それは、小さな願いでした。
望んだのは静かな日々。待っていたのは遠く離れた大切な友達との再開。

……だけど、訪れたのは突然の襲撃者。
出会い、戦い、大きな力……。
運命が、今静かに動き初めて
嵐の中での、心を繋げた絆を信じて……

宇宙の騎士リリカルなのはBLADE……
始まります。

いつも通りの静かな夜だった。
美しい月を映す水面は、優しい風に吹かれて静かに波を立てる。そんな静かな夜の出来事……
「あはは、そっか……そうだったんだぁ」
ここはバニングス邸。
家の中から少女の声が聞こえる。
声の主はアリサ・バニングス。今は友達のすずかと電話中だ。
「……でも、フェイトに会えるのちょっと楽しみよね」
『でも私達でもこんなに楽しみなんだから、フェイトちゃんとの思い出が
たくさんあるなのはちゃんは、もっともっと楽しみなんだろうね』
電話の相手、すずかもうんと頷きながら言う。
「フェイトがこっちに来るって聞いて、なのは本当に嬉しそうだったもんね~」
アリサは言いながら、机に並べたフェイトや自分達の写真を眺める。
「フェイトのお迎えイベント、今のうちから考えておこうか!」
そこでアリサは「いいこと思い付いた!」といった感じに立ち上がる。
『いいね~』
「うん。パーっとやろ~」
『誰のお家でやる?』
「喫茶翠屋とか♪」
アリサは笑いながら提案した。


第2話「赤い戦慄エビル」


「民間人への魔法攻撃……軽犯罪では済まない罪だ」
「何だテメェ?管理局の魔導師か?」
バルディッシュを向けられたヴィータが、フェイトに質問する。
「時空管理局嘱託魔導師……フェイト・テスタロッサ。」
フェイトはヴィータのそばにいる白い魔神……ブレードを気にしながらも名乗る。
「抵抗しなければ、弁護の機会がキミにはある。同意するなら、武装を解除して……」
「誰がするかよっ!」
だがフェイトの説明を聞かずに一気に後退し、ビルから飛び出すヴィータ。
「逃がすか!」
それを見たブレードはすぐに後を追うようにビルを飛び出す。
「あ……ちょっと!」
フェイトは飛び出していったブレードに声を掛けようとするが、凄まじい速度で飛んでいったためにそれを断念。
そこでフェイトは一瞬なのはを見て……
「ユーノ、なのはを頼むよ!」
「うん!」
フェイトもブレードの後に続くため、ビルから飛び出した。

「ユーノくん……」
「うん。」
ユーノはなのはに右手を当て、治療しながらこれまでの経緯を説明する。
フェイトの裁判が終わり、なのはに連絡をとろうとするも失敗。さらに海鳴市に張られた結界を観測し、今に至る、と。
「そっか。……ごめんね。ありがとう……」
「あれは誰?なんでなのはを?」
礼を言うなのはに、今一番の謎を聞くため核心に迫るユーノ。
「わかんない……急に襲ってきたの……」
なのはも少し暗い表情で呟く。いきなり襲われる覚えなど無いというのに……
「……でも、もう大丈夫。フェイトもいるし、アルフもいるから」
「……あの、白いテッカマンは……?」
大丈夫と告げるユーノに聞き返すなのは。『テッカマン』……さっきヴィータが呼んでいた名称だ。
ユーノにもテッカマンなど心当たりは無い。
「それが……僕たちにもよくわからないんだ……」
「そうなの……」
「でも、多分……」
ユーノは「多分」と言い、ビルから外を見上げた……。

