機動六課が解散して早半年。
僕は自然保護隊でパートナーのキャロと一緒に働いている。
六課とは全く違う職務に初めは戸惑ったけど、今では皆の足を引っ張らない程度には成長できたと思う。
「エリオ二等陸士。ちょっといいかい?」
それは隊舎から出ようとした時だった。
隊長から急に呼び止められて、僕は足を止める。
「はい、何でしょうか?」
「急な任務が入ってな、君に行って貰いたい」
緊急任務。
話を聞けば、とある世界の地方で野生の猿が住人を襲撃しているらしい。
更に悪い事に、そこの世界の住人は魔力保持者がほんの一握りしかいなく、猿の退治も出来ないとか……
この話を聞いて。
魔法が無くても猿位ならなんとかなるのでは?
何故管理局が猿一匹の為に、わざわざ働くのか?
といった疑問は尽きなかったが、任務なので仕方が無い。
僕は単身その世界へと転送されていった。
………これは酷い。酷過ぎる。
その世界に辿りついてからの最初の感想がこれだった。
道という道に猿がいて、昼間なのに人影は全く見られない。
農園に平気で入り込み農作物を漁る猿達。
僕を見るなり数匹の猿が飛び掛ってきた。
あぁ…これは住民達が救助を求めるのは無理ないな……
デバイスを起動させて、バリアジャケットを展開。
ストラーダを横薙ぎにして猿達を吹き飛ばす。
非殺傷設定にしているが流石にかわいそうだと思う。
だが仕方が無いのだ。
人間側のエゴだとは分かっているが、住民に害を為す以上は何とかしなければいけない。
これは一種の生存競争なのだから……
辺りのサルを粗方片付けた時点で家から出てきた村長らしき人物。
感謝を述べながら、村の住人達に指示を出して猿を捕獲させていく。
それからも作業は順調に進んでいった。
僕が気絶させた猿を村の人達が捕獲してゆく。
この作業の連続で2,30匹は捕獲しただろうか?
村の人によるとこれでまだ半分らしい。
とりあえずは順調だったのでキリのいい所で休憩を取る。
少し興味があったので村の方々に今までの猿の被害についていた時のことだった。
突如、西の方角から昼間でも分かる眩い光が発生する。
あれは……魔力反応!?
驚く僕を他所に、次々へと自宅へ逃げてゆく住人達。
そして僕は見た。
今までに見たことが無いくらいの巨体。
その巨体が二本足でしっかりと立っている様は圧巻としか言いようが無い。
彼が身に纏うのは一般的な管理局員のバリアジャケット。
彼の手に携えられているのは明らかに杖型のデバイス。
「い……いかん!!ベンが完全武装している!!」
完全に狼狽している村長。
気持ちは僕にも分かる。とてもよく分かる。
何で猿がデバイスで武装してるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
その後、何故かSランク級の砲撃をバンバン仕掛けてくる猿相手に必死に逃げ回ったのはいい思い出です……まる
最終更新:2008年07月27日 13:28