久しぶりの遺跡発掘作業。ユーノ・スクライアはとある辺境世界に来ていた。
そして草木も眠る深夜、僅かな気配と、遠雷のように響くドラムの音に目を覚ます。
眼前に広がるのは無数の骸骨の群れ。恐らく何者かに操られているのだろう。その動きに乱れは無い。
観察を続けているうちに、一人?だけ動きが違うものがいた。よく見れば他の骸骨は眼が赤いのに対し、彼?だけは眼が青い。
もしかしたらこの事態を解決する糸口になるかもしれない。そう判断を下し、彼を救出するためにユーノは飛び出した。
なんとか追っ手を振り切り、まずは一息。
「ああもう、鳥肌たっちゃうよ」
「君、肌無いじゃん……」
「まあそれはおいといて……お礼がまだだったね。有難う。あー……」
「ユーノ・スクライア。ユーノでいいよ」
「OK。僕の事はミスター・ボーンズと呼んでくれ」
これが彼らのファーストコンタクト。
「何処からかイカした音が聞こえる」
「あれはギターの音だね」
「つまり誰かいるって事かい? 丁度いい。骨休めさせてもらおうぜ」
辿り着いたのは一軒の民家。そこには一人の盲目の男性がギターを弾いていた。
「お前達、ダ・ゴーリアンの手先か?」
「「ダ・ゴーリアン?」」
「ドラムを叩いてる奴さ」
「あー……」「そうそう」「「困ってます」」
「だったらそのギターは持って行きな。役に立つはずだ」
その後も二人の冒険(珍道中)は続く。
丸太に追いかけられ、
「ヒャッホーーイ!」
「結構余裕だね……」
異次元に飛ばされ、女性の幽霊を説得し、
「それでも、奴を止めなきゃいけない事は解るんだ。行かせてくれるかい?」
(ここじゃ僕何もしてないなー。あ、骨と幽霊のカップルって珍しいかも)
川の中を流されて、ひびの入った氷の上を走りぬけ、
「アッ────!」
「あ、落ちた。いや僕は飛べるからいいんだけどね」
小人達を助けながら辿り着いたダ・ゴーリアンの城。
だが当然親玉の下へ行くにはまだ数々の障害が待ち受けている訳で。
「ねえ知ってる? 隣の空き地に囲いが出来たってね~」
「へえ~。かっこいい」
「HAHAHA。OKユーノ。君も解ってきたじゃないか」
……ホントに障害?
ダ・ゴーリアンの元へようやく辿り着いた二人。
「何百年も時間をかけて準備してきたというのに、貴様らのような雑魚に邪魔されるとは……」
「雑魚?」「僕達が?」
「しかしそれもここで終わりにしてやろう!」
そう叫ぶやいなや荒々しくドラムを叩くダ・ゴーリアン。今まではその支配を逃れていたミスター・ボーンズも至近距離での攻勢には耐えられないのか、徐々に瞳が赤く染まってゆく。
「このままじゃ駄目だ。何とかしないと……そうだ!!」
楽器なんて弾いた事は無い。今から自分が奏でる音はきっと聞けたものじゃないだろう。
それでも、たとえ拙い音でも、そこに魂があるのなら届く筈だと信じて。
ギターの音をBGMに、ユーノの叫びが響く。
「思い出すんだミスターボーンズ! 君の魂を!!」
最終更新:2008年01月22日 19:47