突如として幽閉を解かれたスカリエッティだったが、その身柄には厳重に、高ランク魔導士による監視と護衛の手が届く範囲内に置かれていた。
彼が連れ込まれた一室は、殺風景な内装に、デスクとコンソルが置かれた事務室のような一角であった。
窓はなく、照明は薄暗い。
「一体どういう風の吹き回しかね」
両脇を固める魔導士に問いかけても、答えは返ってこなかった。
部屋には数人の、所属部署や階級を示すものがつかない黒服をまとった男たちがおり、スカリエッティにデスクへ座るよう促した。
「このコンソルはこの部屋の内部で完結するデータバンクだ」
挨拶もなしに、一番背の低い、しかし目つきが最も鋭い男が語りだす。
「なるほど、外と通信しようとしても無駄、監獄のシステムをハイジャックするなどという真似もできない、そういうことか」
鼻で笑いながらスカリエッティは返答する。自分に端末が与えられるならば、それくらい当然だと考えていたからだ。
今更、何を言うのだといわんばかりである。
「生憎、今回の事件に関して最適の人材が君らしくてね。まぁ、この生物について少しばかり調べてくれればいいのだよ」
男がコンソルに触れると、二重らせん構造のホログラフと共に、それを構成する配列のデータが次々と示され、それがなにがしかの生物の遺伝子情報であることを即座に理解させた。
「そんなに厄介なのかい?」
スカリエッティは問う。
「ああ、厄介さ。君の自慢の娘たちが4人も犠牲になるほどな」
狂った科学者の顔から笑みが消える。殺気を持った眼が、黒服に向けられた。
だがその両脇は、とっさに護衛の高ランク魔導士に捕まれ、動きを封じられる。
黒服の表情は、スカリエッティと逆で、最初から今まで眉一つ動いていなかった。
「貴様……いいだろう、わかった。そこで指を咥えて見ているがいい。凡人め」
「デバイスが次から次に暴走した、と」
査察官と向かい合った席に座るヴィータは、両腕で頭を抱えて突っ伏し、今にも消えそうな、それでいて震える声で、ようやくそれと解る頷きを共に肯定した。
「単なる精神錯乱や魔力的洗脳、幻惑の類ではなかったということかね」
それに対しても、ヴィータは頷いた。
いつもの快活な彼女の姿はここにはない。肉食獣に狙われた小動物のごとく怯え、青ざめた顔には生気らしいものが見受けられなかった。
彼女は本局の内部にいるにも関わらず、バリアジャケットのままだった。
大破した次元航行艦で第220管理世界から本局へ戻る間も、ずっとそうだった。
それを解除するよう、本局のスタッフが薦めたところ、半狂乱で拒否したのだ。
ヴィータは明らかに何かに怯えていた。しまいには、泣きながらバリアジャケットを解除させないでくれと懇願するほど、それは顕著であった。
よく見れば、彼女はどこにも、グラーフアイゼンを持ち合わせていなかった。
ハンマーの状態でも、アクセサリの状態でも、それは存在しなかった。
査察官は、憐れむような声でヴィータに問いかけた。
「君のデバイスも、やはり主人に牙をむいたのかね」
瞬間、ヴィータは身体を大きく震わせた。同時に発せられる悲鳴。
守護騎士のものとは思えない、何かケモノの断末魔のような悲鳴。
耳をつんざいたそれがようやく消え、耳を塞いでいた査察官がおそるおそる耳から手を離すと、ヴィータはひどい声で鳴いていた。
吼えるような号泣だった。顔は醜く歪み、口から発せられる言葉にはおよそ人間の解する意味が見出せないほど。
「大丈夫か、二等空尉。落ち着きたまえ……私だ、メディカルスタッフを寄越してくれ。
鎮静剤が必要だ。二等空尉の精神状態は聞き取りができる状態にない」
