リリカルブレイブサーガ ライバル編 宿命のハンター



「確保してもらいたいのはこのロストロギアだ。やってくれるな?」

老人の声が響き、それに若い男の声が返ってくる。

「いいだろう、やってやる」
「デバイスにはこいつを使え、名はソニックじゃ」

老人は男に待機中のデバイスを手渡した。

「フン……タイプは?」
「強いて言うなら基本構造に利用したユニゾンじゃな」
「どういうものだ?」
「お前さんにわかりやすく説明してやれば姿を持ち使用者と融合し、
戦闘の助けをするインテリジェントといったところか……
まあ、暴走すればメインとなるのが逆転するという欠点があっての。じゃがこいつはそれを逆利用しておる。
人格のための姿こそあるもののデバイスの意志……人格を持っておらん。
ゆえに本来のユニゾンデバイスのように主従の逆転など発生せん。
まあ、それは些細なことで、こいつの真価は判断の主導権は使用者、
体はデバイスに与えた人ならざる姿の方を使用することによりその戦闘力を極限まで高めることに成功しておる。
さらにボディには変形機能もある。流石は天才科学者であるこのワシ、ウォルフガングといったところか。
だというのに表の管理局の連中ときたら武装が質量兵装は駄目だとか硬いことをいいおってからに……」
「もういい」

老人、ウォルフガングの技術者ゆえの長ったらしい話に辟易したのか男はきびすを返し立ち去ろうとする。
老人は慌てて待ったを駆ける。

「まて!まだ他の機能や武装の説明がまだすんでおらんぞ!」
「自分で使って試す」

そう返すと男は今度こそそこを後にした。

「やれやれ、話は最後まで聞かんか……人格を持たんせいで本来のユニゾンほどサポートは期待できず
実力のないやつじゃ振り回されるという欠点があるんじゃがな……まあ、あいつなら大丈夫じゃろ」



そこを出た男は受け取ったデバイスを起動させ、性能を確かめる。

「悪くない。こいつの名前は飛龍だ」



その日、フェイト・T・ハラオウンはある世界でのロストロギア捜索と回収を命じられ、
その世界へ情報収集に赴いていたのだが

「よう、姉ちゃん。俺といいことしようぜ」
「おいおい、抜け駆けすんなよ」
「そうだぜ」
「あの……私そういうのは……」

言い寄られていた。先ほどから断り続けているが彼らは全然聞いてないようだ。
むしろいつ力に訴えてきてもおかしくない。彼女は管理局の執務官でこんなやつらに遅れをとるような実力ではない。
魔法による高速移動で逃げてもいいし、いざとなれば力には力を持ってでもいい。
だが、現在彼女がいたのは繁華街。人の目もある中でそういうことをすると目立ってしまう。
しかたなく、彼女は路地裏へと走り出す。追ってくる男達。
路地裏なら逃げようが迎撃しようがあまり人目もあるまい。そう考えて彼女は路地裏を目指した。
が、入った路地裏には待ち受けるように別の男達がいた。
一瞬判断に迷ったフェイトを彼らは鴨がネギしょってきたとばかりに拘束する。
さらに追ってきた男達も追いついてきた。
こうなるとしかたないかと思いフェイトは相応の対処をしようと考えたときだった。

「薔薇の花言葉を知ってるか?」

言葉のしたほうを向くといつからいたのか壁に寄りかかっている青年がいた。
青年の問いに首をかしげる男達。青年はそれを鼻で笑うと先ほどの問いの答えを言う。

「馬鹿は死ななきゃ治らない。だ」

その言葉を聞いて激昂した男達が青年に襲い掛かる。だが、青年は表情一つ変えず男達を返り討ちにする。
魔法を使った戦闘でさえなくただの喧嘩であったがそれでおいても青年の動きには無駄がなく
フェイトは戦慄を覚えた。逃げていく男達。それを見送ると青年は踵を返し立ち去ろうとする。

「あの!」

フェイトの声に青年の歩みが止まる。

「なんだ?」
「助けてくれてありがとうございます」
「気にするな」

歩き始めようとする青年。

「あの!私、フェイト・T・ハラオウンといいます!……あなたは?」
「……雷張ジョーだ」

フェイトの問いに青年は再度歩みを止め短く答えを返すと再び歩き出した。
フェイトはその青年の後姿を見送っていた。



翌日……フェイトはあっさり目標のロストロギアを発見、確保しようとしていた。
だが、突如補佐のシャーリーから報告が入る。

「フェイトさん!何かがこちらに接近してきます!」

その言葉に確保を中断。アンノウンが接近する方向へと構えるフェイト。
身構える彼女の前に現れたのは……

「これは一体……」

フェイトの前に現れたものを形容するのは彼女の反応と裏腹に容易い。それは赤い色をしたジェット機だった。
ただサイズがおかしい。がたいのいい人間を2回り大きくした程度のサイズしかない。
一瞬、数年前から頻繁に交戦しているガジェットの類かと思ったが見た目が違いすぎる。
そんなものがフェイトの前に滞空していた。と、それから声が発せられた。

