昭和18年4月18日 ブーゲンビル島上空

「「ガッガッガッガッガッ」」 一式陸攻尾部の20粍機関砲が襲いかかるP-38に懸命に弾幕を張っていた。
『振り切れるか・・・』
突然、エンジンセナルに被弾を為、提督に一発の銃弾が命中為たのはその時である。ここで、意識は途絶えた。
高野が目覚めたのは日本海海戦の巡洋艦日進の医務室であった。
『何故だ、私は前線視察で陸攻機に乗り、敵機の銃撃を受けたはずだ。』
そして、それは時を重ねるごとに事実と知り、悲劇と破滅に向かった日本をよりよい道に導くのだと決意した。
独ソ不可侵条約を締結して、一週間ばかりかたった後、突然、一人の男から是非会ってみたいとの電話を受けた。
その男とは、大高弥三郎と言い、陸軍の中では明瞭で高野と同じ避戦を主張をしている人物だと訊いていた。
高野自身面白い人だと思っており、何時か話してみょうと思っていたのである。
電話から数日後、海軍省を出た高野五十六は、外に待たせていた車に乗り、神楽坂に在る料亭翠屋へと急いだ。
車は、料亭に着き、高野は運転手に遅くなる旨を伝え先に戻らせ、料亭に入った。
この料亭翠屋は、数年程前に料亭愛花から独立した店で、腕の立つ板前と美人女将とその三兄妹で有名な店である。
出迎えた女将と若女将、末妹のなのはから、連れが既に着いている旨を聞き、なのはに個室に案内された。
これが、後の世界を変える二人の名将と現代から転生した少女の出会いだった。

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最終更新:2008年01月25日 21:56