聖王のゆりかご深部――
「茶番はおかしいものでしょう?」
「もう少し見ていたかったけど時間が無くなってきたわ。そろそろ終わりにしましょう」
「貴女たちが今までやってきたことは、全て我々が計画した演習だったのよ」
「F計画とは――使い魔を超える人造生命の作成、だったかしら?」
「だが、それはジェイル=スカリエッティが組み上げた基礎理論を
プレシア=テスタロッサが発展、完成させたもののことではないわ」
「スカリエッティ。貴方が自分の意思で起こしたと思っているこのテロこそが、
そのための演習だったのよ。PT事件や闇の書事件を再現するためのね」
「管理局上層部の暗躍、特異性を持つ新入隊員たち、そして闇の書を模したレリック……。
それらが全て偶然だと本当に思っていたの?」
「ゼストやメガーヌの蘇生は『最高評議会』の指示。
スバルたちを八神はやてにスカウトさせたのも私の情報操作によるものよ。
これが演習だと気づいたレジアス中将は自分の役割を忠実に演じてくれたわ……」
「あのヴィヴィオは闇の書の再現。でもそれだけではないわ。
管理局から『最高評議会』の情報を削除するための引き金でもあった」
「あんな脳髄の集まりが管理局の中枢だと本気で思っていたの?
スカリエッティ、貴方の目論見はとっくに挫かれていたのよ」
「ルーテシアは違う、彼女はこちら側の人間……母親の蘇生と保護を条件に雇った試験官よ。
新米どもの仕上がりを確かめ、本演習に進めるかどうかを判断するためのね」
「彼女がエリオらを撃破すればその時点で演習は終了、
そういうことだった。この演習に失敗は許されないからね」
「ある状況であるストーリーを背負わせる、
そうすることで誰でもフェイトやなのはになれる……。
そこまでいかなくとも、新兵でも老兵の戦果を挙げることができる……」
「即席で最強の兵士……その練成プログラムを作るためのデータ収集が目的だった」
「貴方も、ナンバーズも、六課も……シミュレーションを行うための
駒として配置されたにすぎないのよ」
「スカリエッティ。貴方とナンバーズが選ばれたのは、
貴方たちの関係がはやてと闇の書に酷似していたからよ」
「そしてそのナンバーズが闇の書事件でフェイトやなのはと闘ったヴォルケンリッターの役よ。
ヴォルケンリッターに匹敵する戦闘集団はナンバーズをおいて他になかったからね」
「貴方達と六課を闘わせるためにありもしない予言の話をでっちあげた。
いえ、それだけではないわ。八年前、ゼスト隊を闇に葬りさった時から
計画は始まっていた。スバルの母親の抹殺もその一部よ」
「より遡るならコード『アンリミテッド・デザイア』による
ジェイル=スカリエッティの誕生そのものだけど。
それを仕組んだのが『最高評議会』のように見せて、憎悪を煽ったのよ」
「貴方は我々の思惑通り復讐に走ってくれた……」
――ちなみにこのティアナ、幼少時にある作戦中に欠損した右手を、
『最高評議会』が極秘に亜空間から回収したアリシアの肉体で補ってます。
最終更新:2008年05月24日 21:18