地球を狙う悪の手から地球を守る為に地球の各地に正義超人達が駐屯していた。
その中にキン肉マンⅡ世ことキン肉万太郎と言う超人がいる。そして今日も彼はお目付け役の
アレキサンドリア=ミートに連れられてトレーニングに励んでいたのだけど…
「ハァ…ハァ…疲れたぁぁ~…! 休ませてよぉ~!」
「Ⅱ世! まだトレーニングメニューは全て消化していませんよ!」
トレーニングの途中でバテて倒れてしまった万太郎をミートが叱る。
「そんな事言ったって疲れたんだもん! 今日一日くらいサボっても良いじゃん…。」
「ダメですよ! それでまたサボり癖が付いて以前の入れ替え戦みたいな事になって良いんですか!?」
このキン肉万太郎と言う男。外見こそムキムキの筋肉で覆われているが…精神が伴っておらず
かなりの根性無し。だからこそ少し疲れただけでこの様に音を上げてしまうのである。
だが…このくらいならもはやミートとしても何時もの事だったし、この後ミートが
機転を利かせて万太郎に無理矢理トレーニングメニューを全消化させたりするのだが…
この日は何時もと違っていた。
「わー! 空がゴロゴロ言ってるよ! 雷が落ちてくるよ! 雷怖いよ! 練習中止しよ!」
「ダメですよⅡ世! 雷くらいで何ですか! 雷なんてボルトマン戦で経験済みでしょう!?」
「だって怖い物は怖いんだもん!」
空が雷雲で覆われ、雷鳴が響きだした時にその様に万太郎は怖がっていたが、
それでもミートはトレーニングを止めさせようとしなかった。
そしてその時…二人のいた場所にかなり大きな雷が落ちた。
さらにその落雷によって空間に穴が開き、二人は忽ち消滅してしまっていた…「この世界」から…。
「大変だー! 時空漂流者を二名発見したぞー!」
「何だと!? 急いで収容しろ!」
様々な次元世界を管理するミッドチルダ時空管理局に所属する時空航行艦の一艦が
時空間を巡航中に二名の時空漂流者を発見し、救出した。その二名の時空漂流者は
気を失っていたものの、生命は無事であった為に医務室のベッドに寝かされ、
二名を乗せた時空航行艦は管理局へ帰還した。だが、この二名に何か嫌な予感を感じた
管理局上層部はこの手の何かヤバそうなのの相手は連中にやらすべきだろ? と考え、
機動六課へ押し付けて来たのであった。
「と…言う事で…本日時空間で救助した時空漂流者を元の世界に帰す目処が立つまで
ウチで面倒見る事になったんや。」
「そ…そうなの…?」
「そうや…。」
機動六課隊長である八神はやてからの辞令を聞いた後、機動六課のメンバー達は
苦笑いをしていた。無論辞令を下したはやても含めて…。
「でも何故機動六課が時空漂流者二名の面倒を見なければならないのですか?」
「その二人って何かヤバい人だったりするんですか?」
機動六課のメンバーの一人であるスバル=ナカジマとティアナ=ランスターはそれぞれそう言う。
「いや…その類の報告は受けてへん。やたらに体格の良い豚面の男と眼鏡をかけた小さい子供の二人や。」
「…。」
何だその組み合わせは…と皆は突っ込みたかったが…そこを突っ込みたいのは
きっとはやて自身なんだろうなと悟った皆はあえて言わなかった。
「ま…とにかく…上からの命令やから仕方あらへん。しっかり面倒見いへんとね。」
「りょ…了解…。」
高町なのは一等空尉を初めとする機動六課のメンバー達達はすぐにその二人が
寝かされていると言う医務室に行く事になるのだが…
「美人のお姉さん…この僕と…カルビ丼でも一杯どうですか?」
「あの…困ります…。」
「何…この人…………。」
医務室ではその場にいたシャマルを口説こうとしている万太郎の姿があった。
そう、管理局が回収した時空漂流者とは万太郎とミートの事なのである。
そして女たらしな万太郎がシャマルを口説かないはずが無く、その光景は
なのは達にとって相当異様な光景に映ったに違いない。
「うわぁ! 美人のお姉さんがいっぱいいる! ここは天国か!? 天国なのかぁ!?」
「え!? 美人って…。」
なのは達の存在に気付いた万太郎はさらに狂喜乱舞し始めてしまった。
なのは達は自覚していないが、機動六課の女性陣はかなりの美人揃い。
元々前述の通り女たらしな上に美人に弱い万太郎が狂喜乱舞しないはずが無い。
故に早速歯を輝かせながら万太郎がなのは達に迫ろうとしていたのだが、
そこでミートに天竜チョップされてしまった。
「Ⅱ世!! そんな事より先に聞く事があるでしょう!?」
「うわぁぁ!! 天竜チョップはやめい!!」
「こ…この人達の世話を…しなきゃならないの?」
「み…みたい…。」
なおも万太郎の首下に天竜チョップしまくっているミートの光景を
呆れた目で見ながらなのは達は呆然としていた。
なのはは万太郎とミートに対する状況説明をスバルとティアナに頼んで(押し付けたとも言う)
はやてのいる場所に戻った。するとそこにはフェイト=T=テスタロッサ執務官の姿もあった。