その間中、堰を切ったように、否、ダムが決壊したかのように泣き続けるヴィータは、ただひたすら、デバイスと部下に対する謝罪の言葉を、狂ったように吐き出し続けた。
ヴィータがメディカルスタッフに注射を打たれ、ぐったりして運び出されてから、査察官は頭をかきむしって、あの、ナリは小さくとも自分より数段上の魔導士に何があったのか想像した。
それは無駄だった。何があったのか知っているものは、もう彼女しかいないのだから。
ヴィータは、第220管理世界で発生した緊急事態鎮圧に当たった部隊の、唯一の生存者であった。
メディカルスタッフの作業はシャマルが引き継いでいた。
ヴィータは、今はベッドで寝息を立てている。それ以外に処方箋がなかった。
シャマルの言葉にすら、ヴィータはまともに反応できなかった。
怖い、助けて、嫌だ死にたくない、みんな置いていかないで、あいつらが来る、なんで私を攻撃するんだ、アイゼンやめて、私だよアイゼン、どうしちゃったんだよ。
物凄い形相でそんな言葉の羅列をひたすら吐き続けるヴィータ。
守護騎士であるシャマルには、同時にヴィータの感情が流れ込んでくる。
それに対し、シャマルは心配よりむしろ恐怖を覚えた。
このヴィータは自分が知っているヴィータではなかった。元々彼女は子供っぽい、いや、大雑把で感情的なところがあったが、ここまで取り乱し、錯乱するような、神経のやわな守護騎士ではなかったはずだ。
それが今はどうだ、ヴィータの心は壊れて変質してしまっている。
自分に向けられる何もかもが信用できず、自分の殻の中に閉じこもって、やってくるもの全てを脅威と認識するようになってしまった。
一体どれだけの恐怖が彼女の心を蹂躙したというのか。シャマルはそれを思うと、得体の知れぬ恐ろしさを感じずにはいられなかった。
同時に、守護騎士プログラムが以前より劣化していているのが不幸中の幸いだと感じる自分に対する嫌悪も。
もし以前のようだったら、ヴィータが本局に戻ったとたん、自分もヴィータの恐怖を共有して、発狂していたかもしれない。
ホログラフでTVを見れば、どこの局も、ヴィータが交戦したという第220管理世界の異変と、それに伴う各管理世界間の移動制限を大ニュースとして朝からずっと放送し続けていた。
「あら?」
シャマルは手の甲に冷たいものが触れた感触を覚えた。
何かと思って目を凝らせば、水滴が付着している。次いで、目を凝らしている、自分の異常さに気づいた。手の甲を見るのに、目を凝らす必要などあろうか。
しかし、現実に視界は滲んでおり、よく見えないのだ。
そこでようやくシャマルは理解した。自分は泣いていた。
「あれ?え……」
涙が止まらない。一度出始めた涙が止まらない。
それはヴィータにだけ向けられたものではなかった。
ここにいない、ニュースでずっと伝えられているあの第220管理世界にいまだ居る、生きているのか死んでいるのかも判然としない、烈火の将にして剣の騎士。
そう、シグナムが帰っていないのだ。
また、彼女とユニゾンしていたアギトも同様だった。
「……これは、狂っているね」
スカリエッティは、採取された遺伝子情報の仮想コピーを解析するうちに、胸の内から、ふつふつと、生理的な嫌悪が湧き出してくるのを感じた。
そこに、マッドサイエンティストとしての彼は微塵も存在しなかった。
「君が狂っているなどと評する存在がこの世にあろうとはな」
より大きな狂気と対峙していたからである。
スカリエッティにはもはや、背の低い黒服の言葉も耳に入らない。興奮した様子の彼は、同時に憤慨しているようだった。
その感情をコンソルに拳で叩きつけ、唸る。
