魔法少女リリカルなのはStrikerS-選ばれしジェダイ-エピソード1

銀河帝国施設の謁見室で皇帝を自らの生命を引き換えに倒したダース・ヴェイダーはジェダイ騎士、アナキン・スカイウォーカーに帰還し。
息子ルーク・スカイウォーカーの姿を目に焼け付け……息を引き取る。
哀しみに暮れながら、ルークは父を宇宙艇に乗せて惑星に降り立ち。
火葬台に父を乗せ、火を放つ。しかし、そこにフォースの突風が巻き起こりアナキンは姿を消した。
そしてアナキンは死んではいなかった。
彼は新たな世界にバランスをもたらす為に選ばれたジェダイ騎士として…………。


第162指定観測世界
北部の定置観測基地から発掘作業が行われていた場所に三人のエース魔導師が到着した。


一人は時空管理局 戦技教導官。
高町なのは
「大丈夫ですかっ!?」
機械兵器の放つブラスター射撃から黒い魔導師と発掘員をプロテクション魔法で守り、彼らに無事を尋ねる。

もう一人は同じく時空管理局 執務官。
フェイト・T・ハラオウン
「プラズマランサー……、ファイア!!」
空に掲げた愛用のデバイスを振り下ろし、辺りに発生した魔力の楔を機械兵器に打ち込んで破壊していく。
そして、最後の一人は時空管理局 特別捜査官。八神はやて
『広域スキャン完了……。 人間はあの三人だけです。』
「ん!」

融合しているユニゾンデバイス・リインフォースIIからの報告にはやては頷き、浮遊したまま未だ残存している機械兵器群を見下ろし。
それらを何かの魔法で破壊する漆黒のヘルメット、マスクで顔を隠している魔導師を見て違和感を感じる。

「違う……あの格好は騎士甲冑みたいやけど。なんなんや……魔法とは違う力のかんじや……。」
『マイマスター、あの人から魔力は感じられません。』

リインの解析に「やっぱり。」とはやては納得する。
そして、フェイトは降り立ち。敬礼をとって彼に声をかける。
「ご協力感謝します。時空管理局執務官フェイト・T・ハラオウンです。あの機械兵器は一体……?」
「解らん。が、あちらの二人が持つ箱を狙っていることは解った。」

呼吸音を発しながら、弾き出したヴェイダーの推測にフェイトは「一体誰が?」と考え込むが。その疑問は、眼の前に現れた機械兵器の姿で消えていく。

『中継です!やはり未確認!
危険認定破壊停止許可が出ました!』
基地から返ってきた解析結果にはやては「了解!」と答え、黒い騎士へと向き直る。
「あの、私は時空管理局 特別捜査官の八神はやて言います。お名前を教えてください。」

彼女からかけられた願いにヴェイダーは少し考え込む。
暗黒面から戻ったとはいえ、自分は今までに多くの命を奪ってきた。未だ不安定な男に本当の名は……いらない。
今はこの名前で良いか……。
考えをまとめて男は呼吸音を止ませて。八神はやてに名乗る。
「私はダース・ヴェイダー。ジェダイの騎士だ。」
「ヴェイダー……さん。わかりました。
発掘員の救護は私が引き受ける!二人で思いっきりやってええよ!ヴェイダーさんもお願いします!」
『えぇっ?良いんですか!?』
「ヴェイダーさんの実力は見てわかった。ここで手伝ってもらって損はないよ。」


はやてからの指示にヴェイダーは呼吸音を発しながらマスク越しに機械兵器の群れを見据えてなのは、フェイトの二人と同じタイミングで「了解」と答える。

その瞬間、機械兵器の群れは少しの間であったが光を発し。こちらへと向かってくるのが見え。なのははレイジングハートを構えて訝しむ。

「フィールドエフェクト……?」
様子を見るべく、そのまま一機の機械兵器へとレイジングハートからアクセルシューターをショットする。

桜色の小さな球がレイジングハートから飛び出し、機械兵器に直撃した……だが、一歩手前で魔力球はフィールドの波に吸い込まれていくかのように消えてしまい。
なのは、フェイトはそれが何なのか理解した。
「無効化フィールド!」
「AMF……機械兵器がAAAランクの魔法防御を……。」
なのはの攻撃や彼女達の言葉。そして……あるドロイドに似た印象を抱かせた機械兵器のことを見て、聞いたヴェイダーは未知なる世界に自分は居るのだと悟っていた。

