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ss@8スレ(その1) - (2006/02/04 (土) 21:41:24) の編集履歴(バックアップ)
新年なSS
【七瀬】「今、丁度新年ね・・・」
【浪馬】「あぁ、そうだな・・・」
【七瀬】「去年は色々あったわ・・・こんな関係になるとは思わなかったもの・・・」
【浪馬】「七瀬がここまで変わるとは思ってなかったけどな・・・」
【七瀬】「あら、不満なの?ここまで私を変えたのはあなたなのに・・・」
【浪馬】「不満はないが・・・」
【七瀬】「ないが・・・?」
【浪馬】「こうやって電話で話すだけっていうのがな・・・」
【七瀬】「我慢しなさいよ。私だってあなたの顔が見たいの・・・・・・
我慢してるんだから・・・・・・」
【浪馬】「いいこと言ってくれるぜ。いい新年が迎えられそうだ!」
【七瀬】「・・・バカ、もう迎えてるわよ・・・・・・」
【浪馬】「じゃなくて、初夢に七瀬が出てきそうだぜ・・・・・・」
【七瀬】「夢の中の【七瀬】に惚れないでね・・・・・・
・・・・・・嫉妬しちゃうわよ?」
【浪馬】「それじゃ、また明日な?」
【七瀬】「えぇ、遅れないでね?」
【浪馬】「あぁ、そうだな・・・」
【七瀬】「去年は色々あったわ・・・こんな関係になるとは思わなかったもの・・・」
【浪馬】「七瀬がここまで変わるとは思ってなかったけどな・・・」
【七瀬】「あら、不満なの?ここまで私を変えたのはあなたなのに・・・」
【浪馬】「不満はないが・・・」
【七瀬】「ないが・・・?」
【浪馬】「こうやって電話で話すだけっていうのがな・・・」
【七瀬】「我慢しなさいよ。私だってあなたの顔が見たいの・・・・・・
我慢してるんだから・・・・・・」
【浪馬】「いいこと言ってくれるぜ。いい新年が迎えられそうだ!」
【七瀬】「・・・バカ、もう迎えてるわよ・・・・・・」
【浪馬】「じゃなくて、初夢に七瀬が出てきそうだぜ・・・・・・」
【七瀬】「夢の中の【七瀬】に惚れないでね・・・・・・
・・・・・・嫉妬しちゃうわよ?」
【浪馬】「それじゃ、また明日な?」
【七瀬】「えぇ、遅れないでね?」
18 名前:元日のラブコール[sage] 投稿日:05/01/01(土) 16:20:54 ID:???
「浪馬君・・・・私・・・・」
「ん? ああ、七瀬か。どうした?」
「ええ、ちょっとあなたの声が聞きたくて」
「さっき神社で会ったばかりじゃないか」
「え? そ、そうだったわね」
「おまえ着物も良く似合うな。綺麗だったぜ」
「ホント?」
「うん、ホントホント」
「来年も一緒に初詣行きたいわ」
「もう来年の正月の話か? 気が早いな」
「絶対に誘ってね」
「ああ」
「絶対の絶対よ? 忘れちゃイヤよ?」
「わかってる」
「私が大学行っても捨てないでね。もし捨てたら私身投げするから」
「おいおい、正月そうそう変なこと言うなよ」
「ご、ごめんなさい。でも私にはあなたしかいないから・・・・」
「心配するなよ。俺はお前を裏切ったりしないから」
「約束よ?」
「ああ、約束する」
「ありがとう、浪馬君・・・・それじゃあ」
「七瀬のヤツ、正月早々から可愛いこと言うなあ。
あれ? でもあいつ俺のこと『浪馬君』なんて呼んだっけ?」
あれ? でもあいつ俺のこと『浪馬君』なんて呼んだっけ?」
高遠家
七瀬「母さん、今誰に電話してたの?」
ママン 「え? ちょっとね。新年の駄目押し・・じゃなくてご挨拶よ」
七瀬「?」
娘と声が似ていることすらも、最大限に活用するママンだった。
七瀬「母さん、今誰に電話してたの?」
ママン 「え? ちょっとね。新年の駄目押し・・じゃなくてご挨拶よ」
七瀬「?」
娘と声が似ていることすらも、最大限に活用するママンだった。
18のSSの前ぐらい
歯磨きをしながら、元旦のポストの拝見している浪馬。
浪馬「誰から年賀状が来ているかな?刃やたまきは相変わらずだな、
望のは魚拓か?匂いそうでイヤだな、これは七瀬からの年賀状だな!」
浪馬「それにしても封筒みたいなのに入ってるなんて珍しい形式だな・・・・
封筒も変わってるし・・・まぁ、早速、封を開けてみるかな。」
封を切った浪馬は無言になった。
望のは魚拓か?匂いそうでイヤだな、これは七瀬からの年賀状だな!」
浪馬「それにしても封筒みたいなのに入ってるなんて珍しい形式だな・・・・
封筒も変わってるし・・・まぁ、早速、封を開けてみるかな。」
封を切った浪馬は無言になった。
「謹啓 皆様にはますます御清祥のことと
お慶び申し上げます
さて このたび 私たちは結婚式を挙げることになりました
つきましては末永く御懇情を賜りたく
披露かたがた粗餐を差し上げたいと存じますので
御多用のところまことに恐縮では御座いますが
御来臨くださいますようご案内申し上げます 敬具
お慶び申し上げます
さて このたび 私たちは結婚式を挙げることになりました
つきましては末永く御懇情を賜りたく
披露かたがた粗餐を差し上げたいと存じますので
御多用のところまことに恐縮では御座いますが
御来臨くださいますようご案内申し上げます 敬具
平成十七年 一月吉日
織屋 浪馬
高遠 七瀬」
高遠 七瀬」
33 名前:年賀状SS part2[sage] 投稿日:05/01/02(日) 11:42:40 ID:???
