魔界は悪魔超人界を束ねる悪魔将軍にも悩みはある。
何しろ何億と言う悪魔達を世話しなければならないのだ。
支配者にも支配者の苦労と言う物がある。正義超人達のどんな技にも
耐える強靭な肉体を持つ悪魔将軍だが、政務の精神的な疲労はちと勝手が違う。
「悪魔将軍様、気分転換に出かけられては?」
「うむ。それもそうだな。」
と言う事で悪魔将軍は出かける事にした。目指すは地球。いずれ近い内再び
地球制圧に向けて動き出そうと言う考えもあったし、その下見も兼ねて悪魔将軍は地球にやって来た。
「さて、地球にやって来たは良いが何をしよう。」
とりあえず悪魔将軍は手近にあった喫茶店「翠屋」でこれからの事を
ゆっくり考えようと言う事になったのだが、翠屋の人達はビックリだ。
いきなり全身ダイアモンドで出来た2メートル以上の大男が入ってくるのだから仕方が無い。
しかもこの翠屋と言う喫茶店、本来女性客が多い店だったらしく、違和感ありまくりである。
「あ…あの…ご…ご注文を…。」
店の人と思しき女の子が恐る恐る注文をとりにやって来た。まだ小さいのにしっかりした子だなと
悪魔将軍も感心しつつ、注文をする事にした。
「じゃあ~牛丼!」
「あの~ぎゅ…牛丼は…。」
「何!? まさか無いと言うのか!? 地球では牛丼が世界共通の主食だと言うのは嘘だったのか!?」
これには悪魔将軍も驚いた。てっきり地球では牛丼が主食になっているとばかり思っていたのだ。
これは悪魔将軍にとって唯一の汚点たるキン肉マンの影響なのは言うまでも無い。
「はっ! さては狂牛病だな! 狂牛病問題のせいだな!?」
「いえ、狂牛病違いますから…。最初から翠屋のメニューに牛丼ありませんから…。」
物凄い剣幕で迫る悪魔将軍に女の子も泣きそうだ。そして牛丼を食べられない怒りからか
悪魔将軍はついにやってしまった。
「おのれぇぇ! まさか正義超人の陰謀か! 貴様も正義超人の刺客だな!? 許さぬぞぉ!」
「え!? ってキャァァァァァ!!」
悪魔将軍は女の子を掴むと共にダブルアームスピン。そして天高く放り投げた後に
己もより高く飛びあがり、女の子の首下目掛けて…
「地獄の断頭台!!」
「ぐぇ…。」
幾多の正義超人を地獄に送って来た悪魔将軍の必殺技、地獄の断頭台が女の子の首に炸裂し、
その女の子は動かなくなった。幾らなんでも大の大人が女の子相手に大人気ないんじゃないか?
と思われるかもしれないが悪魔将軍は魔界の悪魔達を束ねる存在だ。この位極悪で無ければ勤まらない。
「あああ! なのはー!」
「なのはがー!」
店内は大騒ぎとなったが悪魔将軍にとっては何処吹く風。牛丼のある店を探す為に翠屋を出たのだが
それから直ぐの事だった。
「待ちなさい! そこの全身ダイアモンド男!」
突然呼び止められた悪魔将軍がふと後を向くと、そこには黒いマントに実を包み、
光の刃を持つ漆黒の鎌を持った金髪の女の子が立っていた。そして悪魔将軍に向けて憎悪の炎を燃やす。
「何だその目は…まさかこの悪魔将軍に戦いを挑むつもりではあるまいな? 
やめておけ、お前もあの人間のガキと同じ運命を辿る事になるぞ。」
「あの人間のガキ…なのはの事か…なのはの事かぁぁぁぁぁぁ!!」

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最終更新:2007年08月14日 20:38