「この遺伝子は、他の全ての生命の宿敵だ」
生命を散々冒涜してきたスカリエッティの口から、そんな言葉が飛び出したことに、黒服は口元を釣り上げ、皮肉まじりに言った。
「一体、それはどんな存在なのだね。君と、どっちが狂っている」
「私など足元にも及ばないさ」
即答。スカリエッティは続ける。
「この生命体は、知的存在に寄生し、それを利用して増殖する化け物だ。肉体を食うのではない、知能を欲する。知性体なら、動物だろうとデバイスだろうと、おそらくコンピュータでさえも分け隔てない」
真偽をはかりかねるように、黒服は問いかけた。
「知能を、食うのか?そんなものが食えるというのか」
「その通りさ……まったく、狂っている。自分の周囲に惑星外殻を形成し、魅力的な資源を生み出して知的生命を呼び寄せ、繁殖に必要な一定数が集まったところで、働き蜂のような巨大生物を一挙に放出して捕まえるんだ」
グロテスクな解説に、黒服の顔が一瞬引きつる。しかし、やはり一瞬は一瞬で、元の調子に戻った彼はすぐにスカリエッティから次の情報を求めた。
「それが第220管理世界での異変の正体か」
「それだけではない」
スカリエッティは一呼吸おいて、ここが肝心だ、と念を押して、続けた。
「知的生命が持ち込んだあらゆる知性を持つ存在、おそらくデバイスもガジェットも、質量兵器でさえも、この遺伝子を注入されれば、こいつらの仲間、生態系の一部に変質してしまうんだ。そして主人に牙を剥く」
「デバイスが一斉に暴走したというのも、それが原因ということか」
「多分そうだろう。そして、捕まった人間は――」
ヴィータを見舞いにきたはやては、ただ眠り続けるヴィータの手を握ることしかできず、見舞いというにはあまりに寂しいことしかできなかった陰鬱な気分を、本部の窓から外宇宙を眺めることで晴らしていた。
「シグナムは帰ってこない、第220管理世界は厳重閉鎖、どうしたらええんやろな」
晴れない分は、さらに言葉となって、同行してくれた友人たちへの弱音となった。
隣にいるのは、高町なのはだ。彼女もまた、"自分がついていれば"と、無力感、そして喪失感を隠せずにいた。
何より、現地の状況が何もわからないのが、高度に情報を共有できる管理世界で日常的に過ごしてきた彼女らを苦しめる。
だが
「二人とも、あれを!」
その感傷は、はやてに付き添ったもう一人、ザフィーラの声で唐突に打ち切られた。
ザフィーラが指差す方向には、大破した――ヴィータたちを乗せて帰ってきた――次元航行艦が、
「……え?」
「……なんや、あれ」
目に見えるかたちで変質していた。
外部装甲に開いた穴、その中に見えるのはジェル状の赤黒い、波打つ物体。
あちこちにできた破孔からは、例外なくそれが見え、そして外部装甲は
簡易桟橋に係留されているだけにも関わらず、次々と剥離しはじめていた。おそらくは、内側から赤黒いジェルに押されているのだろう。
「ひっ……!?」
そして、その次元航行艦の周囲で船外活動を行っていたクルーたちは、赤黒いジェルが、まるで生きているかのようにぬらりと伸びるたび、次から次に
「いかん、やつは人を食う!主、指揮所に連絡を……」
「やっとる、でも念話が繋がらん……なんや、なんやの!」
「落ち着いて、はやてちゃん!……ッ、レイジングハート!」
「It's me,my master?」
彼女の相棒がいつもの声で返事を返す。
バリアジャケットを一瞬で起動、白装束となったなのはが通路を駆け出すのと、警報音が通路に鳴り響いたのは同時であった。
はやて、ザフィーラがなのはに続く。しかし、何処へ?
