「全力全開! スターライトブレイカー!」
レイジングハートから放たれる、眩い光の奔流。
夜空を昼と見紛うほどの閃光が、ブラボーに迫る。
メタルジャケットの武装錬金、シルバースキン。
あらゆる外部からの攻撃を防ぎ、破壊されても瞬時に再生する武装錬金に自身を持っていたが、数多の戦闘を生き抜いてきたブラボーの本能が、危険を察する。
あの攻撃は、防ぐことが出来ないかもしれない。
そう悟った瞬間、ブラボーはジャケットの懐に、手を差し込んだ。
なのはが放った、目を眩ませる光の柱が、眼前の男を包み込む。
キャプテン・ブラボーと名乗った男。
なのはの正義と、彼の正義は相容れないものだった。
戦うしかなかった。
ディバインバスターをも防いだ、シルバースキンという彼のコート。
おそらくはヴォルケンリッターの騎士甲冑に近いものなのだろう。あの防御を貫くには、自身が持つ最強の字魔法を用いるしかなかった。
そのシルバースキンも、数秒の魔力照射に耐えたが、光の中に砕け散った。
魔力光が消え、土煙が周囲を覆っていた。
浮揚魔法を調整し、地面に立つ。
「ごめんなさい。でも、私にはやらなきゃいけないことがあるから……」
気絶しているであろうブラボーへ、独り言のように呟いた。
きびすを返し、先を急ぐ。
その背に。
「謝る必要はない」
土煙の中から、男の声が応える。
驚愕し、体を強張らせるなのは。
その一瞬の隙を突き、土煙を貫いて現れる人影。
「直撃ブラボー拳!」
反応が遅れたなのはだったが、
《protection》
レイジングハートが自己の判断で、魔力障壁を展開する。
ブラボーの拳が魔力の盾に防がれる。
だが、充分な魔力を収束することの出来なかった盾は、力の篭った一撃に砕け、なのはは数メートルも吹き飛ばされた。
それでも無傷だったのは、レイジングハートのとっさの判断のおかげだろう。
転倒することだけは耐えたなのはは、攻撃してきたその男に目を向ける。
シルバースキンを纏った男は、紛れもなく、キャプテン・ブラボー。
スターライトブレイカーを受けて、無傷で立っていることが、なのはには信じられなかった。
「シルバースキン・アナザータイプ」
よく見れば、最初に見たときの姿と、少し違っている。中世の海賊のようなデザインになっている。
「シルバースキン」
ブラボーが力強く声を放つと、周囲に散っていた六角形の金属片が集まってきて、彼の体を覆う。
そして、最初に見たジャケットを形作る。
「2枚が重ねでないと、危ないところだった」
ブラボーの固い声を聞き、なのはは気持ちを引き締める。
戦いは、長引きそうだ──
最終更新:2008年01月26日 19:25