魔法少女リリカルなのはStrikers May Cry番外編。

クリスマス特別短編 ニニンがリリカル・グレイヴMay Cry 「聖夜~それはきっと神の与えた特別な~日だ。だからセクハラしても良いよな!? な? 良いだろう!?By音速丸」

もしくはStrikers May Cry第十七.五話「結婚前夜」


空に浮かぶ次元航空艦アースラのブリッジでそのパーティーは開かれていた。

「ベリーメロン!! じゃなかったメリークリスマスウウウウ!! 全世界抱かれたい男ランキングNo1!! こと音速丸様だ!! ぶるううあああああ!!!(若本)」
「同じくメリークリスマス!! 萌える戦闘機人を作らせたら宇宙一!! ジェイル・スカリエッティだ!!」
「今日はジェイの介とこの俺様がクリスマスパーティーを開催してやるからしてええええ!!! 
女共は俺に感謝して股を開き“音速丸様、私に頂戴”と言って俺の前に集合!! 男共は正座で部屋の隅に行けええええええ!!!!(若本)」
「はははっ 今日も飛ばしてるねえ、音ちゃん」
「あったりまえだぜジェイの介!! こんな女だらけの空間で落ち着いていられるほどに俺は獣性を失っていねえええええ!!!! ぶるううあああああ!!!!!!(若本)」
そんな音速丸とスカリエッティのクレージーな演説をよそにパーティーは賑やかに進んでいた。


「いや~やっぱりピザは最高だぜ。ちゃんとオリーブも抜いてあるしな」
「ホントです~ピザがあればもう他のゴハンはいらないですよ~♪」
機動六課とバージル・ダンテの悪魔兄弟の集まったテーブルで延々とピザの皿が消費されていく。
それもその筈、ダンテとリィンがパーティーが始まってからずっとピザばかり食べていたのだ。
さらに二人は近くにいたティアナに追加注文を入れた。
「お~い嬢ちゃん。ストロベリーサンデー追加だ」
「リィンもです~」
「えっ? はい分かりました~」
ティアナは給仕係りとしてウェイトレス姿(フリルやリボンのたくさん付いた強化使用!)でパーティー会場を駆け回っていたのだ。
「ヴィヴィオもたべる~」
「ティア~私も食べる~ストロベリーサンデー最高~♪」
「さいこう~」
スバルとヴィヴィオもダンテやリィンにならいストロベリーサンデーを注文(スバル既に4個め)、テーブルの上をデザート地獄に塗り替える。
超甘い物好き(ダンテ・リィン・スバル・ヴィヴィオ・ヴィータ)メンバーの注文によりテーブルの上はもはや子供の好きなものテンコ盛り状態になりつつあった。

そのありさまをバージルは心底すまなそうな顔で見ている。
「なんというか……すまんな」
バージルの謝罪(主に弟関係)を受けたはやて以下隊長陣はその言葉に苦笑いで返した。
「ははは…まあ私ん所のヴィータも相当なモン(スバルと張り合って既にストロベリーサンデー6個め)やからなんとも言えんわ」
はやては乾いた笑いでバージルに応える、そしてテーブルにはティアナの持ってきた新たなピザ(ベーコンとほうれん草のトッピング、オリーブ抜き、)Lサイズ3枚と6個のストロベリーサンデーが並べられた。


一方こちらはナンバーズとグレイヴのいるスカリエッティファミリーのテーブル。
そこにはいつものようにグレイヴの周りに集まっているセイン・ノーヴェ・ウェンディにその他ナンバーズの姿があった。
「……」
「グレイヴ~おんぶっす~」
「グレイヴ~抱っこ~」
「お前らグレイヴに変な事言うな!!」
グレイヴで遊ぶセインとウェンディにヤキモチを焼くノーヴェ、その4人に給仕としてウェイトレスの格好(ゴスロリメイド風特別仕様!!)をしたチンクが料理を手にやって来た。
「ノーヴェも何かお願いしたらどうだ? せっかくのクリスマスなのだからグレイヴなら何か聞いてくれるだろう」
チンクがテーブルに皆の注文した料理を並べながらそんな事を言った、その言葉を聞いたセインとウェンディはニヤ~っと笑ってノーヴェを挟み込む用に彼女の隣へ移動する。

