2:ナフコの世界激闘編
こうしてなのは・ユーノ・士・光太郎の四人は打倒百合ショッカーの為に再び旅立つ事になったのだが、
その前にやる事があった。とりあえず移動の際にはなのはは士及び光太郎が持ってるバイクの後に乗せてもらう形に
なるのではあるが、問題はなのは用のヘルメットが無いと言う事である。流石にこのままノーヘルのまま
バイクに乗り続けるのは色々と問題が起こりかねない。しかしバイク屋のヘルメットは結構値段が張り、現状の
限られた予算の中では意外に大きな負担となる。…と言う事で、皆は旅立つ前にまず近所のホームセンターに
寄っていたのであった。ホームセンターなら安いヘルメットもあるし、
その他旅に必要な道具も揃えそうだしね。
「ここがナフコの世界か…。」
「いや…世界とかそんなんじゃないと思うんだけど…。」
一口にホームセンターと言っても色々あるけど、近所にあったホームセンターはナフコだったのでそこへ行っていた。
ナフコって昔は家具屋ってイメージがあったんだけど、今ではホームセンターとして色々な物を置いていると言うのだから
時代も変わったな~と思わせてくれる。とりあえず何か良さげな物を探しに店内に入ろうとしたのであったが…
「大変だー! 百合ショッカーの襲撃だー!!」
「え!?」
突然彼方此方で悲鳴が湧き上がった。そして店内駐車場に全身タイツの男達が大勢雪崩れ込んで来ていたのだった。
「ユリー!」
「ユリー!」
「うわー! 助けてくれー!」
百合ショッカーの百合戦闘員がナフコの世界で従業員やショッピングを楽しんでいた客を見境無く襲い、彼方此方で悲鳴が響く。
とりあえず殆どが戦闘員で強そうな怪人はいない様子であったが、それでも一般市民にとっては脅威である。
「これはもう買い物どころじゃないぞ!」
「うん!」
これ以上百合ショッカーによって罪無き一般市民が虐げられる光景を黙って見ているわけには行かない。
フェレット形態のユーノを左肩に乗せたなのは・士・光太郎の三人がそれぞれ百合ショッカー戦闘員の軍団に対し横に並ぶ形で相対した。
「セーットアーップ!」
なのはの首に下げる宝石状のレイジングハートが桃色の光を放ち、杖へ変化すると共になのは自身にもバリアジャケットが装着された。
「変身!」
『カメンライド! ディケーイド!』
士がディケイドライバーを腰に巻き、ライドブッカーから取り出したカードを差し込む事によってディケイドライバーから
放たれたエネルギーが士の全身を纏い、仮面ライダーディケイドへ変身した。
「変…身! 仮面ライダーBLACK!!」
光太郎が両腕に力を込め、変身ポーズを取ると共に腰に変身ベルトが現れ、その内部に埋め込まれたキングストーンの光によって
光太郎の姿がバッタ男へ変化し、さらにその上を強化皮膚リプラスフォームが覆う事によって仮面ライダーBLACKへと変身するのだった。
「行くぞ!」
「うん!」
「おお!」
こうしてナフコの世界の駐車場で戦闘が始まった。駐車場の彼方此方に展開する百合ショッカー百合戦闘員の軍団に対し、
ディケイド・なのは&ユーノ・BLACKがそれぞれに飛び出し攻めかかっていた。
「ユリー! ユリー!」
「とお! たあ!」
数で迫る百合戦闘員であったが、BLACKのパンチや蹴り、投げによって次々に倒されて行き、
ディケイドもライドブッカー・ソードモードで次々に斬り倒していく。
なのはもまた宙を飛び回り、左肩に乗ったユーノの援護の下でシューター系魔法によってナフコの世界を傷付けない様に
上手く百合戦闘員だけを撃ち落していたのだったが、少し心傷む部分があった。
「あの百合ショッカーの人達の中には元々私達のファンだった人も大勢いるかもしれないって事を考えると
ちょっと心苦しいかな…。」
「確かに…ちょっと微妙な気分だね。」
しかし、ここでなのはとユーノにとってさらに心傷む事態が発生するのであった。
「敵後方に何かどう見ても戦闘員とは違う奴がいるぞ!」
「え!?」
ナフコの駐車場中に展開する百合戦闘員の大軍の奥に明らかに百合戦闘員とは違う者が混じっている事に
BLACKが気付いていた。それにはなのは・ユーノ・ディケイドも百合戦闘員と戦いながらも彼の視線の先に目を向けていた。
「戦闘員ばかりかと思ったらちゃんと怪人もいるのか?」
「違うよ! あれは………。」
百合戦闘員の大軍に混じる別の存在…それは決して百合怪人の類では無かった。
そして百合戦闘員達が道を明けると共に『それ』が前に出て来ていたのだった。
「なのはさん、百合ショッカーに抗う様な真似はやめて帰って来なさい。フェイトさんも彼方と会いたがってますよ。」
「リンディさん!」
「リインとアギトもいる!」
何と言う事であろうか。百合戦闘員の大軍の中から現れたのはリンディ=ハラオウン、そしてリインフォースⅡとアギトだったのである!
