あらすじ
突如、謎の学生の女子に襲われたスバルは重傷を負う。
相手が、何者か分からないが、嫌な予感を感じた八神はやては、
元機動六課メンバーの一部を招集し、これに対して速やかに対処することとなった。
第1話 騎士と人形~強襲~
八神はやて率いる元機動六課のメンバーで集められた部隊は、スバルを襲った謎の女子、そして彼女の背後関係を洗う状態にあった。
「…今日もお見舞いか?なのはちゃん」
はやては、窓ガラスの向こうベットに横たわるスバルを眺めているなのはに声をかけた。
なのはは、包帯を巻かれ、点滴をうたれ眠っているスバルを見つめたまま
「スバルは、私が教えたんだもん。簡単になんかやられるはずない」
「……そやな」
はやては、なのはとスバルたちが毎日繰り広げていた練習を見ているから、その言葉の意味が分かる。
なのはは悔しいのだろう。
彼女がこんなにも無残に負けてしまったことが。
「2人ともいらしてたんですが」
なのはとはやてが振り返るとそこには、かつて機動六課であり、スバルのパートナーであったティアナがいた。
三人は、スバルの好きな食べ物を置いて、病院のフロアに移動した。
「ありがとうございます」
なのはから渡された紅茶を受け取るティアナ。
「……まだ管理局でも一部上層部しか知らん話や」
ティアナははやての話を真剣な表情で聞いていた。
はやてはティアナに事情を話した。
同じ部隊にいた仲間、そしてなによりもパートナーであったスバルがあんな目にあったのだから。
「…なのはさん!私も、私も部隊に加えてください!!お願いします」
「そういう思うたわ…なのはちゃん」
はやてはなのはを見る。
「ティアナ……スバルがいない分もがんばれる?」
「はい!!私だって…スカリエッティ事件を解決した1人です」
ティアナはなのはの目から視線を外さずに告げる。
その目にはもう…最初の頃の新人の不安は見えなかった。
「……決まりだね」
「ありがとうございます!」
「それやったら早速手続きをして…」
はやてがティアナにそう説明を始めたとき…、はやてに緊急の通信が届く。
「どうしたん!?」
その向こうからの声にはやては唇をかみしめた。
はやては電話を切ると、なのはとティアナを見る。
「敵襲や、先越された…急いで戻るで!」
管理局本局内…
あたりは炎に包まれている。赤くすべてを燃やし尽くす…。
あたりは逃げ惑う人々、そして敵襲に対して、対抗する人々で混乱している。
消火作業を行うが、巨大な竜の前には、それはなすすべもない。
「召喚士を集め、対抗しろ!!相手は一匹だぞ!」
部隊長が大声を出し、指示をする。しかし次の瞬間召喚士がバタバタと倒れていく。
「な、なんだ!?なにがあった!」
「…おバカさん…1人だけで来るとおもったのかしら?」
声は聞こえるが、その姿は見えない。
「どこだ!どこにいる!!」
「目の前にいるわ」
召喚士の隊長が声の方に目をやると、そこには人形があった。
その人形は宙に浮かぶと、巨大な黒い羽を現し、召喚士を見る。
「なんだお前は!!なんのために、こんなことを!!」
「うるさいわね。そんなカッカしちゃって…乳酸菌とってる?」
「貴様ぁ!!」
しかし、その召喚士も、ゼロ距離の無数に襲い掛かる羽の前に避けきれず打ち倒される。
「相手にならないわ…所詮は無能な人間。魔法を使えようが使えまいが…かわらないわ」
「…やってくれたな?誰かと思ったら、人形とは笑わせてくれるぜ」
バカにしながら笑う、人形の前に、立つもの…それは、ヴィータ。巨大なハンマーをかついで、頭をかく。
「精巧で穢れをしらない私と、あなた達のようなゴミクズを比べてほしくないわ」
「人形がお喋りなことだ」
ヴィータは、人形にむかってかまえる。
「踊りなさい…愚かな人間」
人形は漆黒の羽から次々と羽を飛ばし、繰り出す。
ヴィータはそれらを巨大なハンマーであるグラーフアイゼンで、それらごとなぎ払う。
「そんなちゃちな攻撃が通じるか!!」
彼女の巨大なハンマーはあたりをぶち壊しながら人形を追いかける。
「ちっ!愚かな人間が考えそうな、美しさもなにもあったものじゃない攻撃ね」
人形はそのハンマーを身のこなしと小ささからかわしていく。
一方、巨大な竜を倒すために、シグナムとフェイトは屋上にへと向かっていた。
炎があたりを包み込む。あの竜の攻撃は、今は行われていない。
どういうことだ?本部施設の破壊が目的じゃないのか?
