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「多分、母さんがライダーになったのも、アリシアを生き返らせるためだと思います。
ライダーになって、最後の一人になるまで生き残れば、願いが叶うって聞きましたから」
「そうか…それで、お前は次にあの女が出たとき、どうするつもりだ?」
 シグナムの疑問ももっともだ。
その女に作られたクローンだったとはいえ、一度は母として慕った存在だ。
次に会ったとき、戦うことが出来るか。それを疑問に思っているのである。
「その時は…私が止めます。あの人は、私が止めなくちゃいけないから」

「あれ…もしかしてあの人、脱獄犯の浅倉威?」
 レストランで食事を終え、店から芝浦が出てくる。浅倉を見かけたのはこの時だ。
と、このタイミングで例の金属音。モンスターだ。
「モンスターか…?」
 どうやら浅倉も、この音に気付いているようだ。
もしかして、と思い、芝浦がカマをかけに行った。
「へぇ、これに気付いたって事は、あんたもライダーなんだ」
「何?という事は、お前もライダーか」
「ま、そーゆー事」
 それを聞くと浅倉は芝浦へと近づいた。その目からは戦意がありありと見える。
「ライダー同士は戦うものだったな…」
 それを聞き、いぶかしむ芝浦。
「何?もしかして、まだ誰とも戦ったこと無いの?」
「他のライダーが見つからなかったからな…だが、やっと見つかった」
 やはりまだモンスター以外とは戦っていなかったようだ。正直、かなり意外だ。
「デビュー戦ってわけね。だったらさ…どうせなら因縁のある相手と戦ってみたらどう?」
「どういう意味だ…?」
「弁護士の北岡秀一って知ってる?」
 北岡秀一、その名を聞いて浅倉の眉がピクリと動く。
「知ってるよね?あんたを弁護した弁護士なんだから」
 この時点で浅倉にも言っている意味は分かった。だが、一応聞き返す。
「何が言いたい…」
「あの人もライダーだよ」
 やはりか。つまり北岡と戦えと言っているのだろう。
ならば、その思惑に乗ってやろう。浅倉はそう考えた。だが、話が終わっていないようなのでまだ去らない。
「頑張んなよ。デビュー戦って大事だからさ」
 それを聞くと、浅倉は去っていった。いや、さっきまで芝浦がいたレストランへと向かっていった。
浅倉が視界から消えた後、芝浦が携帯電話を取り出し、どこかへと電話をかける。
「あ、もしもし、警察ですか?実は―――」
 春休みの最終日、4月7日。この日、ライダーの戦いに動きが起こる。

第十三話『集結』

 なぜ、こんな状況になっているのだろうか。
「お願いです、この子を放して下さい!お願いします!」
「黙れ」
 浅倉がレストランに立て篭もっている。ご丁寧に銃と人質まで用意して。
芝浦が警察を呼んだ後何が起こったか、その顛末はこうである。

 浅倉がそのレストランへと入る寸前、店の窓ガラスに龍騎の姿を見た。
「ここにも別のライダーがいたか…」
 北岡との戦いの前に前哨戦もいいだろう。浅倉はそう考え、王蛇のデッキを取り出した。
だが、浅倉が変身するより早くサイレン音。さらには複数台の車のエンジン音。
何が起こったかと思い周りを見渡すと、警察に囲まれていた。ここまで仕事が早いとは、日本の警察もバカにしたものではなさそうだ。
「警察ってのは、何でこんなにイライラさせるかねぇ?」
 そうつぶやく頃には、見渡す限りパトカーだった。
「動くな!抵抗をやめ、おとなしく投降しろ!」
 数人の警官が出てきて、浅倉を取り囲む。何人かは銃を持っているようだ。
 それをどう切り抜けるかを考えていると、一台のパトカーから見知った顔が出てきた。
「匿名のタレコミが入ったときはいまいち信用していませんでしたが…本当だったようですね、浅倉」
「須藤刑事か…」
 かつて逮捕した者とされた者の再会であった。
「浅倉…もう一度、あなたを逮捕しに来ました」
「そうかい…やってみろ」
 言うが早いか、浅倉は警官のうち一人を叩きのめし、気絶させる。
「やめるんだ!大人しく両手を挙げろ!」
 そうこうしている間にも、どんどん警察が増える。と、その時。
「千佳、ダメよ!」
 子供が一人、店から出てきた。
それを見た浅倉は、先ほど叩きのめした警官から銃を奪い、その子供の方へと走る。
「浅倉!何をするつもりです!?」
「何をだと?こうするつもりだ!」
 浅倉はその子供(千佳というらしいので、今後はそう呼称)を抱え上げ、先ほど奪った銃を頭に突きつけた。
それを見た警官が、一斉に浅倉に銃を向ける。
「俺に近づくな!イラつく…」

