだエロなしです。エロは女流戦のときに!
「ドリス殿! ドリス殿! ドリス殿はどちらに!
あなたは奥の間を探しなさい、グリフ!
あなたは街を探すのです、ヴォルグ! ついでにエビフライを買ってきてね! ゆっくりしちゃだめよ!
ドリス殿! どこです、ドリス殿! どこなんです!?
ドリス殿! お客様のなかにドリス殿はいらっしゃいませんか!?」
「相変わらず元気だな、エメラダ殿」
天袋の戸をあけて、ドリスが姿を現した。
「ドリス殿! お久しぶりです。ごきげんよう」
「ごきげんよう。いつにもましてお美しい」
「まあ、お世辞は結構ですわ」
「なにを申されるか。あなたほどの名花、エデンのいずこを探そうとも見つかりますまい」
「まあ、お世辞は結構ですわ」
「……その帽子、実に素晴らしいですな。お国の流行ですか?」
「そう! そうなんです! 自信作ですの! カザン共和国にも輸出いたしますわよ!」
「それで、お急ぎの件があったようですが」
「えっと。なんでしたっけ」
「エメラダ様、六花亭に向かったヴォルグの反応がロスト! かりゆ汚染の痕跡あり!」
「それは一大事だ。ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
なむなぴこぴこ。
「それで、お急ぎの件があったようですが」
「そうです! ドリス殿! ドリス殿はどちらに!」
「そこからですか。はい、ここに」
「メナス様が大変なことに……急いでトゥキオンに!」
「なんと。やむをえませんな、急ぎましょう」
場所は変わってトゥキオン。禁地の果てには1つの小さなテーブルが置かれていた。
テーブルクロスの色は、草木萌える深き緑色。
「――その者、青の衣をまといて深緑の野に降り立つべし。神話は本当だった」
誰が喋ってんだよ。誰でもいいですね。そうですね。
そんなことより、テーブルの足元には縄を打たれて口枷をかまされた半裸のメナスがいた。
「メナス! なんということだ。無事か!」
ドリスはメナスにかけよって、両手で抱え上げる。
「……大統領……」
「許さん。許さんぞ。メナス、お前の敵は必ず討ってやる」
ドリスは手の中のメナスをあやすように語りかけた。
「……ええと、ドリス殿、それはメナス様のメガネです」
「おや、てっきりこっちが本体だとばかり。人生、どこまでいっても勉強だな」
「その通りだ、ドリス・アゴート。久しぶりだな」
「これはおひさしゅう、エメル殿。いつにもましてお美しい」
「わたしほどの名花、エデンのいずこを探そうとも見つからんだろう。それはともかく、だ」
テーブルの奥には、ほっそりとした影があった。
「デッドブラック。釈明をしてもらおうか。メナスに何をした」
「釈明だと? 釈明してもらうのは私のほうだ。この男、1Gも持たずに鉄火場にきおったぞ」
「なるほど、それはメナスが悪い。好きにしてくれ」
言いながら、ドリスはデッドブラッ子にメガネを投げ渡す。
「なあんだ。まったくですね、ドリス様」
「大騒ぎして損をしたな、ドリス」
「だが久しぶりの機会だ。どうだ、点メナスで打たないか。それともそんなレートでは不足か」
デッドブラッ子はメガネを弄びながら、低く笑った。
「いいだろう。ここではそれしかあるまい」
「次は大統領府にみんなで来いよ。点エビフライで打とう」
「それはニアラも喜ぶ」
「アイテル、アリアリで」
「あ、私はナシナシでお願いします」
ドリス、エメラダ、エメルの3人は順番にメナスを蹴飛ばすと、卓についた。
――そして1時間。
「あー、もうダメダメ。もー今日は全然ダメー。ぜっんぜん勝てないー」
最初に根を上げたのはエメルダだった。
麻雀を始めて2週間の彼女に、この卓はちょっとばかり荷が重かった。
あくまで、ちょっとだけ。
「ラス半かな、エメラダ女王様?」
含み笑いをしながらデッドブラッ子が囁く。
「ラス半、ラス半。もう帰らないとヴォルグに怒られちゃう」
「わかりました、エメラダ殿。ではこれでラスにしましょう」
エメラダを除いた全員が緊張した表情になる。彼らは彼女の実力を、イヤというほど知っていた。
アルテマは滑らかに洗牌をこなし、全員の手元に初手を配り終える。
「きーちゃーおーやー」
エメラダが親を取った。ピリピリとした空気が立ち込める。
「えいっ。んー、これいらなーい」
全員の顔に安どの表情が浮かんだ。テンホーはない。
