Hero's side Episode 第1話「カオスエメラルド」



~あらすじ~
 カオスコントロールを起こしてなのは達のいる世界に飛ばされてしまったソニック。
 フェイトとのレース勝負で負けてしまったソニックは管理局に連れてこられた。
 そしてソニックがとった行動とは…?

Episode:Hero's side


「で?いつまでこうやってくっついているつもりだ?」
 ソニックが尋ねる。
 なぜなら、彼の背後になのはとフェイトの二人がぴったりくっついている。
 はやてから直々に彼の監視を命令されたので、彼女たちはソニックを監視しているのだ。
 しかし、ソニックとしても常に自分の背後に二人が監視しているとなるとちょっと、いや、結構
 きついものがあるというか、何というか。
 つまり、『自由』ではないのだ。
 そのため、どこかに走りに行くこともできず、寝るにしても監視の目が光っているので、満足に
 眠ることもできない。
「いい加減にしてくれ!!俺はそこまで危険じゃないってば。カオスエメラルドがないと
 カオスコントロールはできないんだぜ?」
「でも逆にいえば、それさえ手に入ってしまえばあなたは自由になれるってことでしょう?
 あなたがいつ、カオスエメラルドを手に入れるかわからないのよ。」
「だーかーら、そのカオスエメラルドがどこにあるのか分からないんだ!」

 と、押し問答が続く。そうこうしている内にソニックは自分が食堂にいることに気がついた。
「…では、次のニュースです。さきほど宝石店にて、とてもきれいな宝石が仕入れられたとのことです。
 値段はまだ公表されてはいませんが、多くの人々がこの宝石を見るために……」
 と、ニュースが流れる。
 何気なくそのニュースに目をやる。

「しかし、どうやらこの宝石を狙っている物がいるようです。
 ごらん下さい、これが予告状です。内容は…
『前略、わしの名はDr.エッグマン。この宝石、カオスエメラルドはワシが頂く。ホーッホッホッホ!!』
 とのことです。」
「!?エッグマン!?」
「誰?知り合い?」
 なのはが尋ねる。
「ああ、チョイとイタズラが過ぎるロボットおやじだぜ。…ってことは、この宝石店が危ないな…」
「え?どういうこと?」
「あいつは目的のためなら、なんだってやる。場合によっちゃこの宝石店、無くなるぜ。」
「なっ…!」
 二人が戦慄する。
 ソニックがこっちの世界に来て早々事件が起ころうとしている。
 しかも、彼のいた世界の人物によって。
「どうすれば、止められるの?」
 そう聞くフェイト。
 楽しくなってきたのか、ソニックはにやりと笑う。
「俺を、あの店へ連れて行ってくれ。絶対にエッグマンを止めてやる。」
 その言葉を聞き、なのはとフェイトがうなずく。
 おそらく、了承したのだろう。
「わかったわ、ついてきて。」
 半分エッグマンのおかげで退屈をしそうにないソニックであった。


 なのはとフェイトは車で、ソニックはその隣を走ってついていく。
「あの店よ!」
 なのはは明らかに人だかりができている一店を指差した。
 そこには、少し、いや、とても太っている人がいた。
「ホーーーッホッホッホッホッホ!!このカオスエメラルドはワシが頂いちゃうもんね!!」
「やめろ!それはこの店で…」
「しつこいなぁ、まったく。ホレ。」
 パチン、とエッグマンが指を鳴らす。
 すると、どこからともなくエッグマンのメカが現れる。
 それは何の躊躇も躊躇いもなく、店員に銃を向ける。
「や、やめ…」
「じゃあの。」
 どうにかしなければ、とフェイトは隣にいるはずのソニックを見たが、どこにもいなかった。
「…?」
 そうこうしている内に――――――――――