 で、今のこの状況が出来上がっているというわけだ。
浅倉が外を見る。見事なまでに人の海だ。ちなみにほとんどは警官と記者だ。
「それもこれも、あの弁護士が役立たずなせいだ…」
 そう言うと、連絡用に持たされた携帯電話を使い、外の警官に連絡を入れる。
「浅倉だ、要求がある。弁護士の北岡秀一を呼べ」

 浅倉が篭城を始めた頃、真司がミラーワールドから戻ってきた。
「っと、仕事仕事。また編集長に怒られ「千佳!」…え!?」
 その声に驚き、思わず物陰に隠れる真司。
前と…タイムベントで時が戻る前と同じ。浅倉による篭城事件だ。
「嘘だろ…?またこうなるのかよ…」
 真司にとって幸いなのは、前の篭城事件を知っていることだ。これならある程度は打つ手もある。とりあえず、令子へとメールを送信した。
内容は、今真司が現場の建物の中にいること、まだ気付かれていないということ、中の様子、そして…おそらく浅倉がライダーだということ。
それが終わると、今度は北岡へと電話を入れた。今回は前にライダーだった人間で分かる限りの連絡先を携帯に入れていたのだ。
ちなみに、バレないようにトイレからの連絡だ。万全を期し、可能な限り声も潜めている。
『はい、こちら北岡弁護士事務所』
「もしもし、北岡さんですね?」
『ええ、そうですが。何か?』
「浅倉威が立て篭もり事件を起こしたのは知ってますよね?おそらくあれは…北岡さんを呼び寄せるためのものです」
『…言っている意味がよく分かりませんが?』
「ならはっきり言います。浅倉はライダーで、北岡さんと戦うためにこの事件を起こしたんです」

 その頃外は。
「…嘘!?」
 令子が一言、そう驚く。今しがた届いた真司からのメールが原因だということは言うまでもない。
とにかく編集長に連絡を入れようと思い、すぐに電話をかける。
『…何、真司が!?本当かよ?』
「はい。どうしてだか分かりませんけど、確かに店の中にいるみたいです」
『そうか…分かった。俺も今からそっちに行く』

「あの中にライダー二人か…面白すぎるよ」
 外の車から、芝浦が見ている。
ちなみに真司のことを知っているのは、先ほどのモンスター戦で真司の手助けをしたからだ。
無論、「こんなのがいたらせっかくの状況が盛り下がる」という理由だが。
「どうせならもっと盛り上げようかな」
 そう言うと、芝浦は去っていった。おそらく盛り上げるための工作に向かうのだろう。

「浅倉から何か連絡はありましたか?」
 須藤が部下の警官に聞く。
「いえ、今のところは何も…あ、今来ました!」
 連絡用の携帯電話から、浅倉の声が聞こえる。
『浅倉だ、要求がある。弁護士の北岡秀一を呼べ』
 その一言とともに電話が切れた。
「北岡弁護士を?一体何故こんな要求を…?」
 そもそも須藤が知る限りでは、北岡と浅倉の接点が無い。
どういうことかを署に問い合わせると、北岡が浅倉の担当弁護士だという事らしい。
「担当弁護士、ですか…」
「どうします?」
 今は浅倉を刺激しないほうがいい。そう判断した須藤は、この決断を下した。
「…協力を要請しましょう」

「あれ?何やろ?なんか人だかり出来とるけど…」
 買い物から帰る最中の、はやてとシャマルが通りがかった。
「…ちょっと、行ってみましょうか」
 好奇心に負けた。という訳で二人ともその人だかりに近づいた。
…と、見知った顔を見かけ、声をかける。
「なのはちゃん…こんな所でどないしたん?」
「あ、はやてちゃん。シャマルさん。」
 何故なのはがここにいるのか。理由は多分この二人と同じだろう。
「ほら、この通りここは人がいっぱい集まってるでしょ?だから何かあったのかな?って」
 予想通りである。
「それで、何かあったん?なんか警察の人もたくさん来とるみたいやけど…」
「ほら、何ヶ月か前に、浅倉威って人が脱獄したでしょ?その人がここに立て篭もってるらしいの」
 それを聞くと、二人とも黙り込んでしまった。
「こんな事をしても、何にもならないのに…」
 シャマルが呟く。その時はやてが何かに気付いた。
「あれ?あそこにいるの…編集長さん?」

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最終更新:2007年08月14日 10:57