「なのはちゃん…!」
はやてはそう一言呟いたきり言葉を失う。
「ザフィーラさん! 急いで下がって下さい!!」
なのはの言葉に、ザフィーラは頷いて後方へと飛び去る。
はやては急速に遠ざかって行くなのはの姿を、心配そうにいつまでも見つめていた。

「そうはさせるかよ!」
スタースクリームはそう言って二人目掛けてミサイルを一発放つ。
“アクセルシューター、ドライブイグニッション!”
ミサイルが発射されるのと同時になのはが持つ長杖型のデバイス、レイジングハート先端部にあるコアに文字が表示される。
「シュート!」
なのはがそう叫ぶと同時にピンクの魔力光が一筋放たれ、はやて達を狙うスタースクリームのミサイルに命中する。
バラバラになって落ちていくミサイルを見たスタースクリームは、はやてからなのはに顔を向けて感心したような口調で言う。
「ほぉ? ちったぁやるようだな」
次いでスタースクリームは右手を上げて、機銃の狙いをなのはに定める。
「目標変更だ、まずはてめぇから血祭りに上げてやる!」
その言葉と共にスタースクリームの銃口が火を噴き、なのは目掛けて機銃弾の雨が降り注ぐ。
同時になのはもアクセルシューターを連射してスタースクリームの機銃弾をことごとく撃ち落としていく。
「しゃらくせえ!」
スタースクリームは毒づくと、ミサイルを乱射しながらなのはへ目掛けて一直線に突っ込んで行く。
なのははスタースクリームと等速で後退しながら、ミサイルをアクセルシューターで次々と撃ち落とす。
“ファントム・スマッシャー”
レイジングハートに再び文字が浮かび上がる。
「シュー―――」
なのはがより強力な攻撃魔法を放とうとした時、スタースクリームはアフターバーナーをかけて一気に距離を詰めて来る。
「―――ッ!」
反射的に左横へ回避動作を取らなかったら、なのはは金属の巨体とまともにぶつかって弾き飛ばされていただろう。

「ちっ!」
スタースクリームが舌打ちしながら急停止するのと同時に、なのはの胸元のリボンが切れて落ちる。
振り向いたスタースクリームの両手には短刀と鞘があった。
スタースクリームが鞘とナイフの柄を合わせ、それぞれ左右逆方向に回すと金属が擦り合う音と共に薙刀へと変わる。
スタースクリームはそれを片手で持ち上げて振り回しながら、再び超スピードでなのはへと斬りかかる。
なのはは間一髪の差でそれを回避するが、そこへすかさず反対側の刃が襲い掛かる、それに対してなのははプロテクションを
斜め横に展開して、力点をずらして刃を受け流す。
縦横無尽なスタースクリームの薙刀さばきに、なのはは回避だけで手一杯の状況に追い込まれた。
このままでは真っ二つに切り裂かれるのは、誰の目にも明らかだ。
「どうしたぁ、もう終わりかぁ!?」
雄たけびを上げながら薙刀を振るっていたスタースクリームの右腕が突然動かなくなる。
「!?」
いきなりの事に戸惑ったスタースクリームが手元を見ると、薙刀を握っている右手にミッド
式魔方陣から伸びる鎖の形をしたバインドが絡みついていた。
捕縛盾(バインディングシールド)で動きが封じられている隙に、なのはは後方へ最大限の速度で飛ぶ。
スタースクリームもすぐ我に返り、戦闘機に変形して捕縛盾を引き千切ってその後を追う。
“マスター!”
レイジングハートが言葉を掛けると、急速に距離を縮めるスタースクリームを見詰めながら
頷いて答える。
「うん、速いね。詠唱している余裕はないみたい。レイジングハート!」
なのはの指示を受けて、レイジングハートはなのは共同で開発したオリジナルシステムを起動させる。
“了解、TTS(Thinking Tuning System=思考同調機能)を起動させます”
なのはがデバイスを構えたのを見たスタースクリームが、嘲りの笑みを浮かべながら再びアフターバーナーをかけて一気に詰め
寄ろうとしたその時。
“エクセリオンバスター”
レイジングハートのコア表面に文字が浮かぶと同時に金色の大きい魔力光が放たれ、スタースクリームの顔面に直撃する。
「がっ…!」
思わぬ衝撃にスタースクリームがのけ反り返ると、なのははそこへ間髪入れず立て続けに撃ち込む。
“バスター! バスター! バスター! バスター!”
次々と撃ち込まれる攻撃魔法に、スタースクリームは路上に叩き落とされる。
なのはは攻撃を中止し、カートリッジを排挾するレイジングハートを構えたまま様子を見る。
埃と煙が収まると、路上には引き潰された蛙のように、仰向けで無様にぶっ倒れている
スタースクリームの姿があった。