建物の屋上に出るシグナムとフェイト……。
そこにいるのは巨大な竜の上に乗る女子…あれがスバルをやっつけた相手。
「…何が目的かは知らないけど、ここまでやってくれた以上、ただで返すわけにはいかない。覚悟をすることだね」
「あなた達の相手は、別の人が行うわ」
その女子はフェイトたちの後ろを見る。
「!?」
シグナムとフェイトが振り返るとそこには白髪…そして黒いよろいに身を包んだ女子がいる。
肌も白く、髪の毛を後ろで結んでいる。
そして彼女は大きな剣…彼女の身長の半分ほどはあるだろうものを屋上の地面に突き刺していた。
「左様、そなた達の相手は私…騎士王が相手をしよう」
「ほぉ……貴様も騎士を名乗るか!ならば、この私が…騎士として勝負を受けよう」
シグナムもまた、相手と同じように剣を向けた。騎士王と名乗るものは微笑み、剣を地面から引き抜く。
「よかろう…騎士の恥じにならぬよういい働きをして見せることだな」
「なめるな!!!」
シグナムは一気に相手との間合いをつめると、剣を横に振るう。
「甘いな」
シグナムの太刀を軽く持った片手の剣で受け止められる。シグナムは再び距離をとる。
騎士王と名乗るものは、鋭い目でシグナムを見定める。
「それが騎士の太刀裁きか?随分と舐められたものだ」
「…」
シグナムは相手の言葉に表情を変えないが、剣を握る手に力がはいる。
「…感情に支配されては大局的に物も見えぬまま…死ぬことになるぞ?」
「!?」
一瞬だった、シグナムの視界から姿を消すと、騎士王はいつのまにか後ろに立っている。
シグナムは剣を振り、相手を自分から引き離す。
騎士王は屋上の手すりに立つと剣をかまえた。
「剣を振るうというのは、こうするんだ」
目の前の騎士王は、炎を背景に立ち、そして剣を振るう。
「エクスカリバァアアアアアアアアアア!!!」
「くぅぅ!!」
シグナムはその気迫と、強大な邪気に押されながらも、襲い来るそれを受け止めようと、身体を固めた。
相手の剣は早くは無い…だが、受け止めたシグナムはその重みと、勢いに、足が床にめり込み、崩れ始める。
「うわぁああ!!」
「シグナム!!」
火災で脆くなった足場に、シグナムは、耐え切れずそのまま下の階に落ちてしまう。
崩れゆく建物の中…残ったのはフェイトだけ…。
「…はぁあああ!!」
勝ち誇った顔をしている騎士王にたいして背後から強襲するフェイト。
そのフェイトの太刀を、まるで後ろにも目がついているかのごとく受け止める騎士王。
「くっ!?」
「それほどの力で、私に勝てるとでも思ったか?」
騎士王はフェイトをなぎ払う。
黒きマントをなびかせながらフェイトは宙を回転し、着陸すると再び剣を構えると、瞬時に姿を消す。
「なっ!」
騎士王の目でも追いつけないほどの早さ。
フェイトが次に現れたのは、騎士王の下。
「バルディッシュ!!!」
巨大な剣…ライオットザンバーをかまえ、真下から一気に、足に体重をかけ、頭上にめがけ飛び上がる。
対する騎士王も巨大な剣をかまえたまま、振り下ろす。
「エクスカリバァアアアアア!!!」
だが、既にそのときには勝利がついていた。
下から上にあがる力は、勢いも加わり、エクスカリバーの力を凌いでいた。
それは騎士王であるものの、相手に対する完全な油断から生じたものに他ならない。
爆音とともに、屋上は衝撃で崩壊が始まる。
「お、おのれぇ……この私が遅れを取るとは」
騎士王は崩れ行く中、大きく息をつく。かなりのダメージを与えたが、相手は厚い鎧も着込んでいるために、一撃が足りない。
それでも鎧は崩れ、相手の肌が見えている。
「…話を、聞かせてもらうよ」
フェイトは、膝をつく騎士王に迫る。
しかし、そのフェイトは後ろから炎の竜を操る女子の攻撃で頭をうちつけられ、意識を失ってしまう。
「まだ、彼女をやらせるわけにはいかないわ」
意識を失ったフェイトを、女子は竜に乗せたまま、飛び立とうとする。
「待って!フェイトちゃんをどこに連れて行く気なのかな?」
それは間に合った高町なのはたちだ。
既に変身をしたなのは、ティアナ、はやてたちは、あたりの状況の凄惨さに愕きを隠しきれないでいた。
「…それをあなたたちに教える義務は無いわ」
「返してもらうよ…レイジンクハート」
なのはは、そういうとレイジングハートを両手で持ち、かまえる。
魔法陣が彼女の周囲に展開され、レイジングハートから数本の弾頭のようなものがはじき出される。
「フェイト・T・ハラオウンがどうなってもいいの?」
「……あなたを倒さないとフェイトちゃんが帰ってこないなら…私は」
レイジングハートの先端に光が集まりだす。制服を着た女子は、フェイトを持って巨大な炎の竜の後ろに下がる。
「カグヅチ!」
雄叫びをあげた竜は、腹部から巨大な閃光を吐き出そうとする。それはスバルを瀕死に追いやった攻撃…。
なのはもそれに負けじと、巨大な閃光を集め、そして解き放つ。
「スター…ライト、ブレイカァアア!!!」
双方の巨大な閃光がぶつかる会い、それはすべてを飲み込む1つの光となった。
最終更新:2008年04月17日 19:52