「カズマ君、機動六課に入らん?」

 はやてによる突然の提案から始まった混乱は、ようやく名前を手に入れた俺に新たな問題を降らせた。その問題とは、『今後』のことだった。

「私は何も考え無しに薦めたわけやないんよ?」
「そうなのか?」
 考えがあったのか、逆に。
「今失礼なこと考えたやろ~」
 何故この二人は俺の心が読めるんだ? 八神家とやらにはそんなスキルがあるのか?
「ま、ちゃんと説明するからよーく聞いてな?」



   リリカル×ライダー

   第三話『機動六課』




「カズマ君の立場は非常に危ういんや。ウチのエースオブエース、なのはちゃんを襲撃した時点で犯罪者として捕まる可能性があるし」
 そこでいったん言葉を切って、はやてが顔を上げる。
「何よりカズマ君のデバイスが不味いんよ」
 デバイス――と考えて頭に浮かぶ箱形の機器。中央に嵌め込まれた、黄金の三角形が浮かぶクリスタルが印象的だったアレだ。
「実はあれ、ウチらのデバイスとは違う特殊な物でな、上にバレると確実に接収されてしまうんよ」
「それのどこが不味いんだ?」
 厄介払いが出来る、と考えていた俺としては不味い点が思い付かない。おそらくあれのせいで、なのはという女性を傷つける羽目になったのだから。
「いやな、アレってユーザー登録機能があって、登録した場合は登録された人しかシステムを起動出来んみたいなんよ」
 登録者、か。この場合、実際使った俺がそれだという可能性が一番高いだろう。つまりは――
「俺も一緒に連れていかれるってわけだ」
 思わずキレそうになったのを堪える。顔か声に出ているかもしれないが。
「だから、機動六課に誘ったんよ」
 はやてがこちらの顔を視界に収めながら言った。今までにない、真剣な表情で。
「何でそこに繋がるんだよ?」
「既成事実というやつや。機動六課に入ってしまえばこの前の事件は訓練中の事故として処理できる。デバイスについても誤魔化しが聞く。シャーリーが開発したと言えば上も納得するやろし、中身もでっち上げの説明が出来る。カズマ君の処分も決まるし……どや、完璧やろ?」
 先程とは打って変わり、会心の出来とばかりにニンマリと笑みを浮かべたはやてを見て、睨むのを止めた。やはり苦手であることは間違いなさそうだ。
「勝手にしろっ」
 どちらにしろ、自分にはどうしようも無さそうだ。ここは彼女に任せるしかない。
 ただ彼女の勝ち誇った笑みに、思わず不貞腐れてしまったのが悔しい限りだ。



