…暗黒神というのをご存じだろうか?
世界を闇で変えようとし、自然、生物、神、すべてを闇に変えようとした邪神。
―名を『闇月 龍』と言う。
…邪心というのをご存じだろうか?
神殺し…そう呼ばれているか詳しいことは定かではない…暗黒神の妹…
―名を『闇月 由利』と言う。
この2人に何があったのだろうか?
それとも元々2人はそれを望んでいたのだろうか?
…今となっては神話として一部しか書かれていないのだ…
「…星が綺麗だな…由利…」
「…うん…」
「…昔を思い出す…暗黒神だった、あのころをな…」
「…」
「…あのころも星は綺麗だった…だが空を黒く塗りつぶしたのは…私だ…」
「……私も…同じ…」
「すべて私のせいだ…すべてな…」
「…すべて…それは…違う…私も…同じ…だから…」
「…今はもう忘れよう…今だけな…消えることのない記憶だがな…」
「…うん…」
2人は空を眺めていた。時間が次々と過ぎる中で…
―神族初期時代 - 神無月の祭にて…
「よくぞ集まってくれた。神無月 翔、皆を代表して感謝しよう。」
彼の名は神無月 翔。守護神であり、神無月の祭の総括でもある。
「さて、年に1つの祭ではあるが皆に1つ報告すべきことがある。
実は今回新しく神の称号を得た神がいるので今回紹介しようと思う。
では、出てきてくれ。」
「…」
私の名は闇月 龍。この度に私は地上での試練を乗り越えた末、神となった。
「名は闇月 龍という。彼は今日から"月影神"として使命を背負ってもらう。
彼は地上での試練を乗り越え、ここまでたどり着いた。私は大変誇りに思う。
皆よ、彼に祝福を!」
パチパチパチパチ…
「地上からかぁ…あの試練を乗り越えるとはなぁ…」
「地上の試練を乗り越えるなんて、大したものだな…」
「すごいわねぇ…ライ君はどう思う?」
「せやなぁ…確かにすごいなぁ…フーちゃんもあのぐらいすごくならなあかんでぇ~」
「んもうっ…ライ君少し余計っ…」
「フンッ…まあ褒めてはやるよ…」
「地上の試練か…懐かしいね…」
「アンタも地上の出身かい?実はオレもそうなんだよ。」
「お前もだったか。ようやりよるなぁ…」
神々のいろんな声が聞こえる中、オレはその口を初めてこの祭で開いた。
「…闇月 龍…この度に闇月神となった…我の使命は月の裏の管理也…
我、ここに神の使命を宣言する…以上…」
「…というわけだ。皆、互いに協力しあうようにしてくれ。」
…
「お、思ったより暗い奴だなぁ…」
「疲れてるのかねぇ…?」
「愛想がないわねぇ…」
「フーちゃんは愛想どころか優しさすらないやんっ」
「ライ君、吹き飛ばされたいの?」
「ひえぇ、やっぱ怖いのぉ…」
「フンッ…あんくらいが丁度いい…」
「地上の試練は辛いからね…あのくらい暗くなっても仕方ない」
「アンタは無事そうだな。」
「オレも最初はあんな感じだったよ。用は慣れだよ、慣れ。」
…周りからどう見られようがいい…オレは妹の為にここまで上がってきたんだ…
「まぁ、今宵は皆で楽しくやろう!嫌なことも辛いこともすべて忘れて!