「くっ!」
ガキィン!
鋭い音をたてて、ヴィータのグラーフアイゼンとブレードのテックランサーがぶつかり合う。
「なんなんだテメェは!」
「お前はラダムか!?」
ヴィータはブレードに向かって叫ぶが、ブレードがその質問に答える事は無い。
「何訳わかんねぇこと言ってんだ!」
ヴィータはグラーフアイゼンでブレードを弾き、距離を取る。
「グラーフアイゼン!」
『シュワルベフリーゲン』
そして4つの小さな鉄球をグラーフアイゼンで叩き、ブレードへと飛ばす。
ヴィータの中距離誘導型射撃魔法だ。
シュワルベフリーゲンはブレードに向かって飛んでいくが……
「ふん!」
ブレードは飛んで来た4つの鉄球すべてをたたき落とし、そのまま突っ込んで来る。
「……な!?障壁!」
『パンツァーヒンダネス』
シュワルベフリーゲンをたたき落とされた事に驚きながらも障壁を張る。
次の瞬間、ブレードのテックランサーがヴィータの障壁に衝突。
「うおぉぉおおお!!」
「(な……なんて威力だ……!このままじゃ破られちまう……!)」
明らかに押されているのはヴィータだ。テッカマンの力が予想以上に強かった。

そこへ……
「バリアァ……ブレェェェイクッ!!!」
「なに……!?」
下方向からの攻撃。アルフの放ったパンチ……バリアブレイクが、ヴィータを守る障壁に直撃。
ただでさえブレードの斬撃で破られかけていた障壁に亀裂が生じ……
障壁は大きな音をたてて破られ、消滅。

「……ンのやろぉーッ!」
怒ったヴィータはアルフの目前まで急降下、グラーフアイゼンを振り下ろす。
「ふんっ!」
「あぁっ!」
咄嗟にアルフも防御魔法を発動するが、たやすく破られ地面へと落下するアルフ。

「……!?」
アルフに攻撃し、一瞬動きが止まったヴィータ。だがすぐに右方向から飛んできた攻撃に気付く。
ヴィータは飛んできた何かを咄嗟にかわす。
「これは……テックランサーか!?」
ヴィータの横を掠めていったのはブレードが投げたテックランサーだ。
ブレードは接近しながらテックランサーを投げ、すぐにワイヤーで回収、そして再びヴィータに切り掛かった。
「答えろ!お前はラダムの手先なのか!」
「ンなこた知るかよッ!」
言いながらブレードの攻撃をかわすヴィータ。この相手の攻撃を正面から受けるのは危険だ。
それはさっきの接触で証明されている。悔しいが今はかわすしかない。


一方、アースラ。

スタッフ一同は、アースラの整備を後回しにして海鳴市の広域結界を解こうとしていた。
もちろんモニターは何も表示しようとはしない。
「(無事でいて……なのはちゃん、Dボゥイ……!)」
リンディは砂嵐を映すだけのモニターを見て冷や汗を流す。
「術式が違う……ミッドチルダ式の結界じゃないな」
「そうなんだよ……どこの魔法なんだろ?コレ……」
結界の解析完了まであと少し。
クロノとエイミィはこの「ミッドチルダ式では無い術式」に不安を感じていた……


「……ッ!?」
一方、ヴィータはアルフのバインドにより自由を奪われていた。
「終わりだね。名前と、出身世界……目的を教えてもらうよ」
フェイトはバルディッシュをつきつけながら言う。
ブレードはそんなヴィータを黙って見つめる。
「(奴はラダムとは関係無いのか……?いや……)」
近付いてくる何かの気配に気付いたブレードは、再び力強くテックランサーを握りしめた。
そしてブレードの予感は的中する……
「……なんかヤバいよ!フェイト!」
アルフもまた何かに気付き、警告するが……
「……!!」
時すでに遅し。突如現れた女がフェイトに斬り掛かってきたのだ。
咄嗟にバルディッシュで受けるが弾き飛ばされるフェイト。
ヴィータは自由を奪われながらも「……シグナム?」と女の名を口にした。
「レヴァンティン、カートリッジロード。」
シグナムと呼ばれた女は剣状のデバイス『レヴァンティン』に命令し、剣の柄から「カートリッジ」を排出させる。
そしてレヴァンティンは炎を纏い……
「紫電一閃ッ!」
『Jar』
フェイトに向かって急降下、そのままレヴァンティンを振り下ろした。
「なっ!?」
バルディッシュで受けるが、レヴァンティンの圧力に堪えられずに切断される。
そしてシグナムは再び剣を振り下ろすが……
『ディフェンサー』
切断されたバルディッシュが咄嗟に防御魔法を展開。致命傷は避けることができたが、それでも吹っ飛ぶフェイト。
そしてフェイトはユーノの付近に落下し、激しい轟音と共にビルの壁を突き破った。