「野郎ォ…!」
スタースクリームは起き上がると、なのはを憎々しげに睨み付けながら飛び上がろうとする。
その時、スタースクリームの右横に空間モニターが一つ開いた。
「スタースクリーム、人間一人に何を手こずっておる?」
メガトロンからの突然の通信に、スタースクリームは狼狽を露わに答える。
「こ、これはメガトロン様。相手が思いの外手強いもので…。ですがご安心を、すぐに潰してご覧に入れます」
「最初の目標をあっさりと逃してか?」
「あ…い・いや、それは、その…」
なのはは、スタースクリームが自分を放って誰と通信を交わしている様子を、怪訝な表情で見ていた。
一方、そんななのはにお構いなく、メガトロンは言葉に詰まったスタースクリームをからかうように言った。
「もういい、その人間は儂が直々に相手をしてやろう」
「お・お待ちくださいメガトロン様! こんな人間程度でお出ましになる必要は―――」
そう言いかけたスタースクリームの言葉をメガトロンは苛立たしげに遮る。
「いいから下がれスタースクリーム! これは命令だ!」
そう言われたスタースクリームは、肩を落として答える。
「わ、分かりました…」
モニターが切られると、スタースクリームは苛立ち紛れに路面を蹴飛ばして舗装を辺り一面に撒き散らす。
「畜生! あと少しってところで邪魔しやがって!!」
ひとしきり悪態をつくと、なのはを睨みつけながら言う。
「命拾いしたな人間! だが、メガトロン相手じゃ塵一つも残らんかもな!」
そして戦闘機に変形すると、捨て台詞を残して飛び去って行った。
「あばよ! せいぜい五体満足で葬式を出してもらえるよう、お祈りでもしとくんだな!!」

「…!?」
突然スタースクリームが引き揚げた事に、なのはは首を傾げていると、彼女の真横で空間モニターが開いた。
「高町一佐、たった今聖王教会より魔神が飛び立ったと報告がありました!」
そう喋る、黒毛の目の大きいゴリラのような顔のオペレーターの緊張した表情から、なのははスタースクリームが引き上げた
理由と次に何が起こるかを悟った。
「狙いが私…ですね?」
言うべき事を先を取られたオペレーターは驚いたような表情を浮かべたが、すぐに平静に戻って話を続ける。
「は、はい! 八神一佐から高町一佐に攻撃目標が変わったと推測されます! 大至急―――」
「分かりました、直ちに迎撃に向かいます」
オペレーターの言葉を遮って、なのはは言う。
「え!? あ、あの…一佐…」
言葉に詰まったオペレーターが当惑した表情で周囲を見回すと、モニターの表示はゲラー長官に切り替わった。
「高町一佐、相手は君と同じオーバーSランクの聖王教会法王を苦もなく屠った化け物だぞ」
冷徹な口調で言うゲラー長官に、なのはは決然とした表情で答える。
「分かってます。ですが敵の狙いが私であるなら、もし引き上げた場合クラナガン市街への更なる被害が懸念されます。
その点、私が洋上に出て迎え撃てば、魔神の市街地への侵入は阻止できますし、万が一私が敗れればそれで満足して引き
揚げる事も考えられます」
「確証はあるのか?」
再度問い掛けられた時、なのはの中では迷いがあった。魔神の狙いと市街への被害について、そしてセクター7内で見た凍り
漬けの魔神が放っていた禍々しさに対する恐怖。
「あります!」
それらの感情を押し殺し、なのはは自信ありという態度で断言する。
一方、ゲラー長官も答えが出るまでの一瞬の間に、なのはの迷いと恐れを敏感に感じ取っていた。
そして、なのはの言葉にも理がある事を、相手が相手だけになのは以外では対抗する術がない事も、十二分に理解している。
「分かった、君に任せよう」
ゲラー長官はなのはの提案を受け入れると、念を押すように言葉を続けた。
「だが、決して無理はするな。勝てないと思ったらすぐに逃げろ、いいな?」
「はいっ!」
長官の言葉を受けて、なのはは力強く頷いた。