無言で浪馬は家を出て七瀬の家に向かってインターホンを押した。
中から晴れ着姿が新鮮味のある七瀬が出てきた。
無言で浪馬は家を出て七瀬の家に向かってインターホンを押した。
中から晴れ着姿が新鮮味のある七瀬が出てきた。
浪馬「・・・・・・あっ、七瀬か?この年賀状は何だ?(思わず見惚れるな・・・」
七瀬「私、年賀状なんて出してないわよ、あなたの住所知らないし・・・」
浪馬「じゃあ、これは何だ?」
七瀬「これは結婚披露宴の案内よ・・・・・・ってお母さん!!!」
ママン.「あらあら、織屋君じゃない、まぁ、上がって、上がって」
七瀬「上がって、じゃないでしょう!!結婚披露宴の案内なんか出して・・・」
ママン.「てへっ☆」
七瀬「てへっ☆、どころじゃないし、まったく・・・まだ早いでしょう・・・」
浪馬「いや、送る相手を間違ってるというか・・・・・・
手が込み過ぎてるというか・・・凄い母親だな・・・」
ママン.「まぁまぁ、気にしないで、それよりナナちゃん、初詣行くんでしょ?
私はお邪魔なようなので・・・それじゃ織屋君、よろしくね?」
浪馬「あ、はい(何か、生返事になっちまった・・・」
七瀬「もう!お母さんは家に入ってて!!」
七瀬「私、年賀状なんて出してないわよ、あなたの住所知らないし・・・」
浪馬「じゃあ、これは何だ?」
七瀬「これは結婚披露宴の案内よ・・・・・・ってお母さん!!!」
ママン.「あらあら、織屋君じゃない、まぁ、上がって、上がって」
七瀬「上がって、じゃないでしょう!!結婚披露宴の案内なんか出して・・・」
ママン.「てへっ☆」
七瀬「てへっ☆、どころじゃないし、まったく・・・まだ早いでしょう・・・」
浪馬「いや、送る相手を間違ってるというか・・・・・・
手が込み過ぎてるというか・・・凄い母親だな・・・」
ママン.「まぁまぁ、気にしないで、それよりナナちゃん、初詣行くんでしょ?
私はお邪魔なようなので・・・それじゃ織屋君、よろしくね?」
浪馬「あ、はい(何か、生返事になっちまった・・・」
七瀬「もう!お母さんは家に入ってて!!」
舌をペロっと出しながら家に入っていく七瀬ママン。
七瀬「・・・・・・やっと災難の種がいなくなったわ・・・」
浪馬「母親の勢いに呑まれて言いそびれちまったけど・・・綺麗だぞ、七瀬」
七瀬「あ、ありがとう・・・」
浪馬「それじゃ、初詣行くか?」
七瀬「えぇ・・・」
七瀬「・・・・・・やっと災難の種がいなくなったわ・・・」
浪馬「母親の勢いに呑まれて言いそびれちまったけど・・・綺麗だぞ、七瀬」
七瀬「あ、ありがとう・・・」
浪馬「それじゃ、初詣行くか?」
七瀬「えぇ・・・」
刃「お、浪馬から来てるじゃないか。筆不精の癖に珍しい」
コタツで雑煮を啜りながら、彼は年賀状を整理していた。
刃「難関大学に合格しても字の汚さだけは変わんないな、はははは」
「この几帳面な字は高遠か。本当に何から何まで正反対の二人だよ」
「うまくやってんのかな・・・あの二人」
そのとき突如携帯が鳴った。発信者表示は砂吹望と出ている。
コタツで雑煮を啜りながら、彼は年賀状を整理していた。
刃「難関大学に合格しても字の汚さだけは変わんないな、はははは」
「この几帳面な字は高遠か。本当に何から何まで正反対の二人だよ」
「うまくやってんのかな・・・あの二人」
そのとき突如携帯が鳴った。発信者表示は砂吹望と出ている。
刃「望か。明けましておめでとう。今年も・・・・」
望「大変! 大変だよ! 浪馬と高遠さんがっ!」
刃「なんだよいきなり。二人がどうかしたか?」
望「年賀状ある?」
刃「ああ、今丁度見てるところだ」
望「じゃあ二枚並べてよーく見て」
刃「は? いいけどさ・・・・・・・ぐぶっ!?」
望「大変! 大変だよ! 浪馬と高遠さんがっ!」
刃「なんだよいきなり。二人がどうかしたか?」
望「年賀状ある?」
刃「ああ、今丁度見てるところだ」
望「じゃあ二枚並べてよーく見て」
刃「は? いいけどさ・・・・・・・ぐぶっ!?」
改めて二人の年賀状を並べて見比べた刃が突如雑煮を吹き出した。
二枚の年賀状の差出人住所は完全に一致していた。
二枚の年賀状の差出人住所は完全に一致していた。
35 名前:つづき[sage] 投稿日:05/01/02(日) 13:14:41 ID:???