「おらおら~ノーヴェもグレイヴに何かお願いするっすよ~」
「なんならキスとか言ってみたら~」
「キ、キ、キス~!?」
「そうっすよ! 大人の階段上るっす~♪」
「女は度胸! やってみなって!!」
真っ赤になるノーヴェをセインとウェンディがからかう、チンクはやれやれといった感じでグレイヴの隣にちょこんと座った。
「すまんな。今日も騒がしくしてしまって」
「……」
グレイヴはそんなチンクに今日も無言で微笑んだ、こんな風に穏やかな時間を過ごせるのはきっと良いものだとグレイヴは胸中に感じた。

そしてここは残りのメンツの集まったテーブル。
そこは鬱屈とした重苦しい空気が立ちこめ、粘っこい瘴気が溢れて心なしか照明の光も届かなさそうな雰囲気があった。
「……なあ、今年のアニメは……何が一番だったと思う?」
「…グレン・ラガ○かな…」
「俺は…瀬戸の花○かな…」
「そうか…はははっ…なんでこのテーブルには女の子がいないのかな…」
そこはサスケ軍団とSS本編で出番の少なかった男連中(ヴェロッサ・クロノ・ヴァイス含む)が集まったテーブルだった。
もちろんだが女性陣は一人もいないし給仕もアーカムという極悪使用である、テーブルの上にはビールの空き缶とおつまみが散乱していた。


そんな風にパーティーを楽しむ(?)一同に主催者である音速丸がマイクでその美声(!?)を荒げた。
「ぶるうううああああ!!!!! 諸君! 楽しんでいるかね~そろそろパーティーイベント開催の時間だわさあああ!!!(若本)」
「では皆~こっちに来てくれたまえ」
スカリエッティの掛け声で全員が会場の中央に集まる。
「では~これより音速丸様主催!! 全員強制参加の王様ゲームを行ううううう!!!」
音速丸の爆弾発言、強制参加王様ゲームと来た。もちろんパーティー参加者は皆拒絶反応を示すが、音速丸はさらにこう続けた。
「ちなみに拒否しやがった奴はジェイの介の開発した“足の匂いが納豆臭になる光線銃”を使って一生強烈な納豆臭と過ごしてもらうから、そのつもりでいろやあああ!!(若本)」
こうしてトンデモイベント強制王様ゲームがスタートした。

王様と書かれた札を持ったはやてがやたらと嬉しそうな顔で絶対的な命令権をもって叫ぶ。
「ほんなら~3番の乳を5番が揉む!!」
「なんだってえええ!!!」
そのはやての命令に今まで表情(?)の暗かったサスケが驚愕する、ちなみに彼は5番だ。
「この男女比率なら相手が女の子である可能性が高いいいい!! さ~俺に揉まれるオッパイちゃんは誰かな~?」
マスク越しにエロオーラを放つサスケの前に大きな黒い影が現れたそれは隻眼の死人兵士グレイヴである、そして彼の手には3番と書かれた札があった。
「………」
「ノオオオオオ!!!」
サスケはその手に硬~い胸板の感触を味わった。

さらにその後もダンテが音速丸の尻を撫でたり、忍者その1をチンク姉が抱っこ(体格的にかなり厳しい)したり、
ライトニング分隊全員がメイド服に着替えたり(エリオ含む)、ナンバーズ1・2・3番がセーラー服になったり(年齢的なものによりかなりイメクラ臭が漂っていた)した。
そして開始30分めにして遂に最大の爆弾が投下された。

