その日、あるべきこととしてミッドチルダ臨海空港は炎に包まれた。そして

「お父さん……お姉ちゃん……どこぉ……」

火災にとある少女が巻き込まれたのもまたあるべきことであったのだろう……ただ……
此度のそれにはイレギュラーがあった……




「誰……」

炎の中、少女は見た。二本足で確固としてその場に立つ人影を……
恐怖で一杯になった彼女は自身よりも大きいその人影に助けを求めようと掛けようとして途中で……やめた。

「え?」

見つけた当初は誰でもいいから助けてという思いの方が強く炎も揺らめいていてよく見えてなかった。
だが、少し駆け寄っただけでわかった……あれは人ではないと……
影が振り返る……それは

「イカカカ!イカんよお嬢ちゃん!こんなところにいてはね!イカカカ!」

イカだった。人影に一瞬でも見えたのは立つのに使ってる足が人間の足だったからだ。
しかも、声はおっさんなのにハイヒールをはいていた。いや、それだけじゃない
スネ毛が目に見えるほど生えている。ついでに額には4という数字。
正直生理的に受け付けたくない……関わりたくない存在だった。
呆然とする少女を尻目にイカは続けた。

「こんなところにいるイカん子には……」

イカが口をあける。あけた口には

「え?」

炎の揺らめきがあった。

「ホータルイカファイヤー!」

そしてイカの口から炎が解き放たれようとして……

バラララ

「イデデデ!」

炎が四散した……見ていた少女はわからなかったが食らったイカはそれが何か知っていた……
マシンガン……ミッドチルダでは禁止された質量兵器だ。イカはあたりを見渡し叫ぶ。

「だ、誰だ!?イカん子にお仕置きしようとする善良なイカを奇襲するイカれた奴は!?」

「イカに善良も何もないでしょ。ね、るるちん」
「うん、ららちん」

そう返事が変えてくるや否や……イカの視界は火災とは別の要因……人為的に引き起こされた爆発によって遮られた。
めぐるましく変化する状況とは反対に先ほどの少女は呆然とし続けるしかない。
と、そんな少女の後ろから声がかけられる。

「大丈夫ですか?」
「え?」

振り向くとそこには……2人の少女がいた。年は呆然としていた少女と同じくらい……2人の外見は瓜二つ……
一目で双子とわかった。それだけならいい……だが、双子はその手に銃を抱えていた。
どうみても異質だった。だが、双子は気にせず少女へと話を続ける。

「ここは危険だから」
「早く離れて。向こうならまだ大丈夫なはず」

そういうと双子は少女の背中を指し示した方向へ通した……
なぜだかわからないが少女は示された方向へと走っていた。
よくわからない物への恐怖から一刻も早く逃れたかったのかもしれない。
少女の姿が完全に見えなくなると双子は口を開いた。

「やれやれ……十二賢人とワダツミの連中もこりないね……」
「まさか、自分達の世界外にスポンサーを見つけるなんてね」
「それにしてもどうする、ららちん?」

先ほどイカを吹っ飛ばした時の会話から察するにもう一人をららちんと呼んでいたほうがもう一方のるるちんなのだろう。
るるちんはららちんへと語りかけながら先ほど吹っ飛ばした方へと目を向けた。そこには

「てめぇらあ!人が下手に出てやれば調子に乗りやがって!触手プレイにしてやる!」

イカり、もとい……怒り心頭のイカがいた。しかも無傷……いや、傷が再生していた。

「あいつ強化イカ外骨格装備みたいだよ」
「ノンノン違う違う!強化イカ外骨格など古い古い!今の俺様に装備された
強化イカ外骨格ニューZはただの強化イカ外骨格とは一味も二味も違うぜ。
むろん噛んだ時の深みも倍増だ!イカカカ!」
「これはちょっとまずいかもね……」

