8:百合ショッカー本部殴り込み編
なのは・ユーノ・士・光太郎の四人は数多の戦いの末ついにクラナガンにやって来ていた。
「ついにここまで来たぞ。後一息だ。」
「でも私達四人だけで百合ショッカー総本部を攻撃なんて無茶な気がするんだけど…。」
最終決戦へ向けて静かにながら意気込んでいた士に対し、なのはは不安げだった。仕方が無い。
今のクラナガン、かつての時空管理局ミッド地上本部は百合ショッカーの総本部と化している。
それ故に敵の防衛網も今までとは比較にならない事は想像に難くなかった。
「いや、むしろ逆かもしれないよなのは。」
「え? ユーノ君それどういう事?」
「今まで見て来た通り、百合ショッカーは色々な世界に侵攻しているけど、それぞれの世界にも
百合ショッカーと戦う人達がいた。彼等と戦う為に百合ショッカーもさらに兵力を送り込まなければならない。
…と言う事は、逆に総本部のあるここは守りが手薄になっている可能性が高いと言う事だよ。
それに、下手に大人数で行くよりも少数で一気に奥まで忍び込んで頭を取ると言うのも立派な手。」
ユーノの言葉になのはも思わず納得していた。例え姿はフェレットであろうとも、流石はなのはのブレーンとも言えるユーノだった。
「しかし安心ばかりもしていられない。絶対数こそ少なくとも、総本部ともなれば敵も精鋭が守りに付いているはず。」
「うん…いずれにせよ激戦は避けられないんだね…。」
光太郎の言葉になのはは不安げだった表情を引き締めレイジングハートを握っていたのだが…
「その通りだ。良くぞここまで来たな。」
「ほらおいでなすったぞ!」
早速現れた百合ショッカー総本部の防衛部隊。しかし、それは仮面ライダー1号&2号と瓜二つの者達…
それがのべ数十人も揃っていたのだった。
「仮面ライダー!? しかもあんなに…。」
「違う! あれはショッカーライダーだ!」
「ショッカーライダー!?」
「仮面ライダー1号及び2号は元々ショッカーが一怪人として改造した者だと言う事は以前にも話したが、
それに対抗する為にゲルショッカーが作った仮面ライダーの同型改造人間達だ!」
ショッカーライダー。元々自分達が作り上げた仮面ライダー1号及び2号に苦渋を舐めさせられたゲルショッカーが
対仮面ライダー用に仮面ライダー改造時の設計を基に、戦闘員の中でも優秀な者を改造して作り上げた存在…
それがショッカーライダーであった。手袋及びブーツが黄色く、そして赤を除く色とりどりのマフラーを巻いているのが特徴である。
「その通り。確かにこの者達はショッカーライダーだ。しかし厳密には違う。百合厨の中でも特に優秀だと判断された者を
素体とし、百合ショッカーが改造した百合ショッカーライダーだ。」
「!!」
ショッカーライダー…いや百合ショッカーライダーの軍団の中心に立つ一風変わった全身を甲冑に覆われた男がいた。
「地獄大使か…。」
「地獄大使? 違うな。今の私は地獄大使改めガチ百合大使だ。」
地獄大使。『仮面ライダーの世界』においてショッカーの幹部の一人だった地獄大使。それが百合ショッカーに
参加する事によってガチ百合大使と名乗っていたのだった。そして、ショッカーライダー部隊もまた彼の言葉通りなら
百合厨の中でも特に重度の百合厨を元にした百合ショッカーライダーであると思われる。
「シャドームーンの奴は高町なのはを首領と引き合わせる事によってなのフェイの百合を復活させ
それによって各世界の百合厨からの支持を得て百合ショッカーの支配体制を固める事を狙っている様だが…
我々はその様には考えていない。」
「そうだ。もう淫獣に股開いて中古になったなのはに価値は無いね。」
「まっまだそんな事してないよ////////」
ガチ百合大使と百合ショッカーライダーの言葉になのはとユーノは赤くなってしまっていたが、
彼等のその態度、それはなのはをフェイトを引き合わせようとしていたヴィータ達とは明らかに違っていた。
「故に我等は高町なのはとユーノ=スクライアを殺す事に躊躇いは無い。覚悟しろ!」