音速丸が手にした王様の札をヒラヒラと動かしながら缶ビール片手にこう言った。
「え~では7番が9番に過激な接吻、つまりディープキーッスをしてもらううううう!!!(若本)」
その言葉に静まり返る会場内で手に9番の札を持ったバージルが顔を青くしていた、心なしか冷や汗まで流している。
そのバージルの後ろに金髪の影が現れ、彼にしなだれかかるように抱きついて来た。
「あれ~? バージルさ~ん、もしかして“当たり”引いちゃいました~?」
それはパーティーの雰囲気に呑まれて大量に酒を浴び、完全に酔っ払ったシャマルだった。
シャマルはバージルに抱きつきながら手にした物を見せる。
「実は~私も“当たり”なんですよ~」
シャマルの手には7の番号の書かれた札が握られていた。

そしてシャマルはアルコールにより赤く染まった顔をバージルに近づけていく。バージルは思わず引き下がるがシャマルはその彼を無理矢理に押し倒した。
「お、落ち着け癒し手…」
「癒し手なんて水臭いですよ~バージルさん♪ シグナムやヴィヴィオちゃんみたいに私も名前で呼んでくださいよ~?」
押し倒されたバージルにシャマルがどんどん接近していく。その光景を周りの者は息を飲み見守る。
シグナム(先の命令でメイド服着用)はレヴァンティンを振り回して暴れるが、悪乗りした六課メンバー(主に酔った隊長陣)に押さえられていた。
「ちょっ…ちょっと待…」
「それじゃあディープっていう指示なんで激しく行きますね♪」
バージルは狼狽しながらシャマルを止めようとするが、彼女はお構い無しにその唇を重ねてきた。

そのキスはかなり激しいものだった、静まり返ったパーティー会場に響く程の音で舌が蠢き唾液が交換される。
逃げようとするバージルにシャマルは腕を首に絡ませ、身体(特に胸)を押し付けて彼の動きを封じる。
何度も位置を変える唇の間から流れた唾液が二人の顎を伝って服を汚していった。
唇しか使っていない筈のその行為はどんな卑猥な言葉よりも濃密に官能の様を見せ付けた。
あまりの痴態にサスケ軍団の半数は股間を押さえ前かがみになって倒れ、年少組みは保護者に目を隠された。

「ぷはぁっ」
一体どれだけの時間そんな淫靡な光景が繰り広げられたのか分からないが、遂に息の苦しくなったシャマルが唾液の糸を互いの唇から引きながらバージルから顔を離した。
あまりの事に完全に冷静な頭をフリーズさせたバージルが呆然とする中でシャマルは名残惜しそうに彼の唇を眺めていた。
「はぁ~シグナムはいつもこんなのを味わってるんですね~♪ なんだか羨ましいな~」
そんな事を言うシャマルの後ろに目に見える程に凄まじい殺気を全身から放つメイド服の剣鬼が立っていた。

「シャマル……貴様には3つ選択肢がある。1番、紫電一閃で斬殺。2番、火竜一閃で焼殺。3番、シュツルムファルケンで滅殺。………さあどれが良い?」
それはレヴァンティンを殺傷設定で構えて仁王立ちするシグナムであった、その殺気と眼光は魔界の上位悪魔でも逃げ出しそうな程の迫力を放っていた。
「ひい~っ!」
シグナムの見せる気迫にシャマルは思わず傍にいたバージルの後ろに隠れた、そしてバージルもやっと凍結していた思考を再起動する。
「お、落ち着けシグナム…」
「そこを退けバージル……私はその女狐を鏖殺せねばならんのだ」
「いや……とにかく…殺傷設定は止めろ。癒し手も酔っていたのだから罪は無い。…そして落ち着け…頼むから」
さしものバージルもこのシグナムの殺気に冷や汗を流し悪寒を感じる、彼が生きてきた中でこれほど恐怖した事があったろうか。

「そうか……」
バージルの必死の説得にシグナムはレヴァンティンの刃を下ろし顔を俯けた、やっと落ち着いたのかと思われたが事態はその斜め上を行く。
「やはり…シャマルのような女の方が良いか…」
「はっ?」
「そうだろうなぁ……淑やかで女らしいものな…」
「おい……シグナム。何を言って…」
「……どうせ私なんて戦闘狂の猪武者でガサツで剣と胸の大きさぐらいしか取り柄なんて無いものな……」
「…シグナム?」

