自らの希望の為…

.…私には夢があった…
人々が求める唯一の希望…
そして…妹の幸せだった…

それの為なら…私はなんでもする…
何があっても…絶対に諦めない…
ナニヲシテデモ…ダレヲコロシテデモ…



「翔様、最近自らの野望の為に反逆を始める神が多く出ています。」
「むぅ…そうか…わかった。また発見次第連絡してくれ。少し考えたいことがある。」
「了解いたしました。…ところで翔様。」
「ん…?どうした?」
「月影神の龍様のことでお話が…」
「龍か。あいつがどうかしたか?」
「実は…」



「我らの野望の為…何を失ってでも…希望を手にする…」
「…当然、いままでの奴を敵に回すことになる…その覚悟はあるな…?」
「夢は諦めない…そう…心に決めたんだ…」
「アハハハハ!さっさとぶっ潰しにいこうぜ!」
「…さあ、覚悟を決める時はいつだ…?
 …龍。」
「…今だ…一つ残らず闇に変えろ…」

― ヤミノセカイへ… ―



「キース…」
「ああ、いよいよだな…」
「世界はどうなるの…?」
「…"反乱軍"は確実に今の管理系の神より強い。このままでは世界はおろか…」
「…止めなきゃ…」
「わかってる。止めなければ未来なんてないぞ…」
「何故このような愚かな考えを持つのだろう…」
「…わからない。でも1つわかる気がする。欲望、悲しみ、怒り、野望、狂気…
 このすべてが反乱軍を作ってしまった…言うならば"闇"、だな。」
「どんな理由があろうとも世界を滅亡に導くことは…」
「ああ…絶対にさせてはいけない…行くぞ…」
「もちろん…」



「この世界は美しいなぁ~」
「そうね…」
「フーちゃん、しっかりやっとるかぁ~?自分の使命、忘れてしまってはいかんでぇ。」
「…フフッ…ライ君がそんなこと言うなんて珍しいわね…」
「ん~?そうかいなぁ?」
「…ねぇ、ライ君。」
「ん?なんやぁ~…………!」
「っ…」

顔少し隠しとったけどそこでようわかったわ。
フーちゃん、泣いとったんや…

「ど、どうしたんや!?わ、ワイなんか悪いことでも言うた!?」
「…ううん、ライ君のせいじゃない…自分の…せい…」
「な、何かあったんか…?ワイに言うことあったら言うてみ…?」
「…うん…
 私ね、怖いの…今の自分で自然を制御できるのかって…時々不安になる…」
「そ、それはワイも同じやで…」
「ライ君は強くていいね…私は…弱いままなのかも…」
「そんなことあらへん!フーちゃんは強いし、頼りがいある!」
「…いいのよ…無理して言わなくても…私なんて役たたずで…弱虫で…いらない」
「…そんなわけあるかぁー!!」
「…!?」

ワイは精一杯フーちゃんを寄せて、抱きしめたんや。
その時の感触…まだ手に焼きついとる…

「役たたず?弱虫?いらない存在?そんなの誰が決めたんや!
 そんなこと言う奴はワイがぶっ飛ばしたる!フーちゃんはいい子や!
 何より…ワイの大事なパートナーなんや…!」
「…!!う、嘘…私に…そんな…」
「じゃあ…!今、嘘じゃないってこと、証明したる…」

ワイは力を入れてた手を弱め、フーちゃんの肩元に手を置いた。
そしてフーちゃんの唇に顔を近づけて…
…キスをしたんや。
フーちゃんは抵抗せいへんかった。目を瞑って…ワイを受け止めるかのように…

「…すまんかった…。証明の仕方…これしか思いつかへんかったんや…」
「…バカッ…ずるいよ…私のファーストキス…ライ君が持っていくなんて…」
「この件に関しては…ワイがちゃんと責任とったる…だから…"希望"を持てや…」
「…本当に責任…取ってくれるのね…」
「…約束や…」
「…な、なら…私と契を交わして…くださいっ…
 貴方と私…本当の意味でパートナーになりたいの…」
「…ええよ。フーちゃんとなら…後悔せいへん…」
「ライ君…私は貴方が…」

そん時やった。もの凄い轟音と共に風が吹き荒れて…
周りの自然、風景、大地…すべてが暗く見えたんや…

「な、なんや!?」
「…!これは…闇のオーラ…!?」
「な、なんやねんそれ…!?」
「気をつけて!闇の力…いえ、それよりも凶悪な…邪神が来るわよ!」
「じゃ、邪神やてぇ!?」



「翔様!」
「いよいよ来たか…」

反乱軍への到着は私の想像してたよりも早かった。
ここで応戦するか否か…その考えを迫られていた…

「ど、どうしますか!?」
「…やむを得ん…至急反乱軍への体制準備を整えてくれ!
 今管理実行中の神は至急中断し、応戦できる体制を整えてくれ!」
「わかりました!」



「…いよいよだ…希望を手にする為…我らは戦う…
 …何を犠牲にしてでも…!」



「来て…しまったのね…」
「…どういたしましょう…我ら"天使族"にできることは…」
「…神と共に戦いなさい。我ら天使族の使命を果たすのです。
 使命を果たせぬ者の行先は…地獄、堕天の道のみです。」
「…わかりました。私も行ってまいります…」
「…ええ…」
「…それでは…また会える日を心より願っております…」
「…ジュエル」
「…はい…ミカエル様…」
「…必ず…生きて帰ってくるのですよ…
 …これは天使族の使命ではありません…私からあなたへのメッセージです…」
「…それは私も同じです…それでは…」
「…あなたのご幸運を…心より願っております…」



「…」
「…ヤミノセカイ…か…」
「…"悪魔族"のお偉いさんか…なんだ、興味あるのか?」
「…まぁな…ここは"地獄"だ…もっとでかくしてもいいだろう…」
「…確かにな…オレら"死ノ神族"にとってもやりがいがあるし…
 …あんたら悪魔族も栄えるんだろ…?」
「…フフッ、面白いことを言うな…なら…本当にそうしてみるか…?」
「…暇つぶしには丁度いい…善意の神をぶっ潰すチャンスかもしれないしな…」
「…同じ神族にしちゃぁやることが正反対だなぁ…?」
「…そりゃあんたも同じだろうが…」
「…フンッ、せっかくだ、オレたち悪魔族と死ノ神族で手を組まないか…?」
「…悪くねぇ…そういう腐った考えを待ってたんだ…」
「…じゃあ決定だな…オレはアスモ…"七悪魔"の一人だ…まあよろしく…」
「…オレはクロス…善意の神を何千万人もぶっ殺した…裏切りの"神罰代行者"だ…」



「…!兄さん…?何をしてるの…やめて…
 希望の為にすべてを犠牲にするのは私…望んでない…!
 お願いだから…やめて…兄さん…!」

私の声は届くはずもなかった。
希望という呪縛に縛られ、我を失い、自らすべてを失っていく…
そんな兄さんを私は見ていられなかった…
でも…私は止められなかった…
その時の私は何よりもひ弱だったから…



そう…これが後に神話で語り継がれる…
『邪神戦争』の始まりである…

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最終更新:2013年12月08日 02:33
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