世界は数多のifによって構成されている。
 人が様々な世界を望み、分岐していくことで無限に増え続ける。
 そこで行われる出来事は全てが現実であり、そして事実として残っていくことになるのだ。
 世界を作り上げるのは自分たち自身であることを人は知る必要がある。

 第1話魔王誕生

 ジェイル・スカリエッティ事件…管理局全体を揺るがした事件は、機動六課を中心として無事解決を図ることとなった。
 多くの犠牲を残し。
 機動六課での中心的な攻撃人物であった高町なのはの娘として可愛がられたヴィヴィオは、その小さな命を散らした。
 高町なのはは、責任を感じ、管理局から身を引くこととなった。
 一方、他のもの、機動六課の責任者であった八神はやては六課の功績から管理局本局の上層部にへと出世していくことになる。
 フェイト・T・ハラオウンもまた、なのはがいなくなった部分を埋めるため、軍事部門で力を出すこととなっていた。

『ついては…このような事件が二度と起きないため、管理局は今まで以上に強力な力を持つことが必要なのです』
 新聞に大々的にな見出しにのっているはやての姿を見つめる高町なのは。
 …今ではほとんど会うことが出来ない人物を見つめながら、なのはは息をつく。
「どうしたの?なのはちゃん?」
 それは月村すずかとアリサ・バニングス。
 高町なのはが魔法世界から身を引くこととなった今では、彼女達との関係が深くなっていた。
「ううん。なんでもない」
 なのははそういって新聞を荷物にしまう。
「なのはも新聞を読むなんてすっかり社会人だね」
「そういうアリサちゃんだって、すっかり大人の女性って感じだよね」
「そうかな?」
 なのはたちは、休日を利用して町に遊びに出ていた。
 折角の休みを満喫し、嫌なことを忘れたいという思いがなのはにはあった。
「カラオケでもいこっか?」
「いいね~いこういこう!」
 なのはは、彼女達と一緒にいるときは、あの辛い日々を忘れることが出来た。
 フェイトや、はやてたちと会うとイヤでもヴィヴィオのことを思い出してしまうから。
 このまま忘れてしまっていいものなのか…そういった思いがなのはの心のそこにはあった。
 なのはに引っかかっている部分。
 それはヴィヴィオが直接死んだところ見ていないということ。
 ヴィヴィオは管理局上層部に回収され、監禁されているという噂を事件当初に耳にしていたのだ。
 はやてに聞いたが、それはないという。でも……。

「どうしたの?なのは?置いてくぞ」
「ごめん…」

 やっぱりそんなことはないのかな…私は、ヴィヴィオのことを受け入れられないだけなのかな。
 なのははそんな二つの思いの狭間に苛まれていた。
 なのはは、カラオケにいっても気が晴れず、部屋を出て非常階段で息をついていた。
 青空を見つめるなのは…。
「なのはー!!」
 そのどこか聞きなれた声に、なのはは振り返る。
 そこにいたのはフェレット型のユーノの姿だった。
「ユーノ君!?」
「探したよ!匿ってほしいんだ」
「なにかあったの?」
「ひとまず、話は後で…」
 ユーノはなのはをつれて、カラオケの空いている部屋の一室に隠れる。
「誰に追われているの?管理局の連中だよ。僕はまずいものを見つけてしまったらしい」
 ユーノはそういうと、人型に変身する。
「なのはにこの場所にいってもらいたいんだ」
 それは地図だった。
 それは、神社がある場所…まだ私が小さいきに、ジュエルシードを含んだ怪物と戦った場所でもあった。
「頼んだよなのは…」
 そういうとユーノは部屋を飛び出していく。
「ユーノ君……」
 なのはは彼を追うことが出来なかった。

なのはは、アリサとすずかに事情を説明して、神社に1人でむかうこととなった。
どこか不安を感じながら、神社に向かうとそこには1人の緑の髪の女子がいた。
自分と同じくらいの女子は、なのはをみつめる。
「あ、あなたがユーノ君がいっていた…」
「なるほどな。お前が適正者というわけか…あの男、なかなか見る目があるようだな」
「あなたは?」
 なのはの事を見ていろいろと言い出す女子に問いかけるなのは。
 緑色の髪の女子は見据えたまま
「私は、C.C.という…」
「え?シー…ツー?」
 その人間とは思えない名前に違和感を感じるなのは。

「いたぞ!!」
 その声の主はすぐに現れた。
 管理局の職員…というよりも実戦兵たちである。
 なのはには何がなんだか分からない。
「既に覚醒済みか…目標物および、それを見たものは誰であろうと殺せというはやて総督の命令だ」
 管理局の職員たちは、魔法を唱え始める。
「ちょっと待って!一体なんのことをいて、それにはやてちゃんってどういうこと!?」
 なのははそういうが、彼らは無視をする。そして…1人が放った攻撃がなのはを狙った。
「やめろ!!」
 飛び出したC.C.がなのはをかばう。
 命中したC.C.はそのまま、力なく倒れる。
 おびただしい血がながれ、彼女は簡単にやられてしまった。
「酷い…どうして、こんな」
「ちっ。かまわん!!あのフェレットのように、こいつも…」
「ユーノ君!?」
 まさかユーノ君まで…どうして、なんで?
 わけがわからないなのはだが、そんなことは、向こうには関係がないのか、すぐに次の攻撃の準備がされる。
 こんなところで死んじゃうの?まだ私は…何も知らないまま?
 そんな…フェイトちゃん…はやてちゃん……ヴィヴィオ。

「力を望むか?」
 それは、さっきの緑色の髪の女子の声だった。
「果てしない、世界を変える力を」
 彼女は問いかける。
「運命を変え、真実をしる王の力を…」
 なのはは彼女を見つめる。
「知りたい…真実を、そして、運命を変えたい」
「王の力はお前を孤独にする…それでも私との契約を果たしすか?」
「結ぶよ…その契約」


「…ねぇ。真実を変えるには、世界を変えるには、まずは破壊しないといけないんだよね。今までのことを…、私自身も…」
 その言葉の意味がわからない職員達は首をかしげる。
「すぐにお前は壊れる。これで最後だ!」
 魔法を唱える職員達を見つめるなのは。

「……高町なのはが命じる。お前達は……壊れろ」

 すると職員達の身体が突如、膨張して破裂する。
 それは神社に、真っ赤な血で染めることとなった。

「私は立ち向かう。そして偽りのすべてを……壊す」
 なのはは口元を微笑ませた。

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最終更新:2008年04月18日 20:01