だがテンパってるのは疑いないだろう。
いや、あるいはもっと悪い何かかもしれない。
エメラダはツモってきた白をほいっと河に捨てた。
「デッドブラッ子が雀鬼流だからって、そんな挑発までするかエメラダ」
「じゃんきりゅう?」
「いや、失礼」
エメル、ドリスが初手を捌く。
デッドブラッ子が無表情のまま第一ツモを取り、静かに③を捨てた。
「それ、ちー」
エメラダの鳴きが入る。さらされた④⑤の⑤が赤い。
エメラダがにこにこしながら①を捨てた
エメルとドリスが目配せをした。
『デッドブラッ子め……無茶をする』
『エメラダの手はおそらく①① ④⑤で、あとのメンツもできていたハズだ』
エメラダにはタンヤオとホンイツしかわからぬ。
エメラダは、ミロスの女王である。玉座に座り、帽子をかぶって暮して来た。
けれども勝負に対しては、人一倍に敏感であった。
『ここで③を鳴いて①を切った。つまりおそらくは』
『赤Ⅴか赤五をツモってきた』
『タンヤオ赤3、おそらくはドラ1以上。開幕の親満はきついな』
『だが彼女は必ずムダヅモなくツモる。そこでツモれぬ女に女王など務まらん』
『あと2順か。いけるか、エメル?』
『努力しよう』
エメル、ドリス、デッドブラッ子とツモがまわり、
エメラダは全身で嬉しさを表現しながら①を切った。
エメルは、ひとつ深呼吸してから、白を切る。
「ポン」ドリスが鳴く。
ドリスが中を切った。
「ポン」エメルが鳴く。
エメルがⅨを切った。
「チー」ドリスが鳴く。
ドリスが北を切った。
「ポン」エメルが鳴く。
エメルがⅨを切った。
「チー」ドリスが鳴く。
ドリスの4センチは、五五七八。危険牌を止めつつ、九の差込を待つ。
エメルはトイトイ中、一Ⅰのシャボ。万が一エメラダがツモりきれなかった場合の余剰牌を待ち伏せる。
当然だが、イカサマはない。危急存亡を迎えたときに発揮される、人間のチームワークであった。
……でもニュータイプ能力でこんだけ会話してれば、それってローズだと思うんだ。
デッドブラッ子が静かにツモり、一瞬の躊躇の後、八を切る。
彼女の手には、九がアンコになっていた。
ドリスに打ち込めば、この場は1000点で終わる。
だが、ヒトと協力することなどできるだろうか?
デッドブラッ子のプライドが、刺し込みを許さなかった。
エメルとドリスが微妙に表情を曇らせる。これがニアラなら――
「それ、かんですー」
死の宣告が響いた。
「新ドラは、きゃー、八だわ~! で、リンシャンツモするんですよねー」
「リンシャン牌からツモ、ですよ、エメラダ殿」
ドリスがあきらめ顔で苦笑する。彼女にとって、それは同じ意味だ。
「よいしょっと。あ、きたきた。かんしまーす」
Ⅴが4牌、緑の沃野を走る。
「新ドラは、きゃー、きゃー、Ⅴだわ~!」
「な、なあ、ここ、責任払いだったか……?」
デッドブラッ子が囁くようにアイテルに聞く。
「ダイミンカンは責任払いです」
「――そうか。そうだったな……ドリスにまで貸しを作るか」
口元をゆがめるデッドブラッ子をよそに、エメラダがリンシャン牌を引き込む。
「えい、三つもー! えーと、えーと……
たんやお、ドラ1の、新ドラが8個で、赤が3個あって、えーと……」
エメラダが指折り数え始める。
「13本? これって何点ですか、ドリス殿?」
「リンシャンツモは役がつきますから14翻ですね。13でも文句なく数え役満ですが」
「やった、36000点のツモです! さあみんなキリキリ払って!」
「エメラダ、あなたが親だから48000だ。それから、責任払いというルールがあるから、デッドブラッ子が全部払う」
「そうなんですか? じゃ、デッドブラッ子さん、お支払いおねがいしますね」
「――トビだ」
「えへへへ。うーん、満足しました。ありがとうございました、じゃあこれで失礼しますね」
「待った。メナスを持ってけ。5人くらい」
「そんなにいらないです。あ、でもそうだ、ドリス殿、メナス様いります?」
ドリスは苦笑いしながら首を振った。
「いりません、と言いたいが、そういうわけにもいきませんな」
「じゃあ、これで貸し一つってことで。メナス様をお返ししますね」
「わかりましたよ、女王陛下。新作の帽子、入荷をお待ちしております」
「明日にでも。では、これで!」
疾風は去っていった。やや悄然とした3人が残される。
「――あんた、背中が煤けてるぜ」