そう話し合う姿を見せてから表情をあまり変えなかった双子の顔には
焦りの色がほんのわずかであるが確かに浮かんでいた……
その後、鎮火した臨海空港には双子の姿もイカの姿もなかったという。
そして、あの時逃げた少女、スバル・ナカジマは管理局のエースオブエース、高町なのはに助けられ将来を志していた。
その前にあったことも忘れたくても忘れられないようなできごとであったがなぜだか不思議と記憶から薄れていった……




そして、4年後……再び、スバルとなのはの運命が交錯したときにそれも動き出す……




因縁……

それと会うのは4年前に出会ってしまったときから会った必然だったのだろう……
隊長が不在のスターズの前に現れたのは4年前、空港を炎に包んだイカだった。

「あ、あんたはあの時の……!」
「スバル、知ってんのか!?」
「え!?ヴィータ副隊長も……」
「ああ……忘れるものかよ……!」

声を押し殺しそう搾り出したヴィータの顔は憎悪に歪んでいた。

「イカーーッカッカッカッ!いよう!久しぶりだな!お嬢ちゃん!それに……え~っと!そうそう!
てっちりの騎士!ご機嫌イカが?」

呆然とするスバルと憎悪に顔を歪ませたヴィータを嘲笑するようにイカが喋る。

「……だれが河豚だ……ふざけんじゃねぇぞ……!あの時はよくも……よくもなのはを!!!」
「さあて……なんだっけ?」
「てめぇぇぇぇぇ!!!」
「イカーーッカッカッカッ!来いよ、遊んでやるぜぇ!このイカファイヤー様がなぁ!!」




燃えるクラナガン……

「あ、あのイカの化け物が……こんなに……」

空を舞い、地上を駆けるイカの怪人とブルドーザーと呼ぶには疑わしき手足が生えてロボットのような
ブルドーザー?
それがクラナガンを蹂躙する……その数はもはや計算不能。





暗躍する組織、ワダツミ

「皆さ~ん!聖王降臨及び聖王のゆりかご、進宙式!!」
「イン・ミッドチルダ!!」

赤いスーツを着たイカの覆面の男が声を上げるととそれにあわせて黒いスーツの覆面達が
声を上げる。

「長き時を経、時代に空白を挟んでの聖王の復活!」
「イッカす~!!」
「聖王が降臨し、聖王のゆりかごが軌道上に到達!2つの月の魔力を受けたとき!
聖王の魂はゆりかご内に建造したニューイカファイヤー製造プラントに吸収され、
ニューイカルスシリーズを完成に導くのであります!
さらに、たとえそうでなくともゆりかごをガジェット、我が組織の優秀なブルドーザーと共に
防衛するイカファイヤーはこのたび、イカルス計画に参加してくれたドクタースカリエッティの
技術により強化されております!
97管理外世界の核兵器も!管理局の魔力至上主義ももう時代遅れ!世界に優しいイカルスシリーズ!
さあ、まずは二千万円から!」





苦戦する六課

スバル、ティアナが相手にするのは額に8、9、11、12、13とついた5体のイカファイヤー。

「この!」
「グアアアア!」

ティアナの射撃を食らう額に12番と番号のついたイカファイヤー。

「や~ら~れ~た~!……な~んちゃって!!イカしてるだろ?」

だが、すぐに復活する……たとえ至近距離からスバルのディバインバスターを受け消し炭の状態になっても……

「……どうしたら……」



「クッ……」

スカリエッティを確保せんとするフェイトの前に立ちふさがるのは1、3、7と額に番号のついたイカファイヤー3体。
ソニックムーブを使い、一時距離をとろうとするが

「フハハハ!逃さん!許さん!イカして返さん!イカ速装置!」

イカファイヤーが加速し、距離をつめる。3番のイカファイヤーに積まれているのは加速装置。
そして、イカファイヤーの触手がフェイトを捕らえた。

「しまっ……ッ!」

イカファイヤーの触手がフェイトの体を締め付ける。

「触手プレイはイカがかな!?イカカカ!」
「クッ……」

呻くフェイト。苦しい、そして何よりヌルヌルして臭い。



「ディバインバスター!」
「シュワルベフリーゲン!」

ゆりかごを止めんと動力と玉座を目指すなのはとヴィータ。
それを阻もうとするイカファイヤーにはナンバリングがない。
それにかなりのダメージを与えれば再生せずに崩壊する……後にはイカ臭い臭いのみ。
まだ、ほかの仲間達が相手にするイカファイヤーよりはなんとかなりそうだ。
ただ……

