魔法少女リリカルなのは Strikers May Cry 番外編 ギャグ短編 「緊急警報」
これはJ・S事件が解決したばかりで機動六課が解散する前のちょっとした騒動の話。
暖かい陽射しが照り草木は青々と生い茂り小鳥はさえずり、今日も平和に機動六課の面々とバージルは過ごしていた。
訓練を終えたフォワードメンバーや六課隊長陣は食堂で昼食をとっている。
今日もまたヴィヴィオは好き嫌いで駄々を捏ねるかと思われたがなんとか嫌いなニンジンを完食することに成功した。
「おにいちゃ~ん、ヴィヴィオちゃんとぜんぶたべたよ♪」
「そうか」
ヴィヴィオは兄と慕うバージルに目をキラキラと輝かせて空になった皿を見せに寄って来た。
「ねえヴィヴィオえらい?」
バージルは食事中にそのような行為を行うのは行儀が悪いと言おうとしたがヴィヴィオの嬉しそうな様子に溜息を漏らしながらも褒めてやることにした。
「そうだな、偉いぞヴィヴィオ」
バージルはそう言うとヴィヴィオの頭を軽く撫でてやった、だがその行為は六課メンバーに大きな衝撃を与える。
何故ならばバージルが六課に戻ってきて性格がある程度丸くなったのは知られていたが、ヴィヴィオを家族認定したことはなのはとシグナムくらいしか知らなかったのだ。
未だにバージル=ツンツンというイメージが固定されていた以上、彼らの衝撃は計り知れないものであった。
その光景にフルフルと震えながら、目を丸くしたはやてが口を開く。
「デレや…」
「どうした八神?」
バージルがはやての異様な様子に不思議そうな顔で質問を投げかけたが、はやてはくるりとシャーリーに向き直りながら叫んだ。
「シャーリー!! デレや、バージルさんがデレ期に入ったでえええええ!!! 緊急警報発動やああああああああ!!!!!」
「りょ、了解!」
シャーリーの返事と共に聞いた事のない警報が六課内に鳴り響く。
『緊急警報。緊急警報。バージルさんがデレ期に入りました。繰り返します…』
その警報と共にさらに絶賛ハイテンション中のはやてが大声を張り上げて叫ぶ。
「みんなああああ!!! バージルさんがデレ期に入ったでええええ!!!! 今なら無理そうなお願いでも聞いてくれる(たぶん)。 なんか今の内に言っとくんや!!」
そのはやてが発した魂の叫びにフォワードメンバーが馳せ参じ、バージルの前に並ぶ。
「それじゃあバージルさん、是非私のお兄ちゃんになってください!」
「えっと…それじゃあ私もスバルみたいに今度、個人練習をお願いします」
「僕も個人的に稽古をお願いします。バージルさんの太刀筋をもっと知りたいんです」
「私はできればエリ…げふんげふん。ある男の子の好みをそれとなく聞いて欲しいです!」
さっそくスバル・ティアナ・エリオ・キャロがそれぞれにお願いを口にする。バージルが呆れる暇もなくドカドカと音を立てて他の六課メンバーも食堂に現われた。
「バージルの旦那、実は今度の日曜に合コンがあるんですが一緒に来てください! イケメン連れてくって女の子に言っちゃったんっすよ」
ヴァイスが浅ましい頼みを言いながら頭を下げる。
「とにかく私の彼氏になってください! もういい加減に“行き遅れ”とか“彼氏いない暦300年”とか言われたくないんです! それがダメなら出したり入れたりな淫らな行為だけでも可!!」
シャマル……あまり直球で本音をぶちまけるな。
さらに集まった六課の人間は次々とメチャクチャな事を口走っていく。
バージルは次々と襲い掛かる六課メンバーの猛攻に唖然して言葉を失うが、そこに最大の爆弾が落ちる。
「それじゃあヴィヴィオ、おにいちゃんのおよめさんになる~」
なんと言うか全てが凍った、エターナルコフィンもかくやというくらいに空気が凍りつく。
そこで最初に再起動を果たしたのははやてであった。
「それは無理やヴィヴィオ…」
「ふえっ、どうして?」
そのはやての言葉を一同は以外に思う、はやてならこの種の発言を楽しんではやしたてると思ったからだ。
「バージルさんって最近シグナムと仲がええやろ?」
「うん」
「つまりな、バージルさんは極度の巨乳フェチやねん」
以外に常識的な事を言うと考えた一同だったが、やはり予想どうりはやてが言ったのは下ネタだった。
「きょにゅうってなに?」
「あ~、つまりバージルさんはおっぱいの大きい女の子が好きなんよ」
バージルがそのやりとりにそろそろ突っ込みを入れようとした時、服を誰かが引っ張る。
振り返るとシグナムが顔を赤らめてバージルの後ろに立っていた。
「どうした?」
「いや…そのだな…お前が、きょ、巨乳好きとは本当…なのか?」
「はっ!? シグナム…お前は何を言って…」
何やら恥じらい気味のシグナムに不可解そうな顔をするバージル、その彼にヴィヴィオがニコニコと満面の笑みを浮かべて擦り寄って来た。
「おにいちゃ~ん。ヴィヴィオもはやてさんにおっぱい、おおきくしてもらうからおよめさんにして~♪」
「その通りや! この“乳揉み魔人”と名高き八神はやての手にかかってバストサイズの大きくならん少女はおらん!! さあバージルさん遠慮なく小っちゃなお嫁さんゲットや!!!!」
「ちょっ! バージルさん不潔です! よ、幼女相手に…」
「でもなのは、愛に年齢はきっと関係ないよ。やっぱり母親なら娘の幸せを考えて…」
なんか暴走し始めるなのはとフェイト。
「なんか、モテモテだなバージル」
どういう訳かダンテがピザを食べながらハチャメチャを呈する機動六課の騒ぎを楽しそうに眺めていた。
「……何故お前がここにいる?」
「いやな、仕事が無くって暇でよ。それと借金取りの同業者から逃げて遊びに来た」
「…もう帰れ」
もう収拾不可能なくらいに加熱する事態にバージルは頭を抱えて溜息をついた。
「は~、まったく……何故いつもこうなるのだ…」
この日もまた騒がしく、そして平和な日常が機動六課で繰り広げられたとか。
終幕。
最終更新:2008年01月29日 22:38