フォースを通して彼女達の力の源が魔力ということや……。内臓まで火傷を負った身体を保つために組み込んだ機械がここに来る前より不思議と馴染んでいた。
そして、自身の身体から内にかけて感じる今までと違う何かの力をヴェイダーはそれが魔力だと理解する。
それに比例するかのようにフォースはあの頃のように広範囲いたるまで感知することが出来る……と。

『あわわ、AMFっていうことは魔法が通用しないっていうことですよ。
魔力結合が消されちゃったら魔法が使えないです!』
あわてふためくリインの声にはやては微笑んで答える。
「リインはまだまだちっちゃいな……。」

『ええっ?』
「昔、似たような敵と私は闘ったことはある……だが、完璧な盾などありはしないと知れ。」

機械を介したような声でそう答えながら、左手を掲げてフォースで幾つもの石塊を持ち上げるヴェイダー。彼と同じ意見であったなのはとフェイトの二人はデバイスから薬莢を弾き出しながらリインに答える。

「ヴェイダーさんの言うとおりだよ、覚えとこうね。
例えば小石。どんな敵でも。」

なのははフォースによって浮かび上がった小石とは呼べないサイズの石塊を魔力の弦に番える。

「例えば雷。どんな強力な武器や手段があっても崩せる穴は必ずある。」

空に浮遊し。バルディッシュを天空で掲げてフェイトは雷雲を呼び寄せる。

「魔力が消されて通らないなら「発生した効果」のほうをぶつければええ。」
その二人を代弁するように親友のはやてが答えた瞬間。

「スターダスト……」
「サンダー……」

「「フォールッ!」」
二人が叫ぶと共に、雷音が鳴り響いて機械兵器を焼き払い。
岩石が轟音を響かせて機械兵器を打ち砕く。

あっという間に機械兵器の残骸が散乱した光景にリインは息を呑んで感嘆の声を漏らす。
『すごいです……』
「二人とも一流のエースやからな。それにヴェイダーさんもただの人やない……。」
『あ!何機か逃走してるです!』
「追おうか?」
リインの報告になのはが尋ねるとはやては「大丈夫」というように微笑んで首を振る。
「こっちで捕獲するよ。リイン頼んでええか?」

『はいです!』
はやての中で応答し、リインは本を開いて逃走している機械兵器を捉えてトライアングルの魔法陣を描き。
『フリーレンフェッセルンッ!』
機械兵器を凍結し、停止に成功する。

手際の良い彼女達の闘いに……生き生きとした若者達の表情にヴェイダーは「互いに信頼し合う友か……。」と感嘆し、後悔していた。

私もあの時……間違っていた考えを持ち。シディアスの誘惑に、暗黒面に墜ちていなかったらこの娘達のようにオビ=ワンにジェダイの騎士の皆。妻のパドメや子供達と暮らせたかもしれない……未練だな。と
それにしても、なぜ私は生きているのだ……生命維持装置はあの時、シディアスのフォースで破壊されたはずだ……。


辺りに機械兵器がいなくなったを判断し、フェイトは地に降り立ち。
目的のものが入っている箱の中身を見せてもらう。
「これがそのロストロギアですね。」

「はい、中身は宝石のような結晶体で「レリック」と呼ばれています。」
発掘員からロストロギア発掘の経緯を説明されだした頃。

なのはとはやて、ユニゾンを解除したリインフォースIIは近くで佇んでいたダース・ヴェイダーに歩み寄って敬礼をして声をかける。
「先程は手伝ってもらって、ありがとうございます。ヴェイダーさん。」

思案に耽っていたヴェイダーは考えるのを止め、彼女達に「いや……」と首を横に振って否定した。
「気付いたら私はこの世界にいた。そしてあのカプセルを破壊しただけだ。」
「……ヴェイダーさんは違う世界から飛ばされてきた。ということですか?」
推測から出されたなのはの尋ねにヴェイダーは頷く。
「遠い星から来たんだ……おそらく。」