     ・・・



 その部屋には五人の人物がいた。一人は大きなベッドで横になっており、残りの四人はベッドの横に並んで立っている。
 ここは高町なのはとフェイト・T・ハラオウンの部屋だ。ベッドに寝ているのは部屋の主であるなのはであり、横に並ぶのは先程なのはと共に訓練を行っていたフォワード陣である。
「なのはさん、すみません。はやて部隊長に言われて訓練後の書類作成とシミュレーターの事後処理を行っていたため、訪ねるのが遅くなりました」
「ティアナ、気にしないで。ちゃんとお仕事しただけなんだし」
 ティアナと呼ばれた橙色のツインテールが特徴の少女を、なのはと呼ばれたベッドに横になった女性が優しくなだめる。
「なのはさん、大丈夫ですか? どこか痛いとか、その……」
「スバルは優しいね。大丈夫、わたしは隊長さんなんだから」
 青髪ショートヘアの少女、スバルが心配そうに問いかけるのを、なのはが苦笑しながら止める。
 彼女達の隣に立つ少年と少女も心配そうになのはを見ていた。
「エリオもキャロも見舞いに来てくれてありがとう」
「そ、そんな! 当たり前ですよ!」
「なのはさんが入院していた時も心配したんですから!」
 エリオと呼ばれた少年と、キャロと呼ばれた少女が頬を紅潮させて叫ぶ。子ども故の、純粋な反応だ。二人は心の底からなのは心配しているのだろう。
 なのはが目尻に涙を浮かべながら二人の頭を撫で、それに呼応してスバルまで泣き出す。それに呆れつつも彼女の背中を叩いてなだめるティアナ。
 そこには上司と部下という垣根を取り払った暖かな関係が伺えた。
「そう言えばティアナ、習得したスターライトブレイカーはどうだった?」
 なのはがティアナに語りかける。
 この二人は考え方の違いから以前は上手くいっていなかった。だが、ある事件がきっかけに今のような信頼関係を築けたのだ。戦い方も似ていることから、現在では完全に師匠と弟子のような関係になっている。
「まだまだですよ。魔力収集と反動が全然制御出来なくて……」
 ティアナは射撃型魔導師であり、砲撃型魔導師であるなのはとよく似ている。しかしティアナは魔力量が少なかったので、決め手となる砲撃魔法が満足に使えなかった。
 その対策としてなのはが教えた魔法こそが、『スターライトブレイカー』である。
「モード3解放も、スターライトブレイカー習得もしたばかりだし、これからだよ」
 ティアナになのはが微笑みかける。
 ちなみにスターライトブレイカーはなのはの切り札の一つである。そのためティアナは他人の魔法を借り受けていることに後ろめたさと申し訳無さを感じている。だからこそ彼女の今の目標はスターライトブレイカーを独自にアレンジし、オリジナルの魔法として修得することだ。
 そしてティアナは生来の生真面目さ故に、焦りを感じていた。
「なのはさん、また魔法見てもらえますか?」
 そんな焦燥故に発されたティアナの台詞に、なのはは力強く頷いた。



     ・・・



「……はやて、お前準備早くないか?」
 機動六課に入ることを決めてから数時間、俺はいつの間にか手続きに必要な書類を書かされ、オマケに制服まで着させられていた。フォワード陣用の制服らしい。
「善は急げ言うやろ? だからカズマ君が寝ている間に一通りの準備は済ませといたんよ」
 隣でシャマルさんも呆気に取られていた。彼女も知らされていなかったらしい。
 しかも書類の名字は『八神』と書かされたのだが、その時のシャマルさんは何故自分に相談しなかったのだと本気ではやてに詰め寄っていた。
「しかし何で制服なんて着てるんだよ。今日着る必要なんてないだろ?」
 そう言った途端、ビシッと人差し指を突き付けられた。
「あかんでっ! 機動六課に入るんやから挨拶ぐらいはするやろ!」
 だから気が早いんだって、はやて。
「そんなの正式に決まってからでいいんじゃないか? まだ目覚めてから五時間しか経ってないんだぞ?」
 実際まだ疲れが取れていないわけではないのだ。混乱もあるし、戸惑いもある。気持ちの整理をつける時間ぐらいは欲しかった。
「今日はもう皆への挨拶だけやし、終わったら休んでええから」
 ニコニコ笑いながら俺の心を読んだかのような発言をするはやて。
「あ、制服キチンと直しとってな。ウチはちょっとシャマルに話があるから。待っといてな~」
 彼女は言うだけ言ってさっさと出ていった。
 正直、こんな所で放り出さないで欲しかった。