「お前は昨日の……フ……ただの無用心な女ではなかったか」
「え?」

と、ジェット機が変形する。ジェット機はいかにも機械的な変形だ。
そしてジェット機は人型へと姿を変えた。
状況の飲み込めないフェイト。少なくとも昨日出会ったなかにこんな奇妙な存在はいない。
と、それに気づいたのかわずかにそれは表情を変え

「この姿ではわからないか」

そして

「え?」

昨夜出あった青年、雷張ジョーへと姿を変えた。だが、フェイトが自身だということを確認したと判断すると
再び姿をロボットのような姿へと変えた。

「ジョー!?あなたは一体?」
「この姿なら別になんでもない。デバイスによるものだ」
「デバイス……そんなデバイスがあるなんて……」
「そして……」
「え?」

銃口がフェイトに向けられた。

「俺はそいつを確保するよう頼まれた」

そう言ってジョーは引き金を引き戦いが始まった。

互いの武器がぶつかり合う三節棍と戦斧、トンファーと鎌、槍と大剣……
勝負は互角に見えた……最初こそは……だが、次第に、次第に、フェイトが押されていた。
理由は2つまず身体能力。男女であることの差を考慮に入れても異常だ。
ウォルフガングが設計したデバイスのコンセプト、人ならざる姿ゆえのものだろう。
一発でも打ち合うとかなり手がしびれるほどのパワーがあった。そして、単純に戦い方がうまい。
昨夜の喧嘩の時とは比べ物にならない。こちらの攻撃が防がれても向こうの攻撃を食らってしまう。
無論、ただこちらが劣っているわけではない。速さではこちらが上だし、向こうは中距離であまり攻撃をしてこない。
してきたとしてもあまり強力ではない。もっとも、強力な攻撃がないわけでもない。
たまにこちらを一気に撃破しようと使おうとしてくるライフル……防がずに阻むかかわしている
それの威力は自身の砲撃より確実に上だ。
だが、それ以外でも中距離で注意すべきことはある。
射撃の正確さは親友と同レベル。これだけでも装甲の薄い自分には厄介なのにさらに撃つまでの動作も短い。
速さをもって倒そうとしても冷静に対処してくる。中距離も射撃を行いながらより得意な接近戦に戻そうとしてくる。
弱点があって対処のしかたがわかっていてもそれが意味を成さないほど現在のままでは実力差があるといえた。

(このままじゃ負ける……こうなったらライオットで一気に)

そう思ったときだった。突如、ジョーが離れた。どこかと連絡を取ってるようだ。そして、

「邪魔が入ったか」

そう呟いた。

「今回はお預けにしてやる。だが、覚えておけ、フェイト・T・ハラオウン。俺は一度狙った獲物は逃がさん」

そういい残すとジョーは姿をジェットに変形させ去っていった。

「雷張ジョー……」

あっさり去ったジョーの様子に放心するフェイト。だが、シャーリーより
ガジェット接近の連絡が入るとロストロギア防衛のため再び戦闘体制に入ったのだった。



「見つかりましたよ、フェイトさん。雷張ジョーについての資料」

本局内でそう言いながらフェイトに走りよるシャーリー。フェイトに資料を渡すと
資料に書いてあった大まかな内容を口に出す。

「本名宍戸ジョー。元本局航空隊の魔導師です。かなりの腕前で通称エースのジョー。ある日をさかいに本局を脱走。
その後は傭兵として合法非合法を問わず働き、管理局からは脱走のほかに度重なる執行妨害等から手配されてます。
現在は技術方面での次元犯罪者ウォルフガングと繋がっているとされ、スカリエッティとの繋がりも疑われています」
「本局の……そんな人が何故?」
「詳しくはわかりませんが彼の父であり本局の技術者だった宍戸英二博士が
彼が脱走する以前に何者かに暗殺されています。犯人は依然不明。
それと同僚の方からの聴取から推測するに仇討ちが目的のようです」
「そう……」