「はっ・・・・・なんだ夢か・・・・・・」
刃はがばと身を起した。どうやらこたつでうたた寝してしまったらしい。
「あの二人、浪馬が浪人してた時からほとんど一緒に暮らしてたも
同然だったじゃないか。今更なんでこんな夢を・・・・・」
刃は年賀状の束をめくると一枚を取り出した。
七瀬と浪馬、二人が仲良く並ぶ写真年賀状。二人の年賀状は、
ここ数年ずっと連名で送られてくるのだ。
「ま、最初は俺も驚いたけどさ」
「おまえら卒業したら結婚するんだろ? ん?」
刃は年賀状の二人に話し掛けてニヤリと笑った。
そのとき突如携帯が鳴った。発信者表示は砂吹望と出ている。
「はっ・・・・・なんだ夢か・・・・・・」
刃はがばと身を起した。どうやらこたつでうたた寝してしまったらしい。
「あの二人、浪馬が浪人してた時からほとんど一緒に暮らしてたも
同然だったじゃないか。今更なんでこんな夢を・・・・・」
刃は年賀状の束をめくると一枚を取り出した。
七瀬と浪馬、二人が仲良く並ぶ写真年賀状。二人の年賀状は、
ここ数年ずっと連名で送られてくるのだ。
「ま、最初は俺も驚いたけどさ」
「おまえら卒業したら結婚するんだろ? ん?」
刃は年賀状の二人に話し掛けてニヤリと笑った。
そのとき突如携帯が鳴った。発信者表示は砂吹望と出ている。
刃「望か。明けましておめでとう。今年も・・・・」
望「大変! 大変だよ! 浪馬と高遠さんがっ!」
刃「なんだよいきなり。二人がどうかしたか?」
望「年賀状ある?」
刃「・・・・・・・年賀状? なんかさっきの夢と同じパターンだな」
望「パターン? なんのこと?」
刃「いや、こっちのことだ。それより年賀状がどうしたって?」
望「よく見てよ」
刃「別にいつもと同じだろ?」
望「差出人のところ、よーく見て」
刃「え?・・・・・・・あ・・・・・ない!」
望「でしょ?」
望「大変! 大変だよ! 浪馬と高遠さんがっ!」
刃「なんだよいきなり。二人がどうかしたか?」
望「年賀状ある?」
刃「・・・・・・・年賀状? なんかさっきの夢と同じパターンだな」
望「パターン? なんのこと?」
刃「いや、こっちのことだ。それより年賀状がどうしたって?」
望「よく見てよ」
刃「別にいつもと同じだろ?」
望「差出人のところ、よーく見て」
刃「え?・・・・・・・あ・・・・・ない!」
望「でしょ?」
七瀬と浪馬の連名年賀状 差出人は織屋浪馬 七瀬となっている。
高遠の文字がどこにもなかった。
高遠の文字がどこにもなかった。
49 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:05/01/03(月) 00:54:06 ID:???
頼津駅前。風紀指導に勤しむ七瀬を物陰から見守る浪馬。
浪馬「ま、またかよ? もう何人目かわかんなくなっちまった・・・・・くそっ」
若い男に腕を掴まれた七瀬を見て、彼は慌てて駆け出した。
七瀬「手を離しなさい!」
男 「ねえ、少しくらいいいだろ? いい店があるんだ」
七瀬「何バカなこと言ってるの!?」
男 「うーん、怒った顔もカワイイねえ」
浪馬「おい、俺の女をナンパしてんじゃねえっ!」
七瀬「あ、織屋君・・・ごめんなさい。何度も手間かけて」
男 「ちぇ、なんだ彼氏がいるのか」
浪馬「しっしっ あっち行け」
男はそそくさと去っていく。
七瀬「もう次から次へと・・・これじゃ風紀指導もままならないわ」
浪馬「そりゃそうだけど、あいつらの気持ちもわからなくもないぜ」
七瀬「?」
きょとんした顔をするろ七瀬を見て浪馬が苦笑する。
誰もが振り向くほどの美少女でありながら、以前七瀬はそれほどナンパをされ
た経験がなかった。男を寄せ付けない冷たいオーラを纏っていたからだ。
だが浪馬に恋をした彼女は変わった。眼差しも、仕草も、唇から漏れる吐息も、
そして風に揺れる髪すらも、恋を得た乙女の喜びに溢れてなまめいた。それが
ナンパ男達を惹き付けてて止まないのだ。
た経験がなかった。男を寄せ付けない冷たいオーラを纏っていたからだ。
だが浪馬に恋をした彼女は変わった。眼差しも、仕草も、唇から漏れる吐息も、
そして風に揺れる髪すらも、恋を得た乙女の喜びに溢れてなまめいた。それが
ナンパ男達を惹き付けてて止まないのだ。
元の場所に戻った浪馬は、しかし七瀬を振り返って深い溜息をついた。
「さっきから十秒とたってないって・・・・」
もう別の男が七瀬に纏わりついている。浪馬は慌てて踵を返した。
「さっきから十秒とたってないって・・・・」
もう別の男が七瀬に纏わりついている。浪馬は慌てて踵を返した。
結局その日の風紀指導は全くはかどらなかった。しかし「俺の女に手を出すな」
「俺の恋人に何の用だ?」と浪馬が連発するセリフが嬉しくて、七瀬はご機嫌だ
った。「また一緒に風紀指導してね♪」帰り道、七瀬はそう言って微笑んだ。
「俺の恋人に何の用だ?」と浪馬が連発するセリフが嬉しくて、七瀬はご機嫌だ
った。「また一緒に風紀指導してね♪」帰り道、七瀬はそう言って微笑んだ。
86 名前:月曜朝 教室[sage] 投稿日:05/01/08(土) 00:23:31 ID:???