     ・・・



「はやてちゃん、カズマさんを六課に入れた"本当の理由"を教えて」
 白のタイルが敷き詰められ、洗面台が配置されている部屋で茶髪の女性に金髪の女性が詰め寄る。
 ここは女子トイレであり、茶髪の女性ははやて。そして彼女に詰め寄る金髪の女性はシャマルである。
「やっぱりシャマルには隠し事できんなぁ」
 苦笑を浮かべながらはやてはシャマルを優しく押し退ける。
 こほん、と咳払いをし、彼女は表情をより引き締めた。
「シャマル、私はもっと出世するつもりや」
 シャマルも、彼女に合わせてより表情を引き締めた。
「私は今の地上本部を建て直したい。夢も叶えたい。そのためには、権力がいるんよ」
「それは、分かってるつもりだけど」
 短い金髪を揺らしながら、シャマルが答える。
 彼女も、はやてがそれを志していることは知っていた。今それが出てきたことが理解出来ないだけで。
「そして権力を得るためには自分の手足となる存在が必要になる。まぁ、ウチはシャマル達がいる分、恵まれとると思うけど。でも数は多い方が良い。それも使い勝手のいい存在が」
 ウチは家族を切り捨てたりは出来んから、と言ってはやては締め括った。
「その候補に、カズマさんを?」
「そ。記憶喪失の次元漂流者、使えそうやん?」
 正確には次元漂流者扱いやけど、と続けるはやて。唇の端を歪めながら。
「……それが、彼を六課に入れた本当の理由なの?」
「私を、軽蔑する?」
 彼女の問いに、シャマルは首を縦に振って答えた。
「嘘を言うはやてちゃんは、軽蔑します」
 にこり、と笑みを浮かべながら。
「私は、嘘なんか……」
「はやてちゃんは悪ぶったりするの下手ですから」
 はやては苦虫を噛み潰すような表情を浮かべ、シャマルを睨んだ。とはいえその目に大して力など込もってはいないが。
「シャマルには、嘘つけへんな……」
「シグナムでも気付きますよ?」
 悪戯っぽい笑みを浮かべるシャマル。
「で、本当の理由は?」
 その質問に、彼女は目を反らしたまま答え出した。
「少しだけ、昔の自分を思い出したんよ」
 その言葉は、一瞬で彼女達にあの事件の記憶を蘇らせた。
「もしかして、『闇の書事件』のこと?」
 『闇の書事件』。
 はやてとシャマル達、守護騎士ヴォルケンリッターが出会い、そしてなのはやフェイトとはやてが親友になるきっかけとなった事件である。
 事件の始まりはロストロギア『闇の書』の主に八神はやてが選ばれたこと。はやては『闇の書』の守護騎士システムによりヴォルケンリッターのシャマルやシグナム、ヴィータ、ザフィーラと出会い、はやての生来の明るさと優しさによって彼女達は親交を深めることとなる。
 それから半年後、はやてが『闇の書』によって命が危険に晒されていることを知った守護騎士達が主の許可を得ずに彼女の命を救うべく動き出した。その結果、彼女達は管理局と敵対することになったのだ。
 紆余曲折あって事件は解決し、はやてとヴォルケンリッターは行き長らえることが出来たが、『闇の書』は消失、そして彼女達は贖罪のために管理局に所属しなければならなくなった。
 そして罪を償い、今に至る。
「私は、あの事件で罪を背負った」
「はやてちゃんは別に何もしてな――」
 シャマルの弁護を、はやては首を振って否定した。
「守護騎士みんなを止められなかったんやから、やっぱり私の責任や。例え何も知らなかったとしても、気付いてやれんかったのは罪なんよ」
 彼女はシャマルの目を、真っ直ぐに見つめる。
「カズマ君も……例え本人の知らない内に起こったことでも、それは罪になってしまう」
「だから、同情したの?」
 いや、と言ってはやては首を振る。
「私は沢山の人が助けてくれたから今がある。だからウチも、そういう人を救ってあげたいって思った。彼を見て、そう思ったことを思い出せたんよ」
 今日一番の笑顔を見せながら。