「シャマルとでもイチャついてろ!! お前などもう知らんっ!!!!」
シグナムは怒りに真っ赤になった顔を上げ、涙をたっぷりと溜めた瞳でバージルを睨むとくるりと背を向けて駆け出した。
「ちょっ! 待て!」
「離せ馬鹿者っ!!!!!」
バージルは背を向けて走り去ろうとするシグナムの肩を掴むが、帰ってきたのは全力の鉄拳だった。
その拳はかつてティアナに振るわれたものの比でなく(推定10倍以上の打撃力)、見事な角度とタイミングでバージルのテンプルに入り彼を一撃でノックダウンして床に沈めた。
「ふんっ!」
シグナムは床にくず折れたバージルを一瞥して目の涙を拭いながらどこかに走り去っていった。

「ぎゃっはははっは~。振られてやんの~みっともね~恥ずかち~カッコ悪い~♪ イケメンでモテルからって調子乗ってからだバ~カ♪(若本)」
事件の張本人である音速丸が倒れたバージルを指差してゲラゲラと大笑いしていた、周りの人間はそんな風に喜ぶ音速丸をまるで生ゴミを見るような目で見る。
そして哀れな被害者のバージルに同情の眼差しを送る。
「うわ~バージルさん可哀想~。ねえギン姉、これが修羅場ってやつかな?」
「え~っと…たぶん。っていうかスバル、あなた冷静ね…」
「おにいちゃん。げんきだして~」
六課メンバーがバージルに駆け寄る中、ナカジマ姉妹とヴィヴィオがそんなことを言った。

「なあ、何があったんだよ~?」
「教えてっす~」
「教えて~」
ノーヴェ・ウェンディ・セインがそんな事を言っていた。それもその筈、彼女達の目はグレイヴとチンクの手により淫らな接吻や修羅場を隠されていたからだ。
「お前達は知らなくていい事だ。まだ早い」
「………」
チンクのそんな言葉にグレイヴは無言で頷きノーヴェ達の頭を撫でた。

ものすご~く嫌な笑顔をした音速丸がスカリエッティの近くに寄り耳打ちする。
「お~い、ジェイの介~。そろそろアレ使うぜ~(若本)」
「オ~ケ~音ちゃん♪」
そしてセクハラ魔人の魔宴が始める。
「え~では、またもやこの俺様が王様だ~。それでは1・2・3・5・6番は俺の部屋に下着姿で来いや~(若本)」
以下番号割り振り、1番フェイト、2番なのは、3番シャマル、5番ウーノ、6番ディードと音速丸好みのおとなしい巨乳だらけ(シグナムは夕日に向かって駆け出したので除外)であった。
「ちょっ! 明らかに作為的なものを感じるんやけど……」
音速丸ははやての突っ込みを全力で無視してまだまだ続ける。
「よ~し次はサスケの番だぜ~。おらジェイの介~やってやんな~(若本)」
「了解! 音ちゃん」
スカリエッティがオチャメに舌を出して笑いながら“王様ゲーム操作装置”と書かれた機械を操作、するとクジを引いたサスケが即座に王様の札を取った。

