私の名は「武乱知得 某」!
もちろん偽名だ!
カムフラージュのため名前を日本風に変えてある!
どうだ!完璧な名前であろう!!
あの決定的な敗北、『死』を体験した私は、次こそ憎っきスプリガンを打倒するため、燃えたぎる心を内に秘め修行を続けている!
(なに!?なぜ死んだのに生きているだと!??
馬鹿者!奇跡の一つぐらい起こさずして何がエリートだッッ!!
埋葬中に棺桶を突き破った私を見てうろたえた後輩、ネオ○チス党員は全員修行が足りんことは明らか!
当然その場で腕立てとスクワット、持久走をさせた後、正しき選民思想とはなんたるかを小一時間ほど正座をさせて教えてやったのは懐かしき記憶だ!
しかし奇跡の代償であろうか!?日差しが強烈に感じるようになってしまった他、教会や神社仏閣、霊験あらたかな場所に居ると苦しくてたまらなくなってしまった!!!
何故だ??!!)
さて、私が今この日本で修行をしているのは訳がある!
スプリガンの一人、宿敵・御神苗優は東洋武術を学んでいる!
つまり、私が対抗するには、同じ東洋武術を学べば良いのだッッ!!
様々な流派の門を叩き、私は砂のように武術の真髄を学んでいった!
そして、今月の目標は【小太刀二刀流で有名な御神流を制覇しよう!】である!
もちろん住み込みであるため、道場主が営んでいる喫茶店を感謝の気持ちでお手伝いをしている!!
当然、選ばれたるネオ○チスの戦士として、私はお手伝いといえども修行の一環としている!
見よ!これが“高速分身皿洗い術”だ!!
一秒間に5枚の皿洗いを可能とする!
このような多種多様な秘技を使える私は最早、翠屋に無くてはならい重要人物となってしまった!!
フッ、エリートとは頼られるものだ!!
むろん精神鍛錬も怠らない!
過去の敗北を冷静に分析すれば、私にたりなかったものの一つは精神的強さであることは明白ッ!
朝は町内一週はき掃除をし、己の邪気を祓うのだッッ!!
フハハハハッ!どうだ!心身共に磨き上げる完璧な修行内容であろう!!
最近では近所にあるさざなみ女子寮に住む漫画家が、私の鍛え上げた肉体の素晴らしさを知りデッサンを頼まれている!
おお!ついに日本の未来を担う少年たちが、ゲルマン的肉体美を学ぶ日が来たか!!
そしてデッサンをさせた帰り道のことであった!
舞い散る落ち葉を標的に、考案中の技の数々を試していた所、傷つき倒れているフェレットを見つけたのだ!!
幸い、本日デッサンをさせに行った寮には獣医が居て事なきを得た!
小動物を助ける心遣い!これもまた一つの修行の成果なのだ!
ワハハハハハッ!また一歩成長した事を実感する喜びは何事にも変えがたい!!
今日は気がいいので道場の雑巾掛けを3セットほど行うか!
そして帰宅後、あらかた道場を磨き上げた時だった!
突然頭に響く声!
ムッ!これはテレパシ-かッ!?
『聞こえますか?ボクの声が、聞こえますか?聞いてください。ボクの声が聞こえる貴方、お願いです!
ボクに少しだけちからを与えてください!』
ここはまず焦らず心に強く思い、聞き返すのだ!
そうすればホラ!
「何とォッ!あの小動物が喋ってるというのか!!
フッ……だがこのぐらいの事、遺跡争奪戦では日常茶飯事だぜ!!」
『おねがい……ボクの所へ…時間が、危険がもう!』
ネオ○チとは常に弱き者の盾であるべしと自覚する私にこの訴えを退ける事は不可能!!
よろしい!全力で助けに行くぞ!
まずは武装を整えるべし!!
道場の縁の下に隠してある各種銃火器を入れた大型のバックを開く!
相手が傭兵部隊くらいであれば、鍛えられた拳一つ充分であるが、念には念を入れるのが戦士というもの!
それに超能力で助けを求めるとは、コレ即ち尋常な戦いにあらずッ!
ドイツの誇り!H&K G-3を持っていくか?
7.62ミリは確かに高威力だが、音が気にになる!
御町内の皆様に迷惑をかけずに事を成し遂げるにはやはり消音機能のつけられる武器が好ましい!
よし!決まったぞ!!
H&K UMPだ!減音装置を着ければ発砲音も小さくなれる!なにより45ACP弾は9㎜パラと違って威力がある!
相手がへたな防弾チョッキを着ていようと中に鉄板でも仕込んでいない限り、45ACPの衝撃力で肋骨を折るぐらい分けない!
サイドアームに当然H&K USPだ。9㎜パラベラムを使うが、見事なゲンルマン的システムで出来上がっている!
ダブルカムを採用し、15発を装てんできる!まずまずだ!