予鈴ギリギリに教室に入ってくると、浪馬は自分の机に身を投げ出し
てゼイゼイと荒い息をついた。どうやら走って来たらしい。
タマ「おはよ、浪馬クン。また寝坊したんでしょ?」
「まあな」と答えて浪馬は顔をあげた。
タマ「あ・・・・・・・・」
浪馬「どうかしたか?」
タマ「う、うん・・・えっと、顔洗う時間も無かったんだ?」
浪馬「とりあえず着替えて飛び出してきたからな。次の休み時間にでも洗うよ」
タマ「今から洗った方がいいと思うな」
浪馬「もうチャイム鳴るだろ? 時間ねえよ」
タマ「先生に見つかったら、キミの学園生活終了のチャイムまで鳴っちゃうかも」
浪馬「はあ? なんだそれ? ん?」
気がつけば、周りのクラスメイト達も浪馬の顔を黙って見つめている。
浪馬「俺の顔がどうかしたのか? おい、なんとか言えって」
「みんなあっけに取られて声が出ないんだよ」
たまきは化粧ポーチを持ってくると手鏡を取り出して、浪馬の顔に突きつけた。
浪馬「げっ? なんだこの赤い線は?! あれ? これ・・字か?」
鏡は小さいし、文字は反転されるので浪馬にはなかなか読み取れないらしい。
浪馬「タマ、読んでくれよ」
タマ「リップで書いたんだね。おでこと両方のほっぺを使って・・・」
浪馬「使って?」
タマ「『ねがおも スキよ ナナセ』だって」
たまきの言葉を聞いたとたん浪馬は教室から飛び出していった。
タマ「石鹸くらいじゃリップはなかなか落ちないよ・・・ってもう聞こえてないか」
「まあな」と答えて浪馬は顔をあげた。
タマ「あ・・・・・・・・」
浪馬「どうかしたか?」
タマ「う、うん・・・えっと、顔洗う時間も無かったんだ?」
浪馬「とりあえず着替えて飛び出してきたからな。次の休み時間にでも洗うよ」
タマ「今から洗った方がいいと思うな」
浪馬「もうチャイム鳴るだろ? 時間ねえよ」
タマ「先生に見つかったら、キミの学園生活終了のチャイムまで鳴っちゃうかも」
浪馬「はあ? なんだそれ? ん?」
気がつけば、周りのクラスメイト達も浪馬の顔を黙って見つめている。
浪馬「俺の顔がどうかしたのか? おい、なんとか言えって」
「みんなあっけに取られて声が出ないんだよ」
たまきは化粧ポーチを持ってくると手鏡を取り出して、浪馬の顔に突きつけた。
浪馬「げっ? なんだこの赤い線は?! あれ? これ・・字か?」
鏡は小さいし、文字は反転されるので浪馬にはなかなか読み取れないらしい。
浪馬「タマ、読んでくれよ」
タマ「リップで書いたんだね。おでこと両方のほっぺを使って・・・」
浪馬「使って?」
タマ「『ねがおも スキよ ナナセ』だって」
たまきの言葉を聞いたとたん浪馬は教室から飛び出していった。
タマ「石鹸くらいじゃリップはなかなか落ちないよ・・・ってもう聞こえてないか」
いつもに増して激しく七瀬と愛し合った浪馬はそのまま朝まで眠ってしまった。
眠る浪馬の元を立ち去る時、七瀬は愛をこめて置き土産を残したのだった。
眠る浪馬の元を立ち去る時、七瀬は愛をこめて置き土産を残したのだった。
121 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:05/01/10(月) 13:13:58 ID:???
頼津学園を卒業した2人は今、司法系の大学で法律を学んでいる。七瀬の献身的な指導のお陰で
一年遅れるものの同じ大学に入れた浪馬は、日夜彼女と勉学に勤しんでいる。2人は同居しているも
同じだった。同じなのだ、が・・・
12月某日 PM23:40 浪馬の部屋
浪馬「ぐ~・・・・・」
七瀬「もぅ、うたた寝しちゃ風邪引いちゃうじゃない」
七瀬「もぅ、うたた寝しちゃ風邪引いちゃうじゃない」
汗をマークを浮かべて七瀬はそう呟いた。入浴している間に勉強していたはずの浪馬は幸せそうに
夢の中へと旅立っていた為である。
夢の中へと旅立っていた為である。
七瀬「よいしょ、ふぅ・・・」
体格の大きい浪馬を運ぶのは一苦労。七瀬は机でうたた寝してた浪馬をベッドに運ぶと
大きく息をつく。
大きく息をつく。
七瀬「頑張ってるのはいいんだけど、ちゃんとベッドで寝て欲しいわ・・・、あら?」
浪馬の枕代わりとなっていたノートや教科書を整理していた七瀬はふと、一枚の写真が浪馬の
筆記用具入れに張られているのを見つけた。いや、それは写真ではなく、ゲーセンへ行った時
のプリクラだった。
筆記用具入れに張られているのを見つけた。いや、それは写真ではなく、ゲーセンへ行った時
のプリクラだった。
七瀬「私には張るなって行ってたくせに・・・」
七瀬 (でも、考えてみたら、最初からずっと、私の事を考えてくれたのよね)
七瀬の心に、ふっと2年前の思い出が浮かび上がってきた。いい加減な浪馬が何故、自分との
約束よりいつも早く来ていたのか、忘れようにも忘れられない、彼の気遣いの事だった
約束よりいつも早く来ていたのか、忘れようにも忘れられない、彼の気遣いの事だった
122 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:05/01/10(月) 13:15:27 ID:???