この後、2人は何度もぶつかり合うことになる。



「ジョー、今回で終わりにさせてもらいます」

既にぶつかり合った回数が2桁へと達してからフェイトは宣言した。
そしてフェイトは己の本気、真ソニックとライオットザンバーを起動した。

「面白い」

全力でせめぎあう2人……そして勝利の女神が微笑んだのは……



「負けたか……やはり先天的な保有魔力だけはいかんともしがたいか……さて、どうするか……」

負けたと認識しながらも思案し呟くジョーの前にウォルフガングと紫色の髪の白衣の若い男が現れる。

「ジョー、レジアスが本格的に動くようじゃ。わしはミッドのアジトへと移る。一緒に来てもらうぞ」
「断る。俺は忙しい」
「おやおや、いいのかね?君が執着する相手も今度からミッド勤めだというのにね。
デバイスも博士が新しいものを用意している。正直、機首のドリルは取ったほうがいいと思うがね……」
「フン……若造が……いっとるがいい」
「……いいだろう。話を聞いてやる」



フェイトが自分の指揮する部隊のエリオとキャロ、親友のなのはの指揮する部隊のスバルとティアナに
レリックの回収を任せ自身は車両へと接近するガジェットをあらかた片付けた時だった。

「ライトニング1!新たに接近する機影が!数は1!すごいスピードです!」

どこか既視感を覚える報告だと心のどこかで思いながら構えるフェイト。
そして、自分の目に入ってきたのも既視感を覚える物だった。人間より少し大きい程度のジェット機。
メインカラーは赤ではなく漆黒。それは人型へと変形する。フェイトはそれが何者か確信し叫んだ。

「エースのジョー……!生きていたの!」
「非殺傷設定なんてふざけた物で倒しておいて随分な台詞だな。借りは返させて貰う!」

語尾を荒くしながらジョーは今の体、デバイス轟龍の拳を振り上げた。



「どうした?前の方がもっと強かったぞ」
「ッ……」

地に叩きつけられ呻くフェイト。力の差は圧倒的だった。

「……リミッター付きじゃ勝負にならない……」

悔しそうに事実を声に出すフェイト。

「なるほどそういうことか……」

と、ジョーは滞空している位置をずらす。すると先ほどまでいた位置を桜色の砲撃が通過した。砲撃のしたほうを向く。

「フェイトちゃん!」

目にしたのはこちらへと接近する女性。それを確認するとジョーは再びフェイトのほうを向き口を開いた。

「次までにはその余計な物は取り払っておけ。次は手加減しない」

そういうとジョーはジェット形態へと姿を変えその場を去っていった。



休暇を与えた新人達によって発見された2つのレリック。すでに確保された1つの防衛を行っているフェイトの前に
再び現れるジョー。今度はリミッターを外し応戦するフェイト。
リミッターをつけながらもジョーが新たなデバイスによりさらに手ごわくなったことを感じていたフェイトは
再びより強くなるための修練を行っていた。
その甲斐あって勝負は拮抗する。振り上げられる豪腕、振り抜かれる刃。それが交錯する。
そして、勝負が佳境に入り互いに機を見て一撃で決めようとしていた時だった。ジョーに通信が入る。

「邪魔をするな!ウォルフガング!」
「すまんな、取り込んでる時にの……ちと知らせたいことがあっての」
「……なんだ?」
「宍戸博士を直接殺した犯人自体の消息はわからんかったがそれを命じた人物の当たりがついての」
「なんだと!?」

ウォルフガングがデータを転送するジョーの目に映ったのは……

「スカリエッティ!」

今、ウォルフガングと同じく自身を雇っている男だった。
フェイトの動きもジョーのただならぬ様子とその呟きによって止まる。
動揺を押し殺しながらもジョーはウォルフガングに問いかける。

「……なぜこれを俺に?」
「わしは宍戸博士を同じ科学者として尊敬しておっての。
それにわしはスカリエッティが気に食わん!
同業者を欺くのは科学者としてある種当然のことじゃ。じゃが、やつはやりすぎた。
シシド博士、お前が狙っているフェイト・テスタロッサの母でもあるテスタロッサ博士……
その他にもやつに利用された技術者は数え切れん。
先ほどチェックしたらわしのデータベースにも最近侵入していたようじゃ。
やつは自分以外の技術者をなんとも思っておらん!口では惜しい人をなくしたなどというだろうが
同じ科学者のわしの目は誤魔化せん!あんなやつが科学者であるなど看過できるものか!科学者を舐めるな!
そのようなやつとこれ以上一緒に仕事するなんてわしのプライドが許さん!」
「なるほどな……」
「それに……わしはお前さんのことは嫌いではないんでな」
「……そうか」

