渦巻く暗黒と灰色の空、中世時代の城のたった島が無数に浮かんでいる。
人によって作られるべきはずの城は岩の中から生えてきたかのように乱立し、中には今だ岩に半分埋まっている
ようなものまである。
髑髏の形をした岩や白骨化した騎馬兵のオブジェ、そのどれもが不気味であらゆる生きとし生けるものの存在を拒んでいるようだ。
そんな地獄と呼ぶにふさわしい景色の一角、生命の存在を拒否している世界の片隅。
一見すると洞窟に鉄格子をはめただけとも見えるが、その奥にはこの世界にとって異質な存在である生命が潜んでいる。
それも一つではなく複数がそこで生活を営んでいる。
洞窟は奥に進むと近代の研究施設のような装いをしていて、数多くの機材とそれぞれをつなぐコードが散らばっていた。
その研究室のモニターの前に佇む人物がいる、名前をジェイル・スカリエッティ。

「ドクター、お体に触ります、少し休んではいかがでしょうか?」
「心配かけてすまないね、ウーノ。だが私はこの戦いを見届ける義務があるのだよ」
「義務?」

ウーノはすでに何日も睡眠を取っていないスカリエッティの体を案じたが、それをやんわりと拒否した。
義務…その意味をウーノは考える。
義務とは道徳が人間の意志に及ぼす強制のことを指す。
が、この場合の道徳には「ドクター基準の」を付け足さなければならない。
つまりは世間一般に道徳と呼ばれるものとは一線を画しているということである。
そんな世俗離れしたスカリエッティの道徳が強制する行動…現在モニターに映し出されている戦いを見ること。
その意味を考えるとウーノの心は温かくなったが、秘書たる彼女はその感情を表には出さなかった。
モニターには同じような格好をした少女達数名が映し出されている。
めまぐるしく動く彼女達は誰かと戦っているようだ。
懸命に、果敢に飛びかかる少女達、必死に必死に相手を倒そうと各々の技を振るう。
しかしそれが決定的なまでに届かない、何度も何度もはじき返され地べたを舐める。
それでも少女達は戦う、灼熱の男と。

「あぁ、義務だ、私は見届けなければならない、この戦いから一時たりとも目が離せないんだ」

鮮烈に、苛烈に、生き急ぐかのように少女達は戦う、それをモニターから見守るスカリエッティ。
その視線はただ研究対象を注意深く観察するような無機質なものでありながらもどこか…。
無機質でありながらも熱の篭もったスカリエッティの横顔を見て、ウーノは悟る。
ドクターは進化を夢見ているのだと。
モニターに写る少女とウーノ…スカリエッティが「製作」した戦闘機人・ナンバーズ。
戦うためにこの世に誕生した彼女達、戦うことに存在意義がある。
しかしそのアイデンティティーを脅かされている。
この窮地をどう凌ぐか、ドクターは彼女達の進化を、ひいては自分の「作品」の進化を目撃したいのだ。
男は圧倒的だ、人間の限界以上の魔力を放出する規格外の存在だ、いかにナンバーズとてかなう相手ではない。
だからこそ、彼は知りたいのだ、自分の作品がどれほどのポテンシャルを秘めているのか。
その上でこの絶体絶命の状態をどのようにして切り抜けるのか、その為には現状から進化しなければいけない。
進化の可能性は極めて低いだろう、だが可能性があるのならばそれを信じてみたい、そしてそれを見てみたい。
それを知ったウーノは自分達ナンバーズの可能性を信じてくれていることが何よりも嬉しく思った。

「わかりました、僭越ながら私もお付き合いさせていただきます」

ドクターが信じるなら…ウーノもそれに倣い、ナンバーズ達、自らの妹達の進化を信じた。

徐々に動きが鈍くなっていくナンバーズたち、いくら初めから勝ち目が薄い戦いとは言えこのままでは一矢も報えない。
それだけは避けたいナンバーズたちは玉砕覚悟で一斉に男に飛び掛る。
インパルス・ブレードとランブル・デトネイターが男に迫る。
決死の一撃を前にした男は剣を手にした左腕に右手を添える、大地に脚を縫いつけ、腰溜めにした両手の先に魔力を込める。
顔を上げる、首を切らんと迫りくる刃を見る瞳にはナンバーズと同じように一撃必殺の意思がこめられている。
両手にこめられた魔力が一気に臨界に達し、ターゲットに照準を定めて腕を振り上げ―――――

