なのはの通う学校に二人の兄弟転入して来た。兄弟は何故か5歳にも満たぬ男の子を連れて登校して来る。
三人はいつも行動を共にし、どう言うわけかキズだらけ。何かに怯えていた。
「早く家に帰りなさい。」
「家に帰りたく無いんだもん。」
「こ…こ…怖いんだ…。」
つくね、なんこつ、たんの三兄弟が下校拒否していた所から物語は始まる。
「先生どうしたんですかー?」
そこで現れるなのは・フェイト・アリサ・すずかの四人。
「ちょっとこの子達を家まで送って行ってくれない?」
「やだー…。」
「何この子達…。」
「三日前に転入して来た鳥野兄弟よ。」
と言う事で四人は鳥野兄弟を家まで送る事となった。
しかし、その間も鳥野兄弟は何かに怯えて泣き続けるばかり。
「この小さい子は何者なの?」
「さっきから怖い怖いって一体何が怖いの?」
「お姉ちゃんが…怖いんだ…。」
「ギャー!!」
「ははははははははは!!」
「キャハハハハハハハ!!」
思わず四人も呆れて笑い出してしまうが、やっと家に到着した様であった。
「この家みたいだよー。」
「そこね?」
「早く行こう?」
「やだよー!」
怯えて帰宅を拒否し続ける鳥野兄弟を無理矢理家のある場所まで連れて行くと…
そこには何と空き地の中にポツンと立つ小さな小屋があった。
「アハハハハハハ!! 何この家!!」
「ウサギ小屋じゃないの!?」
「ワハハハハハ!!」
「ってあら!?」
そこでなのはがある事に気付いた。
「誰か寝てるの。」
確かになのはの言う通り、空き地の中に中年の男が横たわっていた。
「とーさんだよ。またタバコ吸ってる所見付かったんだ…。」
「誰に!?」
「お姉ちゃんだよぉぉぉ!!」
鳥野兄弟は号泣するが、それでも四人はしっかりと兄弟を家まで送らねばならない。
そして空き地の中へと連れて行くのである。
「行こ行こ。」
「やめてーこわいよー!」
「入ろうよ。」
「待って! 絶対お姉ちゃんと顔をあわせたらダメだよ!」
「目~!?」
「とにかくダメなのー!」
そうすると小屋の戸が開き、一人の大人の男が現れた。
「シロさんだ。」
「ヨレヨレじゃない。」
「うおらぁぁぁぁぁ!!」
何と言う事か、戸から現れたボロボロの男に追い討ちをかけるがごとく、背後から
二メートルはあろうかと言う割烹着を着た大女が強烈なラリアートで男を倒したのである。
これには四人も愕然とする。
「ほふっ! ほふっ!」
「ま…まさか…あれが…。」
「ねぎま姉ちゃんだよ。」
これでやっと四人は鳥野兄弟が怯え、帰宅を拒み続けていた理由が分かった。
確かに彼等の姉、ねぎまはまるでこの世の者とは思えぬ程恐ろしかった。
既に魔法少女として幾多の修羅場を潜り抜けたなのは&フェイトだって
あれほどのバケモノはお目にかかった事が無い。
そしてねぎまは倒した男に強烈なストンピングを浴びせ、さらに空き地にある物を
そこら中怖しまくっていたのである。
「うぉら! うぉら! ハイィ! ちぇい!」
「な…何であんなに怒ってるの?」
「と…特に理由は無いんだ…。」
と、その時だった。ついになのは達四人と鳥野兄弟に気付いたねぎまは彼女等を睨み付けたのである。
「目見ちゃだめだよ!」
「キャー!」
皆一斉に目を閉じ、目を背け、目を隠した。が、しかし…なのはは目があってしまった。
「あ…。」
「少し…目が…あっちゃったの…。」
「ねぎま姉ちゃんは目があった相手を襲う習性があるのよー!」
「猛獣なのぉー!?」
物凄い形相で言うつくねになのはも唖然。そしてついにねぎまが襲い掛かった。
「ほおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「うぉらぁぁぁぁぁ!!」
「わっ!」
ねぎまの飛び蹴りがつくねを吹き飛ばし、空き地を覆う柵を破壊した。
「ワカメッ!!」
「つくねー!!」
「ギャァァ!!」
なのはは真っ青になって逃げ出し、ねぎまはその後を追った。
「うおらぁぁぁぁ!!」
「わぁぁぁぁぁぁ!!」
「なのはー!!」
フェイトが慌てて後を追おうとしたが、そこをねぎまがいなくなってケロっとしたなんこつに止められた。
「もう大丈夫だよ。お姉ちゃんいなくなったから中でお茶でも飲まない?」
「なのは~…。」
「うおらぁぁぁ!!」
なのはの逃避行は続いていた。しかしねぎまは後を追ってくる。
そして敵の強さは圧倒的だ。恐らく変身してディバインバスターを撃ち込んだとしても
通用するのかさえ怪しい。それだけ恐ろしい相手だったのである。
「うわぁぁぁ!! ユーノ君助けてぇぇぇ!!」
涙を流しながら叫ぶなのはの気持ちに応え、なのはの為なら例え火の中水の中、
なのはの為に頑張る漢、ユーノ=スクライアが何故かマンホールの蓋を開けて現れた。
「どうしたんだいなのは!?」
「ユーノ君後は任せたの!!」
「うぉらぁぁぁぁぁ!!」
と、そこで出端を挫かれるがごとく、ねぎまのラリアートがユーノの後頭部を直撃し、
ユーノはダウン。だが、そこでねぎまはマンホールの中に落ちてしまった。
「ポー!!」
「あっ!」
それに気付いたなのはは大急ぎでマンホールの蓋を閉じてねぎまを下水道に閉じ込めた。
「やったぁぁぁぁぁ!!」
なのはも思わずガッツポーズ。今までのいかなる勝利よりも大きな喜びをなのはは感じていた。
しかし…ねぎまは下水道に閉じ込められてもなおなのはの気配を感知し、
喜び勇んで帰るなのはの後を下水道の中から追った。
「うぉらうぉら!」
「無事生還したの!」
「あら!」
「良く帰って来たね!」
なのはの無事生還は皆も喜ばせるに十分だった。
「あのバケモノは下水道に閉じ込めたの!」
「ホントかい!? 死んだかなー!」
「やったやった! 天国ね! お兄ちゃん!」
いつの間にか蘇生していたつくねも大喜びしていたが…その時だった。
突如地面から盛り上がった二つの手がなのはの両脚をガッチリと掴んだのは…
「………!!」
おわり
最終更新:2007年08月14日 19:50