ウォルフガングの言葉を聞き終わるとジョーはフェイトへと背を向けた。

「ジョー!?」

らしくない様子のジョーにフェイトは声を上げた。

「先に倒す敵が出来た。勝負はお預けだ。
……フェイト・T・ハラオウン、一つ教えてやる。その敵はお前が追っているのと同じ……
そして今回の事件の犯人でもあるジェイル・スカリエッティだ」

そう言い残すとジョーはその場を立ち去った。



「ジョー……じゃない!?」

襲撃された地上本部公開意見陳述会。その中でフェイトの前に現れたのは色が緑色の轟龍と同じタイプの敵2体。

「あのような男に与えられた試作型と同じと思われるとは心外です」
「このアトラスMK-Ⅱはドクターが改良なさった完成型。まして、」

敵の姿が変わる。現れたのはショートカットの女性とロングヘアーの少女。

「我々は戦闘機人……あのような男などと一緒にして欲しくありませんね。抵抗は無意味です」

再び轟龍と同じ姿をとる。

「フェイトお嬢様、我々と一緒に来ていただきます」
「クッ……」
(こいつらの言ってることが本当ならまずい……)

内心焦るフェイト。と、そこに現れる轟龍。

「ジョー!」
「雷張ジョー、今まで何をやっていた?いや、それより今さらなにをしに来た?」
「フェイトお嬢様は我々がドクターのところへお連れする。今さら勝負などといって邪魔する気ではあるまいな」
「だったら?」
「フン……だとしても、プロトタイプで戦闘機人でもないお前では相手にもならんだろうがな」

ショートカットの女性だった方がそういい終わった瞬間。ジョーは彼女に豪腕を見舞う。

「ッ!貴様!」
「舐めるな!体とデバイスの性能に頼ってばかりで俺を倒そうなどと寝言は寝て言え!」

叫ぶジョー。フェイトがその横に着く。

「ジョー、助けてくれるの!?」
「フ……こんなやつらに倒されてもらっては困るからな」

その言葉にフェイトはきょとんとするがすぐに苦笑を浮かべた。

「そうだね」

共同戦線をはったジョーとフェイトは戦闘機人2人に善戦。2人を退けるのに成功した。



「調子に乗るな、スカリエッティ!」

浮上する聖王のゆりかご。管理局の出撃体制の整いきらないなか、単身それに接近する存在があった。
轟龍の姿を身に纏ったジョー。

「スカリエッティめ!親父の仇は必ず取る!」

ジョーはジェット形態のままゆりかごから既に出撃しているガジェットに攻撃を仕掛ける。
ゆりかご内でスカリエッティがモニターに映るその姿を見る。

「愚かだね。エースのジョー。今さら轟龍だけで何ができるというんだね?」

そう呟きながらスカリエッティはウーノへと指示を出す。
指示を出されたウーノが端末を操作すると

「出てきやがったな!」

ジョーがいる側のゆりかごの射出口から大量のガジェットが出撃する。

「雑魚どもが!」

即座に人型に変形、迎撃を開始する。有線式のロケットパンチ、ミサイル、ビームライフル等でガジェットを撃ち落とすが
1機倒すよりもはやく2機3機とゆりかごから出撃してくる。

「クソッ!数だけの連中が!」

それでも善戦するジョー。だが、ガジェットたちはジョーを全包囲すると特攻攻撃を開始した。

「チィ」

なんとか接近しきる前に倒し対応する。だが、集中力が切れついにぶつかられてしまう。

「しまった!」

好機とばかりに一気にガジェットが体制を崩したジョーに迫る。
と、接近するガジェットが爆発した。

「ジョー!無事!?」
「フェイト・T・ハラオウン!借りができたか……
まあいい、危うく三途の川を渡りかけた……!」
「ジョー、今回は……」
「いいだろう……決着は親父の敵をとってからだ!」

次々とガジェットを撃破していく2人。
そしてゆりかご内部に侵入した2人を待っていたのは

「よく来たね、2人とも。歓迎しよう」
「スカリエッティ!」
「おとなしく手を挙げてもらおうか」

余裕の表情を浮かべ2人の前に立つスカリエッティ。ジョーがあえて轟龍を解除し
銃を構える。スカリエッティはそれに従い手を挙げる。

「スカリエッティ。宍戸英二という男を覚えているか?」
「はて?聞いたような名前だね。それが何だというのだね?」
「……可哀想に……名前も覚えててもらえなかったか……貴様が殺した科学者だ!」
「……ああ。忘れていたよ。古い話だね」
「俺にとっては死んでも忘れられない名前でな」
「そんなことより物騒な物はしまってくれないかね?」
「いいや、貴様には死んでもらう!宍戸英二は俺の親父の名前だ!」
「フ……君に私を殺すことなどできないと思うがね」
「なんだと!?あの世へ逝け!」