「タイランレイブッ!!」

ナンバーズの一撃は男に届く前に突如発生した炎の大波に遮られた。
この地獄にふさわしい全てを燃やし尽くす灼熱、地獄の業火のよう。

咎人を裁く炎の渦は戦いの始まりを告げている。

命を焦がせ、魂を燃やせと囃し立てる。

それは、穢れなき少女達と人の穢れが生み出した兵器との邂逅。

魔法少女リリカルなのは GG、炎を巻き上げ、鋼鉄の舞台の幕が上がる。







魔法少女リリカルなのは GG ver.β

01.KEEP YOURSELF ALIVE 2.5



「広域指名手配犯の逮捕任務?」

闇の書事件から数週間、事件の事後処理も一応目処がついた頃で各々がそれぞれの道を決めようとしていた矢先だった。
管理局の嘱託魔導士になる事を決めた高町なのはとその親友であるフェイト・テスタロッサ。
先の事件の功労者である二人に執務官であるクロノから告げられた任務の内容がそれだ。

「うん、ジェイル・スカリエッティ、次元世界をまたいでテロ活動を行っている犯罪者の逮捕」

管理局が総力を挙げて捜索している犯罪者にして天才科学者、長年の捜索の末にようやくそのしっぽを掴んだそうだ。
ここ最近、スカリエッティの活動はほとんどないに等しい。
違法医学の行使も広域テロ犯罪も久しく耳にしていない。
その上今まで彼の影すら踏めなかった管理局が一気に尻尾を掴んだのだ。

「でもそんな重要な案件を私達二人に任せてもいいの?」
「慢性的な人手不足…にしても今まで捜査していた管理局の人もいるわけだし」
「確かに腑に落ちない点は数多い、でもこれは正式なルートから君達に託された任務なんだ」

管理局も一枚岩ではないのは先の闇の書事件で身に染みてわかっている。
この指令が下されたときクロノも同じような疑問を抱いた。
だからこそこの指令を出した元を洗い出し、その人物の素性やらも全て調べつくした。
しかし疑わしいものは特に出てこなかった、純粋にこの二人を宛てにして下されたのか、それとも何か他の…。
とは言え、現段階で可能性の話をしても仕方がない。
今、確実なのはジェイル・スカリエッティという犯罪者が存在していることだけである。

「危険な任務だとは思う、それに先の事件の疲れだって「いいよ、クロノ」」

クロノの言葉をフェイトが遮った。
普段、おとなしいフェイトが人の話を遮るのはとても珍しいことで、その様子にクロノだけではなく隣にいるなのはも
驚いていた。

「お仕事、なんだよね?やるよ、私」

確かな意思の光を秘め、力強くフェイトは宣言する。
思えば、自分の意思で行動することが多くなったように思う。
それまでは複雑な生い立ちの事も手伝って、積極的に発言するような娘ではなかった。
それが今ではどうだろう、彼女は彼女の明確な意思の元に行動を起こしている。
フェイトの発言以上にその事がクロノにとって嬉しかった。

「そもそも拒否権なんてあるのかな?」
「にゃはは…」

一同が苦笑いを浮かべる。

「でも…」

表情を瞬時に切り替えたなのはは言う。

「それで誰かが安心できるのなら…私はやるよ」

静かに…でも確かに。なのははその意思を露わにする。
誰かの為に、顔も知らない誰かの為に、その身を削ることを厭わない。
それは人として歪かもしれないが、彼女の最大の美徳でもある。
自分よりも他人が大事、極端に言えばそうなる。
そしてそれをこれまでだって、そしてこれからだって貫いていく。
その姿勢がこれまでの事件を解決して来たのだ。
なのはとフェイトの成長を確信し、クロノは決断を下す。

「…わかった。でも気をつけてね?相手は今まで管理局が手を焼いてきた人物なんだから」

なのはとフェイトの確かな成長に安堵する一方で、クロノは胸に渦巻く不安を払拭しきれなかった。
管理局が名指しで指令を出してきたこと、相手がスカリエッティであること。
確実に裏がありそうな任務だ、本当ならばこんな危険な任務を二人に任せたくないのだがそう出来ないのが現状だ。
クロノは心の中で自分の無力さを呪う、彼に出来るのは心から二人の身の安全を祈る事のみだった。









次元世界というのは無限に存在している。
そのため次元管理局でもその全てを把握し切れているわけではない。それ故に新しい世界が発見されることは珍しいことではない。
此度、なのは達がやってきた世界も最近新しく発見された次元世界であり、管理局の管轄の外、俗に言う管理外世界である。
もっともこの世界の情報はほぼ無きに等しく、ただスカリエッティがそこに潜伏しているという大雑把な情報しかない。
ここにどんな生物がいて、どんな技術が存在しているのかすらもわかっていない。
人間にとって一番恐ろしいのは無知である、なのは達はこの世界について全くの無知である。
もしかしたら猛獣がひしめき合う檻の中に押し込められたという可能性だってある。
危険性が未知数な世界、何があるかわからない状況はなのは達に見えないプレッシャーを与え続けている。
その上、この世界の景観はなのは達の恐怖心を煽っている。

