一方…衛星軌道上のデビルアースラもデビルアルカンシェルのエネルギーチャージが完了していた。
『これで北海道もろとも消滅してしまえ!! デビルアルカンシェル発射!!』
ついに発射されたデビルアルカンシェル。漆黒の高エネルギーが北海道の地表目掛けて
突き進んでいくが、地上のジャイアントレイジングハートのエネルギーチャージも完了していた。

「それじゃあ行くよ!」
「おう!」
「照準もバッチリだ!」
「ジャイアント!! スターライト!! ブレイカァァァァァァ!!」
オーサムを中心にした周囲に巨大な魔法陣が現れ、ジャイアントレイジングハートから
極太の魔砲が放たれた。その反動はジャイアントレイジングハートを握るオーサムの巨体さえ
地にめり込ませる程の力を持っていたが、それでもオーサムはレイジングハートの照準を
狂わせない。巨大なスターライトブレイカーは衛星軌道上のデビルアースラへ向けて
真正面に突き進み、ついにデビルアルカンシェルと衝突した。

『な!? デビルアルカンシェルが地表に着弾しないだと!? 一体何が起こったんだ!?』
空中での起こったデビルアルカンシェルとジャイアントスターライトブレイカー同士の
衝突は押しす押されつ。双方互角だった。この勝負…力を抜いた方の負けだ。
それ故に双方は己の勝利を掴まんと発射し続けていた。
「うおおおおおおお!!」
『こなくそぉぉぉぉ!!』
しかしその時、ジャイアントレイジングハートから火の手が上がった。
「大変だよクロ!! 増幅装置がエネルギーの負荷に耐えられずに燃えはじめちゃったよ!!」
「オーサムの関節からも煙が上がってるぅ!」
「まだだぁ! 気合でもたせろぉ!!」
「気合って…。」
最後の最後に精神論を持って来るクロになのはとユーノは思わず呆れそうになったが、
もう他にやるべき事は全てやってしまった以上、精神論以外に残された物は無いのだろう。
しかし、必死なのはデビルアースラの方も一緒だ。既にデビルアースラの動力炉も
火の手が上がり始めている。
『くぬぬぬぬぬ!! 負けるものかぁぁぁぁ!!』
と、その時だった。デビルアースラの側面部に何かが着弾した。
『ん!?』
デビルアースラが側面を見ると、そこには何とフェイトの姿があったのである。
フェイトは自身の周囲に結界を張る事によって宇宙空間での活動を可能にしていた。
「プラズマランサー!!」
フェイトの発射した魔砲が連続でデビルアースラに着弾する。
『こ! この! 邪魔するなぁ!』
これがいけなかった。デビルアースラが一瞬フェイトに気を取られたが故に
デビルアルカンシェルに使用する力が若干抜けてしまい、
ついにジャイアントスターライトブレイカーに押しのけられてしまった。
『何!? う…うおわぁぁぁぁぁぁ!!』
デビルアースラは完全にジャイアントスターライトブレイカーに飲み込まれていた。

『くそ! まだまだだ~!』
ギリギリの所でデビルアースラから脱出していたデビルは再帰の為に
新たな乗り移る体を探そうとしていたが、そこで突然何かに吸い込まれてしまう。
『う! うわ! 何だ!? うわぁぁぁぁ!!』
デビルが吸い込まれた先にはデビルが封印されていた小瓶を持ったはやての姿があった。
「あ…はやて…いたの?」
「あ~あ~、私の出番これだけやなんて…。この話書いた奴はクズやな…。」
おまけにはやてがいた場所がフェイトの背後だったりした為、フェイトも少し呆れていた。

デビルが再封印された後、やっと駆け付けて来た他の局員が次々
粗大ゴミ投棄場に降り立って事後処理に駆け回っており、
また先の戦いによって大破したアースラの回収作業等も行われていたが
なのは達は何故かミーくんの作った鍋を突付いていたりする。
「まったく…だからあの時言ったんだ。あの小瓶のフタを開けるなよって。」
「ごめんね…まあこちらもこちらで色々あったのよ…。」
「でも猫に説教されるなんてプライド傷付くな~。」
「何だと!? 今度こそ本当にイタチ鍋にするぞ!?」
「イタチ鍋食べた~い!!」
「イタチ鍋!! イタチ鍋!! イタチ鍋!!」
「ひぃぃぃぃ!! やめてぇぇぇぇ!!」
クロ・ミーくん・剛の三人は忽ちイタチ鍋コールを始めてしまい、ユーノも嘆いていた。
しかし…それだけじゃなかった。
「ねぇ…なのはを撃ち殺そうとしてたんだって?」
「あ…。」
ユーノの背後には憎悪の炎を燃やすフェイトの姿があった。
「貴方…なのはと心中しようとしたんだって…?」
「いや…あれは非常事態だったワケだし…ご…ごめんなさい…。」
「少し頭冷やそうか…?」
「ヒィィィィ!! ごめんなさぁぁい!!」
ユーノはフェイトに服の襟を掴まれ、そのまま何処ぞへ連行されてしまったが
その後で剛とミーくんは回収されていくボロボロのアースラを見ていた。
「あ~…君達の船…派手に壊しちゃったね…。」
「別に良いよ。人の命は一度失われたらもう二度と取り戻せないけど…機械は何度でも修理出来るから。
貴方達があのスクラップから巨大なレイジングハートを作った様に…。でもまあ…いくら管理局でも
流石に貴方達みたいに直ぐに新しい物をホイホイ作ったりは出来ないけど…。」
先の戦いでミーくんが悪魔のチップでスクラップを材料に組み上げたジャイアントレイジングハートは
デビルアースラを吹き飛ばした後、限界に達して自壊してしまい、また元のスクラップに戻ってしまったが、
ただのスクラップからこれだけの物を作れるミーくんと、そのミーくんを作った剛の
技術にはメカの知識も無いなのはも少々敬服していた。
「にしても時空なんとかだっけ? 以前オイラ達も砂漠の異世界に飛ばされてしまった事が
あったが…異世界なんて物は沢山あるんだな~。」

そうして鍋を食べ終わった頃には作業も終了し、ついにお別れの時が来た。
「それじゃあ猫さん達…またね?」
「おう! またデビルの封印を解いて体乗っ取られるんじゃねーぞ!」
「あ~…頑張ってみる…。」
別れの挨拶の後、なのは達を乗せた次元航行艦はミッドチルダへ帰って行った。
「行っちまったな…。」
「ああ…。」
「イタチ鍋…食べたかったな~…。」

その頃…ユーノはと言うと、フェイトからキツイお仕置きを受けさせられていたと言う。
「なのはを殺して自分も死のうとしたんだって…? なのはの顔に何発も平手打ちしたんだって?」
「だからそれは非常事態だったんだって! って言うか僕がオチなの!? そんなの酷いよ!」
「お痛はあかんよ~。」
何故かドサクサに紛れてはやてまで制裁に加わっているのだからますます性質が悪かった。
まあ…頑張れ…ユーノ君!
                   おわり

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最終更新:2007年08月14日 17:22