答えはなのはが出した。
「間に合わない、そこのエアロックから出て直接攻撃する」
とんでもない答えを。はやては目を丸くする。
「なのは、本気で言っとるんか!?」
「はやくしないと、本局まで乗っ取られるよ!」
なのはの言葉に、はやてはエアロックの観測窓から次元航行艦を見やった。
本当だ。既に桟橋までもが食われはじめている。
全体が斑点のように赤く染まった次元航行艦は、ジェル状の何かを一挙に突出させ、それは奇怪な怪物を象った何本もの首へと変貌した。
驚く間も無く、首から一斉に青白い光線が放たれる。狙いは――
鎮静剤を打ったはずのヴィータが、何か喋っているのを目にしたシャマルはぎょっとしてヴィータに駆け寄った。
目が開いている。しかし光はなく、どこに焦点が合っているのかもはっきりしない。
胡乱な目をしたヴィータ、その口は、およそヴィータのものと思えない言葉を、奇怪なアクセントで放出していた。
「ふぃロソマ キどウ ターゲっと コンタクト げのム 放出 ゲノム げノム げnom……」
「ヴ……ィータ、ちゃ、ん?」
シャマルはたじろいだ。彼女は自分の足がヴィータから離れつつあることに気づいた。
無意識にシャマルはヴィータに恐怖していたのだ。
そういえば、ヴィータは起きて喋っているにも関わらず、その思念がちっとも自分に伝わってこない。
鎮静剤を打たれて運び込まれてきた矢先、うなされていたヴィータの感情は、確かに自分に流れ込んできていたし、さっき見舞いにきたザフィーラや主とも、確実に繋がっていというのに。
一体何が起きている?シャマルは理解不能を和らげるために、医療用コンソルに駆け寄って、ヴィータの脳波から現在の状態をチェックしようとした。
コンソルの画面は一種類の英単語でびっしり埋め尽くされていた。
「いやぁぁああああぁぁぁあああ!!??!」
飛びのいたシャマルはそのまま尻餅をついた。
一瞬送れて、まるで眠りから目覚めたかのようにそいつはホログラフ画面を、部屋中に投影した。そこに写っている文字が、何を意味しているのか、シャマルにはまったく見当がつかない。
PHILOSOMA
念話がどこにも通じないことに気づいたシャマルが、這いつくばって内線の受話器に手を伸ばしたのと、部屋のホログラフ画面を覆いつくすアラート表示と共に警報が響き渡ったのが、ほぼ同時だった。
「そうか、わかった。博士は非常に協力的だ……間に合うかわからんが、ああ、後で」
黒服は、スカリエッティとの話の途中で外線に出て、なにやら狼狽した様子で二分ほども話し込んだ後、戻ってきて、言った。
「捕まった、やつは、どうなるんだ」
彼は、もはや動揺を隠していなかった。スカリエッティの説明がすべて真実だと思い知らされたのだ。管理局本部は今、説明されたのと同じ状況下にあった。
「捕まった人間は――」
スカリエッティも、何が起きたのかだいたい察していた。次元世界は、この狂った生態系の攻撃に曝されている。
「……最低限の臓器と、脳を取り出され、袋詰めにされた状態で、生かされ続ける。いや、これは生きているとはとてもいえない。仮死状態と言っていいだろう、意識など保てるわけがない。
そんな状態にされた住人たちは、地下深く、惑星中心核付近の空洞に運び込まれ、そこに貯蔵されるんだ。『それ』が誕生するまで」
黒服たち、それにスカリエッティを監視していた魔導士までもが、絶句していた。
説明が本当なら、文明の保護と永続を目的とする時空管理局にとって、最大限の、最悪の敵にほかならない。
スカリエッティは、なおも続ける。
「『それ』は、あまりに防衛機能が発達しすぎたために、自身では受精することすらできないんだ。
惑星中心核が受精卵、そしてそれを受精させるための精嚢生物、全長数キロメートルにもおよぶ巨大生物は、精嚢を『割ってくれる』誰かを求める。だから、一見無意味なようだが、捕獲した人間を生かしておくんだ」
室内がどよめいた。スカリエッティと対面していた黒服が、まさか、と問いかける。
「第220管理世界からの要救助者反応は……」
「そうだ」
スカリエッティは、青ざめた黒服に、冷静に答えた。
「『それ』が、自らを増やすために、我らを呼び寄せるための、罠だったのだよ」
