東海コンビナート AM10:17
「ブッ潰せアイゼン!」
「Ja!」
機関部から音を立てて空薬莢が排出される
「エビはエビらしく-」
強大な魔力の込められた鉄槌を振りかざし独楽のように回転しながら降下する紅いドレス
の少女
「天麩羅ソバに入ってろ!」
通常の二倍の降下速度×三倍の回転力で叩きつけられたグラーフアイゼンは一撃でエビラ
の意識を刈り取る
「楽勝だぜ」
ぐったりと倒れ付した巨大な甲殻類の背中に降り立つヴィータ
海風に翻るスカートの奥のホワイトとスカイブルーのストライプを目撃して多機能ヘルメ
ットに内蔵されたデジタルカメラを作動させようとした防衛軍兵士の顔に鈍く輝く鉄球が
めり込む
兵士の意識はディラックの海へと旅立った

M機関本部 PM1:24
「おっちゃんいつものやつ!」
「はいよBランチ特盛り」
セルフサービスの食堂でお気に入りのメニューを注文するヴィータ
「このいかにも安い油で揚げましたっていうハムカツのやさぐれっぷりとレトルト感全開
のカレーソースの醸し出す微妙な貧乏臭さがいいんだなあ」
何気にB級グルメになっている
「今日は大活躍だったな、こいつは俺の奢りだ」
大塚明雄声のキッチンでは無敵の男がオカズの皿にウズラの卵の串揚げを追加する
「ちくしょうグッジョブだぜ高峰!」
ヴィータそれケーシー違いや
「なんだかなあ…」
修羅のごとき迫力でBランチをカッ食らうヴィータを眺めながら浮かない顔でうどんをす
するオザキとカザマ
「どうした不景気な面して」
ゴードン大佐は昼間からサバの味噌煮を肴にして大ジョッキを空けている
「いえねいくら得体の知れない異世界の技術を使っているといっても毎度毎度幼女に見せ
場を攫われるのは地球防衛軍のエリート集団たるM機関としてはいかがなものかと…」
「何をケツの小さい事を言ってる」
身を乗り出すゴードン大佐
「魔法少女だぞ魔法少女!しかも赤毛で三つ編みでフリフリドレスで得物がハンマーで外
形年齢10歳前後なんて完璧じゃないか!」
瞳の中に星を飛ばし玄田哲章の吹き替えで熱っぽく語るゴードン大佐
顔を引き攣らせるオザキとカザマ
(駄目だコイツ、はやくなんとかしないと…)
二人の心は一つになった

南極・エリアG PM8:31
『ブッ潰せアイゼン!』
『Ja!』
スクリーンに再生されるヴィータの戦闘記録
何故か研究主任のポストに収まっている天本教授-その正体は悪の天才科学者ドクター・
フー-は死神を思わせる顔に死人も蒼褪めるような笑みを浮かべた
「素晴しい…」

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最終更新:2008年02月22日 19:37