「よっしゃ~! それじゃあ4番と5番の子がこのセリフを読むんだあああ!! さあチンクちゃん、ヴィヴィオちゃんこれ読んで~♪」
「まだ番号札を見せてないのに何故分かる!!」
チンクがそんなサスケに向かって思わず突っ込むがゴスロリウェイトレスの格好ではあまり迫力はなかった(むしろかなり可愛らしかった…)。
「ほら~ヴィヴィオちゃ~ん。これ読んでみようか。ハァハァ」
「え~っと。“おにいちゃんのすごくおっきい” これなんていみなの?」
サスケ軍団は目にも止まらぬ速さでヴィヴィオに近づき、その卑猥単語の意味を知らない無垢な子供に早速読ませていた。
「うっひょおおおお!! この汚れを知らない無垢さ加減が堪らねえええええええ!!!」
「俺もう嬉しすぎて死ぬかも」
「さあ! チンクちゃんこれ読んで~」
サスケ軍団はチンクとヴィヴィオを囲みながら手に卑猥セリフの書かれた紙を手に狂喜乱舞する。
「う~。このおにいちゃんたちこわいよ~」
「迫るな! 息を荒げるな! そんな獣みたいな目で見るなあああ!!!」
サスケ軍団はチンクとヴィヴィオのロリっ子コンビに迫り二人は大いに怯える。

さらにサスケ軍団の一人が続けて王様の札を引く。
「よ~しそれじゃあ俺は19番の子に体操着とブ、ブ、ブ、ブ、ブ、ブ、ブルマを着てもらううううううう!!!! さあノーヴェちゃん着てくれ! そして見せてくれええええ!!!!!」
「何言ってんだお前!! っていうかあからさまなイカサマじゃねえか!!」
体操着とブルマをもって迫る忍者を押しのけながらノーヴェが吼える、他の場所でもサスケ軍団がイカサマで取った王様特権でセクハラ三昧を展開していた。

そのカオス時空をよそに音速丸は先ほどのクジを引いた女性陣にセクハラ攻撃を仕掛けている。
「オラオラ~。早く下着姿になって俺の部屋に来いよ~。何かい? それとも全裸が良いのかい? そうなのかあああい!? ぶるううああああ(若本)」
音速丸は全身からエロオーラを発しながらディードとフェイトの美乳を後ろから揉みまくっている。
「きゃっ!」
「ちょっ! やめてください!」

もはやパーティー会場は音速丸とその配下のサスケ軍団のセクハラ地獄と化す。
そこに妖刀を携えた魔剣士と巨大な二丁銃をもった死神が凄絶なる殺気を纏って現れた。
「うひ~! なんだよこの背中越しに感じる寒気は~。まるで本気になった○悟飯と戦った時みてえだ!!(若本)」
「音速丸さん…なんかものすご~く嫌な予感がするんですが…」
「やべえ! 俺の本能が今確実に死ぬって言ってる!」
「おいおい~お前の本能ってあてにならなそうだな…でも確かに何故か死にそうな予感がするぜ…」
そんな音速丸とサスケ軍団の後ろに立っているのは閻魔刀を構えたバージルとケルベロスの銃口を音速丸達に突きつけるグレイヴだった。
「さて…死ぬ準備は出来ているだろうな?」
「………」
グレイヴは無言でバージルは言葉と共に得物を構える、もはや音速丸達に逃げる場所はどこにもなかった。
「ぶるうううううあああああああああ!!!!!!!!!!!(若本)」
哀れな断末魔の叫びを上げてセクハラ魔人の宴は終焉を迎えた。


音速丸とサスケ軍団がゴミ袋に入りやっとパーティーは落ち着きを取り戻す。
そしてはやてが手にしたマイクで会場内の皆に声をかけた。

「え~テステス、ただ今マイクのテスト中~。ではこれよりクリスマスパーティーのメインイベント。プレゼント交換会を行いま~す♪」
その言葉と共に会場に集まった人々は手にした様々なプレゼントを互いに交換しだす。
その騒がしい会場に赤い影が現れた。
「ほ~らサンタさんの登場だ。良い子はみんな集まりな!!」
「…………」
赤いサンタの服を着たダンテとトナカイのキグルミを着たグレイヴが大きな袋を持って現れたのだ。
「わ~いです~♪」
「サンタさ~ん♪」
リィンとヴィヴィオが喜んで駆け寄りスバルやフォワード、ナンバーズ3馬鹿姉妹(セイン・ノーヴェ・ウェンディ)もダンテとグレイヴの周りに集まる。
「あれ? なんでダンテおにいちゃんがサンタさんなの?」
「実はな、サンタのじいさんは世界中を回ってて忙しいから便利屋の俺に手伝いを頼んだのさ」
「ほんと? ダンテおにいちゃんサンタさんにあったの?」
「勿論さ。サンタのじいさんとはガキの頃からの長い付き合いでね。ほらサンタのじいさんからヴィヴィオにプレゼントだぜ♪」
ダンテは目をキラキラ輝かせたヴィヴィオに袋からクマのヌイグルミを出して渡した。
「ありがとうダンテおにいちゃん♪」
「今は“サンタのお兄ちゃん”だぜヴィヴィオ。良い子にしてたらサンタのじいさんに来年もよろしくって言っとくからよ」
「うん」

