OK,まずはいいニュースから行こう。
その日、世界は素敵な状態だった。
ロシアでは現在の政府支持派と超国家主義者たち――スターリンを崇拝し、旧ソ連復活を目論んでいるテロリスト集団が衝突して内戦状態。
一万五〇〇〇発もの核弾頭が、危機に瀕している。
で、中東のアル・アサドとか言う権力者と手を組むつもりらしい、この超国家主義者たちは。
別にいつものことだから、大して気にしてない。
もう一つ、こっちは悪いニュースだ。
俺は明日には第二二SAS連隊に配属される予定だったんだ。
だと言うのに、列車は人身事故で止まってしまっている。
SASの選抜試験を奇跡的に抜けたのはいいが、変なコールサインをもらって挙句この様だ。
神よ、いるなら答えてください。俺、何かしました?


その日、二人の若者が出会った。

「――お宅も足止め食らったクチ?」
「ああ、これから故郷の国に帰る予定だったんだが……」
「そうか……まぁ、列車が動くまでの間ゆっくりロンドンを観光してなよ。何だったら案内するよ。俺は――」

出会った二人の若者の名。
片方はジョン・"ソープ"・マクタヴィッシュ軍曹。第22SAS連隊所属の、新米SAS隊員。

「いや待ってくれ、僕は未成年――」
「固いこと言うなよ。ほら、ビールは冷えてるのばっかりが美味い訳じゃないぞ」
「一応仕事の帰りなんだけれどな……」

もう片方は、クロノ・ハラオウン執務官。時空管理局所属の、次元航行艦"アースラ"の切り札。


二人の出会いは、それだけで終わるはずだった。
思わぬ足止めを食らったおかげで、いい奴に会えた。あとは思い出の一部となって、記憶の片隅に留めておくだけ。
――そのはず、だったのだが。

「ソープ、飛び乗れ!」

嵐の大洋、荒れる海に飲み込まれつつある貨物船の甲板上。
――誰かいる!
脱出のヘリに飛び乗ろうとしたその時、ソープは不意に背後から人の気配を感じた。
この手の分野では傑作と名高いMP5の銃口を素早く振り回し――彼は、引き金にかけた指の動きを止めざるを得なかった。

「……クロノ!?」
「――ジョン!? なんでここに……っ」

再会。しかし、その真意を問うには、お互い残された時間があまりに少なかった。


場所は変わって、中東。
一人の兵士が、戦っていた。
理由なんて、後から考えればいい。目の前の敵を撃つ、撃つ、撃つ。ひたすらに撃つ。そうしなければ、やられてしまう。
だけども、仲間を見捨てようとは思わなかった。
例え核兵器が目の前で爆発する恐れがあったって、構うものか。一人の仲間も、見捨てない。

「ジャクソン、彼女を救助するんだ! 一分以内に連れて来い!」
「了解、援護頼む」

彼の名は、ポール・ジャクソン軍曹。海兵隊第一偵察大隊"フォース・リコン"のベテラン兵士。

だが――仲間を見捨てない、それ故、彼は地獄を見る羽目になってしまう。
彼を地獄に送り込んだのは――

「――ザカエフ」
「え? プライス大尉、今なんて……」
「イムラン・ザカエフだ」

「一五年前だ、ジョン……いや、ソープ。僕の世界の方で、あるロストロギアがこっちの方に流出したんだ」

全ての元凶は、一五年前から始まっていた。

「リーダーは我々を売り飛ばした……文化を汚し、経済を崩壊させた。名誉も――我らの血は、祖国の土に染み込んだ。私の血も」

全ての元凶が、動く。自らの理想を実現させるため、世界を破壊する。

「アメリカとイギリスの全軍隊は即刻ロシアから立ち去るがいい。さもなくば苦しむ結果になるだろう……」

予想される損害は、アメリカ本土東海岸一帯が全滅。予想死亡者数は、四十万人を超える。
食い止めなくては。
組織の壁など、もはや関係なかった。今動かなければ、未来はお先真っ暗だ。
SAS、海兵隊、そして管理局。三つの組織の精鋭たちが、動き出す。

「ソープ、ジャクソン、クロノ、ザカエフを追え! ここは俺とギャズ、グリッグが抑える――元凶を断つんだ、これで終わりにしろ!」

世界を滅ぼすのは人間の力。
それを止めるのも、人間の力。
兵士たちは、紛れもなく"人間"だった。

「ソープ、了解」
「ジャクソン、了解だ」
「クロノ、了解した」

飛び交う銃弾、魔力弾。全ては世界の未来のため。
交わるはずのない線が交わった時、兵士たちの戦いは、もう一つの結末を迎える。


Call of Lyrical 4


戦いは、まだ始まらない――。


おまけ1

「――プライス大尉、一つ質問があります」
「僕もです、プライス大尉」

ブリーフィングが終わった直後。
指揮官のプライスが最後に何か質問はないかと皆に問うと、真っ先に手を伸ばす者がいた。ソープ、それにクロノだ。

「何だ、二人とも」
「このザカエフの息子なんですが」

ソープは配布された資料の中から今回の作戦目標、ザカエフの息子の写真を取り出す。
SASの隊員皆が興味津々とした視線を送ってくる最中で、クロノが口を開く。

「どうして戦場のど真ん中で上下ジャージなんでしょう?」

ブリーフィングルームに、ため息と罵声が響き渡った。
詳しくは「Call of Duty4」をプレイしてね!

おまけ2

「ブラボー6、聞こえるか? プライス大尉、航空支援を送った。活用してくれ」
「航空支援だって? コールサインは?」

<<Omega11 Engage>>

「帰れ、お前は」

サーセン。

おまけ3

「ブラボー6、聞こえるか? さっきはすまなかった。プライス大尉、今度こそ航空支援を送った。活用してくれ」
「さっきのはイジェクト(脱出)して落ちたな、何しに来たんだか……で、今度の航空支援のコールサインは?」

<<Mobius1 Engage>>

「――ちょ、マジで?」

嘘です、たぶん。

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最終更新:2008年11月16日 18:46