7:百合ショッカーの陰謀編

 ミッドチルダ首都クラナガン、かつて時空管理局ミッド地上本部と呼ばれた場所は今や百合ショッカーのアジトと化していた。
その内部では、百合ショッカーの幹部が集まり会議が行われていた。

「現状を報告せよ。」

 百合ショッカー首領としての椅子に座るフェイトの傍らに立つ全身を銀色の鎧で覆われた男、彼はBLACKの世界の
ゴルゴムから百合ショッカーに参加し、現在は首領の補佐官として実権を握っていたシャドームーンであった。

 そして首領なんだけど、首領の椅子にどっしりと座るだけで微動だにしないフェイトに代わってシャドームーンが
各隊からの報告を耳にし、同じく報告書にも目を通して行く。

「なるほど。やはり短期間で勢力を拡大させすぎたのが仇となったか。面を広げすぎた為に各方面それぞれの戦力が
薄くなり、その為に点の戦力にその薄まった戦線に穴が明けられてしまっている。」

 確かに百合ショッカーは各世界に戦力を送り込んでいるが、それ故に個々の戦力低下を招き、
それが各世界で百合ショッカーに対しレジスタンス活動を行う者達に不覚を取る所以となっていた。

「現在頭数を増やす為に各世界の百合厨の確保と共に百合戦闘員・百合怪人化改造を急ピッチで行っております。」
「急がせろ。」
「はっ。」

 次にシャドームーンがある一方を向く。そこには互いに隣り合って座る死神博士改め百合神博士と
ジェイル=スカリエッティの姿があった。

「所でお前達が作っていると言う百合生命体とやらは何時出来上がるんだ?」
「心配せずとも間も無く完成する。」

 未だ百合生命体とは一体何者なのか謎に包まれているが、シャドームーンに睨まれても臆する事無く百合神博士は
質問に答え、それに合わせる様にスカリエッティもまた口を開いていた。

「それにしても百合ショッカーの技術は素晴らしい。私もまだまだ勉強させられる事ばかりだよ。
あと兵員不足の件だが、私がかつて使っていたガジェットの再生産である程度カバーが出来ると思う。」
「ガジェット…? あの無人兵器の事か…。当てになるんだろうな? 試験的に導入した機体が
秋葉原の世界でブラックサンに破壊されまくったと報告書に書いてあるぞ。」
「相手は仮面ライダー。それは致し方ない。しかし、そうでない者達にとっては十分脅威だろう?」
「だと良いがな…。」

 スカリエッティーは百合神博士の百合生命体作りに協力する傍ら、百合ショッカー全体の兵員不足を
カバーする為にガジェットの再生産も行っていた。その内の初期再生産型とも言える物が、秋葉原の世界で
BLACK及びV3に破壊されたガジェットなのだが、確かに仮面ライダーには敵わずとも
そうでは無い者にとっては脅威と言えるのかもしれない。

 続いてシャドームーンはまた別の方向を向く。そこにいたのは…

「お前達宇宙人傭兵部隊の戦果も思わしくないみたいだな。メロンブックスの世界でマグマ星人部隊が
全滅したと報告書には書いてあるぞ。そこはどうなのだ? ヒッポリト星人にテンペラー星人!」

 シャドームーンの視線の先にいたのはヒッポリト星人とテンペラー星人。彼等が宇宙人傭兵部隊の
代表としてこの会議に出席している様子であった。

「我々が貴様達に協力した事を理由に光の国の奴等が介入を始めた様だ。だが心配はいらん。奴等は我々が倒す。」
「それに、我々はあくまでも外部協力者。百合ショッカーの傘下に入ったわけでは無い事を忘れるな?」
「傭兵風情が…。」

 不敵な態度を取るヒッポリト星人とテンペラー星人にシャドームーンも小声で愚痴っていたが、彼が次に向いた方向、
そこにはヴィータ・シグナム・スバル・ティアナの四人の姿があった。

「お前達の方はどうなのだ? 高町なのはを生け捕りに出来る所まで接近しておきながら何もせず帰ったと言うじゃないか。」
「あの時は軽い挨拶をした様なもんだ。次は絶対捕まえてやるよ。」

 四人は不服そうな表情を取り、ヴィータが彼女等を代表して答える。それに対しシャドームーンは腕を組みながらこう続けていた。

「だと良いがな。高町なのはを生け捕りにして首領と再び引き合わせ、さらにユーノ=スクライアを闇に葬れば
あらゆる世界の百合厨どもは大喜びして我等百合ショッカーを称えるだろう。そうすれば百合ショッカーの支配体制は万全となる。」

 そう言いながらシャドームーンは首領の椅子に座ったまま微動だにしないフェイトへ視線を向ける。

「………………………。」

 ヴィータ達四人もまたフェイトの方をじっと見つめていた。

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最終更新:2011年04月02日 09:35