血で染まったかのような、真紅の空から生える高層建築物の群れ。
重力が導く先にはこれまた真紅に彩られた海、それこそまさに血の海という表現がしっくりくる。
海には瓦礫が埋もれ、波が行き着く大地には墓標が群れを成している。
それもどれもが穏やかな死を連想させるには程遠い。拷問具のような装いの墓が大地に乱立していた。

赤い空と赤い海の間を飛ぶ二人、赤い空間は二人の平常心を揺さぶっていく。

「なのは、この世界は…」
「今まで行ったどの世界よりも悪趣味だね…」

延々と続く地獄のような風景、生きた心地がしない、自然と声色も暗くなっていく。
付け加えるならば、二人の不安を煽るのはこの景色だけではない。
何しろ、最近発見されたばかりの新世界だ、長距離での念話のための条件が不明なため、現在二人の母艦であるアースラ
との交信が不可能になっていること。
いざというときにアースラのバックアップが受けられないという悪条件は不必要に二人の神経を敏感にする。
未知数の危険が渦巻く奇妙な世界に、何のサポートもなし。
これ以上ない悪条件の中におけるなのは達の今回の任務は偵察。
今はとにかく情報が欲しい、故に妥当な任務ではあるが…。

「ねぇ、フェイトちゃん」
「ん?」
「言うまでもないけど、今回の件は…」
「そうだね、ゴールな明確なのに道筋が不明瞭すぎる」

アースラでは口にしなかった疑問を紐解いていく。
この場ではアースラに会話内容を傍受される心配はない、故になのははこの話題を持ちかけた。

「どうして交信手段すら確立されていないほど未開の世界で、スカリエッティの場所なんて掴めたんだろう?」
「管理局が手を焼いている人物が隠れ住む世界なのにね」
「どうやって見つけたんだろう、今まで影も踏めなかった人物の居場所を」

この世界も、この事件も、この任務も。
何もかも不鮮明な世界を手探りで進んでいくような…。
それは不安を煽り、恐怖を扇動するには十分な…。

「Master」
レイジングハートが指定された地点に着いたことを告げる。
突然の報告に、一瞬心臓が止まるほどびっくりしたがすぐに平静と取り戻す。
なのはは自分の驚愕を隠し通したつもりだったが、すぐ隣にいるフェイトにはバレバレだったようで苦笑いを押し隠している。

「降りよう、フェイトちゃん」
「あ、うん」

フェイトの顔を見ないように、自分の顔を見られないようにしながら地上に降りていく。
それが少しだけフェイトの心の緊張を解きほぐした、そして同時になのはの緊張も。

指定されたポイントはスカリエッティの活動が確認されている地点の一つで、判明しているスカリエッティの潜伏場所からもっとも
離れた場所である。

「あたり一面が干からびている?」
「というよりも、何だか焦げたような…」

思えば空から見てもこの辺りはこの異質な世界において、異質な場所であった気がする。
それまで一面に赤が広がるばかりだったのに、ここだけどうしてかところどころが黒く焦げた大地が広がっている。
辺りを占めていた赤い海も見当たらない、焼け焦げた大地、それだけがひたすら広がっている。

「何かの実験?テロの?」
「とんでもないね、こんな破壊力を持ったものが使われちゃったら大事だよ」

先に吹き飛んだ緊張は焦土を見たとたんにとんぼ返り。
事の重大さに二人の緊張は高まるばかり。
ある程度の緊張は能力を最大限に発揮させるのに必要不可欠である。
しかしあくまで「ある程度」、つまり適度な緊張な場合であり、過度な緊張は能力を半減させる。
それ故に――――

「Sir!」
「Master!」

各々のデバイスが警鐘を鳴らすと同時にオートプロテクションを作動させる。
長距離からの砲撃に対する対応が遅れてしまったのである。

「くっ!間に合って!」

なのはは防御を選択し、フェイトは機動力を生かし回避を試みる。
並みの砲撃ではビクともしないなのはの防御、捉えることすら間々ならないフェイトの機動。
相手が凡百の魔導士ならばなんら問題になどならない。
しかし、これが「凡百」ではない熟練された魔導士の一撃ならば?
確かにその一撃は威力だけならなのはの防御は貫けないし、フェイトの機動を掴めないだろう。
だが、それが相手を射抜くのが目的でなければどうだろう?