「あのエトナっぽい娘もアギトと言うのか…一瞬仮面ライダーアギトが敵に回ったのかと思って焦ったぞ。」
BLACKがアギトの方を見つめその様な事を言っていたが、なのは・ユーノは真剣な面持ちで
リンディ・リイン・アギトと相対していたのだった。
「どうして! どうしてそんな所にいるんですか!?」
「どうしてって…見れば分かる事でしょう? 私達も百合ショッカーに入ったんですよ。」
「そんな………。」
リンディ・リイン・アギトが百合ショッカーに入ってなのは・ユーノと敵対する事になった事実になのはとユーノは愕然としてしまった。
「彼方達も良く考えて御覧なさい。TVアニメの放送が終わってもなおリリカルなのはシリーズが
人気を保ち続けているのは元より百合のおかげなのですよ。だから帰って来て下さい。フェイトさんも
貴女と会いたがっています。二人が揃えばますますファンは喜んでリリカルなのはと言う作品の人気は不動の物になるんですよ?」
確かにその通りかもしれなかった。放送開始前は誰からも見向きのされなかったリリカルなのはシリーズが
こうも人気を得る様になったのはなのはとフェイトの百合が大勢のファンの心を掴んだから。
その為になのはにはフェイトの所に帰って来て欲しい様子だったのだが…
「それって…フェイトちゃんの友達として…帰って来て欲しいと言う意味で言ってるの?
言っておくけど、百合と称してレズビアンの真似事をさせる為に言っているのなら…私は帰らないよ!
私は知ってる…私とフェイトちゃんがファンから賞賛を受けてる陰でユーノ君が色々酷い目にあわされてる事…
私はそんなの嫌だよ! だから私はユーノ君を守るから!」
なのはは未だフェレット形態の姿にあるユーノを守る様に抱きながらそう啖呵を切っており、
それにはリンディ・リイン・アギトの三人も悲しげな顔となっていた。
「そう…ならば仕方がありません…力ずくで行くしかありませんね…。」
「覚悟するです!」
「容赦はしねぇぞ!」
リインは冷凍魔法、そしてアギトは高熱魔法をなのはとユーノへ放とうとしていた。しかし、なのはとユーノは
とりあえず啖呵は切って見たものの、かつての仲間に攻撃するのはどこか気が引ける部分があり躊躇していた。
しかし、そんな二人の気持ちを察してか、ディケイドが前に出ていたのだった。
「ユウスケの奴ならこう言うだろうな。二人の笑顔を守る為に戦うと…。」
「士さん?」
「お前達も元々仲間だった奴と戦うのは気が引けるだろう。ここは俺に任せろ。試してみたいカードもある事だしな。」
ディケイドはライドブッカーから何かカードを取り出しかざしていた。ディケイドは本編終了後も
様々な世界を旅しており、その度に新たなカードを手にしていた。その内の一つを試すつもりでもあった。
「何ブツクサ言ってんだぁぁぁ!?」
アギトの高熱魔法がディケイドに襲い掛かるが…それと同時にディケイドはカードをディケイドライバーに差し込んでいた。
「炎には水だ。」
『プリキュアラーイド! アクアー!』
「えええええええええ!? プリキュアライドォォォ!?」
何と言う事であろう。次の瞬間、ディケイドの姿がキュアアクアの姿になっていたのであった。
確かにディケイドはカメンライドする事によって他の仮面ライダーの姿になりその力を使う事が
出来る事は知られている。しかし、カメンライドならぬプリキュアライドでプリキュアにも
なれるなんて流石に聞いてないのでBLACKもビックリだった。しかし、ディケイドアクアは