エメルがデッドブラッ子に呟く。
「言われなくても分かってる」
デッドブラッ子は半泣きだ。
「ニアラなら迷わず九を差し込んでた。いい勉強になったな」
「ふん、だ!」
「しかしどうする。ワンカケだが。インビジブルあたり、呼べば5分くらいで来れないか?」
「すまないが、私もそろそろ引き上げだ。メナスを連れて帰る」
「そうか。ならここでお開きだな。また呼んでくれ」
「――次は負けん」
「いい挨拶だ。じゃあな!」
ドリスとデッドブラッ子も去り、雀荘トゥキオンはもとの静かさを取り戻した。
エメルはカウンターに座って競馬新聞を読みふけり、アイテルは牌を磨いている。
と、アイテルが不思議そうに呟いた。
「……あら? どうしたのかしら、これ……」
「どうした、アイテル」
「姉さん……この卓、牌が多いわ」
「――何だと! いやまて、何が多い。まさか」
「三。三が5枚ある」
「やられた。まったく、とんでもない女王様だ」
「もしかして、あのリンツモは」
「握られたな。あれがツモれてなければ、さすがのデッドブラッ子でも差し込む」
「でも、あのゲートでX線身体検査はしてるのに、どこに? 磁石が入った牌なんて持ち込めないわ」
「帽子だ。新作と言ってただろう。クソ、やられた。最初からそのつもりだったんだ」
エメルとアイテルは顔を見合わせ、首を振った。
なるほど、これもまた人間の強さ。ヒュプノスには、届かない世界。
「次は、負けん、か。やれやれ。
あんなおっそろしい生き物と戦おうとする竜も、また、竜か。
我々では勝てないはずだな」
「いいじゃない、姉さん。姉さんだって、負けなかった」
「ありがとう、アイテル」
「――ドリス大統領、すみませんでした。まさか、その……」
「分かってる。どうせエメラダに誘われたんだろう?」
「は、は、はい」
「構わん。ミロスとの貿易は拡大する予定だった」
「しかし」
「エメラダには貸しをひとつ作ってある。差し引きではこっちのプラス1だ」
「貸し? いったい?」
「ドラに七を積んだ。ちょうど手元にあったんでな。
あのドラ4がなければ親倍だからトビはしない」
「いったいなぜそんなことを――」
「ハンチャン全部打ってるだけの時間は、彼女にはなかった。門限があるからな。
だが、彼女はルールを守る。ラス半宣言がある以上、ハンチャン打たねばならん」
「――なるほど」
「取引、なにもかもは取引さ。覚えておけ、メナス補佐官」
「はい」
(だが――取引ばかりでは、人間は腐る。
戦い! そうだ、戦いが必要だ。それが――それが、足りん。
このままではまずい。人間にとっても、竜にとっても。
それが、そのことが分かっているか、エメル。分かっているか、ニアラ)
ドリスは深いため息をつくと、昇り始めた朝日を見つめた。
(続く?の?)
次回予告!
――そのとき、残り500点になっていたデッドブラッ子が静かに牌を倒した。
「麻雀は2人で打つもんじゃないってことを忘れるなよ。食らえ、四暗刻(パーフェクト・ダークネス)」
「どうみてもクイタン仕掛け、何をそんなに偉そうに――」
「クイタン? ふふ、そうか。お前には、これがそう見えるか。
見ろ、捨てられし者たちの本当の姿を。聞け、彼らが放つ、本当の声を。
ご無礼、大三元(キングズ・ソード)、48000だ」
「麻雀を打つものなら、誰もがっ! 誰もが必ず一度は憧れたっ!
その背中を一度は追い、その言葉を一度は必ず口にしたっ!
誰もが一度は打(ぶ)ってみたいと思い! 誰もが決して打(ぶ)ちたくと思った!
今、伝説の男が、最強の竜が、この場に姿を現す!
その名はっ……」
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ヽ', i ,、 '" 、 \ ヽ,_ ヾ二二で)″ ! け
':, ! ,r" :. ンー' 、 ゙! },,,ヽ, ':、'、〉 // l て
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‐、ヽ ',. / ン、、..,,,__,,.. -{ r/ l‐--‐' ゝー' 〃/ l ぜ
ヽ ヽ. ',. / /, `! __,' f,'"_,, - '' ! °
``' '- ミ、 ! / / ':, ゞ-' i!´ l
最終更新:2013年05月04日 23:36