「なっ!?」

最初に驚いたのはフェイトだった、フェイトが避けたその先に二段目の砲撃、今度は先よりも早く鋭い一撃だ。
その一撃はフェイトの防御を貫きかねない一撃。

「っぅう!!」

強引に体を捻る、急制動により体にかかる重圧によりみしみしと骨がきしむ音がする。
それでようやくだ、ようやくバリアジャケットを掠める程度である。
わき腹を掠めていく砲撃、その余波でくるくると空中を回りながら大地に墜落していくフェイト。

「フェイトちゃん!!」

それを砲撃をガードしながら横目で確認していたなのはは叫ぶ。
そして知る、自分が他人の心配をしている場合ではないと。
吹き飛んでいくフェイトを視界に掴んだその時、フェイト以外にも視界に映ったものがあった。
小さなナイフ、それも無数に、なのはを取り囲むように浮かんでいる。
着弾の爆風とフェイトに気をとられて確認したときにはすでに遅かった。
無数のナイフはなのはの包囲を完成させていた。
途端に容赦なく降り注いでくるナイフの雨。

「うぅぅぅうぅぅ!!!!」

文字通り剣林弾雨、しかも降り注ぐナイフは接触すると爆発するようで、容赦ない物量による攻撃はなのはの障壁を
削っていく。
全方位に展開した障壁もここまでの物量で攻められては一たまりもない。
例えなのはと言えども無傷では済まされなかった。

「っぅ…くっ」

掠めた脇と右腕を痛めたものの墜落直前に上手く体勢を整えて、四肢を着いてなのはの後ろ辺りに着地するフェイト。
ほぼ同時にナイフの雨嵐も収まり、煙の中から全身に細かい傷を追ったなのはの姿が現れる。

「えぇい、今の仕留め切れないなんて!」
「伊達にあの闇の書を押さえ込んだだけのことはあるな」

10メートル前後離れた場所の地面が波打ち、二人の少女が浮かび上がってくる。
体にぴったりフィットした一切の無駄のないスーツの二人、一人は小柄で片目に眼帯をしている。
もう一人は水色の髪をしてサーフボードのようなものを持っている。

「あなたたちは…確か」
「スカリエッティ直属の…ナンバーズ」

ナンバーズ、スカリエッティがテロを指揮し、それを実際に実行する部隊にあたる。
人工的に骨格や各種感覚を戦闘に適した形に改造された存在、スカリエッティが開発した戦闘機人達である。
その名前が表すように複数で構成されていて、各々がとある一点において特化された性能を持ち、お互いに情報をリンクする
ことによりその能力を存分に発揮できるように製造された「チーム」である。

「語る口はもたん、お前達の目的は大方わかっている」
「私達を相手にするには役不足だけど、火の粉は振り払うっすよ」

目的はわかっている、と言った。
なのは達の目的がスカリエッティの逮捕で、この地域を捜索していたのはその一環である。
ナンバーズ達に指名手配されている自覚がある、それはいい、今まで散々テロ活動を行ってきた連中だ、それくらいは当たり前だ。
問題は、なのは達の目的をおおよそ理解していると言うこと。
その言動からするに、おそらくなのは達がこの世界に来たことはすぐに察知されていたのだろう。
しばらくはその目的を知る為に泳がされ、スカリエッティの捜索が目的であると断定し、それを排除する為に適した場所に来たその瞬間を
ずっと見計らっていたのだろう。
スカリエッティが根城にしている世界だ、こんな荒廃した世界ではあるがあらゆる監視の目があってもおかしくはない。
わかっていたはずだ、情報が少ない世界でどんな未確認のファクターがあったとしてもおかしくないと。
奇襲があって当たり前の場所でその警戒を怠った。
敵の陣地で気を逸らした結果がこれである、目も当てられない。

「罠も何も…初めから敵地、だもんね」
(無茶は出来ないよ、ダメージは小さくない)
(一転突破、厳しいけどそれしか、ないの)

この状況を打破するのがどんなに困難なのか計り知れない、今だ知れないトラップだってきっとある。
しかしそうするしか道はない、それ以外に手段はない。

(もう一人いる、遠くから狙撃役)
(でもまずは目の前の二人、ショートレンジの数を減らしてから叩かないと)

なのは達は目の前の二人以外の存在に気付いていた。
初めとフェイトを狙った砲撃は目の前の二人ではない、遠距離からの狙撃役がどこかに待機している。
視認出来ない距離にいることは確かだ、こちらも砲撃で応戦したいがその為には近接戦闘役の二人をどうにかしなければ
ならない。

「いよっと」
「無茶はするなよ、セイン。ライティングボードに頼りすぎるな」
「わかってるよ、チンク姉」

セインと呼ばれる少女は持っていたボードを宙に浮かばせ、それに飛び乗り、なのは達に仕掛ける。
疾い、でも対応できなくはない。
アイコンタクト、なのはとフェイトはどちらの敵を相手にするかを目配せで疎通する。
2対2ではなく、1対1の状況に持ち込む、そして相手のフィールドでは戦わない。
高速機動に付き合わない、広範囲攻撃に持ち込ませない。
戦闘の常套手段だ、こちらの得意レンジに持ち込んでの一撃必殺、セオリーに倣いなのははセインに仕掛ける。

「アクセル・シュート!」

迫りくるセインに誘導弾を射出する、牽制の一手だ、威力を強めて速さを殺した弾丸は避けられるのを前提に発射している。
が、避けるのならばそこにもう一手、弾速の早い砲撃を置く。