構わずライドブッカーからまた別のカードをディケイドライバーに差し込んでいた。
『アタックラーイド! サファイアアロー!』
次の瞬間だった。ディケイドアクアは水で出来た弓矢を作り出し、そこから放たれる
水で出来た矢でアギトの高熱魔法を打ち消していたのであった。
「どうだ? 『プリキュア5の世界』に行った時に手に入れたカードだ。」
「うわ! 声は士さんのままだから凄い違和感だ!」
姿はキュアアクアでも、声はディケイド=士のままであるが故、その凄まじい違和感に
なのは・ユーノ・BLACKは滅茶苦茶に引いてしまっていた。しかし、今度はリインの冷凍魔法が襲い掛かる。
「水なんて凍らしてしまえば良いんです!」
キュアアクアは水の力を持ったプリキュアであるが、それ故に凍らされてしまえば身動きが取れなくなる。
そう言う意味ではリインフォースⅡは相性の悪い相手と言える。しかし、ディケイドアクアは
構わずまた新たなカードを取り出していた。
「ゆかなにはゆかなだ。」
『プリキュアラーイド! ホワイトー!』
何と今度はキュアホワイトの姿に変わった。ディケイドは『ふたりはプリキュアの世界』にも行っていた様である。
そしてディケイドホワイトは冷凍魔法を回避しながらリインに向けて急接近し、その腕を掴んでいた。
「あっ!」
次の瞬間だった。ディケイドホワイトがリインの腕を掴むと共に、リインの体が回転して地面に叩き付けられていたのである。
キュアホワイトは単独での必殺技を持たない代わりにプリキュアの中でも特に優れた柔法を持つと言われている。
その柔の力によってリインを投げ倒していたのだった。
残るはリンディただ一人。それに対しディケイドホワイトはまたも新たなカードを取り出していた。
「久川綾には久川綾だな。」
『プリキュアラーイド! ムーンラーイト!』
今度はキュアムーンライトに変わった! 流石ディケイド、『ハートキャッチプリキュアの世界』も見逃してはいなかった。
そしてディケイドムーンライトは猛烈な速度でリンディへ向けて突撃して行く。
「残るはあんただ!」
「あれこれと姿が変わって鬱陶しい!」
姿はキュアムーンライトでも声は士のままだから相変わらず凄い違和感だっつの。それにはリンディも鬱陶しさを感じ、
背中から妖精の羽を思わせる光の翼を展開させ宙に飛び上がると共にディケイドムーンライトの攻撃を回避していた。
流石リンディ=ハラオウン。歳は取っていても彼女は優秀な魔導師なのだ。リインやアギトの様には上手く行かない。
「空を飛ぶか! ならこちらも飛ぶまで!」
リンディが空中から攻撃を仕掛けるならばと、ディケイドムーンライトも光のマントを作り出し飛び上がった。
そしてナフコ上空で熾烈な空中戦が繰り広げられるのであった。
空中を猛烈な速度で飛び回り何度もぶつかり合って行くリンディとディケイドムーンライト。
それは地上から見ている者の目からは、二つの光の塊同士が衝突を繰り返して行く様にすら見えた。
リンディは確かに強いが、単体の戦闘力と言う意味ではプリキュア屈指の力を持つと言われるムーンライトの力と
能力を再現したディケイドムーンライトも強かった。そしてリンディが一瞬怯んだ隙にディケイドムーンライトは
またさらなるカードをディケイドライバーに差し込んでいたのだった。
『アタックラーイド! フローラルパワー・フォルティシモー!』
ディケイドムーンライトはムーンタクトを右手で握り締め、その先端から現れたエネルギーを纏い