ブロウルが次々とミサイルを発射すると、ティアナはバイクを急発進させて回避する。
目標を見失ったミサイルはそのまま路上や建物に命中して煙と破片を撒き散らす。
煙と埃で視界を遮られたブロウルに、ティアナから撃ち出された魔力弾が命中するが、ことごとく装甲表面で弾かれて傷一つ負わせる
事が出来ない。
弾は派手に飛び交う割に、状況はほとんど変化しないという奇妙な膠着状態に、ブロウルは苛立ちも露わに唸り声を上げる。
一方、ティアナの方は敵の注意を自分に引き付けて、市街地から廃棄都市区画へブロウルを誘導する…という作戦を立てて動いていた。
作戦自体は今のところ順調に行っていると考えてます差し支えなかった。
“セイン、あとどれくらい?”
先行して目的の廃棄都市区画までの距離を計測しているセインへティアナは問いかける。
“あと五分ほどです”
それを聞いたティアナの顔に笑みが浮かぶ。
“OK! 魔力の散布は既に十分だし、廃棄都市区画まで誘い込めれば―――”
ティアナの念話は、 セインからの悲鳴に近い警告に遮られる。
“し、執務官補! 未確認物体が一つ急速に接近中です!”
それと同時に、人型に変形したダブルフェイスが、うらぶれた雑居ビルを突き破ってティアナへ躍りかかる。
「!!」
いきなりの事にティアナが驚愕の表情を浮かべると同時に、乗っていたバイクが突然乗り手を空中に放り投げて上半身女性、下半身
車輪の機械人間に変形する。
人間に変形したバイクは路面スレスレまで身体を倒してダブルフェイスの下を掻い潜る。
攻撃をかわされたダブルフェイスは、そのまま派手に地面を転げまわる。
一方、女性型機械人間の方は再びバイクに戻って、真上に落ちてきたティアナを受け止める。
「え…!? え、ええ…!?」
突然の事に呆気に取られているティアナを乗せて、バイクは猛スピードで走り去る。
「“サイバトロン”…だと!?」
攻撃を避けられたダブルフェイスが、呻くように低く呟いた。

洋上に出たなのはは、背後に拡がるクラナガン市街の方を振り向く。
市街のあちこちから煙が立ち上り、緊急車両のサイレンの音が遠く離れたなのはの耳にも聞こえてきた。
“マスター”
レイジングハートに促されて、なのはは海の向こうに再び目を向ける。
魔神の姿は見えないが、相手はこちらの姿を捉えて確実に近づきつつあるのが、皮膚越しにはっきりと感じ取れる。
なのはは、自分の手持ちのカートリッジの確認を始める。
レイジングハートには全6発中半分使ったカートリッジが1本、バリアジャケット内のアンモパウチには全弾装填されたカートリッジが
4本、普通なら戦うには充分だが魔神相手では心もとないように、なのはには感じられた。
“相手は聖王教会法王を屠った怪物…だったね”
なのははレイジングハートに話しかける、TTSによる、念話すら介さない直接の思考のやり取りなので、処理時間も速く、秘匿性も
段違いに優れている。
“はい、マスター”
“と…なると、長期戦は絶対に禁物、短期決戦で決着を付けなければならない”
“はい。それも全力を出せる一瞬の間で決するかと思います”
“瞬間で相手に総てを叩きつなければ、こちらに勝機はない…って事?”
“そうです、マスター”
“と、なると…”
会話を始めてから結論が出るまでにかかった時間はわずか一秒ほど。
レイジングハートが差し込まれたカートリッジを全弾ロードすると、なのはは次のカートリッジに交換する。
持てるカートリッジ総てを使い切ると同時に、“ブラスターモード”に移行したレイジングハートから左右大きな光の羽が二枚、上下に
四枚の羽根が現れ、“ブラスターピット”と呼ばれる金色に光る三角形の小型飛行物体がなのはの両肩に二機ずつ現れた。