「余裕だね、これくらいの弾なら!」

ボードを自在に操り、アクロバティックな挙動で誘導弾を回避する。
放たれたのが誘導弾であるのはわかっている、一度避けたとて追ってくるだろう。
このまま誘導弾を放置しておけば、いずれ追い詰められるのは明確だ。
なのはが避けた方向にデバイスを向けているのを確認する。

「AMFチャフ!」

ボードの裏側にあるカバーが開き、淡い色の光の粒子がばら撒かれる。
一度避けられた誘導弾がセインを追尾するが、その光の粒子に触れた途端に霧散していく。
最近、試験的に運用されているボードと同じ試作型のAnti.Magilink.Fieldチャフ。
現段階ではチャフのように限定的な運用しか出来ないが、その効果は魔力結合を瓦解させ無効化させる。
なのはの魔法でも威力が抑えられた誘導弾であれば効力を発揮できる。

「レジストされた?でも、これなら!!」

レイジングハートの矛先に桜色の魔力が収束していく、その優しい色からは想像がつかないほどの破壊力を秘めた魔力。
直撃なら勝負は決まる。

「ディバイン・バスター!!」

なのはがもっとも得意としている砲撃系魔法、ディバイン・バスター。
魔法と関わってからもっとも多く扱ってきたそれは同時に多くの敵を穿ってきた。
桜色の穿ち、凶悪なまでの破壊力を込めたそれは先に放たれた誘導弾とは比較にならないほどの速さでセインに迫る。
この威力、この速度ではAMFチャフでは対応できない。

「やばっ!」

回避後のチャフ操作の瞬間に放たれた砲撃は正確にセインを捉えている。
脳とリンクしたボードに回避を命じながら、全体重を回避方向に傾ける。
ディバイン・バスターはセインのボードの底面を掠めたものの、何とか直撃は避けることが出来た。
しかし――――――

「うわわわわ!?」

ほんの少し掠めただけでセインは空中で錐揉み回転する。
ボードの底面は元々盾としての能力も有しているため、防御力は高い。
しかし、なのはの砲撃によりかすかながら展開されているシールドが破られている。
その威力にセインは戦慄し、自覚する。
なのはは確実にセインよりも戦闘能力が高い。
戦闘中でありながら客観的に自分と相手の戦力を冷静に判断する。
背筋に走る薄ら寒い感覚、頬を伝う冷や汗。
その視線の先に不動で次の砲撃の準備をしているなのはの姿。

「どっちがアウェイだったっけ?チンク姉」
(もう少し持たせろ、その代わりこっちに砲撃させるなよ)
「全部引き付けろって意味、それ?きっつ~?」

セインの窮地は続く、なのはの第二撃がチャージを終え、その凶悪な矛先から桜色の閃光が放たれるその瞬簡に―――

「こっちが来た!」

その矛先をセインから誰もいない方向に変え、躊躇なく砲撃。
何ゆえに?なんて疑問はこの場にいる誰にも浮かばなかった。
初めからわかっている事だった、この戦いは2対3の変則マッチだという事。
なのはが放った砲撃は第三のナンバーズの砲撃と克ち合い、相殺する。
瞬きする間の攻防、セインはその間に体勢を整えて、反撃の準備をする。

「絶妙!!でも、あのタイミングで押し切れないなんて…!」

完全に不意をついたかに見えた砲撃すらも簡単に凌いでみせる。
未だ窮地にあること、肝を冷やす展開はまだ続くだろうことを覚悟する。
少しだけ、なのはから目を逸らす、その方向にフェイトと対峙する小柄な少女の姿。

(頼むよ、チンク姉!長く保つ保証はないっ!!)
(あぁ、わかっている!)

一方、セインの念話の相手であるチンクはフェイトを相手にしていた。
フェイトの高速機動を生かしたヒットアンドアウェイを爆撃で制していく。
ランブル・デトネイター、小さなナイフを爆弾に変えて空中に設置、もしくは投擲する武器でこれを巧みに操ることで
フェイトのレンジに付き合わないようにしている。
先の砲撃による負傷の影響もあるが、それでもまだ一線級のスピード誇るフェイトを押さえ込むチンクの技量はそれだけで
賞賛に値する。

(この娘、戦いが…巧い!)