     ・・・



「犯罪者が何の用よ」
 出迎えがしらの台詞がこれだった。
 なのはなる自分が傷付けた女性に謝罪と弁解を行うために彼女の部屋を訪ねたのだが、扉を開けた途端、部屋にいる五人中四人に睨まれる羽目となったのだ。
 ちなみに俺に凍り付くような視線とセットで言葉を投げ掛けてきたのは橙色の髪をツインテールに結った少女である。どうやら四人のリーダーらしい。
「俺は、その、過失で殴ってしまった女の子に謝罪をしようと……」
「過失、ね。アレを過失で済まそうとするなんて大した奴ね」
 必死に弁明しようとするこちらの言葉をぶった切るように先程の少女が発言する。
 その反抗的な言葉に今にもキレそうになる自分を懸命に抑えた。
「ティアナ、少し言い過ぎだよ。それにあの攻撃は彼自身の意思じゃなかったって言ったじゃない?」
 俺が謝罪しようとしている少女、すなわちなのはが仲介に入る。優しげな喋り方を聞き、ティアナと呼ばれた少女が顔を引っ込めた。
「あたしはなのはさんを傷付けた人を、許したくありませんっ!」
 青髪ショートの少女が叫ぶ。泣きそうな声で言われては、怒るに怒れないではないか。
「いい加減にせえ。ティアナもスバルもそんぐらいにしとき」
あのはやてが今まで聞いたことがないほど厳しく真面目な声を発した。――こんなことを思っていることがバレたらはやてに叩かれそうだが。
「部隊長命令や。フォワード陣はシャマルと共にロングアーチと合流し、報告を受けること」
「はやて部隊長、しかし……」
 抗議の声を上げるティアナを軽く睨んで黙らせるはやて。彼女にこんな能力があるとは驚きだ。
「カズマ君、さっきから失礼なこと考えておらん?」
「滅相もありません」
 今のはやてに反抗する気は全く起きなかった。
「とにかく、フォワード陣は退室すること」
「「「「は、はい……」」」」
 今度は大人しく四人とも出ていった。ただし全員に睨まれながらだが。しかも小学生くらいに見える青髪の少年と桃色の髪の少女に睨まれるのは、特に堪えた。
「じゃあ、私も出るから」
「お、おい?」
 何故彼女まで、という疑問が頭を掠めた。
「二人で話したいやろ?」
「流石はやてちゃん、ありがとう」
 意味ありげな笑みを浮かべるはやてとそれに答えるように微笑むなのは。
 全くついていけなかった。
「ほなな~」
 バタン、と部屋の扉が閉まる音が無惨にも響いた。
「……」
 やたら気まずかった。
「あの、えっと」
「あ、な、何だ?」
 なのはに話しかけられて、ようやく彼女の方に視線を向けた。
「わたしはね、高町なのはって言うの。よろしくね」
 彼女が白い手を向ける。いくつも豆後があるのに、とても綺麗に感じた。
「俺は、カズマって言うらしい。よろしく、な」
 こちらも彼女の手に自分の手を重ねた。握りしめた手に伝わる熱が心地良い。
「うん、カズマ君だね?」
 にこりと笑うなのは。その清々しい笑みは、見ているこちらにも元気を分けてくれそうだ。
「その、あの時は、すまん」
「気にしないで。あの時の苦しそうなカズマ君を、知ってるから」
 こっちの記憶は逆に途切れ途切れなのだが、確かにあの闘争本能と戦っている時は苦しかった。
「実はあの時……」
「そういう話はよそう? はやてちゃんから聞かせてもらうし。それよりカズマ君はこれからどうするのか、話してほしいな」
 優しげな口調で語りかけるなのは。とてもじゃないが、あの極太ビームを撃っているのと同一人物とは思えない。
「あ、ああ、そうだった。実は俺、さっき機動六課に入隊することが決まったんだ。それで挨拶も兼ねてここに」
「そうなの? 驚いたなぁ。はやてちゃんって何でも自分で決めちゃうんだから」
 困ったふうになのはが笑う。こちらも釣られて笑ってしまった。
「そっかぁ。カズマ君が同僚かぁ。ふふ、男の人って六課じゃ珍しいから楽しみだな」
 確かに六課には女性が多い。軽くしか見てはいないが、バックヤードは比較的男性もいる。しかしメインとなるスタッフはほとんどが女性なのだ。ここが軍隊にしろ、警察にしろ、荒事や戦闘を行う組織とは思えない。
ちなみに自分にこんな観察力があることにも驚きだった。何かの組織にでも属していたのだろうか?
「何で六課はこんなに女性が多いんだ?」
 俺の質問は至極当然だと思うのだが、聞かれた彼女は困ったふうに肩をすくめたのだった。
「――まぁ、機動六課は特殊な実験部隊だから。はやてちゃんがスカウト出来る人材に限られちゃったと言うか……」
 つまりは知り合いや接しやすい同性しか集められなかったわけだ。にも関わらず強力な部隊を編成出来たのは流石としか言いようがない。この数時間ではやての印象がころころ変わるのが不思議だった。女というのはそんなものなのだろうか?
「まぁ、俺は別にいいけどな」
「あー、カズマ君、鼻の下伸ばしてない?」
 してないしてない、と慌てて首を振る。そう言えば、そんなこと考えたこともなかった。
 シャマルさんもフェイトもはやても、そして目の前のなのはも揃って美人であるにも関わらず。自分にはそういう話が過去にあったか知らないが、おそらく無いような気がした。
「というわけで、短い間だけどこれから宜しくね、カズマ君」