2年前の12月5日(日) AM9:30 ファイトクラブ横道
2年前の12月5日(日) AM9:30 ファイトクラブ横道
浪馬「・・・・・・・・・・」
(時間まで30分、気を抜かないようにしないとな)
雨堂「おい、浪馬。何をそんなに真剣な顔で睨んでるんだ?」
浪馬「ん、雨堂か。いや、ちょっとな」
雨堂「そんなに高遠が気になるなら、声かけりゃいいじゃねえか」
浪馬「バ、バカ!違うっての」
雨堂「そうか?熱い眼差しで高遠を見つけてたからてっきり・・・」
浪馬「俺はだな、こうやって風紀を乱す連中が居ないか監視してるわけで」
雨堂「高遠にちょっかい出す奴がいないか、監視してるわけだな?」
浪馬「そうともい・・・って、だから違うっての!」
雨堂「クックック、そうかそうか。浪馬はやはり、高遠の事が・・・」
浪馬「うるせーっ!」
雨堂「はは、そうか。んじゃま、邪魔者は退散する事にするさ。高遠の奴、気づいた
見たいだぜ?」
(時間まで30分、気を抜かないようにしないとな)
雨堂「おい、浪馬。何をそんなに真剣な顔で睨んでるんだ?」
浪馬「ん、雨堂か。いや、ちょっとな」
雨堂「そんなに高遠が気になるなら、声かけりゃいいじゃねえか」
浪馬「バ、バカ!違うっての」
雨堂「そうか?熱い眼差しで高遠を見つけてたからてっきり・・・」
浪馬「俺はだな、こうやって風紀を乱す連中が居ないか監視してるわけで」
雨堂「高遠にちょっかい出す奴がいないか、監視してるわけだな?」
浪馬「そうともい・・・って、だから違うっての!」
雨堂「クックック、そうかそうか。浪馬はやはり、高遠の事が・・・」
浪馬「うるせーっ!」
雨堂「はは、そうか。んじゃま、邪魔者は退散する事にするさ。高遠の奴、気づいた
見たいだぜ?」
浪馬 (雨堂の奴・・・口がすべっちまったじゃねえか。ま、そろそろ時間だし、行くとするか)
浪馬「おーい、七瀬~」
七瀬「あ、お、織屋君・・・早いのね」
浪馬「はっはっは、誘ったのは俺だからな。それに、七瀬との時間だ。少しでも長く居たいし」
七瀬「・・・ホント、に?」
浪馬「ウソ言ってどうするんだよ」
七瀬「そうね。でも・・・」
浪馬「ん?」
七瀬「さっき、雨堂君と何を話してたの?」
浪馬「えっ!?き、聞いてたのか?」
七瀬「ううん、2人で話してる人達が、何となく2人に似てたから」
浪馬「いや、まぁ。対したことじゃないよ。はは・・・」
七瀬「ホントに?」
浪馬「ホントだ」
七瀬「そう・・・」
七瀬「あ、お、織屋君・・・早いのね」
浪馬「はっはっは、誘ったのは俺だからな。それに、七瀬との時間だ。少しでも長く居たいし」
七瀬「・・・ホント、に?」
浪馬「ウソ言ってどうするんだよ」
七瀬「そうね。でも・・・」
浪馬「ん?」
七瀬「さっき、雨堂君と何を話してたの?」
浪馬「えっ!?き、聞いてたのか?」
七瀬「ううん、2人で話してる人達が、何となく2人に似てたから」
浪馬「いや、まぁ。対したことじゃないよ。はは・・・」
七瀬「ホントに?」
浪馬「ホントだ」
七瀬「そう・・・」
(言えるわけないじゃねえか。七瀬にちょっかい出す奴が居ないか監視してたなんて)
浪馬「ふわあ~ぁ・・・」
七瀬「どうしたの?」
浪馬「いや、ちょっとやる事あったから寝るの遅くてな。ほら、せっかく早く来たんだし、そろ
そろ行こうぜ」
七瀬「ええ、そうね」
七瀬「どうしたの?」
浪馬「いや、ちょっとやる事あったから寝るの遅くてな。ほら、せっかく早く来たんだし、そろ
そろ行こうぜ」
七瀬「ええ、そうね」
(くそ・・・早起きも辛いぜ)
123 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:05/01/10(月) 13:16:04 ID:???
2年前の12月6日(月) PM12:50 頼津学園学食
2年前の12月6日(月) PM12:50 頼津学園学食
雨堂「よぉ、高遠」
七瀬「あら、こんにちわ」
雨堂「高遠も学食か?」
七瀬「ええ、雨堂君も?」
雨堂「ああ」
七瀬「あ、ところで」
雨堂「ん?なんだ?」
七瀬「昨日、ゲームセンターの近くに居たのって織屋君と、貴方よね?」
雨堂「まぁたしかに、昨日の朝あいつとあのあの場所で話はしたな」
七瀬「一体何を話してたの?織屋君、随分怒ってるみたいだったけど」
雨堂「クックック、聞きたいか?」
七瀬「え?」
雨堂「怒ってはいかなったぞ。テレてただけだ」
七瀬「・・・?」
七瀬「あら、こんにちわ」
雨堂「高遠も学食か?」
七瀬「ええ、雨堂君も?」
雨堂「ああ」
七瀬「あ、ところで」
雨堂「ん?なんだ?」
七瀬「昨日、ゲームセンターの近くに居たのって織屋君と、貴方よね?」
雨堂「まぁたしかに、昨日の朝あいつとあのあの場所で話はしたな」
七瀬「一体何を話してたの?織屋君、随分怒ってるみたいだったけど」
雨堂「クックック、聞きたいか?」
七瀬「え?」
雨堂「怒ってはいかなったぞ。テレてただけだ」
七瀬「・・・?」
~あいつ、お前に手を出す奴が居ないか、早起きして張り込んでたんだぜ。
そうでなきゃ、あのいい加減な浪馬が寝坊しないわけないだろ?~
そうでなきゃ、あのいい加減な浪馬が寝坊しないわけないだろ?~
124 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:05/01/10(月) 13:17:00 ID:???