「流石は特に重度の百合厨を改造しただけの事はある…か…。」
重度の百合厨ともなればなのフェイの百合以外は考えられず、それ以外のカップリングは根絶の対象となる。
特になのは×ユーノともなれば、彼等にとってはゴミクズ以下だろう。ならば、今なのはとユーノが一緒にいる
と言う状況は彼等にとって忌むべき物であり、ユーノと一緒に入る事を当たり前に受け入れているなのはもまた
彼等にとって忌むべき対象なのだろう。
「我々の愛した高町なのははもう我々の心の中にしか生きていない。今目の前にいるあの女はただのビッチ…。
淫獣に股開いたただの中古女なんだ! あんな奴に価値などありはしない!」
「だからそんな事してないよ////////」
「凄い言われ様だな…。」
百合ショッカーライダー軍団にビッチだの中古だの言われて凄いショックを受けるなのはだったが、
逆に士と光太郎は呆れるばかりだった。しかし、百合ショッカーライダー軍団が脅威である事は事実。
故にそれぞれ変身をして戦闘態勢を取る。
「変身!」
『カメンライド! ディケーイド!』
「変身!! 仮面ライダーBLACK!」
「セーットアーップ!」
なのはとその肩に乗ったフェレットユーノ・ディケイド・BLACKの四人と、百合ショッカーライダー軍団が
相対し、今戦闘が始まった。
「やれい! 百合ショッカーライダーども!」
「ユリィィィィ!!」
ガチ百合大使の号令に合わせ、百合ショッカーライダー軍団が一斉に駆け出していく。伊達に仮面ライダー1号・2号の
設計を流用して作られただけの事はあり、物凄い脚力と速度で接近して来ていた。
「来るぞ!」
ディケイドはライドブッカー・ソードモードを握り振り上げ、BLACKはパンチで跳びかかって来た
百合ショッカーライダーを迎撃した。しかし、百合ショッカーライダーは軽やかにそれを回避し、
逆にキックを打ち込んでいた。それには思わず怯んでしまうディケイド・BLACK。
「ディケイドとBLACKは後回し。まずあのビッチと淫獣をゲゲルしろー!」
「わっくっ来る!」
百合ショッカーライダーはディケイドとBLACKの相手を後回しにし、なのは・ユーノへ向けて猛烈な速度で
駆け寄せて来る。なのははレイジングハートの先端を向け、ディバインバスターで迎撃しようとしていたが間に合わない。
「させるか!」
『カメンライド! 響鬼! アタックライド! 音撃棒・烈火!』
ディケイドは響鬼のカードをディケイドライバーに差し込む事で仮面ライダー響鬼に変身し、
さらにアタックライド・音撃棒・烈火から放たれる火炎弾を連続で発射するが、それさえ百合ショッカーライダーは
回避しつつなのはとユーノへ接近して行く。
「くっ!!」
ユーノはなのはの左肩の上に立ち、防御魔法を展開して百合ショッカーライダーを阻もうとする。
しかし…その行動はお見通しとばかりに百合ショッカーライダーは構わず突撃を続けていた。
「ライダーパーンチ!!」
百合ショッカーライダー軍団のライダーパンチがほぼ同時にユーノの防御魔法へ打ち込まれ、
直後にそれが破られ砕けていた。こと防御に関しては実質Sランク級にも匹敵し得る物を持つユーノの防御魔法を
破った百合ショッカーライダーの集団ライダーパンチ。後は彼等の拳が直接なのはとユーノを襲う…と思われたが…
「危ない!」
とっさにディケイド響鬼が跳び、なのはとユーノを突き飛ばす。そのおかげでなのはとユーノの二人は何とか助かったが、
代わりにディケイド響鬼が百合ショッカーライダーのライダーパンチを受けてしまった。忽ち響鬼への変身が解除されてしまうのは
勿論の事、超硬度・超耐衝撃性・超耐熱性を誇るディヴァインオレ鉱石製のディケイドのボディーの彼方此方から激しい火花が散り倒れ込んでしまう。
これは百合ショッカーライダーの攻撃力の凄まじさを物語っていた。
「ぐぁ!」
「士さん!」
「くっ…邪魔が入ったか。だがディケイドに大ダメージを与えられただけでも良しとしよう。」