あとはスタングレネードに閃光弾と煙幕弾、そしてグレネード!うむ基本構成である!
ここまで時間はジャスト30秒!!
火器は目立たないようにリュックに入れる!
さあ、待っていろ!助けを求める者よ!!
このネオ○チの騎士!武乱知得 某が推して参ろうぞ!!
ワハハハハハハハッッッ!!!
「トウ!」
屋根を飛び、道路を跳び越え、塀の上を駆け、あっという間に槙原動物病院に到着!!
しかし敷地内に入った途端感じる違和感!
ムウウウウ、なんだこの音は!
私は我慢して動物病院の敷地内に入る!
そして違和感の正体に気付く!
これはもしや……結界か?ま、まさか相手はスプリガンのティア・フラットか!??
よろしい!ならば今こそ決着をつけてやろう!!
そう私がいきがった瞬間、件のフェレットが私の横を走り去るのを見た!
そして、それを追いかけるように得体の知れない何かが止まりきれず病院の植木にぶつかる!
いかん!
「助けを求める者よ!コッチだ!」
わかっているのか我が鍛え上げた腕に飛び込んできた!
到着する数瞬、小動物の首にかかっていた赤い真珠のようなアクセサリーが私を見たような気がした!
ううむ!それにしても……。
「むう……スプリガンにしては周りの被害を考えないとはどういうことだ!?」
やつは折れた木が邪魔してよく見えな。
もしもティア・フラットのコーリング・ビーストであるなら、気合を込めてやれば召喚符を切り裂いて仕留める事もわけない!
私はその間に武装を整える!
その間に、私の肩に移らせた小動物もといフェレット(愛殿はそう教えてくれた)が人語を話す!
「たすけに……来てくれたの」
「当然ッ!困った者を助けるのことが、正しきネオ○チであると私は考えている!!そのための精進を!鍛錬を日々積み重ねるのだ!
フェレット君よ!君も私のような立派なフェレットになれ!!」
(……な、なんか、なにか間違っちゃった人に助けられたかも……)
何かが起き上がる!この場で我が拳の贄にするのも悪くない!
が……一般に暮す方々に迷惑をおかけしては、私の考えるネオ○チにとって本末転倒!
ココはひとまず逃げる!
しかしこの武乱知得 某!戦いから逃げるのではない!勝つために逃げるのだッッ!!
そう、これは我が逃走経路!フェレット君にはわからないであろう!この先に続くのは……。
フッ以前はこのような思考などするような人間ではなかった!
しかし!これこそ私がまた一歩成長したという証なのだッッッ!!!
観ておれ、スプリガンどもよ!
ウハハハハハッ!
(ヒイイイ~~~ッ!ジュエル・シード暴走体に追いかけられてるのに笑ってるよこの人~~~!し、しかもメチャクチャ速いいいいいいいいいいいい!)
うむ……ヤツとの距離が開きすぎてしまった!
ではこの時間を利用して質問しよう!
「ところで、あやつは一体何なのだ?」
「え~と細かい話はあとにしていいですか?まずは貴方の持っている素質、力を少しでいいから借りたいんです」
「素質!その言葉を私はどれほど待っていたかッ!よくぞ判った!この私が鍛え上げしこの肉体の素晴らしさを……」
「ちょwいえ、違います!素質は魔法の素質なんです」
「……なにい!そのような特殊能力も私は使えるのか!なんということだッッ!!天はこの私に二物をあたえたというのかああああああああ!!」
「あの……もしもし~~?」
「ワハハハハハ!見ておれ全てのスプリガンどもめ!この肉体と魔法の力で目にものをみせてやる!」
「人の話を聞いてくださいッッ!!」
「むッ失礼した!話を聞こう!!」
「ボク、ある探し物のためにココではない世界から来ました。でもボクひとりの力では思うように遂げられないかもしれない。
だから……迷惑とはわかっているのですが、資質を持った人に協力をしてほしくて……。
お礼はします!絶対にします!だから、ボクの持ってる力を貴方に使って欲しいのです!ボクの力を、魔法の力を!
その時、ヤツが雲のように当然上空に現れ、双眸を輝かせ襲い掛かってきた!
垂直降下で地面がえぐれる!
私はとっさに木の陰にはいり衝撃波をかわす!
我が腕のフェレットが懇願する!
「お礼は必ずしますから!」
「よし!では魔法について教えてもらうぞ。そして他の世界の事も全てだ!フェレット君、君の言葉は世界史……否、裏の世界史を覆す!
これだけは間違いないぞ!しかし、その前にあいつを倒して良いのだな!?」
「はいッ!じゃあこれを使ってください」
フェレット君が加えていた赤い玉を私は手に取った!
これは首に下げていたアクセサリではないか!
ほのかに光り輝いているぞ!?
……もしやこれは何かの遺跡かッッ!??