「フェイトーーーッ!」
アルフは墜落したフェイトに駆け寄ろうとするが、銀髪の男に阻まれそれを断念する。
一方、シグナムもヴィータを捕縛していたバインドを破壊。
「あまり無茶はするな。我らが主が心配する」
「わぁってるよ!」
優しい口調で言うシグナムに、少し不機嫌気味に答えるヴィータ。
「それから、落とし物だ。破損は直しておいたぞ」
「……ありがと。」
シグナムはヴィータの帽子を手渡し、ヴィータもボソッと礼を言いながら受け取る。
そしてぶつかり合うアルフとザフィーラを眺めながら状況をまとめるシグナム。
「状況は……3対4。いや……」
「4対4だな!」
シグナムに割り込んでヴィータが言う。
フェイト・なのは・アルフ・ブレードvsシグナム・ヴィータ・ザフィーラ……
これならば4対3のはずだが……?
「ああ、そうだな。一対一なら、我らベルカの騎士に……」
「ふふ…」と笑いながら言うシグナム。そして……
「負けはねぇッ!!」
シグナムに続けてヴィータが言い、二人は再び戦場へと赴く。
「状況は4対4」。その意味とは……。


「(……俺が感じた気配はあの女達の物では無い。ならば……)」
シグナムもザフィーラもさっきブレードが感じた気配とは違っていた……。
つまり、まだ誰かが来るということだろう。そして……
「……ッ!!」
上空から突如として飛んできた短剣。ブレードは咄嗟にそれを弾く。
「ラムショルダー……だと?」
そしてこの武器の持ち主には心当たりがある。ブレードは「まさか……!」とラムショルダーが飛んできた方向を見上げる。
そこにいたのは、赤いテッカマン。
「久しぶりだね、兄さん……」
「エビルッ……!」
しばらく睨み合う二人。相手は赤い悪魔、『テッカマンエビル』だ。
「やはり生きていたか、エビルッ!」
「当たり前さ。兄さんとの決着をつけるまでは、死ねないよ」
嘲笑うかのように言うエビル。
「……俺もお前達を滅ぼすまでは、死なないッ!」
刹那、ブレードはエビルに急接近。二人のテックランサーがぶつかり合い、火花を散らす。
「はっきり言ってくれるじゃないか?兄さぁんッ!!」
「……っ!」
次の瞬間、ブレードはエビルのテックランサーに弾き飛ばされていた。


「……なるべく急いで帰りますから。……はい、それじゃあ。」
シャマルはシグナム達の戦闘を眺めながら主であるはやてに通信を入れる。
あまり遅くなって心配されるのもまずいのだ。
「……そう。なるべく急いで、確実に済ませます。」
シャマルはぽつりと呟き……
「クラールヴィント、導いてね」
言うが早いかシャマルの指輪……『クラールヴィント』のクリスタル部分が宙に浮く。


一方フェイトは切断されたバルディッシュをリカバリーし、再びシグナムとぶつかり合っていた。
『フォトンランサー』
バルディッシュの機械音声が術名を告げる。
「……レヴァンティン。私の甲冑を。」
『パンツァーガイスト』
フェイトの狙いに気付いたシグナムは防御魔法を発動。シグナムの体をピンクの光が包む。
実に冷静な対応だ。
「打ち抜け……ファイアッ!!」
そしてフェイトは4つの光り輝くスフィアをシグナムへと発射。
だがシグナムは全く動じない。間違いなく直撃ルートだ。しかし……
「……な!?」
「魔導師にしては悪くないセンスだ。だがベルカの騎士に一対一を挑むには……まだ足りん!」
シグナムは防御魔法、パンツァーガイストでフェイトの放ったフォトンランサーを全て弾き、再びフェイトに斬り掛かる。
カートリッジをロードし、渦巻く炎を身に纏ったレヴァンティンでだ。
「レヴァンティン!叩き斬れッ!!」
「……ッ!!」
再びフェイトは弾き飛ばされ、ビルの壁を突き破った。ビルの持ち主からすればこの上無く迷惑な話だ。

