L:暖かな家庭 = { t:名称 = 暖かな家庭(施設) t:要点 = 暖炉、ほほえみ、車座 t:周辺環境=小さな家 } ---- &sizex(+1){&color(#87CEEB){ああ、恩送りだね ~姫様の言葉より}} 神聖巫連盟という国がある。 いろいろな国があり、様々な形で発展してゆくなかで神聖巫連盟は子供たちに対してのイグドラシルを厚くしていった。 「『ペイ・フォワード』っていうですって」 素敵な言葉や行為にふれたときのあふれんばかりの喜びを姫巫女、藻女に伝えたとき、還って来た言葉にみぽりんは目を丸くして、意味を聴いて感動した。 「自分が受けた感謝を、その相手でなくてもいいから別の人に還す。恩を受けてすぐでなくていいから。還せるときに還せる相手に。そのときは余裕があったら2人とか3人に還してもいい。そして新たに恩を受けた人も自分にゆとりができたときにかえしてゆく」 そして思った。 恩送りをしてゆけば幸せがふえるです!!と。 神聖巫連盟は「恩送り」と「小さな寄り添いあい」を大切にした結果できあがっていった国ともいえる。 嬉しかったり、親切にしてもらったりしたとき。 ありがとうの気持で、別の人に還す。 /*/ それは小さな家での出来事。 暖かな暖炉の前。 まだ幼い少女が父のひざのうえで絵本を読んでいる。 それを中心に祖父母、姉、祖父母が集い、皆車座に座っている。 満たされた暖かい時間。 微笑みかける母の視線に気付き、少女は母に話しかける。 お隣には暖炉はなくて囲炉裏があるんだよね?と言うと、母はにっこり笑う。 そうね。 ねえ、どうしてうちには囲炉裏はないの? 幼い問いに、祖父が優しく答える。 「この国は奇跡のような優しさが積み重なってできた国なんだよ」 むかしむかし。 小さくて貧しい農業国に多くの民がやってきた。 相次ぐ騒乱に傷つき、悲しみのなかでまた新たなる争いがおきようとしていた。 でも争うのはやめた。 代わりに一緒に花の世話をした。 言葉ほど簡単にできるものではない。 だから小さなことからゆっくりと歩みあった 掃除をして、町中がきれいになるころ、みんな仲間になっていった。 すれ違えば挨拶し、冗談に笑い合う。 困っていれば助けるし、困っていたらそっと手を差し伸べられる。 悪魔さんは悪疫を退け。 手をつなぎ、共に歩み。 小さな幸せが摘みあがって。 こうして国民全体が家族になった。 神聖巫連盟はそんな国である。 #center &ref(囲炉裏(色).jpg,,x=450) 「うちは暖炉を使う国からやってきた。だからここに住むと決めたとき暖炉を作ったんだよ。囲炉裏を作った家は、囲炉裏の国からやってきたに違いない」 「ふうん。いろいろあるんだね」 「いろいろあって、だから面白い」 困惑ぎみな孫をみて祖父はにやりと笑った。 /*/ 「国民は子供だと思っている」 姫巫女からさらりと発せられた言葉はあまりに気負っていなくて。周囲は微笑んだ。 &sizex(+1){&color(#87CEEB){なにも別なことではないのだ。}} &sizex(+1){&color(#87CEEB){となりの誰かの幸せを願うのは。}} おしまい