なのはとユーノは大急ぎでディケイドへ駆け寄り起き上がらせようとしていたが、ディヴァインオレ製の
スーツでも完全には耐え切れなかった程にディケイドのダメージは大きいらしく中々起き上がれなかった。
「くそ…量産型ライダーのくせに何て強さだ。」
「だから言ったでは無いか。百合ショッカーライダーは百合厨の中でも特に優秀な百合厨を改造してあると。」
確かにその通りだった。百合ショッカーライダーは量産型とは言え、百合厨の中でも特に重度の百合厨を
基にして改造された存在。それ故に戦闘力は百合戦闘員やユリトルーパーとは比較にならなかった。
「ディケイドにBLACKよ、ここで高町なのはとユーノ=スクライアを大人しく渡すのであれば
お前達二人の命だけは助けても良いと思うが…どうかね?」
「断る!」
「何時までそんな強がりが言えるかな? 今このクラナガン近辺にいる反抗勢力はお前達四人だけだ。
今までの様に助けは来ないぞ。」
ガチ百合大使及び百合ショッカーライダー部隊の目的はなのはとユーノを闇に葬る事。
それ故にこの二人を消せるならディケイドとBLACKはどうでも良いと考えていた。
無論そんな事はディケイド・BLACKが許容出来るはずが無いが、今この状況で
誰かが助けに来てくれるとは到底思えなかった。
「私達が貴方達に素直に殺されれば…士さんと光太郎さんを助けてくれるんですね?」
「お…おい…。」
ここでなのはとユーノがゆっくりと百合ショッカーライダー部隊へ向けて歩み寄っていく。
「おい! やめろ!」
「士さん…光太郎さん…。私達が時間を稼いでいる内に逃げて下さい。」
「そして今一度体勢を立て直し、何時の日か百合ショッカーから…世界を守ってください…。」
なのはとユーノは自身の死を賭してでもディケイドとBLACKを助けるつもりだった。
元より誰かを守る為に時空管理局に入った身。その為に誰かを助けられるなら本望。そう考えていたのである。
「やめろ! 奴等がそんな約束を守る物か!」
「ハッハッハッハッ! 潔いとはまさにこの事だな。やはりこの世は百合こそが絶対的な正義。
なのは×ユーノを支持する奴など何処の世界にいると言うのだ。」
「ここにいるぞぉ!!」
「!?」
突如として響き渡った謎の声。まるで三国志における馬岱の名台詞を連想させる言葉を叫び放ったのは
一体何者なのかと思わずその場にいた誰もが騒然としていたのだが…
「とぉ!」
「うあっ!」
直後として何者かが乱入し、百合ショッカーライダーの手に掛かろうとしていたなのはとユーノの二人を
救出し、ディケイド・BLACKの所まで連れ帰していた。
「おっお前は…ユウスケ!」
「この二人の笑顔は…俺が守る!!」
突如として乱入し、なのはとユーノの窮地を救った者、それはディケイドの旅の仲間であった
仮面ライダークウガこと小野寺ユウスケだった。しかし、現れたのはそれだけでは無かった。
「大丈夫ですか士君!」
「夏みかん…。」
倒れていたディケイドを掴み支え上げていたのは、同じくディケイドの旅の仲間である仮面ライダーキバーラこと光夏海。
そしてクウガはなのはとユーノの二人を守る様に前に立ち、構えていた。
「俺も一緒に戦うぞ!」
「お前等今頃…来るのが遅いんだよ!!」
思わずディケイドはクウガとキバーラにそう怒鳴り付けていたのだったが、表面的には怒りつつも
何処か喜びが感じられた。
「実は僕もいるんだ。」
「海東…。」
次に現れた者…それは仮面ライダーディエンドこと海東大樹であった。士がディケイドになる以前から
数多の世界を旅し、その世界のお宝を手に入れるドロボ…ゲフンゲフン…怪盗をしており、時にはディケイドの
ライバルとなる事もあったが、色々あって彼もディケイドの旅の仲間となっていた。
「西も東も百合で塗れたこのご時勢だからこそ…なのは×ユーノは逆にとても貴重なお宝になってると思うんだよね。
まぁ…僕のポケットに入る様な物じゃないし、持ち帰る事も出来ないけどね。」