彼女たちのデバイスは、メディカルセンターのヴィータ同様に、意味不明な単語を並べながら、主人の言う事をまったく聞かなくなっていた。
「Genom hack Genom hack Genom hack Genom hack」
「レイジングハート、レイジングハート!はやてちゃん、レイジングハートがぁっ!!」
「くそぉ、魔力がうまく制御……あかん、ザフィーラ!」
「うぉぉおおおっ!!」
そう。ガメトサイト遺伝子に汚染されたのだ。
知的オブジェクトを利用し、惑星規模の生命体を受精させる生態系『フィロソマ』
憎悪と恐怖の永遠の象徴。空間を駆け巡り、宇宙のあちこちに遺伝子を飛ばして
知性体を求め続けるそれは、次元航行艦のメインコンピュータと、ヴィータという媒体に
自らの遺伝子を運ばせて、管理局の中枢である本局までやってきた。
魔法で真空に耐えつつ戦っていた三人だが、デバイスが暴走したことに加え、施設内のシステムが侵食されダウンしたことにより、状況がつかめず、後退せざるを得なかった。
フィロソマ化した、次元航行艦だったバケモノから発射されるハイパワーレーザーを
ザフィーラが受け止め、弾くことでどうにか逃走に成功したものの、デバイスは役に立たず、そしてそれらは汚染されている。
だが、汚染されているという情報は、彼女たちについに伝わらなかった。
シャマルはヴィータすら連れて逃げ、途中でアコース査察官やフェイトとティアナ、最終的に果敢にも挑んだなのはたちと合流し、脱出を図った。
寧艦されていたアースラに集まった面子が本局を脱出したとき、第9無人世界の軌道拘置所と本局の交信は、既に断絶状態だったのである。
スカリエッティの仕事を知っているものは脱出できず、動かない通信システムと共に、本局の奥深くに閉じ込められ、光り輝くカゲロウを見ることになる。
スカリエッティの仕事を知らないものは、汚染された知性体と共に脱出し、管理世界のあちこちにガメトサイト遺伝子を持ち込むことになった。
「そう、フィロソマ生態系。本局……はなくなったから、時空管理局は、か。本日づけで同生態系を……いや、正確には、同生態系を構築するガメトサイト遺伝子そのものを、暫定的にロストロギアに指定した」
誰に話しかけているのか、クロノは焦燥した顔をこわばらせる。
まるで、自分のことで精一杯であるとでもいうかのように。
「これまで次元世界では多くのロストロギアが発見されてきたけど、まさか生態系や遺伝子そのものが指定されるだなんてね」
リクライニングシートを最大限に傾けて、クロノは天を仰いだ。
そこにあるのは天井でしかないのだが。
「管理世界のどこまで汚染が広がるのか、見当もつかない。どれだけの汚染で、どれだけの被害が出るのかも、まったくわからない……そして、誰が汚染されているかも、わからないんだ」
そう呟き、しばらく無気力な表情を見せたクロノは、はたと自分のデスクにある家族の写真を見やる。
そこにあるのは、平和だった頃、幸せだった頃の残渣があった。
つい先週まであったはずの、平和。
こんなことなら、自分も一緒に汚染されてしまえばよかったんだ。
クロノはあのとき、別件で遥か彼方、時空の向こうにいた。
おかげでフィロソマについての情報を事前に入手でき、管理局がまだ接触したことのない次元空間に艦を置くことで、どうにか安全を保っている。
もし管理局から指令が下れば、すぐ行動できる状態で。
おかげで、妻も、妹も、友人たち、部下に至るまで、仲間たちを助けることができないでいた。
相変わらず不明な他の次元世界の状況、仲間の安否、そういったものが、時間がたつごとにクロノや他のクルーたちの精神をすり減らしてゆく。
そしていつしか、彼らは受信するのだ。
「こちらミッドチルダ、管理局地上本部!誰か応答してくれ!」
「こちら時空管理局、次元航行艦『クラウディア』、受信した。状況を知らせよ」
「緊急事態だ、救援を頼む、惑星が……」
終わることのない戦いの始まりを告げる、それを。
ファイナルリポート
フィロソマ 受精 成功
ミッション コンプリート
次元世界 人類・デバイス 共ニ
受精拡大ニ 最適ノ存在
ニューフェイズ 移行段階
オーバー エンド
最終更新:2008年12月01日 05:21