     ・・・



「何故襲撃犯を機動六課に配属させ、しかもフォワードに置くなどという暴挙に出たのか、説明していただけますよね、はやて部隊長?」
 後方支援専門の部隊、ロングアーチのスタッフに囲まれる中、ティアナがはやての襟首を掴み、彼女の首をガクガク揺らしていた。氷のように冷たい声を出しながら。
「ティ~ア~ナ~、そんなに揺らしたら~、喋れんやん~」
 対するはやては彼女に振り回されながらも余裕の表情を浮かべていた。
(何やってんだはやて……)
 こっちは端から眺めるしかなかった。
 この指令室には現在、機動六課の主だったメンバーが揃っているらしかった。なのはを除いて、だが。そのほとんどはやはり女性だった。
 目的は俺のことで目くじらを立てるティアナという橙色の髪の子を黙らせ、他のメンバーに見せつけることだと思う。はやてにとっては明日の発表に備えての策なのだろう。
 もしこの考え通りだったら、俺は意外と頭が良いのかもしれない。もしそうなら嬉しい限りだ。本来の自分が馬鹿だとは思いたくない。
「はやて部隊長」
「分かっとるから離してや」
 ようやく手を振りほどくティアナ。ただし態度は全く変えていない。
「ティアナ、上官にそんな態度とってたら示しがつかんで」
「も、申し訳ありません!」
 はやてがちょっと態度を変えただけで彼女が慌てて謝り出す。その態度の変化に思わず笑いそうになった。
「明日正式に発表するつもりやけど、ティアナの言う通り、カズマ君は機動六課に配属することになりました。あ、カズマ君て昨日の事件起こした彼の名前な」
 彼女が俺を指差す。視線が集まる感触に、居心地の悪さを感じた。
「フォワードに加わってもらうつもりや。スターズ、ライトニングのどっちに入れるかはまだ検討中やけどな」
「待ってください!」
 はやての言葉を遮るように発される叫び。無論、ティアナだ。
「何故彼が機動六課に入ることになるんですか!?」
「その理由は、追って説明するから」
 何も言わせない、固い口調だった。
「だいたい彼の罪は――」
「あれは事故や。“訓練中に”起こった事故。それ以上もそれ以下もない」
 これ以上ないほど固い口調で言い切った。それが真実だと断定するように。
「なっ……、分かりました。では一つだけお願いが」
「何を言うても決定は覆らんよ?」
 その言葉に一瞬怯みながらも、彼女は手を強く握りしめながら口を開いた。
「彼が機動六課に入る以上、その実力があるか試させてください」
「無ければ鍛えるだけや。フォワードの皆かて最初から実力あったわけやないやろ?」
 分かってます、と言いながら彼女は続けた。
「実力も測れますし、挨拶代わりにもなります。短い間でも同じ場所で働く以上、必要ではないかと」
 そして彼女は息を吸い、それを口にした。
「だから彼と、戦わせて下さい」



     ・・・



 対峙するティアナとカズマ。互いに纏うは魔法の衣、振るうは魔法の力。だが記憶がないカズマは、ティアナとどう戦う?

   次回『模擬戦』

   Revive Brave Heart

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最終更新:2009年04月04日 13:06