「とりあえず協力してくれると言う事で良いんだな?」
クウガ・ディエンド・キバーラの増援で一気に勢い付くが、百合ショッカーライダー軍団が圧倒的なのも事実だった。
クウガ・ディエンド・キバーラの救援を受けたなのは・ユーノ・ディケイド・BLACK。
しかし百合ショッカーライダー軍団の相手はそれでも辛そうであった。
「たった三人が増えただけで何が出来る! 数で押し潰してやる!」
「さて、それはどうかな?」
ディエンドは銃として右手に持つディエンドライバーを百合ショッカーライダー部隊へ向け、何処からかカードを
取り出しディエンドライバーへ差し込んでいた。元々ディケイドと同系統の技術によって作られたディエンドもまた、
カメンライドによって様々なライダーを召喚したり、また実体のある幻影を作り出して戦わせる事が出来た。
それによって物量差を覆そうとしていたのだった。
「実はね、僕は士を探すついでに三国志の世界へ行っていたのさ。」
「三国志の世界?」
「残念ながらお宝らしいお宝は手に入らなかったけど、その代わりに三国志武将をライドする事が出来る様になったんだ。」
「わぁ! 何か戦力として頼りになりそうな予感!」
ディケイドがプリキュアの世界へ行ってプリキュアをライド出来る様になったのと同じ様に、ディエンドもまた三国志の世界へ行き
名だたる三国志武将をライドして呼び出す事が出来る様になったと言う。それにはなのはとユーノの二人も思わず期待せざる得ない。
『三国ライド! 五虎大将!』
「おお! いきなり五虎大将か!」
五虎大将とは、三国志の魏・呉・蜀の三国の内の蜀における関羽・張飛・趙雲・黄忠・馬超の五人の武将を指す。
いずれも今日においても語り継がれる程の有名武将である。あくまでもディエンドがライドして呼び出した
実体のある幻影であるとは言え、今と言う状況下においては頼りになる存在と思えたが………
「よりによって恋姫無双版かよ!!」
何と言う事であろうか。ディエンドがライドして呼び出した五虎大将とは、恋姫無双版だったのである。
「海東! お前が行った三国志の世界って恋姫無双の世界の事かよ!」
「うん。それがどうかしたのかい?」
「てっきり横山三国志とか三国無双とか最強武将伝あたりから連れて来ると思ってたからな…。」
恋姫無双の世界は三国志の世界と似て非なる世界。何しろ三国志の名だたる武将達が女性化してる世界だからね。
美髭公と呼ばれる位に立派な髭を蓄えていた事で有名な関羽も、恋姫無双の世界では美しく長い黒髪を持った女性になってる位だ。
「あの…僕達はあれが何なのかちょっと良く分からないんですけど…本当に大丈夫なんですか?」
「安心しろ。俺も良く分からん。」
五虎大将と言うからには絶対に頼りがいのありそうな強そうな男達が現れると期待していた事もあり、
恋姫無双版の五虎大将を見て、それについて良く知らないユーノとなのはは凄い不安げな顔になっていた。勿論BLACKも。
「けどあいつ等強いぞ!」
「本当だ! ってか強っ!」
「何で!?」
皆の不安とは対照的に彼女達は強かった。黄忠のさながらマシンガンの様に高速連射される矢によって
百合ショッカーライダーは次々に射貫かれ、関羽・張飛・趙雲・馬超の四人もまた女性の細腕からは想像も出来ない力で
手に持つ大きな得物をブンブンと振り回して百合ショッカーライダーを次々に薙ぎ倒していく。
彼女達はあくまでもただの人間のはずなのにどうしてあそこまで強いのか意味が分からない程であった。
「もう全部あいつ等五人だけで良いんじゃないかな。」
「いやいや、実はもう一人必要なんだよ。」
「え?」
ディエンドはもう一人必要だと言うが、一体誰を呼び出すと言うのだろう。
『三国ライド! 孔明!』
「はわわ~、ご主人様、敵が来ちゃいました~。」
「で?」
ディエンドが三国ライドで呼び出した諸葛亮孔明…勿論恋姫無双版である事は言うまでも無い事だが
先の五人と違ってあたふたするばかりでとても戦力になるとは思えない。一体何の意味があるのだろうか?
