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「…ふぅ」

レジアス・ゲイズ中将は今日もお疲れだった。

地上の少ない人員の遣り繰り、廃棄都市区画の治安維持、
そろそろ年齢的にやばい娘の結婚について、etc...
頭を悩ますことが多すぎるのである。

ちなみに娘は今日は家にいない。
なんでも学生時代の同窓会なんだとか。
あわよくば学生時代の恋人とヨリを戻すなりなんなりして
早く親を安心させてほしいものである。
まあそんなわけで本日は家に一人。
子供なら「夜更かししても誰にも怒られないぜヒャッホーイ」と喜んだかも知れないが、
この歳になるとそれなりに広いこの家に独りというのは少し寂しい。
しかし目下の問題はそこではない。

「腹が空いた…」

そう、夕食である。
普段は地上本部の食堂だし、料理なんてめったに家に帰れないため作り方はうろ覚えだし、
正直腹が減ってそんなことする気力なんて無いのである。
そんな時、新聞の折込広告が目に止まった。
ピッツァマンという名の宅配ピザの広告。

「ピザか…」

いいかもしれない。少し時間はかかるが自分で作って変な味の物を食べるよりはマシだろう。
そう思い、早速ピザを注文した。





「遅い…」

なんだこの遅さは。
ふざけてるのか。
30分以上かかるとかどういうピザ屋だ。
実になっとらん。地上本部の総力を挙げて取り潰してやろうか。

ピンポーン

「っ、やっと来たか。」

そう言いつつ、インターホンへ向かう。

「はい、ゲイズです」

『ピッツァマンでーす。ピザお持ちしましたー』

「はい、今ドアを開けますので」
一刻も早くピザを食べ、この空腹を何とかしたい。
そう思いながら玄関に向かい、ドアをに手を掛け―――

『あ、ドア開ける前に「ピッツァマーン♪」って言って貰えますか』

止められた。

「……何故だ」
『30リリカル引きになるんですよ』

ちなみにリリカルとはミッドチルダの通貨単位である。
レジアスは幾秒か懊悩し、そして結局

「………ピッツァマーン♪」

言った。
その途端、ドアが開けられた。

「そんなに30リリカルが欲しいのか」
「…貴様が言えと言ったんだろう」
「まあね♪」
「というか第一なんでこんなに時間かかってるんだ?どこにあるのだ貴様の店は」
「ここから300mほどですねー」
「じゃなんでこんなにかかっとるんだ」
「ほら、学校の近くに住んでる子ほどよく遅刻するでしょ。まあ、いわゆる油断ですよ」
「仮にも宅配ピザ屋だろう貴様。ピザが冷めたらどうする気だ」
「ははは。えーっと3870リリカルになります」


………………は?


「…すまんが、もう一度言ってくれるかね」
「3870リリカルになります」
「何でそんなに高いのだ」
「いや、キャンペーン中だから」

キャンペーン中?キャンペーンだったら普通高くなるんじゃなくて安くなるのが常識という物ではないのか?

「まあ、高いキャンペーンってのもギリギリ無い話じゃないですからね
 でもね、いまこれ付いて来るんですよ、これ」
「何だその段ボールは?景品か何かか?」
「これはですね、あのね」









「テレビ局開局キットです」






「は?」
「あのね、これがあればね、誰でも今すぐテレビ局開局できんの」
段ボールを叩きながら店員がそれについての説明を始める。
ぶっちゃけどうでもいい。早くピザを食べたい。腹が減った。

「嘘だろう」
第一こんな段ボール箱一個に入るだけの設備でテレビ局を開設出来る訳がない。

「あ、納得してないねあんた」
「するわけないだろう。………もしやこれが着いてくるからそんなに高いのではあるまいな」
「…ハァ、あんたも珍しい人だねえ。景品に文句つけるの?
 キャラメルのおまけにさあ、マリアージュの人形付いてたってさあ、何だこれってアンタ言わねえだろうがよ!」
「言うわあ!」

というか何だマリアージュって。新手の芸能人か何かか。

「やんのかあ!やらないよ俺は!
 いいから貰っといてよこれ。ね」
「いや、いいって言ってるだろう」
「ターダだから。どうもありがとー!」
「タダじゃなくて3270リリ…」

言い終わらない内にバタン、とドアが閉められた。

「さっきの奴はなんだ、まったく…」

後で絶対返しに行ってやる。
そう決めながらも、空腹で死にそうなのでまずレジアスはピザを食べることにした。




しかし、彼は知らない。
そのテレビ局開局キットが、彼をある陰謀 ―ゲーム― へと巻き込んでいく事を。




「戦闘機人ナンバー2、ドゥーエ。あなたに治安維持法違反の容疑で逮捕状が出ています」
「署までご同行願います」
「……私達戦闘機人はね、甲羅の無い亀にはならないのよ!」

「暗躍は生涯に一回位でいいけどバブルは二回あってもいい…そう思わないかい?」
「…そのバブルとテレビ局と何の関係があるのだ、スカリエッティ」
「つまり……Lyrical`s HIGHだよ。レジアス・ゲイズ」
「Lyrical`s HIGH……」

「いよいよ地上波からお別れかあ。これからはBSの時代やな」
「いや、地デジの時代だと思うのだが」
「まあ、それはさておいて衛星打ち上げロケットの準備は万端や。
 燃料の灯油もバッチリ満タンやで!レジアス中将!」
「灯油!?液体酸素と液体水素ではないのか!?」

「…ようやく追い詰めた、ジェイル・スカリエッティ。
 治安維持法その他諸々の違反で、逮捕します」
「わしはレジアス・ゲイズであの変態化学者ではない!
 お前の隣に居る男が本当のスカリエッティだ!」
「騙されてはいけない、ハラオウン執務官。…その恰幅のいい男が本当のスカリエッティだ」

「ご無事ですか、中将。…実はこの部屋には外に通じる穴があるのです」
「そこのポスターの裏だろう?だがCの字状になってて反対側の壁に繋がってるだけだったぞ」
「穴に入る前にちくわの神様にお願いしなかったでしょう?だからですよ。
 お願いすればちゃんと外に繋がります」

「二度とたけわと言うな。…ちくわと言え」
「もうたけわって言いません」

「ねえ、本当のメガネは心の中にある……そう思わないかい?」

「合言葉は、HELP ME」

「ピスタチオの豆で作ったピスタチオコーヒーです。飲みますか?」

『わしは聖王を人質にとったぞゴラァ!無事に帰して欲しかったら、身代金300万リリカルを払わんかゴラァ!』

「…牛丼屋でも、始めるか」

このゲームは、視聴率80%を取るまで終わらない。
Lyrical`s HIGH、いつかにつづく。

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最終更新:2008年12月30日 11:48