「クッソ……!一体一体は前に倒したやつに比べりゃよえぇけど……どんだけ、いるんだよ!こいつら……
つうか、死骸が臭すぎるぞ!」
「イカカカ」

嗤うは視界を埋め尽くす無数のイカファイヤー。数が途方もなく多い。
それらすべてが2人をあざ笑うかのように笑みを浮かべながらヌルヌルした体を揺らす。

「……クッ」
(このままじゃヴィヴィオのところにたどり着けない……どうすれば……)





気づいたらイカがいた

「失礼します」

ゼストと対峙するレジアス。その様子を固唾を呑んで見守るシグナム、オーリス、アギト……
その最中に乱入してきたのは数名の局員。

「……なんのようだ?わしは忙しい」
「すぐに済みますので……中将、騎士ゼスト……死んじゃいなよ。イカカカ!」

先頭の女性局員がそういうや否や女性局員は2と額についたイカファイヤーに……
他の局員はナンバリングのないイカファイヤーへと姿を変えた。

「イカカカ!」
「貴様は……!」

驚きながらも構えるゼストとシグナム。そんな中、レジアスは呟いた。

「……これが報いということか……」





天は世界を見捨てず。

「グワベッ!?」

フェイトを追い詰めていたイカファイヤーが吹っ飛ぶ。
フェイトはイカファイヤーを吹っ飛ばした物を見る。それは

「……野球……ボール?」

転がったそれを見つめるフェイト。僅かだが放電しているのが見える。と、

「フン……おせぇぜ、イカ野郎……ハエが止まって見えるぜ」

声のした方を振り返る……そこには野球のユニフォームに身を包んだ男がいた。

「あ、あの……あなたは?」

尋ねるフェイトに男は不敵な笑みを浮かべ答えた。

「俺か?ただの会長秘書だよ。プロ野球選手になりたかったな」

「な、なんだとぉ!?」

11番のイカファイヤーの体を何かが貫く。そして、イカファイヤーが爆発する。

「な、なんなの!?」

ティアナが呆然とする中、スバルはイカファイヤーを貫いた何かを目で追っていた。
そしてそれは……

ガシャン

「愛之助よぉ……お前が俺の腕をこんなにして以来……ホントに退屈しねぇ日々だぜ……」

それは義手だった……鋭そうないかにも凶器な感じのそれは
いつの間にかスバルの後ろにいた老人とドッキングした。
これだけでも驚愕すべき事態だが事態はそれだけでは収まらない。

「グフッ…」

突如、9番のイカファイヤーの体が貫かれ呻きと共に崩れ落ちる。
崩れ落ちたイカファイヤーの後ろから現れたのは

「ギン姉!?」

地上本部襲撃の際に連れ去られたはずのスバルの姉ギンガだった。

「ギン姉!無事だったの!?」
「ごめんね、スバル。心配掛けちゃったわね」
「逃げ出せたんですか!?」
「私もよくわからないんだけど……目が覚めたときにちっちゃな双子の女の子がいて拘束を解いてくれて……」
「それはいいんですけど……ギンガさん、その腕……」

ティアナが見つめるのは高速回転しドリルのように見えるギンガの左手。

「なんか、改造されちゃった……」
「いや改造されちゃったって……」
「助けてくれた子達の話では多分管理局の技術でも元に戻せるだろうって言ってたし、
とりあえず後回しにして助けに来たんだけど……」
「さすがにそれはどうかと……」