オペレーターがなのはに告げる。
「魔神の到達まであと数分、視認が可能になります」
なのはが空を見上げると、遥かな高空から炎の塊が一つ、急速にこちらへと降下しているのが見えた。
“古代ベルカの驚異的な発展を可能にし、そして恐らく滅亡の本当の原因ともなった秘宝中の秘宝…”
“…死せる王の下、聖地より彼の翼が蘇る…”
なのはの中で、シモンズの言葉とカリムの預言がよぎる。
“レイジングハート…ホントにいい?”
死と隣り合わせの状況を前に、なのはは意思確認するかのようにレイジングハートへ話しかける。
“もちろんですマスター、あなたと私は死ぬまで一緒です”
レイジングハートからの、主と運命を共に出来る事を喜ぶ返事に、なのははわずかに表情をほころばせた。

「高町一佐! 魔神は既に攻撃可能範囲に入っています!」
オペレーターが呼び掛けても、なのははレイジングハートを構えたまま、身動き一つ取らない。
「いったい何を考えて…!」
「…自殺でもする気か?」
「待っているんだ」
騒ぐ幕僚たちを制するかのように、ゲラー長官の言葉が重く響いた。
それを聞いた幕僚たちは、水を打ったかのように静まり返り、長官に目を向ける。
「相手が相手だけに長くは戦えない…となると、ギリギリまで引きつけて短時間、それも一瞬で全力を叩きつけて倒すつもりだろう」
それを聞いた幕僚たちの視線は、再びモニター上のなのはに集まった。

初めは小さな流星だった魔神の姿は、降下するにつれて大きくなり、今や天をも焼き尽くさんばかりの劫火となって、なのはを
押し潰さんばかりに迫ってくる。
“400km…350km…300km”
レイジングハートは魔神の姿を視認すると同時に、距離を計測してなのはに伝えている。
並みの魔導師なら逃げ出すか気を失うような凄まじいプレッシャーがかかる中、なのははレイジングハートを握り締め、魔神から
視線を外さない。

なのはの様子を見たメガトロンは、ニヤリとほくそ笑むと更に加速とプレッシャーをかける。

“100km…50、40、30…10、9、8…”
距離が二ケタを切っても、なのははなおも動かない。
“…1”
レイジングハートがそう告げた時、なのはは遂に自らの切り札を出した。
“スターライトブレイカー”
次の瞬間、レイジングハートとブラスターピットから桜色の目も眩むような強烈な光が溢れ出し、なのはの眼前に迫った魔神を
包み込む。
光の勢いはそれで減じる事はなく、そのまま空を駆け昇り、成層圏を突き抜け、そして…。

「スターライトブレイカー、月面に着弾しました」
NMCCでは、恐竜のような長い首に赤いつぶらな瞳のオペレーターが、茫然とした表情で報告する。
「魔神が完全に破壊されたかどうか、大至急確認させろ」
額から角が二本生え、めくれ上がった唇から牙が露わになった幕僚が指示を出すと、オペレーターは真顔に戻って空間モニター
を開く。
「どう思いますか?」
ヘルメットを被った女性幕僚がゲラー長官に尋ねる。
「普通に考えれば、これで一件落着…と言いたいところだが…」
長官の後を継いで、ゲンヤ少将が続ける。
「相手が相手だけに、油断は禁物ですな」