ダンテがヴィヴィオに微笑ましくプレゼントを渡すのをリィン・スバル・ナンバーズが羨ましそうな目で見ていた。
その視線に気づいたダンテは袋を掲げてそんな少女達に向き直る。
「ホラホラ! プレゼントが欲しい良い子は集まりな!」
ダンテはノリノリで集まった少女達にプレゼントを配っていく、その光景を離れた場所で見守る銀髪隻眼のゴスロリウェイトレスが一人いた。

チンクは嬉しそうにプレゼントを貰う妹達を見て、とても楽しそうに笑っている。そのチンクの前にトナカイのキグルミを着たグレイヴがやって来た

「トナカイがこんな所に来ていいのか?」
グレイヴはそのチンクに笑顔を見せて担いだ袋の中からリボンで包装された一つの箱を取り出した。
「もしかして……私にプレゼントなのか?」
「……」
グレイヴは小さく頷きその箱をチンクに差し出した、受け取ったチンクは顔を赤らめる。
「その……今開けてもいいか?」
「……」
グレイヴはこれにもまた笑顔で頷く、チンクは慎重にリボンを解き包装紙から箱の中身を取り出した。
それはチンクに良く似合う小さな靴だった、深い赤色に随分と靴底の厚いそれをチンクは息を飲んで見つめる。

「今…履いても良いか?」
「……」
グレイヴは頷くとその場に膝を付いて靴を履き替えるチンクに手を貸して手伝った。
赤い靴を履き終えたチンクは色々な角度から自分の足元を見下ろして見る、それはサイズも完璧に合ったもので外観の赤色も彼女の可愛らしさを引き立てる素晴らしい物だった。
「これは……やっぱり私には可愛すぎる…それにちょっと底が厚すぎるな」
「……」
チンクは恥じらいに頬を朱に染めるがグレイヴはそのチンクの頭を撫でる。
その時チンクはこの底の厚い靴の意味を理解した、グレイヴは初めてチンクの頭を立ったまま撫でたのだ。
「グレイヴ……もしかして…私が背の小さい事を気にしているからこの靴をくれたのか?」
「……」
グレイヴはこのチンクの質問にもまた無言で優しく微笑んで彼女の頭をそっと撫でた。

そんなグレイヴとチンクをよそにダンテはプレゼント交換をしていた者たち、隊長陣や大人連中のところにも袋を持って駆け出した。
「お~いグレイヴ~あっちにもいくぜ!! 良い子な大人連中にも幸せ分けるぞトナカイ!!」
「………」
無言で頷いたグレイヴはチンクの頭をひとしきり撫でると彼女に一言残して去って行った。
「…メリークリスマス…チンク」



アースラ内部、外を一望できる大きな窓を備えた休憩室そのある一角にメイド服を着た烈火の将が一人ベンチに腰を掛けていた。
勢いでバージルを殴り倒した彼女だが自分の行為が度を過ぎていた事を十分に理解していた。
あれは酔ったシャマルの悪戯でバージルは何も悪くは無い、だが他の女に唇を許したという事は理性でなく感情の問題で耐えれないものだった。
そこに管理局制服に身を包んだ銀髪の男が近づいて来た。
「探したぞ」
「……」
バージルの言葉にシグナムは窓の外に顔を背けてそっぽを向く、普段は理知的で冷静な彼女だがこうなったらもう手の付けようがない。