と、老人が口を挟む。左手の義手から炎を出し加えた葉巻に火をつけながら

「なあに……腕なんて使ってるうちになれるもんさ」
「大変、説得のあるお言葉ですけど……そうホイホイと」
「やれやれ、そんくらいわかってるさ。だからよ……
おめぇらも今がそんなこと話してる場合じゃねぇのもわかってるよなあ」

老人がそういいながら細めていた目を開きギラついた瞳を見せると自然とその場の雰囲気が引き締まった。




一方、

「こんなに銃やら手榴弾やら撃ちまくれるチャンスここ逃しちゃいつ来るかわかんねぇからな……
派手にかますぞ木下!ヤクザァ!」
「上等だぁ!おまわりィ!野郎共、きっちり締めるぞ!」
「了解でさあ!若頭!」
「いや、ホントはここって拳銃とか禁止らしいんですけど、先輩も若頭も……
まあ、プルト…………持ってるそっちのお嬢さんらよりはマシだろうけど……」
「な、何のことかしら?」
「そ、そうよ!ゴスロリ仮面は地球に優しいのよ!」
(……ここ地球じゃないんだけど……)
「ともかく!私たちもやらかすわよ!ユラちゃん!」
「OK!キラちゃん!」
「お嬢!お気をつけて!」
「お嬢じゃなくてゴスロリ仮面1号、2号!そこんとこよろしく!」
「へ、へい……」
「今、自分で……」
「言ってたよなぁ……」

地上防衛部隊のところには謎の助っ人の警官2名、ヤクザ、ゴスロリ仮面1号、2号の姿があった……



そして、地上本部……
部屋でイカファイヤーが正体を現したとき小さく呟いたレジアスは

「だが!」

突如そう叫びイカファイヤーへと飛び掛った。

「父さん!」

と、オーリスがレジアスに何か放る。それはバットだった。ただし普通の物ではない。帯電していた。
それを受け取るとレジアスはそれを思いっきりイカファイヤーへ向かって振りぬいた。
2番とついた個体にはかわされてしまったが後ろに控えていたイカファイヤーが真っ二つに裂ける。
その様子に残りのイカファイヤーが後退する。

「貴様ー!そんなイカがわしいものを!」

歯噛みする2番のイカファイヤー、それを睨みつつレジアスは唖然とするゼストへと口を開く。

「ゼスト……後ですべて話す……こいつらのことも……あの時のことも…………わしが犯した罪もな……
それを聞いて許せなかったらわしのことは好きにしろ……だが、今はそのときではない……
わしはこの手で責任を取らねばならん……頼む……」
「レジアス……」
「オーリス、地上部隊にも装備をまわせ!」
「わかりました!」

オーリスが部屋にある端末を操作していく。

「!一部の部隊に既に支給されてます!それに……所属不明の人間が何人かイカファイヤーと交戦してます!」
「何?……もともとアレは97管理外世界にあったもののコピーに過ぎんが
本局の連中が簡単に手を出せるとは思えん……まあいい……それと……」

レジアスは部屋の傍らからバットをさらに2本引っ張り出すとそれをシグナムとゼストへと投げ渡した。

「そいつを使え!こいつらには専用の武装でないとあまり効かん!」
「おのれ……」

地上本部レジアスの部屋……戦いの場には不似合いなところでもイカファイヤーとの戦いが幕をあけた。




「おおおりゃああああ!!!」

そんな掛け声と共にブーメランのようなものが飛来し一気に数体のイカファイヤーを切り裂いた。
ヴィータ、なのはをもってしても片付けるのにそれなりの労力を要したそれをだ。
さらに

