『剣客』【掌編・時代劇】

※ネタバレがあります。
2011年10月10日

【文章】
主語が抜けている箇所がある故か少し読み難い箇所あり。
読めないほどではないので、時代ものが好きな方は気にせず読めると思います。
ただ交差法のルビにはちょっと現実に引き戻されちゃうので注意。

【設定】
社会の底辺で生きる剣客は何を思いその人生を歩くか。
前書きにもある「斬らば斬られる世の道理」をそのまま表した作品です。
けっこう捌くのに難しい題材だと思います。

【キャラクター】
すこし掘り下げが足りないと思います。
短編故、キャラクターを立たせることは重要に思いました。

【構成・内容】
前述で捌くのが難しい、と言った理由。
それは、「斬らば斬られる世の道理」をそのまま書いたのではあらすじ時点で結末が読めてしまうので、
読後に、ああ、そうか。と、思うだけの平坦な作品になってしまうことです。
そして、残念ながらこの作品はそれをそのまま書いてしまっています。
「斬らば斬られる世の道理」を体現した主人公を第3者視点で総評する者や、
主人公と関わった誰かを作中に登場させ、死語の無常を煽る展開にしたほうが
物語性がでるのではないかと思いました。

【総括】
もったいない作品。題材は悪くないが掘り下げは一歩足りないと感じました。
「斬らば斬られる世の道理」に最後に気づくってのも少し違和感。
そこまで主人公は生涯無双だったのかしら、と。
最終更新:2011年10月10日 10:37