「何か用か?」
シグナムは最高に機嫌の悪そうな低い声で窓の外を眺めながら口を開く。
バージルは悠然と歩み寄り、そんな彼女の横に何事も無かったかのように座った。
「実は今、向こうでプレゼント交換会が行われていてな…」
「何だ? 物で私を釣るつもりか?」
氷のように冷たくカミソリのように鋭いシグナムの言葉、並みの男ならこれだけで逃げ出すような迫力があった。
だがバージルは並みの男でない、これでも伝説の魔剣士の息子だ。ここで引いたら親父の名が泣くと心中で自分に言い聞かせて言葉を繋げた。
「…まあ…そんな所だ」
「どんな物を渡されても簡単には許さんぞ」
相変わらずそっぽを向いたシグナムの手にバージルは手にした小さな箱を渡した。

「良かったら受け取ってくれ…」
手渡されたその小さな箱にシグナムはやっとバージルに視線を移す、“まさか”と自問しながら“もしかして”とも期待する。
だってこんな小さな箱に入って、こんな風に渡される物の想像は一つしか無かったのだから。
開かれた箱の中には小さな金属製の輪状の装飾品が鎮座していた、その指輪という装飾品の持つ意味は唯一無二。永遠の愛以外には無かった。

「俺の命の全てをお前に捧げる………だからお前の全てを俺にくれ」
真っ直ぐにシグナムに投げかけられるバージルの眼差しと言葉にシグナムは赤くなった顔を恥ずかしそうに俯けて答える。
「……そんな言い方はずるいぞ」
「知らなかったか? 俺はとても卑怯な男だ」
シグナムは今の自分の顔を見せまいと俯いてその白金で作られた指輪をそっと左手の薬指に嵌める。
その指輪はまるで最初からそうであるように完璧に合ったサイズでシグナムの白い指に嵌る。
シグナムはその胸中でこれだけはどんな事があっても絶対に手放すまいと心に誓った。
「バージル……こんな女でよければ、お前にこの一生を捧げよう」
シグナムはそう言うと静かに身体をバージルに委ねて唇を重ねた。

その光景を外に降り始めた雪の欠片だけが見ていた。



パーティー会場の隅でゴミ袋に詰められた音速丸が叫ぶ。
「ちきしょう! ちきしょううううううう!!!! 何故だあああ!! 俺はただ女達に幸せ(主にセクハラ)をプレゼントしようとしただけなのにいいいいいい!!!(若本)」
その音速丸に一緒に括られたサスケ軍団が呆れて口を開く。
「音速丸さん、それ以上叫ぶと体力消耗しますよ」
「ううううるせえええええ!!!! これが叫ばずにいられるかよおお!!! 嗚呼、何でイケメンはあんなにモテるんだよおお!!(若本)」
「きっと顔が良くて、強くて、性格が良くて、甲斐性があるからじゃないですか?」
「それじゃあサスケ!! 俺達みたいにセクハラと悪戯が大好きな野郎はモテねえってことかよおお!!(若本)」
「音速丸さん……一応、自覚はあるんですね」
「ちっきしょうううう!!! 俺にも幸せをくれええええ!! 温もりをくれええええ!!! ぶるうあああああ(若本)」
今日も丸くて黄色い珍生物の雄たけびが木霊する。


「みんな~雪っすよ~♪」
「キレイだね~」
「だな」
「うむ」
「……」
ウェンディが最初に気づきセイン・ノーヴェ・チンク・グレイヴが外を覗く。

「みてママ~ゆきだよ~」
ヴィヴィオが外の雪を見てはしゃぎだしてなのはの手を握る。
そんな少女達の言葉と共に外に降り出した雪の情景をパーティーに集まった全員が見とれる。


今夜は聖夜、全ての者に幸せを。

メリー・クリスマス。

終幕。



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最終更新:2008年04月29日 02:45