「ほらほら!ぼさっとしてると巻き込むわよ!!」

バラララ

マシンガンを乱射する音がその場を切り裂いた。
マシンガンが着弾したイカファイヤーは苦しんだかと思うと溶けていきイカ臭いを放つだけになった。
なのはとヴィータが銃撃が放たれた方向を見るとそこにはマシンガンを2丁持った少女と
その少女と同じ顔の……おそらく双子だろう……ゴルフのクラブケースのようなものを背中に背負った少女、
さらに先ほどブーメランだと思ったもの……帯電した金属バットをキャッチしている男がいた。

「あ、あなた達は!?」
「あ、どうも……自分こういうもので……」

尋ねるなのはに男は名刺を差し出した。名刺に書いてあったのは

「双葉探偵事務所所長双葉恋太郎?」
「うぃっす。よろしくお願いしま~す」
「助手の白鐘沙羅で~す」
「同じく助手の双樹で~す」

ノリのいい挨拶をする双子だがなのは達が聞きたいのはそういうことではない。

「じゃなくて!どうして探偵なんかがこんなところにいるんだよ!?」
「変な小学生くらいのデイジーチェーン・ソーとかいう双子に依頼されたの」

完結に答える沙羅。

「はぁ?」
「まあ、ワダツミが絡んでるみたいだし……ワダツミの亡霊がさ迷ってる以上、おとなしくニコタマで
眠っていられんのでなというノリもあるんすけどね……」
「他のみんなにもばれちゃってついてきちゃったのは失敗よね」
「ちなみにソーはチェーンソーのソーで通った後はズタズタとのこと」
「だぁ~!わけわかんねぇ!」
「えっと……とりあえず……」

おずおずといった感じで双樹が歩み寄って2人に何か差し出す。

「それを……えっと……デバイスとか何とかに組み込んでください……あのイカを倒せるようになるらしいです……
なんか燃費が悪くなるとかも聞いてますけど……」
「なんだと!?マジか!?」
「いや、あたしらも渡しとけと依頼されただけだし知らないというか、この世界に面食らってるんだけどね」
「この世界ってことは……まあいいや……ものは試しだ……」

ヴィータは渡された物をグラーフアイゼンへと組み込む。そして、組み込むと試しうちとばかりに
手近なイカファイヤーに攻撃を叩き込んだ。攻撃を受けたイカファイヤーは刃物でもないのに
攻撃を受けた部分から体が真っ二つに裂けた。

「おお~!こいつぁ」

効き目があるのを確認しなのはも遅れてそれを組み込む。

「正直いろいろと疑問だけどこう囲まれてちゃゆっくり話もできないし、急いで片付けようか」

そういうなのはに恋太郎と沙羅が待ったを掛ける。

「いや」
「事情は聞いてるよ。ここはあたし達に任せて先にいきなよ」
「え?でも……」

確かになのはは早く行きたい。行って自分をママと呼んでくれる少女ヴィヴィオを一刻も早く助けたい。
だが私情を優先するわけにはいかないという思いがそれを制止する。
と、恋太郎が口を開く……

「今のあんたの顔、結婚式ぶっ壊しにドイツに不法入国する前のしょげてた俺の顔にそっくりだ。
んで、そんな顔をしてた経験者からのアドバイス!そういう時はな……全力でやりたいことやってみろ!」
「でも……」

まだ、渋るなのはにヴィータも口を挟む。

「いいじゃねぇか……そいつの言うとおりにバカやってみても……
それにあたしもここ最近副隊長だの階級だの余計な肩書きついちまってバカやれねぇで
ストレス溜まってたんだ!久々にバカやらせてもらうぜ!
それにさ……そういうバカはもともとおめぇの得意分野だろうが!」
「なるほどね……ならば、なおのこと!さっさと行ったらどうっすか?バカの大将」
「バカの大将は恋太郎でしょ」
「うっせ!一度言ってみたいかったんだよ!」
「んじゃ恋太郎はバカの大元帥ってとこで……」
「お前な……」
「「「ははは!」」」