「なのは…何かかなりアレな人の面倒見なきゃいけなくなったみたいだね…。」
「そ…そう…。実際見てくればわかるけどかなりアレだよ…。」
なのはは苦笑いするしか無かったが、そこではやてが何枚かの紙を取り出していた。
「とりあえず本局の方からあの二人の身元について送られて来たから説明しとくね。
あの二人は私達同様に第97管理外世界の出身みたいや。」
「え!? そうなの!?」
はやてはやや呆れながらも首を縦に振る。
「一口に第97管理外世界の出身言うても地球出身や無いみたいや。地球から500億光年
離れた第キン肉星雲第五番惑星キン肉星から地球に来て暮らしてたんやと。」
「え!? って事は宇宙人!?」
「ま…厳密にはそうなるけど…ただの宇宙人やあらへんみたいや。この報告書によると…
超人って言われる特殊な種族の一種みたいやな。何か私らがミッドチルダにいる間に
地球の方でも色々あったらしくてな、それで地球を守る為に沢山の超人が
地球に来てるらしいんやけど、あの二人も元々それで地球に来てたらしいんや。」
「そ…そんな事が…。」
「知らなかった。」
まるで特撮ヒーローものみたいな非現実的な事実になのはとフェイトも唖然としていたが、
自分達もまるで魔法少女ものみたいな事やってるのでそこまでバカに出来なかった。
「まずあのやたら体格の良い豚面の男の名前はキン肉万太郎言うてな、キン肉星の
キン肉族って言う全宇宙の超人の中でも特に名門的民族の王子様なんやて。」
「ええ!? あれが王子様!? 信じられない!?」
「なのはがそこまで驚くなんて…よっぽどアレな人なんだな…。」
なのはの驚き様にフェイトも唖然としていたが、はやての報告は続く。
「確かに性格面がアレなのはこの報告書にも書いてあるけど…あれでも結構実績は
あるみたいや。地球を壊滅させようとしてたデーモンメイキングプラントとの戦いで
活躍したみたいやし、全宇宙の超人が集結して超人宇宙一を競うって言う
超人オリンピック・ザ・レザレクションでは準優勝。
他にも色んな戦いで地球の平和に貢献してたらしいんよ。」
「え…そんなに凄い人なの? 本当に信じられないんだけど…。」
「信じられへんのはウチも一緒や…。」
「あの…本当にそんなアレな人なの?」
お互いに呆れた顔をするなのはとはやてにフェイトは唖然としていた。
「でな、そのキン肉万太郎と一緒にいた小さい眼鏡かけた子供はアレキサンドリア=ミート言うて、
キン肉星のシュラスコ族って民族の出身。万太郎のお目付け役をしててな、あの歳で超人界随一の
頭脳を持つと言われてるらしいんや。何しろその頭脳を敵に狙われた事もあるくらい…。」
「へ~…あの子って何かチョップばっかりしてたけど結構しっかりしてるんだ~…。
案外ユーノ君と気が合ったりして…。」
なのはの表情も万太郎に関しての報告の時に比べて温和となっており、
それにはフェイトもやや安心していた。
「でもその二人がどうして時空漂流なんてしてたのかな?」
「何かたまにあるらしいんよ。自然現象的に時空の穴が開いてしまう事が。
それに運悪く吸い込まれてしまったらしいんよね。普通の人間なら生身で
時空間に放り込まれてしまった時点で死んでしまうんやけど…超人って種族は
生身で宇宙空間にいても平気なのが当たり前らしいから気絶くらいで助かったみたいや。」
「ふ~ん…でもとりあえず出身が97管理外世界って分かってるんなら
さっさと送り返しちゃえば良いんじゃないかな?」
フェイトは言うが、はやては困った顔で首を左右に振った。
「残念やけど上の方でそれが出来へん問題があるらしくてな、元の世界に帰せる目処が
立つまで当分ウチで預からなならなくなったんや。」
「あ…やっぱりそうなの…。先が思いやられるな~。」
現実の厳しさになのはも呆れるしか無かった。
一方その頃、万太郎とミートの方はスバル&ティアナから状況の説明を受けていた。
が…元々そこまで頭が良くない万太郎は説明の意味が理解出来ず、スバルとティアナの
二人にちょっかいばかりかけていたりする。
「そんなワケの分からない事言ってないでお嬢さん…僕とカルビ丼一杯どうだい?」
「黙れこの豚男!」
「ギャヒィ!」
万太郎はスバルに殴り飛ばされた挙句、壁に叩き付けられてのびてしまっていたが、
ミートは真面目に状況説明を聞き、理解出来ていた様子であった。
「つまり僕達は何らかの原因で発生した時空の穴に吸い込まれてしまい、
その後で貴女達の所属する時空管理局と言う多次元組織に救助されたと言う事ですね?
でもまさかその様な物があったとは驚きです。時間超人が普通に見えてしまいますね…。」
「貴方はあっちの豚男と違って賢いみたいで助かりました。
それなのにあの豚男の方は何とかなりませんか…?」
「Ⅱ世に関しては僕の方からキツク言っておきますから…その辺にしといてください…。」
やはり部屋の隅で倒れてのびている万太郎の姿に皆呆れるしかなかった。
最終更新:2007年08月24日 20:48