「何か意味あんの?」
「当然あるさ。筆者が喜ぶ。」
何を隠そう筆者は朱里ちゃん好きだからこれだけは絶対にやっておきたいのであった。
とまあこんな感じで百合ショッカーライダー部隊は五虎大将に任せとけば間も無く全滅する…と思われたが…
「ええい不甲斐無い奴等め! こうなったら私が直々に相手をしてやる。」
ここでガチ百合大使が前に出て来た。無論五虎大将は一気にガチ百合大使へ向けて駆け寄せるが…
「百合ショッカー百合幹部ガチ百合大使。してその実態は…ユリユリユリユリ…ユリユリンダァ!!」
「ああ! あの人怪人に変身したよ!」
地獄大使が怪人ガラガランダに変身する事は知られている。そしてガチ百合大使もまた、ユリユリンダなる怪人へ変身し、
しかもそのまま右手のムチで五人まとめて払い倒し、一気に消滅させてしまった。あくまでもディエンドのライドによって
呼び出された複製の悲しさ。この通りある程度のダメージを受けると消滅する仕組みになっていたのだった。
「あぁ! 強い!」
「邪魔者は消えた! 一気に畳み掛けろぉ!」
「ユリー!」
ユリユリンダの号令により、百合ショッカーライダーが再び勢いを取り戻し突撃を開始した。
「くそ! こうなったら今度こそ本当にやるしか無いぞ!」
迫り来る百合ショッカーライダー部隊に対し皆は戦闘態勢を取り、再び戦いが始まった。
ディケイドはライドブッカーソードモードで百合ショッカーライダーを斬り倒し、BLACKはバトルホッパーで轢き飛ばし、
ユーノがチェーンバインドで縛り上げた隙になのはがディバインバスターで吹き飛ばすし、クウガはライダーキックから放たれる
爆発で吹き飛ばし、ディエンドはディエンドライバーから放たれるディメンションシュートを撃ち込み、キバーラは
光夏海本人が持つ人を笑わせるツボを突く事が出来る能力を利用して百合ショッカーライダーを笑わせる等、
各々の持てる能力を駆使して百合ショッカーライダー部隊と戦っていたが、やはり百合ショッカーライダーは
百合厨の中の百合厨が基になっているだけあってそれでもまだ足りない強さと勢いを持っていた。
「これはさらなる戦力の増強が必要だね。」
「また誰かを呼び出すのかい?」
ディエンドはカードを取り出し、ディエンドライバーに差し込む。またカメンライドかはたまた三国ライドで
誰かを呼び出して戦うのかと思われていたのだったが……
『カメンライド! ダブルドライバー!』
「え!?」
ここで予想だにしない事が起こった。フェレット形態であったユーノが突如として人間の姿に戻り、
さらに彼の腰には『仮面ライダーW』の世界における仮面ライダーが巻くベルト・ダブルドライバーが巻かれていたのである。
「あの…これは一体どういう事なのかい?」
「ちょっと待って。これはもう一人いないとダメな事なんだ。」
ユーノはさっぱり意味が分からず問い掛けていたが、ディエンドはキョロキョロを辺りを見渡していた。
だが、そんな時に…
「僕はダメかな?」
「クロノ!」
「リンディさんまで。」
ここでクロノとリンディの二人が何処からか姿を現していた。
「でもどうして?」
「百合ショッカーに囚われていた所を私が救い出したんです。」
どうやらクロノも百合ショッカーに囚われていたらしく、そこを既に百合ショッカーの呪縛から解き放たれていた
リンディが救い出した様子であった。