「やったら……この任務が終わったらヴェイダーさん、私らと艦に来てくれへんかな?
詳しい話やヴェイダーさんの居た世界なら割り出せるかもしれへんし。」

未知の世界で頼れるのはフォースとこの世界を知る人だけだ。
跳ね退けるはずもなく。ヴェイダーは「ああ」と随従の答えをだす。

「……私ひとりでは彼らを護りながら闘うのはむずかしかった。ありがとう。」

礼を述べるヴェイダーの謙遜さに萎縮してしまう。
ヴェイダーさんが助けたのに……。と思いながら機械のような音声に潜む優しさに三人は親しみを感じていた。

「あぁ!? ヴェイダーさん右手が無いですよ!!」
「って、まさかさっきの攻撃が当たって……っ!」
リインの指摘に気付き、慌ててヴェイダーの右手を掴んで確認するはやて。
さらにその切断面からのぞくコードや金属の骨を目にした途端、時間が止まったかのように思考が停止する。
「ヴェイダーさんはもしかして戦闘機人なんですか?」
傍に居たなのはも予想していなかったこの光景に、驚愕していながらも彼に尋ねる。


「その戦闘機人がなにかは分からないが……私の身体のほとんどは生命を維持するために機械で補われている。そしてこれは今負ったものではない。」
「そうやったんか……びっくりした。」
冷静なヴェイダーの言葉に我に返り、はやて達は安堵するが彼の右腕がなんとも痛ましく思えてならなかった。そこに何か想い篭っているかのような気がして……。
気のせいかもしれへんけど。なんか……熱い想いがあった。
心に語りかけてくるような……ん?。

〔シ……だ……こちら…〕
そこに突然波長が合わないラジオのような女性の念声が一方通行で魔導師であるなのは達、そしてヴェイダーの内に伝わる。
なのはは空を見上げながら念声で応答する。
〔…こちらアースラ派遣隊!シグナムさんですか?〕
念話が繋がると彼女の応答の声はシグナムと呼ばれた女性に伝わり、鮮明な声が返ってくる。
〔その声はなのはか? そちらは無事か?〕
〔はい。機械兵器の襲撃があったんですが……まさかそっちも?〕
シグナムの意味深な口調に勘繰って尋ねると。彼女は〔いや……〕と答え、間を置いて言葉を紡ぐ。
「こちらは襲撃ではなかったが。
危険を避けたからすでに無人だったのが不幸中の幸いだったが……発掘現場は跡形もない。
今日の任務、気楽にこなせるものではなさそうだな。」
思わしくない口調でシグナムはそう感想を述べる。


なんだ……これはさっきのカプセル型のドロイドの群れが砂地の中を浮遊して接近している……。
突然、先ほどと同じ物体を感知しヴェイダーは空を見上げてフォースが導く先を辿り。それが念話先の女性の居る場所の近くだと理解した。

「高町二等空尉、彼女に伝えてくれ……ドロイドの動きがそちらの近くで感じられる。」
「え……。」
突然、ヴェイダーから告げられた話に応答していたなのはは勿論、はやて達も一瞬言葉を失う。

なんでそんな事が解るの……。
黒い甲冑に包まれ、マスクを介して機械のような声で話をする彼の姿を見やりながら返ってくるわけでもない尋ねを……なのはは心の中でそう彼に投げかける。
それでも先ほど機械兵器を破壊する際に石塊を持ち上げた力は魔法ではないことは明らかで彼はそれを使いこなしている。
『自分たちの知らない力を持っている』この人は自分たちの知らない何かが解るのかもしれない、しかし。
どこかで自分は彼を信じたい。そう思っていた。
はやてと視線合わせれば彼女も同じことを考えていたのか自分を見て頷く。
信じてみたい。そう言っているかのように思える。
そして、なのはは判断を下す。
「解りましたヴェイダーさん、あなたを信じます。 シグナムさん。」

〔何だ?〕
〔こちらの場所で協力してくれた民間の騎士の方がシグナムさん達のいる場所近くで機械兵器群の動きを感じたと教えてくれました。十分気をつけてください!〕

観測基地のシャリオの報告から聞き知っていた「民間の騎士」その名を耳にした途端シグナムはどこか期待に満ちているかのような声色で応答する。
〔そうか……了解した。こちらも先程、ヴィータとシャマルを呼び出した。合流次第警戒しつつ探索を開始する。〕
〔気をつけてくださいね、シグナムさん。〕
〔フ、誰に言っている。そちらも警戒を怠るなよ、モノがモノだ。〕
笑みを含んだ声で返ってきたシグナムの言葉に苦笑しながら「すいません。」と訂正して、なのはは彼女と念話を終えてヴェイダーに向き直る。


「ヴェイダーさん、いまからロストロギアを無事に回収するために私たちは転送場所まで空から移動します。」
「そうだな……私は、ジェダイの騎士は。君たちの使う魔法を知らないし扱うこともできない。だいぶ私は足でまといだな。」
「いえ……あ、その。はい。」
はっきりと今の話の流れと今の自分の置かれている状況について述べるヴェイダーに少し気まずそうになのはは相槌を打つ。

