193 名前:159[sage] 投稿日:2009/01/21(水) 22:51:29 ID:ujuKKzKQ
駅前のゲームセンターの前を通りかかった時、何気なく中を眺めるとそこに夏目がいた。
珍しいな。こんな所にいるなんて…しかも一人で何してるんだ?
中に入りそっと近づいていく。没頭しているのか夏目は気づいていない。
UFOキャッチャーの前、夏目はそこで格闘していた。
景品がやたら可愛い猫のぬいぐるみなのが気にかかるな。
夏目はガラスに張り付きながら距離を確認し、狙いを定めボタンを慎重に押す。
猫の首にアームが引っかかりゆっくりと持ち上げ…あ、落ちた。
「くそ…」
夏目は軽く舌打ちしながら財布を取り出す。また挑戦するらしい。
「おい夏目」
「…!?ああ、田沼か」
声をかけられ驚いていたがおれと分かり安心しているようだった。
「珍しいな、夏目も来ることがあるんだな」
「いや、今日が初めてだ。一緒に遊ぶような友達なんていなかったからな」
まただ。夏目は重いことをさらりと言う。
「おれでも誘ってくれればよかったのに」
「あー…いや、悪い。そうだな田沼なら問題ないか…」
夏目はまた何かを隠している。根が優しいからか嘘をつくのは上手い方でない。
「タキの誕生日が近いんだ。何か渡そうと思って…」
「それでUFOキャッチャーか?」
夏目にしては悪い選択ではない…か?正直おれも女の子へのプレゼントなんて思いつかない。
「可愛いものが好きって言っていたんだ。それにしてもなかなか取れないんだな…」
「何回も挑戦してるのか?」
「ああ、かれこれ二千二百円使ってる」
「夏目…」
「田沼はこういうの出来るか?」
「そうだな…最近はやってないけど多分取れると思う。取ろうか?」
「………」
「夏目?」
「いや、いい。ただ…コツを教えてくれないか?」
予想通りの答えだ。
夏目は何でも自分でしようとする。今回はおれが取ったら意味がないから例外だが。
「そこだ夏目!」
「よし、行け!……やった!」
通算三千四百円目
とうとう猫のぬいぐるみが夏目の手の元にやってきた。
他のぬいぐるみと同じはずだがずっと狙っていたそれは特別に見える。
「ありがとう、田沼」
「気にするな。俺も楽しかったし」
それにしてもここまでしていて夏目は多軌さんと付き合っていないつもりだろうか?
おれからしてみれば付き合っているとしか言えないが…じれったいな。
嬉しそうにする夏目を見てふと思った。
ゲーセンで四苦八苦する夏目という電波を受信したので性懲りもなく再び書いてみた。スマン…