七瀬「時間より早く行ってたのに、私の方が遅刻してたみたいじゃない・・・」
七瀬「時間より早く行ってたのに、私の方が遅刻してたみたいじゃない・・・」
七瀬は筆記用具入れに張られたツーショットのプリクラを見て、そう呟いていた。あの日
2人でとった、大切なプリクラだ。2年間も大切にしてくれていた喜びも大きかったが、何より
彼の思いが、七瀬の心に強く伝わってきたのだ。
2人でとった、大切なプリクラだ。2年間も大切にしてくれていた喜びも大きかったが、何より
彼の思いが、七瀬の心に強く伝わってきたのだ。
七瀬「ホント待ち合わせ、いつも遅れてたのね・・・ゴメンね・・・」
明かりを消して、同じ布団の下に入ると、七瀬は浪馬を見つめていた。
七瀬「でも、これからだって、遅れてもいいよね?貴方はいつも、私も守ってくれるから・・・」
133 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:05/01/11(火) 09:19:05 ID:???
七瀬「ねえ浪馬くん客間にお布団と着替え出しておいたからお風呂から出たら着替えてね」
浪馬「おう、七瀬ありがと」
:
:
浪馬「七瀬~布団と着替えはどこだ?客間に何もなかったぞ?」
七瀬「えっ?そんなはずは無いわ ちゃんとだしたもの」
パパン「ささ浪馬くんそんなことよりこっちに来て一杯やろうではないか」
ママン「あらあら浪馬さんの布団と着替えはななちゃんの部屋に敷き直したわよ実家だからって遠慮
しなくてもいいのよ同棲してるんだし」
パパン「若い者が遠慮はいかんぞ遠慮は、そんなことよりこっちに来て一杯やろう」
浪馬「・・・・」
七瀬「・・・・」
134 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:05/01/11(火) 12:10:52 ID:???
》133
浪馬:「おい七瀬。この布団は?」
七瀬:「えっ、この布団は私のじゃないわ」
浪馬:「じゃ誰が寝るんだよ・・…」
七瀬:「これって私に一緒にここで寝ろって事なのかしら??」
ママ登場!
ママ:「違うわよ、ななちゃん。それは私の。ななちゃんのはお部屋にひいているわよ」
浪馬:「えっ!」
七瀬:「な・な・な……」
ビックリし硬直する浪馬、顔を真っ赤にし般若面になる七瀬。
七瀬:「な・・なんですって! ママ!! 何を考えているの!!」
ママ:「だっていくらお付き合いしている人でも嫁入り前の娘を男の人と一緒に寝かせる事は出来ないわ」
七瀬:「だからと言ってママが織屋君と寝ていいわけが無いじゃない!」
ママ:「そぉ? ママは結婚しているし構わないわよ。織屋さんの事もっと良く知りたいし」
七瀬:「だ・か・ら、何でママは織屋君と寝ようとするのよ!!」
ママ:「よろしくね織屋さん。ああ、こんな気持ち新婚以来かしら。ルン」
・…………
浪馬:(えらい家に来てしまったぜ……)
》133
浪馬:「おい七瀬。この布団は?」
七瀬:「えっ、この布団は私のじゃないわ」
浪馬:「じゃ誰が寝るんだよ・・…」
七瀬:「これって私に一緒にここで寝ろって事なのかしら??」
ママ登場!
ママ:「違うわよ、ななちゃん。それは私の。ななちゃんのはお部屋にひいているわよ」
浪馬:「えっ!」
七瀬:「な・な・な……」
ビックリし硬直する浪馬、顔を真っ赤にし般若面になる七瀬。
七瀬:「な・・なんですって! ママ!! 何を考えているの!!」
ママ:「だっていくらお付き合いしている人でも嫁入り前の娘を男の人と一緒に寝かせる事は出来ないわ」
七瀬:「だからと言ってママが織屋君と寝ていいわけが無いじゃない!」
ママ:「そぉ? ママは結婚しているし構わないわよ。織屋さんの事もっと良く知りたいし」
七瀬:「だ・か・ら、何でママは織屋君と寝ようとするのよ!!」
ママ:「よろしくね織屋さん。ああ、こんな気持ち新婚以来かしら。ルン」
・…………
浪馬:(えらい家に来てしまったぜ……)
253 名前:ナナちゃんの安眠法[sage] 投稿日:05/01/22(土) 00:29:59 ID:???
放課後 部室
七瀬「えっ? 練習着、自分で洗濯しちゃったの?」
浪馬「ああ、七瀬にマネージャーの真似ばかりさせられないし」
七瀬「そ、そんなの気にしなくていいのよ。でも困ったわ」
浪馬「何が困ったんだ?」
七瀬「う、うん・・ちょっと」
浪馬「?」
七瀬「ねえ織屋君、家には洗濯物残ってる?」
浪馬「ん? ああ、あるけど」
七瀬「よかった。帰る時に部屋に寄って預かるわ」
浪馬「おまえの家で洗濯するのか? いいよ、そんなことしなくても」
七瀬「やりたいのよ! ね? お願い」
浪馬「・・・まあ、七瀬がそう言うなら」
深夜 七瀬の部屋
「これでよしっ・・・・と。ホント今日は危なかったわ」
まだ洗ってない浪馬のシャツをぬいぐるみに着せると、七瀬はほお擦りした。
「ん・・・織屋君の匂い・・・・・・」
「これでよしっ・・・・と。ホント今日は危なかったわ」
まだ洗ってない浪馬のシャツをぬいぐるみに着せると、七瀬はほお擦りした。
「ん・・・織屋君の匂い・・・・・・」
最近、七瀬は浪馬のシャツや練習着を持ち込んでは、ぬいぐるみに着せて
抱き枕にしていた。すると浪馬に添い寝して貰っている様な気持ちになった。
(この前持ってきたシャツは、今日洗ったものと一緒に明日こっそり返さないと)
(織屋君が知ったら変に思うかしら? でもこうしないと眠れないんだもの)
抱き枕にしていた。すると浪馬に添い寝して貰っている様な気持ちになった。
(この前持ってきたシャツは、今日洗ったものと一緒に明日こっそり返さないと)
(織屋君が知ったら変に思うかしら? でもこうしないと眠れないんだもの)
やがて七瀬は部屋の灯りを消してベッドに潜り込んだ。
「おやすみなさい、織屋君」
ぬいぐるみを抱きしめながら七瀬は眠りについた。
「おやすみなさい、織屋君」
ぬいぐるみを抱きしめながら七瀬は眠りについた。
305 名前:横取りイベント~実果の花火編~[sage] 投稿日:05/01/29(土) 09:16:48 ID:???