レイジングハートが排気してアクセルモードに戻ると、持てる力総てを出し切ったなのはは、グラリと体勢を崩す。
深呼吸して体を落ち着かせようとするが、そんな努力を裏切るように激しい動悸と嘔吐感が襲う。
少し落ち着いてから空を見上げると、魔神の姿は見当たらない。
なのはの顔にかすかに安堵の表情が浮かんだ。

一方、本局の方では幕僚たちが緊張した面持ちで、月面の状況の報告を待っていた。
「このまま完全に破壊されてればいいが…」
幕僚の一人が言うと、もう一人が首を横に振りながら言う。
「あんまり過大な期待はしない方がいいが、せめて動けなくなるぐらいならば…」
幕僚たちの希望的観測には意に介さず、ゲラー長官は無言で席に座っている。
空間モニターが開いて、幕僚たちの議論が途絶える。
「各地の観測所の報告を総合した結果、月面上には残骸も何も確認できません。
蒸発したのでなければ、まだ動いている可能性が」
その報告に、場の空気が一気に凍りついた。

同じ時、なのはも突然膨れ上がる殺気を感じ取った。
「マスター!」
レイジングハートからの警告を受ける前になのははプロテクションを展開する、と同時に足元の海から大きなエネルギー弾が
なのはを襲う。
プロテクションで辛うじて防いだものの、それで複数張ったシールドは完全に砕け散ってしまう。
続いて二発目が撃ち込まれ、これはなのはを直撃して体を宙へ舞い上げる。

「貴様の力、その程度か!」
その声と共に海を裂いて魔神が空へと躍り上がる、名前の由来となった銀色に輝くボディには傷一つ見当たらないない。
「よく見ておけスタースクリーム、本当の体当たりとは、このようにやるのだ!」
魔神はそう言いながら右手を伸ばして落下するなのはを掴むと、ゆりかごに変形して猛スピードでクラナガン市街へと飛ぶ。

本局NMCCは、魔神が無傷で現れた事で大混乱に陥っていた。
オペレーターも士官も幕僚も、みな空間モニターに怒鳴り声を上げ、右往左往する。
「オペレーターに魔神がどこへ向かってるか至急確認させろ!」
そんな状況の中、ゲンヤ少将は近くで茫然と立っていた、赤い顔に長い花をした士官の襟首を掴んで大声で指示を出す。
命令を受けた士官は我に返ると、NMCCへ駆け出してオペレーターの一人にそれを伝える。
オペレーターは周囲の同僚にも協力を仰いで、なのはと魔神が戦った位置と現在位置を基に進路上にある大きい建造物を調べて
行く。
「本局か!?
「いや、それなら進路は少し北にずれてないか?」
「と、なると…」
少し議論した後、オペレーターは結果を士官へ報告した。
「目的地は本局、または次元世界貿易センタービルと見られます」
次元世界貿易センタービルとは、本局に次ぐ750階という高さを誇る高層建築物で、複数の世界で活躍する多国籍企業の多くが
本社機能を持つオフィスを構える、次元世界の経済の中枢とも言える建物である。

「マスター、魔神は次元世界貿易センタービルに向かっています!」
レイジングハートがなのはに状況を伝えるも、スターライトブレイカーで全力を出し切った事に加え、先程の攻撃によるダメージで
身動きすらままならない。
意識が途切れそうになるのに必死で抗いながら、なのはは魔神の向かう方向へ顔を向ける。
ビルが急速に近づいてくるのを見た時、何も出来る事がない事をなのはは悟った。
せめてダメージだけでも最小限度に抑えようと、なのはは残る力をフルに使ってプロテクションを幾重にも展開する。
総ての力を使い果たしたなのはが意識を失うのと同時に、魔神はセンタービル529階のフロアに突っ込んだ。

前へ 目次へ 次へ

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年11月01日 23:35