「今更出て来てこんな事を言うのも何だけど…僕にも協力させてくれ。フェレットもどきばかりに良い格好はさせられないからな。」
「よし。君なら丁度良い。ならば行くよ。」
『カメンライド! ダブルドライバー!』
クロノの腰にもダブルドライバーが巻かれ、さらにユーノの右手には緑色の、クロノの左手には黒のUSBメモリ状の物体…
ガイアメモリが握られていた。
「さあ、それをダブルドライバーに差すんだ。」
「行くよ…。」
「ああ…。」
ユーノ・クロノはそれぞれの手に握るガイアメモリをダブルドライバーへと差し込んだ。
「今この瞬間だけは僕達は二人で一人の仮面ライダーだ!」
『サイクロン!』
『ジョーカー!』
次の瞬間、ユーノの姿が左半身が黒の、右半身が緑の姿へ変貌して行く。それこそ『Wの世界』におけるライダー、
仮面ライダーW・サイクロンジョーカーである。
そして、ユーノがサイクロンジョーカーへ変身するのに伴い、クロノの精神はサイクロンジョーカーの内の
ジョーカーの部分へ移る形となり、魂を抜かれた様にグッタリと倒れそうになっていたクロノをリンディが受け抱き上げていた。
「ユーノ君が緑と黒のライダーになっちゃった!」
ユーノの変貌になのはは驚くばかりだったが、サイクロンジョーカーとなったユーノとクロノは
自分がライダーに変身した事によってテンションが上がったのか、百合ショッカーライダー部隊を指差しポーズを決めていた。
「さあ! お前達がヲカズにした百合カップルを数えろ!」
ユーノとクロノの声が思い切りハモり、普段はいがみ合っていても何だかんだで仲良い事を暗示させていた。
「あの…私はその仮面ライダーWと言うのが良く分からないんだけど、とりあえずクロノ君の方もそっちに入ってるって事で良いのかな?」
「うん。そう考えてもらって結構。」
ユーノがただライダーに変身するだけならまだしも、クロノの精神まで入り込むのはどういう理屈なのだろうと
なのはは不思議に思っていたのだが、とりあえずはそういう物だと理解するしか無かった。
「淫獣がライダーになったぞー!」
「うろたえるな! ただのコケ脅しだ!」
「何か変な事をされる前に出鼻を挫いてしまえ!」
百合ショッカーライダー部隊の何人かがユノクロWへ向けて突撃を開始した。しかし、ライダーに変身した事でテンションを上げた
ユーノ・クロノはそれに戸惑いを感じていなかった。
「今の僕達は一味も二味も違うよ!」
ユノクロWが右手を前に突き出す。するとどうだろうか。直後にその右手から猛烈な強風が吹き荒れ、それには思わず
百合ショッカーライダー数名も進撃速度を鈍らせてしまう。これがサイクロンジョーカーの中のサイクロンの持つ能力。
サイクロンであるが故に風を操る事が出来るのである。
「ただの風だ! 怯まず進め!」
「たかが風…されど風と言う事だよ。はっ!」
ユノクロWの右半身であるサイクロンの力によって起こした強風で百合ショッカーライダーの進撃速度が鈍った隙を突き、
さらに風の力を利用して勢いを増したユノクロWの左拳が百合ショッカーライダーを殴り飛ばしていた。
これがサイクロンジョーカーの内のジョーカーの持つ能力。特にそれと言った特殊能力は無いが、純粋に身体能力を高める
能力を持ち、そのシンプルさがかえって使い勝手の良さに繋がっていた。
「うわ! 凄ーい! ユーノ君もう別人みたい!」
クロノも半分混じってるけど、ユーノの別人みたいな活躍になのはもビックリだった。だが、少し残念な気持ちもあった。