「もう、まだ直らないの?」
「もうちょっと待てよ」
「モタモタしていたら、花火が終わってしまうわ」
「そうは言っても、このまま裸足じゃ歩けないだろ?」
「そうよね……」
浪馬の言葉にふと何かを考える七瀬。
「ねえ、織屋君」
「なんだ?」
「川辺まで連れて行ってくれない?」
「いいけど、何する気だ?」
「いいからお願い」
「…ああ、わかった」
「なんだ?」
「川辺まで連れて行ってくれない?」
「いいけど、何する気だ?」
「いいからお願い」
「…ああ、わかった」
七瀬に肩を貸して川辺までなんとか辿り着くと、
鼻緒が切れていない方の下駄を脱いで浪馬に渡す。
鼻緒が切れていない方の下駄を脱いで浪馬に渡す。
「もう直さなくてもいいわ。それより、これを持っていてくれない?」
「おい、裸足になってどうする気だよ」
「ちょっとね、とっておきの場所を見つけたのよ」
「おい、裸足になってどうする気だよ」
「ちょっとね、とっておきの場所を見つけたのよ」
くったくのない笑顔を浪馬に向けると、裾が濡れるのも気にせず
七瀬は川の中へと歩いていく。
七瀬は川の中へと歩いていく。
「お、おいっ」
「冷たくて気持ちがいいわよ」
「浴衣が濡れるじゃないか」
「別に構わないわ。それより、あなたもこっちへ来たらどう?」
「オレはいいよ」
「あら、意外と意気地がないのね」
「そこまでして見なくてもいいって」
「でも、綺麗よ。ここから見上げる花火も」
「冷たくて気持ちがいいわよ」
「浴衣が濡れるじゃないか」
「別に構わないわ。それより、あなたもこっちへ来たらどう?」
「オレはいいよ」
「あら、意外と意気地がないのね」
「そこまでして見なくてもいいって」
「でも、綺麗よ。ここから見上げる花火も」
七瀬の頭上に上がるいくつもの花火が、流れる川に反射して七色に輝いている。
そして、花火が広がったその一瞬だけ、川の中の七瀬のシルエットに色が戻る。
(意外と無邪気なんだな、七瀬って……)
じっと空を見つめる七瀬を、何故か浪馬はいとおしく見つめていた。
そして、花火が広がったその一瞬だけ、川の中の七瀬のシルエットに色が戻る。
(意外と無邪気なんだな、七瀬って……)
じっと空を見つめる七瀬を、何故か浪馬はいとおしく見つめていた。
「でも、裸足のまま、ここからどうやって帰るんだよ?」
「送っていってくれるんじゃないの?」
「もちろん送っていくけどさ」
「その時はその時よ。今は花火を見ましょうよ」
「そうだな……」
「送っていってくれるんじゃないの?」
「もちろん送っていくけどさ」
「その時はその時よ。今は花火を見ましょうよ」
「そうだな……」
…帰り道
特等席で花火を見た七瀬は、後の特等席である浪馬の胸に
お姫様抱っこで抱えられて家へと辿り着いた。
特等席で花火を見た七瀬は、後の特等席である浪馬の胸に
お姫様抱っこで抱えられて家へと辿り着いた。
309 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:05/01/30(日) 01:57:16 ID:???
蔵の中で格闘雑誌を立ち読みしていた浪馬は、背後からの視線を感じて振り向いた。すると主婦と
おぼしき女性がこちらを見ている。女性は浪馬と眼が合うとニコリと笑って軽く会釈をした。つられて
浪馬も頭を軽く下げる。(覚えがないけど、知り合いだっけかな?) 「しかし最近多いんだよな。知
らないおばさんに挨拶されたり、指差してヒソヒソ言われたり」 浪馬は呟いて首を捻った。
「やっぱり一枚足りない」 机の引き出しに大切にしまってある浪馬と撮ったプリクラのシートを手に、
七瀬が眉をひそめた。目立つところに張らないでくれという浪馬の頼み通り、彼女は自分の部屋の
中で何枚かシールを使った。が、どうも残りの枚数が足りない。「おかしいわ」 七瀬は考え込んだ。
七瀬が眉をひそめた。目立つところに張らないでくれという浪馬の頼み通り、彼女は自分の部屋の
中で何枚かシールを使った。が、どうも残りの枚数が足りない。「おかしいわ」 七瀬は考え込んだ。
「あら、カッコいい子」「ちょっとワイルドな感じもするわね」「妬けるわね、仲良さそうに写っちゃって」
「でも高遠さん、これでやっと貴方も一安心ね」「二人が卒業したら婚約させるつもりなの?」
「どうかしらね? うふふふふ」 ママンは嬉しそうに笑って、カップを口元に運んだ。彼女は買い物の
途中、ご近所の主婦仲間と喫茶店でお茶を楽しんでいる最中なのだ。そしてテーブルにおかれた
ママンの携帯。その背面に貼り付けられたモノがある。例のプリクラであった。ようやく娘に訪れた
春に狂喜した彼女はシールを一枚失敬し、事あるごとに友達に見せて回っていた。
「でも高遠さん、これでやっと貴方も一安心ね」「二人が卒業したら婚約させるつもりなの?」
「どうかしらね? うふふふふ」 ママンは嬉しそうに笑って、カップを口元に運んだ。彼女は買い物の