それは戦闘の最中に敵であるチンクを褒めてしまうほどだった。
思わず舌を巻く、派手に爆発するスティンガーと呼ばれるナイフを効率的に配置してフェイトの動きを制限していく。
圧巻の技量、だが。

「でも…浅い!」
(疾い!)
機動に緩急をつけてチンクを揺さぶり、クロスレンジまで近づく。
バルディッシュをその勢いのままに振りぬく、チンクの手にするナイフでは防げない大鎌の一閃。

「このラインだ!」

チンクはその一閃の軌道を予想して、ナイフを設置し、すぐさま起爆する。
今までの攻撃とは比較にならないほど小さな爆発、だが大鎌の一振りを逸らすには十分すぎるほど、そして―――

「爆発で強引に距離をとった!?なんて無茶な!」
「火遊びは得意なんだ、このくらいなら造作もない」

爆風を使い、自らの体を押しやる、フェイトの間合いの外に。
誰の目にも無謀に見えるそれをチンクは造作もなくやってのける。
その戦闘用スーツには細かい煤がついている、小規模とは言え衝撃だってその小さな体を数メートル吹き飛ばすほどの
ものだ。
先はチンクの技術に感嘆したが、今度は違う、確かな戦慄を感じていた。
攻撃のインパクトの瞬間にもっともダメージが少ない方法をコンマ数秒の間に判断し、それを実行する。
その狂気じみた技術に背筋が震える。
一筋縄、なんてもんじゃない、チンクを倒すには命を賭さなければならない。
この戦慄は確かに焦りに変わりフェイトを追いやっていく。
それに完全アウェイの敵地での戦闘、奇襲で受けた利き腕と体幹に受けたダメージ、それらが積み重なってフェイトから
冷静な判断力を奪っていく。

「くっ……っうぅぁぁあ!!」

退路はすでにない、前に進むしか、敵を倒して押し通るほかに活路はない。
バルディッシュをザンバーモードに切り替える、雷光を纏った金色の大剣。
今度は先のような小細工による防御は通用しない。

「ややこしいのはなしか、わかりやすくて助かる!」

無表情に感想を漏らす、受けて立つ、驕りなどない確かな意思を持って立ち向かう。
実際のところ、チンクのほうが窮地に立っている。
チンクの攻撃はフェイトに届いていない、その機動を捉え切れていないのだ。
巧みにフェイトを近づけないように立ち振る舞う、ただそれだけ。
先の攻撃を防いだ手も二度は通じない、確かに追い詰められている。
少しずつ近づいてくる電刃、だが怯えはない。
チンクには妹を守るという強い意志が存在している。
守るためには負けられない、その強靭な心がチンクの柱になっている。
それが例え自分よりも優れたものであったとしても、だ。

「いい加減!」
「いやだね!」

なのはの追跡弾を何度もチャフで無効化し、その後の砲撃をすれすれで避ける、もしくは遠方からの狙撃により妨害する。
その間にボードの先端の砲口から魔力弾を射出するがなのはの強固なシールドの前に弾かれる。
こちらもチンクと同様、有効打を与えられない。
セインの攻撃は届かないくせに、なのはの攻撃は防御を貫通、なんという理不尽。
本来直接戦闘に向かないセインがなのはに防戦一方とは言え善戦しているのは、新たに習得したライティングボードと
遠距離からの砲撃のアシストのおかげだった。

(まだ?チンク姉!)

とは言え、ライティングボードの底面はすでにガタガタ、次の砲撃を防げるかどうか…と言ったところか。
追い詰めたはずなのに、逆に追い詰められている。
今は遠距離からの支援砲撃を多めにして立ち回ることで何とか保っている現状はセインを焦らせる。

[Wide area search complete]
「ここを貫く!!」

なのはの誘導弾を最後のチャフで無効化しつつ、これまでにない魔力が凝縮していくのを感じ取る。
勝負を決めるつもりなのだろうが、矛先がセインの砲口を向いていない。
強化された聴覚が爆音と疾風の音のほかにデバイスの電子音を聞き分ける。
なのはのデバイスが並行して行っていた広域サーチにより狙撃手の場所がばれたようだ。
「!……今!!(チンク姉!仕掛ける!!)」

なのはの目がセインから逸れたこの時を好機と見て、チンクに念話する。
急旋回し、ボードの進行方向をなのはに向ける。
セインの攻撃は何一つなのはに届いていない、おそらくチャージ中の今放ってもそれは同じ、チャージ中の隙をカバーする
策を講じていないわけがない。
なら、これまでにない攻撃ならばどうか?
バーニアのスロットルをぶん回す、今のセインには御しきれないほどのスピードが出る為、今まで使えなかった。
それを今、なのはの意識がこちらに向いていないこの時に開放する。
制御できないのに?否、今この時においては制御する必要などない。
射角と方向はすでに合わせてある、あとは真っ直ぐに飛んでいけばいいだけだから。

「飛んでけ!!」

ボードを蹴りだす、酷使に酷使を重ねたボードはギシギシと軋み、凶悪な加速の為に少しずつ分解されながら飛んでいく。
なのはに向けて一直線、セインが切り札に選んだのはボードをミサイルのように飛ばして当てるという至極原始的な手段だった。
原始的ではあるものの破壊力は折り紙つき、あれだけの質量が凶悪な加速の元に突撃するのだから。