「あのー、それでしたらなのはさんがロストロギアを持って。
はやてちゃんとフェイトちゃんがヴェイダーさんを抱えて持つのはどうですか? 戦闘機人に近いのでしたらそこも問題ないはずですし。」
「それ名案や!」
どうにか彼も転送場所に連れて行きたいと考えて述べたリインの意見にはやては微笑んで賛同するが、発掘員に避難するように指示をだしてこの場から離れさせ。
なのはから話しを聞いたフェイトは苦笑いを浮かべる。

「はやて待って、ヴェイダーの体重は……?」
「あ…………いくつ?」
フェイトの質問に気付き。
はやてとリインは急停止し、二人して彼に耳を立てて尋ねた。

一方、ヴェイダーからすれば大の大人が少女二人に抱えられるのはなんだか情けないと思っていた。が、された質問にはちゃんと答えなくてはと想い。
小さい声で体重を答える。
「私の体重は**(不明の為、読者様のご想像にお任せします。)kgだ。」
「無理や!」
「無理です!」

予想以上の重さを彼から教えられ、二人の反応にフェイトは「やっぱり……。」と言った表情をしていた。

「でも、本当にヴェイダーさんどうしようかな……。」
「方法なら、飛ぶ以外可能な方法はある。」
冷静の口調で「問題ない」と述べるヴェイダーに考え込んでいたなのはは聞き返す。
「本当に!?」
そこで彼がなのは達に告げたのは確かにひとつの方法であった。
「安心しろ、フォースで跳ぶ。」
「……え」



第12管理世界
「聖王教会」中央教堂。

以前、この場所で未来の預言を見た女性は今。
モニターに映る第162観測指定世界を見ながら、アースラとの通信をしていた。


『片方は無事、確保できましたが……もう片方は爆発で発掘現場ごとロストしてしまっています。
爆発現場はこれから調査、ならびに捜索を行います。』

教堂の最前列の席に腰掛け、一通りの報告を受けた女性は通信相手であるアースラの艦長クロノ・ハラオウンに浮かない表情で聞き返す。
「クロノ提督、現場の方たちはご無事でしょうか……?」
『ええ、現地の発掘員、こちらの魔導師たちにも被害は何もありません。』

にこりと優しい笑顔で「安心してください。」と答えてくれた彼に聖王教会 教会騎士団の騎士。カリム・グラシアは「よかった。」と心からの安堵の笑顔を浮かべる。

『現場発掘員の迅速な避難は貴女からの指示をいただいていたからこそです。騎士カリム。』

「危険なロストロギアの調査と保守は管理局と同じく聖王教会の使命ですから……。
こちらのデータでは無理矢理な開封や魔力干渉しない限り「レリック」の暴走、暴発はないと思われますが現場の皆さんに十分気をつけてくださるようお伝えいただけますか。」
カリムの願い出に「もちろん。」というようにクロノは頷く。だが、そこで彼女にある報告をする。
「それと……異世界から来た『ジェダイ』という漆黒の騎士が居合わせたのです……」
「異世界からの騎士?」
「ええ、『遠い星から来た』とこちらの魔導師に言ったそうです。預言の騎士では?」

「っ!?」
彼の確認にカリムは途端に言葉を失ってしまう……預言の言葉を思い出す。
『遠い古 はるかかなたの銀河に暗黒世界をもたらした者と、その暗黒に光をもたらし。世界を救った騎士が現れる。』
そして、カリムは告げる。
「クロノ提督。その騎士のお名前は解りますか……?」
「彼は、ダース・ヴェイダー。と名乗りました。任務が終わりしだい彼から話を聞こうとおもいます。」
「ではその後で彼についての報告を頼んでかまいませんか?」
「勿論です。では……。」
彼から通信が切られ。
カリムはモニターに送られた漆黒の騎士の映像を見入る。

黒いマントが風に靡き、不気味な呼吸音を発して機械を介して出すような声。
しかし、その奥に宿る青年の声が微かにカリムには聞こえていた。
クロノから教えられた名をカリムは反駁する。
「ダース・ヴェイダー……漆黒のジェダイ騎士。」

そして、数時間後にクロノ、そして彼女と限られた者達だけ。ダース・ヴェイダーの真の名を知ることになるのであった……。

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最終更新:2008年07月07日 19:19