「フェイトちゃん!」
なのははユーノが張った回復・防御を兼ね備えた結界の中で叫んだ。
悔しいが今のなのはには何もできない。
ふと、別の方向を見上げると白と赤の閃光がぶつかり合っているのが目に入る。
「あれは……テッカマン?」


「俺達は双子だよなぁ!?兄さんの好きな兄弟愛はどうしたんだい!?」
言いながら突き刺すようにテックランサーを振るうエビル。
「なんの話だッ……!」
攻撃を受け、フェイトと同じようにビルの壁を突き破るブレード。
そしてエビルは追撃のために接近する。
「俺にあるのは……ラダムへの怒りと憎しみだけだッ!」
エビルがブレードのレンジに入った瞬間、背中のスラスターを噴射。エビルを蹴り飛ばす。
「……くっ!」
「うぉおおおおッ!!」
さらにエビルを追撃するブレード。お互いのテックランサーが火花を散らしながら上空へと昇っていく。


「(シンヤ……)」
シグナムはレヴァンティンにカートリッジロードさせながら一瞬エビルを見るが、再びフェイトへと目線を戻す。
「(あれだ……あの弾丸みたいなの……)」
フェイトもこの力量の差の秘密の一つがカートリッジであろうことに気付く。
「終わりか?抵抗しなければ命までは取らん」
「誰がッ……!」
シグナムの挑発に反応し、フェイトは再び立ち上がる。
「いい気迫だ。私はベルカの騎士、ヴォルケンリッターの将、シグナムだ。そして炎の魔剣、レヴァンティン……お前は?」
シグナムは興味のある相手の名前しか知ろうとはしない。そのシグナムから
名前を聞かれたということは、それなりに認められているのだろう。
「ミッドチルダの魔導師。時空管理局嘱託魔導師……フェイト・テスタロッサ。この子はバルディッシュ……」
フェイトもシグナムと同じ高度まで上昇し、自分の名を名乗る。
「テスタロッサ……それにバルディッシュか……」
シグナムはどこか気持ちの良さそうな顔で「ふふっ」と笑いながら復唱した。


「そんなものなのかい?えぇ!?兄さぁんッ!!!」
「ぐぁッ……!」
エビルはテックランサーでブレードのテックランサーを弾き、もう片方の腕に装着したラムショルダーで
ブレードの装甲を切り裂いた。それにより地面に落下するブレード。
それと同時に、ザフィーラの攻撃を受けたアルフもブレードのそばに墜落する。

「く……エビルゥッ!」
「その声……アンタまさか、Dボゥイかい!?」
エビルを見上げ唸るブレードに、犬の姿をしたアルフが問い掛ける。
「……そう言うアンタは……?」
「アルフだよ、フェイトの使い魔の……!」
お互いに相手を認識する。
「Dボゥイ、ここは一つ連携といかないかい?」
アルフはブレードに提案するが……
「断る!……奴は俺一人で倒すッ!」
「ちょ、ちょっとDボゥイ!」
ブレードはアルフの提案を拒否。再び背中のスラスターを噴射し、エビルに向かって突撃していった。
「何なんだい……まったく!」
「話は済んだようだな。」
「チッ……!」
愚痴るアルフに再び牙を剥くザフィーラ。アルフは飛び上がりそれを回避する。