「!……間に合っ!!!」

砲撃の寸前でなのははそれに気付くが、先のように迎撃というわけにはいかなかった。
距離が近い上に速度が今までと段違いだ、避けられない、避けようがない!
急遽、チャージをキャンセルしシールドを張る、その直後にこれまでにない衝撃がなのはを襲う。

「うぅ…ぁぁあああぁあ!!!!」

全魔力を防御に回してなお止まらないボードはなのはを防御ごと押しやっていく。
まだ防御は破られていないが、止まらない。
ボードの勢いに衰える様子がない、少しずつ自壊していきながらもボードはなのはを倒すために前進していく。
このままでは地平のかなたまで力比べだ。

「バースト!逸れて!!」

バリアバースト、展開している障壁を爆発させて攻撃を相殺する。
その効果は絶大だが、リスクも高くその後の防御力は見る影もない。
背に腹を変えられない、なのははリスクを承知でバーストを発動させる。
それでようやくボードはなのはから逸れてあさっての方向へ飛んでいき、静かに爆散した。

「…はぁ、危ない、っと!?」

肩で大きく息をしているなのはの背中に何かがぶつかる感触、さっきのボード?いや、違う。
それにしては勢いがない、これは…背中越しに伝わるこの息遣いは…。

「フェイト、ちゃん?」
「なのは!?」

背中合わせ、いつの間にかなのはとフェイトは一箇所に集められていることに気付く。
そこで初めてフェイトは気付いた、チンクの攻撃の不可解さに。
チンクの攻撃は全てわかりやすいものだった、ある方向に避けていけば簡単に避けられる。
今思えば、チンクはこうなるようにフェイトを誘導していたのだろう。
数的有利を生かせるような状況を生み出し、もっとも勝率の高い戦術を選び、効率的に敵を打倒する手段を選んでいたのだ。
セインの切り札とタイミングを合わせるのだってそうだが、難易度は生半可なものではない。

「っ…戦闘機人!」

こんな真似が出来るのは人間を超えた存在以外いまい、フェイトはその忌々しき存在を知らず知らず呟いていた。

「セット」
間髪いれず追撃を行うチンク、敵を打倒する為の攻撃はこれが二度目。
初めの奇襲と同じように、大地の中から現れたチンクは二人を包囲するようにナイフを設置する。
その数、初めの奇襲のときと同等か、それ以上。
しかも完全に包囲された今、逃げ場はない、凌ぎきるほかにない。

「くっ!」

だが、なのははバリアバースト直後でバリアが間に合わない。
先になのはが凌ぎきれなかったナイフの雨を、なのはよりも障壁が薄いフェイトが凌げるだろうか?
とは言え、他に手段はない。

「なのは下がって!!」
「フェイトちゃん!」

凶刃が目の前に迫る中、自らを盾にするようになのはの前に出る。
眼前の絶望に怯える暇すらない、ただただ無意識のうちに恐怖よりも友を大切にする気持ちがフェイトを前に踏み込ませる。

「ランブル…デトネイター」

装備していたナイフ全てをこの攻撃で使い切る、正真正銘最後の一撃。
追い詰められているのはなのは達だけではない、ここで決めなければ勝利の女神は微笑まない。
だからこそ告げる、無慈悲に、無感情に、完全無欠の勝利の為に残酷なる一撃を。

「あぁああぁああ…っ!!!」

超至近距離での絨毯爆撃、絶え間なく降り注ぐ爆撃のスコールを防ぐ為にフェイトはその全魔力を障壁に注ぐ。
体が嫌な音を立てて軋む、心臓が口から飛び出してしまいそうだ、術式を絶え間なく構成し続ける脳がオーバーロードする。
誰の目から見えも明らか、限界を超えた魔力行使がフェイトに過度な負担を強いている。
血を吐くような表情のフェイトをただ見てるだけしか出来ないなのは。

「まだ…まだぁ!」

なんて有様だ、力の入らない全身を叱咤する、疲れに甘えている惰眠を貪っているかのような脳に叱咤する。
地に付いた膝が重力を振り切り立ち上がる、まだいける、まだ…立ち上がれたのなら戦える!
鉛にでもなったのか踏み出す一歩はこれまでにないくらい重い、それでも踏み出せる、どれだけ重かろうと、

「一人で、やらせないよ!!」

バリアジャケットを急造で再構成、レイジングハートに蓄積されている防御系魔法の中でもっとも強固な魔法を選択、ロード時間を
強制的に短縮する為にカートリッジをロード、処理時間をほぼゼロにする。

「オーバルプロテクション!」

再度、バリアを強固にする為にカートリッジを二発ロードする。
残りカートリッジ0、なのは自身の魔力もほぼ底をついている。
セインとの戦いでなのはは多くの魔力を使っていた、これを防ぎきっても反撃の余裕はない。
だが、そんなことはいいのだ、ここを防ぎきらなければ先の話など意味はない。