沙羅、双樹、ヴィータが笑う。

「あ~もう!」

その様子になのはがあきれた表情を浮かべているのに気づくと恋太郎たちは態度を改め……

「ともかく!たまには無茶するのもいいんじゃね?ってことっす!」

最後に恋太郎がそう締めた。その様子になのはは苦笑し……

「そうだね……じゃあ、ヴィータちゃん、双葉さん、白鐘さん、この場はお願いします!」
「「おう!」」
「はい!」
「任しときなさい!」

威勢のいい返事を聞くとなのはは口元に笑みを浮かべ……彼らの援護をバックにゆりかごの奥へと飛び立った。

「んじゃまあ」
「暴れるとすっか」
「賛成!」
「やっちゃえ~!」





宴は終わらない

「!?爆発!?プログラムは止めたのに……」

スカリエッティを捕らえたフェイトだが突如ゆりかごが不自然にゆれ、音が響いたことで
爆発が起こったことに気づき動揺する。

「フハハハ!やはり君は感情的になると周りが見えなくなるようだ……
未だに私が私一人だけで事を運んでいると思ってたね?」
「どういうこと!?」
「何、私が捕まり、イカファイヤーもこのようなことになった以上長居は無用。
証拠隠滅ということだろうさ。大方、新型の自爆スイッチの実演販売も兼ねてるんだろうがね。
やれやれ……失敗したにしろ自分の功績を残すということは悪くはないとは思うんだがねぇ……
所詮ブローカーということか」
「クッ……」



そして、脱出したものたちが目にしたのは崩壊するゆりかごの中から現れた

「起動!」

内部で赤いスーツのイカ覆面がそう叫んだ瞬間それは動き出した

「なっ!?あれは……」
「あんなのありか!?」
「またかよ!」

巨大なイカ……巨大戦艦イカルスウイング……
なすすべもない地上部隊。だがそれに接近する存在があった。


オンボロ飛行機とウイングロードを駆けるバイク。
オンボロ飛行機には恋太郎、白鐘姉妹、バイクにはティアナ、スバル、なのはが乗っている。
それらが、イカルスウイングへと向かう。

「しゃらくさい!」

内部でワダツミのボスが嘲笑する。
それに呼応するかのようにイカルスウイングは戦艦にあるまじき触手とミサイルで迎撃する。
オンボロ飛行機はそれを軽々と交わすがバイクの方はギリギリだ。次第にバイクは追い詰められていき……

「このままじゃ……」
「ランスターさん、スーパーブーストON!」

と、沙羅が叫ぶ。反射的にティアナがそれらしきスイッチを押した。その瞬間、バイクは一気に加速する。

「え、ええ~~!?」
「豆腐屋玄さんのバイクをなめんじゃないわよ!!」
「なんで豆腐屋のバイクにこんなのついてるのよ~~!!」

ティアナ達が乗っていたのはゆりかごに突入した時のバイクではなかった。
恋太郎達の知り合いの豆腐屋玄さんのバイク(ジェット搭載)
加速したバイクとオンボロ飛行機はイカルスウイングに接近し、
2機から恋太郎、なのは、スバルが飛び出し……

「探偵キィィィック!!!」
「「ディバイィィィィン……バスタァァァァァァ!!!」」

必殺の一撃を両目に叩き込んだ。





このところいつも同じ夢を見る。
酷くでたらめな夢で異世界やら秘密結社やらイカの怪人やら複葉機やら筋道立てて説明するのはめんどくさいのだが
あえて一言で言うならそれは、たぶんそれは……



「イカについての物語だ!イカーッカッカッカッ!というわけで
イカと人間を合体させた脅威の新人類!イカルスイカファイヤーStrikerS始まるぜぇ!
イカーッカッカッカッ!!!グベッ!」
「始まってたまるか!もうイカは見たくもねぇっての!」
「同感だぜ」
「ヴィータ、今日のスパゲティはイカ墨スパやで」
「嫌だぁぁぁぁ!!」



魔法少女リリカルなのはStrikerSオルタナティブ……始まりません……

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最終更新:2008年03月20日 16:05