ジョーが引き金を引く。
銃弾はスカリエッティへと迫り……はじかれた。

「何!?」
「これは!?」

2人の目にするなかスカリエッティが姿を変えていく。巨大なロボットのような姿に。
ジョーも轟龍を再び起動させるがそのサイズは轟龍とは比べものにならない。

「ウォルフガング博士のものを私なりに改良してね。性能はもちろん上がってるんだが……
私は戦闘に関しては素人なのでね……その分サイズを大きくしてみたんだが……どうかね?」

愉悦に浸った声を出しながら姿を変えたスカリエッティが動き出した。



「はぁはぁ……」

スカリエッティとの直接対決が始まってからかなりの時間が過ぎた。
現在立っているのはスカリエッティとフェイトのみ……
ジョーは先ほどスカリエッティの巨体の蹴りを食らい視界から消えるほど飛んでいってしまった。
正直言って、フェイトが立っていたのは己の戦闘スタイルが高速型だったのが幸いしていた。
スカリエッティは今の姿のサイズのわりに素早かった。
自分は何とか回避できる速さだったが自分よりはバランス型に近く素早くないジョーが食らってしまうほどに……
サイズが同じならスカリエッティの動きはただの素人といえただろう。
だが、それを帳消しにできるほど今のスカリエッティの姿は大きすぎた。
攻撃を回避しながら反撃を繰り出すがスカリエッティはまったく動じた様子がない。
だが、自分はあの巨体から繰り出される攻撃を一撃でも食らえばそれだけで終わる可能性さえある。
自分はスピードがある代わりに防御は薄いのだから。胸部から発射される砲撃など食らえば痕跡も残らないだろう。
必死でスカリエッティの攻撃をかわす。が、ふと回避が1テンポ遅れた。スカリエッティは巨大な手でフェイトを握る。

「まるで等身大の玩具だね。以前はすごく欲しかったけど……直接相手にしてみるとこれか……正直がっかりだよ」
「カハッ……」

スカリエッティはフェイトを壁に叩きつけた。たまらず肺の空気を吐くフェイト。

「まあ、よく考えてみればそれも仕方ないか」

咳き込むフェイトを見ながら思案するように呟くスカリエッティ。
そんなスカリエッティを睨みつけながらなおもフェイトは立ち上がろうとする。

「やめておいたらどうだい?君じゃ私には勝てない。
君の母親が求めてやまなかったものを持ち、ある意味それそのものであるこの私にはね。」
「どういう、ことだ!?お前はいったい……」
「私はジェイル・スカリエッティ。開発コードネームはアンリミテッドデザイア。
最高評議会が生み出したアルハザードの遺児。それが私だ」
「なん、だと……!?」
「君の母親が君を生み出してくれたおかげで私の研究も随分進んだよ。けど、もう君に旨味はないな。
ちょうど、管理局員としての君にはうんざりしていたところだ。君には退場してもらうとしよう。その次は管理局自体だ」

スカリエッティは肩口から剣を取り出しそれをフェイトに振り下ろすため高く掲げる。
フェイトは自分の敗北を覚悟した。だが、スカリエッティの体に砲撃が着弾する。

「むっ」

爆発の飛んできた方向を向くスカリエッティ。そこには

「スカリエッティ!!親父の仇だぁぁ!!!」

ジェット形態で攻撃を乱射しながら接近するジョーの姿があった。
目障りだと口から砲撃を放った後、ジョーに向かい剣を振り下ろす。それは機首を掠るがジョーを倒すには至らず

「オォォォォォ!!!」
「なっ!?ガッ……」

機首のドリルがスカリエッティの胸に突き刺さった。
スカリエッティは呻くように声を絞り出す。

「ハ……ハハ……だからドリルは取れと言ったのだよ……」

スカリエッティがそう呟いた直後、スカリエッティの体が爆発する。
何とか防ぐフェイト。そして爆発がはれた時あったのはデバイスが解除され
絶命したスカリエッティの亡骸のみ。ジョーの姿はなかった……



それから半年後、機動六課解散の日……
フェイト達は桜吹雪を受けながら隊長、新人に分かれた最後の全力全開を行っていた。
その傍らで六課部隊長八神はやて、スターズ分隊に所属するスバル・ナカジマの姉ギンガ、そして……


桜の木に寄りかかりながら顔に傷の増えた青年がその様子を口元に笑みを浮かべながら見守っていた。

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最終更新:2008年03月26日 21:24