それでは…祭の開始だ…!」
そして祭は始まった。
「…」
「改めて、おめでとう。確か龍…だったな?」
さっきの翔とか言う奴か…総括とはご苦労さまなことだ…
「…そうだが…」
「私は神無月 翔。守護神だ。毎年、神無月の祭で総括をやっている。
よろしくな、龍。」
「…ああ…」
「わかるよ、緊張するだろうな。初めての神、わからないことだらけだと思う。
でも大丈夫。みんな最初はそうだからさ。お互い、協力しあおうよ」
「…そうか…じゃあよろしく…」
「よしっ。じゃあ祭の続く限りは楽しめ。それがこの祭でのルールだ。」
「…楽しむ…か…」
「そうだ。楽しいぞ。」
「…わかった…」
翔が言うには『年』には12の『月』があり、1で始まり、12で終わると次の年になるらしい。
そしてその年毎の10回目の月を『神無月』というらしい。そのままのとおり、神がいなくなる月。
そして神は1つに集まり、『祭』と呼ばれるものを開く。
この祭で神々は語り合ったり、酒を振舞ったりと楽しむ。神なりの楽しみ方らしい。
この祭の始まりも、終わりも、すべて翔が宣言するらしい。
まぁ…簡単に言えば神の総まとめ役というところか…
「そうだ、龍。お前酒は飲んだことあるか?」
「…ないな…」
「そうか…せっかくの祭だ、飲んでみないか?他の神も呼んでさ…」
「…まあ悪くはない…」
「よし、そうと決まれば…おーい!輝ー!楓ー!」
「ん…?翔が呼んでるで。」
「そうみたいね…行きましょう。」
「お、来た来た。」
「…」
「なんやー?翔ー、ワイらに何か用かー?」
「あら、あなたさっきの…」
「…闇月 龍だ…龍でいい…」
「そうそう、リュー君ね。ところで翔、なんで彼と一緒なの?」
「お前たち、どうせ暇だろう?」
「んー?まあそうやけど…」
「まあ、祭って言っても私たち別にやることないしねぇ…確かに暇だわ。」
「それなら丁度いい。一緒に飲もう。あの桜の木の下にでも…」
「それええなぁ!でも翔は暇じゃないんちゃうん?」
「心配ない。今なら私も暇だ。いや…実際いつでも暇なんだがな。」
「それならいいわね。いいわ、せっかくの祭だもの。お互い語り合いましょう。
リュー君も…いいわよね?」
「…ああ、構わない…」
―神無月の桜の下…
「いやぁ~!こんなうまい酒久々にのんだわぁ~!翔!もう一杯や!」
「んもう…ライ君は酒とか食べ物になるといつもこうなんだから…」
「ハハハ、でも輝はそれがいいんだよw」
「ま、まあそうだけど…」
「…」
神というのは本当に愉快なもんだ…
まあ日頃は休み無しだろうからこういうところで癒しを得るんだろうが…
「そういえば龍に2人のこと紹介してなかったなぁ。紹介しよう。」
「なんや翔~かっこよく紹介してやぁ~」
「彼は雷鳥 輝。雷神だ。ちょっと食べることにうるさいが、根はいいやつだ。」
「な、なんやねんそれ!ワイがただの食いしん坊にしか見えへんやん!」
「でも実際そうだしねぇ~?」
「な、なんやてぇ~!?」
「あら、久々に争ってみるかしら?」
「やるならやったるでぇ!」
「こらこらw2人共喧嘩はやめなさいw
そして彼女が風来 楓。風神だ。頼りになるけど、ちょっと暴力的なところがたまにキズかな…w」
「ぼ、暴力的じゃないわよ!相手が悪いのよ!相手が!」
「それはワイのことかぁ~!?」
「ライ君以外に誰がいるのよっ!べーだ!」
「あー!後で覚えてやがれやぁ!今は翔がいるから我慢やっ!」
「いいわよっ!後でかかってきなさい!」
「もうっ…2人共相変わらず仲がいいなぁ…w」
「「よくないっ!!」」
「…フフフッ…」
「あ…笑った…w」
「おーん…?」
「あら…?」
「…?ど、どうかしたか…?」
「い、いやぁ…別に気にすることじゃないんだけど…ねぇ…?」
「…そ、そうか…」
「ほぉー…龍の奴やりおるなぁ…」
「これはまた神族に面白いのが入ってきたわねぇ…」
「…」
この日、初めて私に神となって初めて信頼できる仲間ができた。
他の神とも分かり合って、気がつくと私は一人ではなかった。
「よう、龍。」
「月の裏の管理だっけ…?大変だなぁ、お前も。」
「龍!悩みあったらなんでもワイに言うてや!」
「困ったときはお互い様よ、リュー君。」
「フンッ…まあ、仲良しごっこといこうじゃないか…」
「同じ地上出身だぜ!」
「オレも同じく地上出身だけどさ、アンタにはなんか違うオーラがみえるよ。」
…楽しかった…辛い日々もあったけど…やっぱり仲間がいたからやってこれたんだ…
こんな日々が毎日続けばいい…そう思っていた…
でも私はこの時にはわからなかった…
自分が持っていた夢、希望、護るべきものの為に仲間、自然、世界、すべてを
敵に回すことになろうとは…
To Be Continued…
最終更新:2013年05月15日 00:52