「それを手に、目を閉じて心を澄まして……そしてボクの言うとうりに繰り返して……いい?いくよ!」
「望むところよッッ!!」
「我、使命を受けし者なり……」
「我ッ!使命を受けし者なりッッ!!」
「契約のもと、その力を解き放て」
「契約のもとッ!その力を解き放てえぇッッ!!」
「風は空に。星は天に」
「風は空にッッ!!星は天にッッッ!!!」
肉体的なものとはまた違ったなにかの波紋がおきるのを感じる!
「そして不屈の心は」
「そしてええぇッ!不屈の心はあぁッッ!!」
「「この胸に(ッ!)」」
心が重なる!!
しかし気合が入った私の声量は、林を超え、海鳴市全体へ轟いたであろう!!
「「この手に魔法を(ッ!)」」
「「レイジングハ(ァ)ート(ォ)・セットアップ(ッッ!!)」」
私は何も考えられず、とにかく紅玉を頭上に掲げる!
全ての動きが定められているように!!
紅玉が「セットアップレディ ゲットアップ」とか何かを言ったような気がしたと思ったとき、光の柱が我が身を包む!!
「日本列島横浜地区にクラスSの発光現象あり!当時上空にかかっていた雲を……信じられません!くもの形を変えるほどの光量など日本の発電能力では無理です!」
「在日米軍の横須賀より緊急入電!!発光現象確認!!夜なのに昼間になったとのこと!ただし磁場・放射線は確認できず!」
「あの発光現象で他に何も観測できないだと!現地ではそのような報告はあるか?至急大使館を呼び出せ!理由はなんでももいいので電話で発光現場の確認させろ!
……うむ…………発光もとの町では何の異常もない?火災もなし?……いやありえん!……ま、まさかあ!いかんエマージェンシーシグナル発生させろ!
国防総省長官権限で全米軍のデフコンレベルを3にアップ!
それと……大統領に緊急連絡だ……」
「フラット会長!東京支社より緊急入電!横浜方面に光の柱立つも、熱・電磁場・放射線
その他は確認できず!直ちに社員を送り調査をするとのこと!」
「あら……そう。……映像か画像どちらでもいいけど、その光の柱とやらを早く見てみたいわね~」
「おおおおおおおおッ!これはああああああああッッ!!」
「なんて……なんて……低い魔力だ orz
いいや、ここからどうにかしなくては!いいですか。まず落ち着いて。落ち着いてイメージして。あなたの魔法を制御する、魔法の杖の姿を!
そして貴方を身を守る強い衣服の姿を!」
「ナントォッ!そ、それではあ~んなことやこ~んな姿になってしまうのか~~~~ッッ!!」
「へ、変な考えはやめてください!!」
「ええい……ならば!よしッ!とりあえずコレにしよう!!」
【見苦しいので中略】
「セイッ!」
着地と同時に空手における逆突きの態勢をとる!
「成功……なの……か?」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!こ、これは!!まさに男子の本懐ッッ!!」
「グオオオオオオオオッ!!」
プシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッ!!
変身した直後に巨大な怪物が口を開けていかにも襲い掛かろうとしていたところだった!
そのでかい口目掛けて、とりあえず私はUMPを一マガジン分30発ほど撃ちこむ!
のけぞる怪物!あとはそのでかい口の中にM67手榴弾を放り込めば終りそうである!
正直つまらないぞッッ!!
フェレット君は驚いていたが……そうか!やはり銃火器は貴重なので最後まで取って置くべきなのだな!!?
ならば話は単純!
みよこの強壮にして質実剛健を絵に描いたような衣服を!!!
これぞまさに「力強い衣服」である!!
肘、膝にプロテクターが付いた戦闘服だ!
実用一点張りのスーツである。
色は、今は夜間だが林の中なので森林迷彩に決めている。
「ふむ!!」
様々な突きや蹴りの素振りをし怪物に向かい放ち、バリアジャケット(たったいま教えてくれた)の稼動範囲を調べ、納得をした!
垂直踵おとしを決め、あらためて私が想像したとおりの性能を発揮してくれる!
素晴らしいの一言だ!!
「シックリくる!体、いや、まるで神経と一体化されている感じだッッ!!
ワハハハハハ!この伸縮性だけでもアーカムのアーマー・マッスルスーツを超えたのがわかる!
見ておれよスプリガンどもめ!!
この日をもってスプリガンに宣戦布告を行うのだあああああああああぁッッ!!!
【第一話 それは不思議な出会いなのだッッ!!】 完
【次回予告】
我が名は武乱知得 某!
極々平凡なスプリガンに復讐心を燃やすネオ○チだったのだが、
なんの因果か運命か!
なんと魔法戦士に任命されてしまったッッ!!
待ち受けるは如何なる運命か!?
あと、まだ名前を聞いていないこのフェレット君を高町家にいれてもよろしいのだろうか!?
最終更新:2007年08月14日 13:40