「な、のは?」
「防ごう、二人で!」

防ぎきれなかった爆撃に傷ついた体に力が篭もる、その言葉を聞いただけで。
恐れもなくなった、なぜなら、

「…そうだね、二人なら、やれるよ!」
「うん!」

信じている、一人では出来ないことも二人ならきっと出来る、と。
なのはのバリアをフェイトのバリアが包み込むように構成された、二段構えだ。
一つ目のバリアを貫いても、二つを一気に貫ける攻撃などない。
爆撃が止んでいく、終わりのないかのように見えた攻撃が収まりを見せる。
砂煙で視界は閉ざされている、でもわかる。
見えなくても隣に大切な人がいる事、大切な鼓動が伝わってくるから。
乗り切った、あの情け容赦ない爆撃の雨を防ぎきった。
微かながらに光が見えた気がした。
魔力はお互いにほぼ0、それでもまだ終わりではない、戦いは続いている。
生きる為に、次を考えなければならない。
砂煙が収まり、視界が晴れていく。

「……あ」

そこに光が迫っていた、確かになのは達に向けられた光が。
しかし希望ではなく絶望の光。
あの爆撃を最後だと思ってしまった、だが忘れてはいけないはずの存在を失念していた。

「へビィ・バレル…貫く!」

イタリア語で10を意味するディエチの名を持つ少女、今まで遠距離から支援砲撃に徹していた少女の事を。
セインのボードやチンクのランブル・デトネイターは見せ札、真の切り札はこの一撃。
イノメーカス・カノンとディエチのIS、ヘヴィ・バレルによる最大出力の砲撃。
なのは達が先に見た光は光明ではなかった、地獄へと誘う破滅の光だった。
すでに防ぐ術はない、しかしそれすら悟る暇もない。
ただただ迫りくる光を呆然と見守ることしか二人には出来なかった。
迫りくる光が二人を包んでいく。

「やった!?」

轟く雷鳴のような大地を揺るがす轟音が鳴り響く。
手ごたえはあった、あの局面で避けることも防ぐことも出来なかったはずだ。
何よりあの砂煙が着弾の証拠だ、あの時あの場所にいたのはなのはとフェイト以外にありえないのだから。
砂煙の向こうを強化された視覚が映し出す、確かに二人の姿がそこにあった。
息はしているようだが、その意識は容赦なく刈り取れたようだ。
だが―――――そこにいるはずのない人影を同時に確認してしまった。

「………セイン、撤退だ」
「くっそぉ……」

チンクとセインは悔しそうに歯を食いしばる、言葉こそないがディエチもそれに倣うかのよう。
ディエチ単体ならばまだ余裕はある、しかし前線であの二人を相手にしていたセインとチンクにはすでにガス欠だ。
この二人が前線で戦ってこそディエチに価値が出てくる、その二人が戦えないのならディエチの価値は低くなる。
どうしても単調になってしまう狙撃しか攻撃方法がないディエチ、単体で戦うにはまず向いていない。

「ガジェットを要請しておいた、私達は退くぞ」

遠くの空を覆いつくすような機械の群れ、一足早く来たガジェットに乗りながらチンクは撤退をせかす。
それでも悔しそうに肩を震わせて、中々ガジェットの元へ来ないセイン。

「セイン、悔しいけどここは…」
「…くっそぉ、くそ、くそ!何でこんなときにくるんだよ!!この野郎!!!」

ディエチに腕を引かれてようやく後退し始めるセイン、罵詈雑言を晴れ始めた砂煙の向こうへ叫びつつける。
セインの視界にはすでにさっきまで戦っていたなのはとフェイトは映っていない。
映っているのは、あの渾身の砲撃を防いだであろう人影のみ。
セインは知っている、この赤い地獄においてなお、存在感を主張する紅の装いをした男を。
チンクも知っている、手している鉄塊のような無骨な剣が発する人知を超えた熱量を。
ディエチも知っていた、額に巻いた鉢金の奥に潜む、野獣のような危険な瞳を。

ナンバーズは知っていた、何度も地べたをなめさせられた、人間離れした強さを持つ男の名前を。

「ソル・バッドガイ!!」

名前を呼ばれても動じず、逆手に持った剣を握りなおす。
遠くから迫り来る、赤い空を埋め尽くす機械の群れ。
圧倒的な物量を前に、何の感想も持たず、後ろに倒れ伏す少女達を一瞥する。
盛大なため息を一つ、ガジェットの方へ向き直り首に手をやり骨を鳴らす。
ゴキリ、ゴキリ、鈍い音を鳴らしながら歩いていく。

「へヴィだぜ」

低い声、ぶっきらぼうに言い放つ。
遠くに消えていくナンバーズ達、それを見送りながらソルと呼ばれる男はガジェットの群れに立ち向かっていった。

 

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最終更新:2009年11月22日 18:07