「けど…個人的には士さんの力で大きなフェレットさんになる方が私個人としては嬉しかったかな…。」
なのは個人としてはライダーとして活躍するユーノよりも、ディケイドのファイナルフォームライドで巨大フェレットの
姿になって活躍するユーノの方が好きだった。しかし今と言う状況では個人的な好き嫌いを言っている場合では無かった。
「まあ良いや。どうせなら私も何かライダーになりたいな~。何か良いの無いの?」
「いや、君はそのままでも十分強いから必要無いでしょ?」
「ショボーン」
ユノクロWに影響されて自分もライダーになって見たいと思い始めたなのはであったが、即効でディエンドに
拒否されてガックリと肩を落としていた。
「とりあえず今は奴等を倒すのが先決だ。」
「敵の数はまだまだ多いからな。」
その通り。今目の前にはまだまだ沢山の百合ショッカーライダーの大軍とガチ百合大使ことユリユリンダがいる。
これを倒して先に進まねばならぬ…と思われていたが…その直後だった。
「とぉ! ライダー! トリプル! キィィィィック!!」
「何!?」
なのは達の背後から何者かが三人、高々とジャンプして跳び超えると共にキックで百合ショッカーライダー達を
蹴り飛ばしていた。一体誰なのか?
「ここは俺達に任せてお前達は先へ進むんだ!」
「1号! 2号! V3!」
ここでさらに現れたのは仮面ライダー1号・2号・V3だった。秋葉原の世界で、後々合流すると言っていた彼等だが、
本当にその通りにやって来ていたのである。そして三人は百合ショッカーライダーを次々に殴り倒し蹴り倒し、
投げ飛ばしながらディケイド達に先へ進む様叫んでいたのだった。
「ここはあいつ等に任せて俺達は先に進むんだ。」
「で…でも士さん…大丈夫なんですか?」
「アイツ等だって仮面ライダーだ。心配はいらない。」
「本当に倒すべき敵はこの先にいるんだしね。」
なのははたった三人に百合ショッカーライダー部隊の相手を任せる事に不安を感じていたが、
敵は目の前の百合ショッカーライダー部隊だけでは無いのである。故にここは三人に任せて先へ進むしか無かった。
「おっと夏みかん。お前はあの二人と一緒に何処か安全な所へ行くんだ。」
「え?」
ディケイドはキバーラの肩に手を置きつつ、ユノクロWに精神が移った事によって魂が抜けた様にグッタリしていた
クロノを抱き支えていたリンディを指差していた。
「士君。私は戦力として当てにならないと言うんですか?」
「違う! あの二人を守ってやれと言うんだ。特にあっちの黒い服の男の方は精神がWの方に移ってるから
その状態でやられたら大変な事になる。それにあっちのオバサ―――」
少々お待ちください
「あ…あっちの綺麗で美人のお姉さん一人にあの男担がせるのも大変だろう。これも重要な事だ。」
「分かりました士君。そういう事ならば私はこの二人を守ります。」
「ありがとう助かります。」
先程途中で台詞が途切れた様な気がしたが、とりあえずここでキバーラはクロノ・リンディを守ると言う名目で
二人と共に世界と世界を繋ぐ次元のオーロラを通って安全圏へと脱出した。
「よし。とにかく1号・2号・V3が奴等を引き付けている内に俺達も行くぞ。」
今も1号・2号・V3の三人が百合ショッカーライダーの軍団と激しい激闘を繰り広げている。
故に今の内に皆は先へ進むのだった。
最終更新:2011年04月02日 09:36