ディケイドムーンライトが猛烈な速度でリンディへ向けて突っ込み、弾き飛ばしていた。
そしてリンディは思い切りリイン・アギトの真上に落下していたのだった。
「ま…まだまだ…。」
「おいおいまだやる気か?」
結構なダメージを与えてもなお立ち上がろうとするリンディ・リイン・アギトの姿に
元の姿に戻ったディケイドも呆れていたのだったが、そこへBLACKが前に出て来た。
「ここは俺に任せろ。キングストーンフラッシュ!!」
BLACKの変身ベルトの中心部に埋め込まれたキングストーンから放たれる光を
直接照射する技、キングストーンフラッシュが三人目掛けて照射された。
キングストーンフラッシュは攻撃以外にも相手の特殊能力を無力化したり等、様々な
奇跡を起こして来た力である。今度は一体如何なる効果を見せると言うのか…?
「うっまぶし!」
キングストーンフラッシュの眩い輝きの前には流石のリンディ・リイン・アギトの三人も
思わず顔を背けてしまうが……
「はっ…私達は一体何を!?」
「と言うかここは何処ですか!?」
「確か百合ショッカーの奴らに捕まって…その後が思い出せねぇ…。」
三人は突如呆気に取られた顔になり、その様な事を言い出していた。その姿を見てBLACKは軽く頷いていた。
「思った通り、奴らに洗脳されていたか。」
「良かった…三人とも本心で百合ショッカーに協力してたわけじゃないんだね?」
なのはとユーノは安心した。リンディ・リイン・アギトの三人はあくまでも百合ショッカーに協力する様に
洗脳されていただけであり、BLACKのキングストーンフラッシュによってその洗脳も解かれ元に戻った事に。
「ユリー!」
「ユリー!」
まだナフコの世界の駐車場には相当数の百合戦闘員が残っていたのだが、三人が元に戻った事で
焦りが生じたのか、彼らは散り散りになって撤退していた。そしてディケイドはその様を見送りながら
変身を解き、門矢士に戻るのだった。
「ひとまずはこちらの勝利か。とりあえずこれで合点が行ったな。この三人を見れば分かる通り、
フェイトも奴らに洗脳された上で百合ショッカーの首領に祭り上げられている可能性は高い。」
「ですが私達以外にも百合ショッカーには沢山の人達が捕らえられました。彼方達も気を付けて下さい。」
洗脳の解かれたリンディ・リイン・アギトの三人は洗脳後の事は一切記憶に無く、百合ショッカーの一員として
ナフコの世界に攻め入りなのは達と敵対したと言う事をなのはとユーノから説明され、そのショックと罪悪感に
苛まれながらも士に対しそう忠告していた。
こうしてなのは・ユーノ・士・光太郎の活躍によって百合ショッカーの部隊を退け、ナフコの世界は平穏を取り戻した。
ここで安心してナフコの世界で旅立つ為に必要な道具を揃え、いざ本格的な百合ショッカー打倒の旅へ出発するのだった。
「よし、行くぞ。」
「うん。」
なのははナフコの世界で購入した安いヘルメットを被りマシンディケイダーの後部座席に乗っていた。
そして未だ回復が完了せずフェレット形態のユーノには振り飛ばされない様にハーネスとヒモを買って巻き、
なのはに括り付ける形としていた。勿論ユーノの回復が完了して人間に戻れた時に備えたメットも購入。
その上でなのは・ユーノを乗せた士のマシンディケイダー、そして光太郎の所有する世紀王専用マシンとして
作られた生体メカとも言えるバトルホッパーは走り出すのだった。
最終更新:2011年04月02日 09:23