 ダダダダダダダダッ

 と銃声が轟く。
 何人が悲鳴をあげてその場にうずくまる。エッグマンの手下が店員に向けて発砲したのだ。
 しかし…
「相変わらずクレイジーだな、エッグマン。」
 とエッグマンの背後で声がする。
 その声を聞いてエッグマンが振り向く。そこには、気絶した店員を抱えたソニックが立っていた。
「ソニック!ま~た貴様邪魔をしおるか!これで何回目じゃ!!」
「さ~て、知らないな。だけど、カオスエメラルドほしさにこんな真似をするのはちょ~っと
 危なすぎないか?」
「知ったことか!ワシはこのカオスエメラルドさえ手に入ればそれでいいの!」
「待ちなさい!!!」
 せっかく会話がヒートアップしてきたのに、と小声で愚痴をこぼすエッグマン。
 その声の主はなのはだった。
「あなたは誰?事と場合によっては強硬手段をとることになるわ。」
「強硬手段?ああ、それには及ばない。何故なら…」
 そこでいったん言葉を切る。
 周囲は固唾をのんでその先の言葉を待っている。
「もう手に入れちゃったもんね~~!!」
 とその手に緑色のカオスエメラルドを掲げる。
「それじゃ、サイナラ~。」
 といつも乗っているメカを浮上させて逃げようとする。
 その時だった。
「俺を忘れるなよ、エッグマン!!!」
 ソニックが駆け出す。
「小癪な~!!お前ら、ソニックを倒しておしまい!!」
 と、ロボットたちに指示を出す。
 しかし、その命令を実行する前にその場にいた5体ほどのロボットはソニックのホーミングアタックを食らい、
 跡形もなく粉々になっていた。
 うそーーーーん!と絶叫するエッグマンだが、彼も彼で絶叫している余裕などなかった。
 なぜなら、ソニックが高層ビルの壁を駆け上がってきたからである。
 ソニックはあっという間にエッグマンと同じ高さにたどり着き、
「ソレ、返してもらうぜ!」
 と壁を強く蹴る。
 ビビったエッグマンの手からカオスエメラルドをひったくるとそのまま急降下をはじめ、綺麗な四点着陸を決める。
 一連の動きに周囲の人々はソニックに惜しみない拍手喝采を浴びせた。
「ぐぬぬぅ~~、ソニックーー!!」
 浮上させていたメカを同じく急降下させ、ソニックのもとへ行こうとする。
「それはワシの――――――――――――」
 カオスエメラルドじゃーー!と続けたかったのだろうが、それを全部言うことはできなかった。
 何故なら、エッグマンの耳元をアクセルシューターがかすめていったからだ。
「これ以上抵抗を続ければ、命の保証はありません。次は当てます。」
 なのはがもう一発アクセルシューターを作り出し、エッグマンに当てようとする。
 エッグマンはそんな彼女を見て、
「いーよいーよ!!今回は引き揚げるけど、つぎはそうはいかないかんなーー!!」
 と半駄々っ子状態で引き揚げるエッグマン。
 完全に居なくなったのを確認し、店員に歩み寄る。
「なあ、コレ、譲ってくれないか?」
「これ持ってるだけであいつに狙われるくらいなら、喜んで。」
 完全に呆れた顔で了承する。
 こうしてソニックたちは一つ目のカオスエメラルドを手にしたのだった。


「これが、カオスエメラルド…」
 今回の戦利品、ともいえるカオスエメラルドをはやてに渡す。
「実際の所はシャーリーに聴かんと分からんけど、相当な力をもっとるな。」
「うん。これ、どうする?」
「決まっとるやろ。ロストロギア認定、即没収や。」
「おいおい、ちょっと待ってくれよ。」
 我が物顔でカオスエメラルドを手にしているはやてにソニックが突っ込む。
「それは俺達のだって、言ってるじゃないか。」
「だから、誰のかはこの際関係ないねん。重要なのは、これがかなり大きな力をもっとることや。
 ここまで大きなものは、誰の手にも渡ったらあかんねん。」
「だーいじょぶだって!俺はこれを操れる。文字通り、カオスコントロールできるんだ。」
「だから…」
 と開けない論争をつづける二人。
 その近辺でなのはとフェイトは取り残されていた。
「でも、宝石店以外、被害がなくてよかったね。」
「うん、でも、これからはあの宝石を見つけた時はまず管理局に連絡してもらうようにしなきゃね。」
 と事務関係のことを話し合っている。
 なのはとフェイトは、はやてとソニックを見ながらふと思う。
 新しい日常も、悪くはないな、と―――――――――――――。

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最終更新:2010年12月18日 22:28