なのはは結界の中でこの戦闘を見ている。
ユーノvsヴィータ。
シグナムvsフェイト。
アルフvsザフィーラ。
そして、赤と白の二人のテッカマン。
様々な色の閃光が驚異的な速度でぶつかっては離れ、ぶつかっては離れを繰り返している。
「助けなきゃ……私が皆を、助けなきゃ……」
なのははフラフラと歩き始める。すると、突然レイジングハートから桜色の翼が飛び出す。
「レイジングハート……」
『撃ってください。スターライトブレイカーを』
「そんな……無理だよ、そんな状態じゃ!」
スターライトブレイカーの発射を指示するレイジングハート。だがレイジングハートはヴィータの攻撃により
すでにボロボロで、コアには大量の亀裂まで入っている。こんな状態でスターライトブレイカーを撃つのは避けたいが……
『撃てます』
「あんな負担のかかる魔法……レイジングハートが壊れちゃうよ!」
『私はマスターを信じてます』
「…………。」
『だから私を信じてください』
なのはは考える。だが、答えはすぐに決した。
「……レイジングハートが私を信じてくれるなら……私はレイジングハートを信じるよ!」
なのははスターライトブレイカーの発射を決定し、他の皆に念話で伝える。
「フェイトちゃん、ユーノ君、アルフさん……それから、テッカマンさん!」
なのはに呼ばれたブレード以外の3人はなのはを見る。ブレードには聞こえていないのだろう。
「私が結界を壊すから、タイミングを合わせて転送を!」
なのはの正面に桜色の魔法陣が展開される。それを心配そうに見る一同。特にフェイトだが……
「なのは……大丈夫なのかい?」
「大丈夫……スターライトブレイカーで撃ち抜くから!!」
そして……
「レイジングハート!カウントを!」
『All light Count……Nine……Eight……』
レイジングハートのカウントが始まる。途中で音声が途切れそうになる。
だがそれでもレイジングハートは大丈夫だと言う。

『……Seven……Six……』

「兄さぁぁぁぁぁんッ!!!」
「エビルゥゥゥゥッ!!」
二人は何度も激しくぶつかり合う。ブレードのテックランサーがエビルを切り裂き、エビルもまたブレードを切り裂く。

『……Five……Four……』

フェイトとシグナムもまたお互いのデバイスをぶつけ合う。
レヴァンティンとバルディッシュは鋭い効果音と共に弾け合い……

『……Three……Two……』

アルフはザフィーラに頭突き攻撃。それにより吹っ飛ぶザフィーラ。
お互いに動物形態になり、二匹の獣が激しくぶつかり合う。

『……One……Zero……』
「……ッ!?」
次の瞬間、なのはの勢いは静止した。
胸から何者かの腕が伸びているのだ。愕然とする一同。もちろんなのはも含めて。
その腕は小さな桜色の光を掴んでいる。
苦しむなのはに比例し、光も小さくなっていくが……
『Count……Zero』
「……スターライト……ブレイカー……!」
それでもなのははスターライトブレイカーを発射。凄まじい威力の桜色の閃光が、
「ドゴォン!」というこれまた凄まじい轟音を響かせながら空を目掛けて駆け抜け、協力な結界をブチ破った。
まったくもって凄まじい威力だ。味方さえも恐怖を抱くという……


「結界、破れました!映像、来ます!」
アースラのモニターに映し出されるのは4人のヴォルケンリッターと、二人のテッカマン。
「何これ!?どういう状況!?」
慌てるエイミィ。
「これは……こいつら……」
続けてぽつりと呟くクロノ。
「あれは……?」
そしてリンディの目に映るのは白い魔神『テッカマンブレード』。


「結界が抜かれた……!?皆、一度散って、いつもの場所で集合!」
シャマルの声に反応し、散り始めるヴォルケンリッター。

「チッ……いいところで……!」
エビルも不服だがシャマルに従い、このエリアから離れることにする。
「待てエビル!逃げるのか!?」
ブレードは逃げようとするエビルを追撃しようと追い掛ける。
「フン……今回は見逃してやるよ。命拾いしたね、兄さん……」
「何だと……!」
「ふふ……それに、もうすぐテックセットしてから30分たつんじゃないのかい?兄さん?」
「……くっ!」
「だから今回は見逃してやるよ。……次会った時、兄さんに確実にトドメを刺してやるからさぁ……!」
エビルはそう言いながら立ち去ってゆく……。


「……あれは!?」
一方、クロノはモニターに映る映像を見て愕然とした。
それはシャマルが持っている黒い本……。
そして、それはクロノ……いや、ハラオウンの者にとって少しばかり嫌な因縁を持っていた。

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最終更新:2007年08月14日 11:41