途中、ご近所の主婦仲間と喫茶店でお茶を楽しんでいる最中なのだ。そしてテーブルにおかれた
ママンの携帯。その背面に貼り付けられたモノがある。例のプリクラであった。ようやく娘に訪れた
春に狂喜した彼女はシールを一枚失敬し、事あるごとに友達に見せて回っていた。
そして再び蔵の中。「あなた織屋浪馬クン・・・・よね?」「はあ、そうですけど」 先ほどの見知らぬ
女性に名前を呼ばれ、浪馬は怪訝な顔をした。インターネット並の拡散力を持つ主婦ネットワーク
によって、七瀬と浪馬の仲は、彼女達の間で爆発的に広まりつつあった。
女性に名前を呼ばれ、浪馬は怪訝な顔をした。インターネット並の拡散力を持つ主婦ネットワーク
によって、七瀬と浪馬の仲は、彼女達の間で爆発的に広まりつつあった。
「話は聞いてるわ」 浪馬の困惑をよそに女性は続けた。
「あなた、高遠さんちの七瀬ちゃんと入籍したんですって?」
「えええっ?!」
「素敵なお嫁さんもらえて良かったわね。おめでとう」
浪馬は口をあんぐりと開けたまま、手から雑誌を取り落とした。
主婦の井戸端会議ネットワーク。回線速度は光通信並だがプロトコルに少々問題があった。
そう、情報内容に尾ひれが付きやすいのである。
「あの頃、もうなんとなくわかってたよ。七瀬と離れて生きていくなんて、俺にはできないってさ」
「でもいきなり知らない人に結婚おめでとうって言われたら、とりあえず驚くしかないぜ」
後に浪馬はこう言って笑った。
「あなた、高遠さんちの七瀬ちゃんと入籍したんですって?」
「えええっ?!」
「素敵なお嫁さんもらえて良かったわね。おめでとう」
浪馬は口をあんぐりと開けたまま、手から雑誌を取り落とした。
主婦の井戸端会議ネットワーク。回線速度は光通信並だがプロトコルに少々問題があった。
そう、情報内容に尾ひれが付きやすいのである。
「あの頃、もうなんとなくわかってたよ。七瀬と離れて生きていくなんて、俺にはできないってさ」
「でもいきなり知らない人に結婚おめでとうって言われたら、とりあえず驚くしかないぜ」
後に浪馬はこう言って笑った。
313 名前:横取りイベント~みさきの手編み編~[sage] 投稿日:05/01/30(日) 08:03:08 ID:???
七瀬は今日もここで仕事をしているだろうと、
執行部の前にきた浪馬。
こっそりドアを開け、中を覗き込むと
イスに座ってもぞもぞと何かをしている七瀬の後姿が見える。
ガラッ
「おっす、七瀬」
「えっ!? きゃあっ!」
バサッ!
「うおっ!?」
「どっ、どうしたのよ急に!」
「急にって、ちゃんと挨拶したぜ?」
「そ、そう?」
「ああ。お前、なにか一生懸命してたから聞こえなかったんじゃないのか?」
「…そ、そうかもね」
「で、なにをしてたんだ?」
「べっ、別になにもしていないわ?」
「そうか。で、なんでスカートの中がそんなにふくれてるんだよ?」
「えっ!?……あ、こ、これは、さ、寒いから着込んでるのよ」
「まさかももひきとか?」
「そんなもの履かないわよ。…って、そんなことどうでもいいじゃない。
それより……何か……見えた?」
「いや、何も」
「そう、よかった…」
「よかった?」
「い、いいえ、こっちの話。それはそうと、何か用事だったの?」
「ああ、一緒に帰ろうと思ってな」
「いいわよ。じゃあ、部室で待っていてちょうだい」
「わかった。じゃあな」
「すぐに行くわね」
「おう」
「おっす、七瀬」
「えっ!? きゃあっ!」
バサッ!
「うおっ!?」
「どっ、どうしたのよ急に!」
「急にって、ちゃんと挨拶したぜ?」
「そ、そう?」
「ああ。お前、なにか一生懸命してたから聞こえなかったんじゃないのか?」
「…そ、そうかもね」
「で、なにをしてたんだ?」
「べっ、別になにもしていないわ?」
「そうか。で、なんでスカートの中がそんなにふくれてるんだよ?」
「えっ!?……あ、こ、これは、さ、寒いから着込んでるのよ」
「まさかももひきとか?」
「そんなもの履かないわよ。…って、そんなことどうでもいいじゃない。
それより……何か……見えた?」
「いや、何も」
「そう、よかった…」
「よかった?」
「い、いいえ、こっちの話。それはそうと、何か用事だったの?」
「ああ、一緒に帰ろうと思ってな」
「いいわよ。じゃあ、部室で待っていてちょうだい」
「わかった。じゃあな」
「すぐに行くわね」
「おう」
返事をして執行部を出て行く浪馬。
愛しい浪馬を見送りながら、ドアが閉まるのを確認して
そっと胸をなでおろす七瀬。
愛しい浪馬を見送りながら、ドアが閉まるのを確認して
そっと胸をなでおろす七瀬。
「よかった……見られたかと思ってヒヤヒヤしたわ。
ウフフッ、せっかく驚かそうとおもってこっそり作っているんですもの。
計画途中で見られるわけにはいかないわよね……」
ウフフッ、せっかく驚かそうとおもってこっそり作っているんですもの。
計画途中で見られるわけにはいかないわよね……」