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1-682

『君の傍』
682 名前:名無しさん@ピンキー [2009/12/23(水) 00:02:32 ID:kf9YihGI]
頭だけ投下しておきます。需要あったら続きます

―その壱―


「綺麗だなあ…」思わず口にした言葉にタキがため息混じりに答える。
「ほんとうに…」

二人(と一匹)は冬の海沿いを走るローカル線に揺られていた。雪こそ降っていないが、冷えた空気が足元に忍んでくる。
車窓は見渡す限り海で、澄んだ空気を透して陽光を反射し光る様がとても美しく、夏目もタキも飽きずに眺めている。

タキの祖父の遺した書物にどうやら夏目の祖母、レイコに関する(と思われる)記述があり、その場所へと向かう道中なのだ。

「…一匹とは何だ!この私を愛玩動物扱いするとは!」
ッゴン。
「心を読むな。あと公共の場で騒ぐのはマナー違反だぞ、ニャンコ先生」
「やっぱり可愛い~っ!我慢出来ない~っ!」
夏目に殴られたニャンコ先生は、タキに抱きしめられつつミカンなどもらっている。
アナウンスと僅かな乗客が終点に到着する事を知らせていた。
「…降りようか」

降りた駅のホームも人影は少なく、どことなく寂れた風の港町だった。
「さて、何から調べればいいんだろうな…」
「とりあえず宿に向かいましょう。海沿いの道を通って行くと祖父が書いていた場所も通る様なの」
ニャンコ先生を抱いたままのタキに促され、弱い陽射しに光る海の方へと向かうとコートの首筋をさらうように冷たい風がふいてくる。
「やっぱり家の方より寒いなあ…」
「移動時間もかなりかかったものね。…何だか誰もいないみたいよ、寒いからかしら」
歩きながら話を聞けそうな相手(タキは人、夏目は妖)を探しているのだが一向に誰とも出会わないのは何故だろう。小一時間も歩くと二人とも寒さで気分も重くなってきた。

「…っつ!」首筋に何かが刺さったようなちくりとした痛みが走る。
「どうしたの?夏目君」
痛みはすぐに消え、手で触れても皮膚には何の異常もないようだった。
「いや、なんでもない。それよりタキ、冷えてきたし今日の所はもう宿に行かないか?遠くまで付き合って貰ったのに風邪をひかせる訳にはいかないよ」
「そんな事構わないけれど…確かに寒いわね。明日は晴れるようだし、改めてにしましょうか」
「今日の宿は食事は美味いんだろうな!獲れたてピチピチの刺身か?」
途端に張り切るニャンコ先生の言葉に笑いながら、こぢんまりとした宿の門をくぐる。



683 名前:名無しさん@ピンキー [2009/12/23(水) 00:03:58 ID:kf9YihGI]
―その弐―

「ようこそいらっしゃいました。時期外れでして賑わってはございませんが、お部屋と食事、温泉はゆったりとお楽しみいただけるようになっております。どうぞごゆっくり」
仲居さんに案内された部屋は広く、やはり窓から海が見渡せるようになっていた。部屋の中は暖かい。

洗面所の鏡で首筋を確認したが何ともなかった。
「…気のせいか。ところでタキ。聞きたいんだけれど」
「何かしら?」
「どうして君の荷物もここにあるんだ?」
「だって同じ部屋だもの」「…まさか一部屋しか予約しなかった、とか…」
「私達まだ高校生よ?バイトもしていないのに一人一部屋なんて贅沢出来ないわ」
夏目の顔がさーっと青くなる。「宿の人に言ってもう一部屋用意してもらってくる!」
「夏目君ダメよ!私余分のお金なんて用意してないもの!」
それは夏目も同じだ、同じだが。
「…タキは同じ部屋で構わないのか?…その…」
「ふん、お前の様なモヤシを警戒する女などいるものか」
「モヤシとは何だ!モヤシとは!ニャンコ先生の分の刺身はないからな!」
「何だとっ!モヤシのくせに私の美味いものを奪う気かっ!」
タキがクスクス笑いだし、「…はっ!」我にかえった夏目はパンチを繰り出してくる先生のでかい頭を押さえつつ、もう一度聞いた。
「その…タキは本当におれと同じ部屋でいいのか?男と一緒じゃ気をつかうだろう?」
「猫ちゃんも一緒だし、その方が楽しいと思うわ」笑顔で言う。「男の子と同じ部屋なんて初めてだから緊張するけれど、夏目君なら平気よ」
タキがいいと言うのに、これ以上反論する言葉も宿代も持ち合わせてはいない夏目だった。
「なら…悪いけど一緒の部屋に泊まらせてもらうよ。ニャンコ先生いびきかくなよ」ささやかな仕返しをする。

露天風呂を堪能(先生と一緒に入りたいと言うタキをなんとか説得)した後は、海の幸たっぷりの夕食(夏目と先生で刺身他の取り合いバトルが勃発するもタキが刺身を分けてくれ和解、酒を寄こせと騒ぐニャンコ先生をなだめ)、グッタリした二人は早めに寝ることにした。

『(…布団がくっついている!)』夏目もタキも何となく赤面してしまう。
「せ、先生の寝相が悪いから間空けるよ」
「何だとっ!高貴な私のねぞっ」先生の口をふさぎ夏目は布団を入り口近くまで寄せる。気恥ずかしさでうつむいたままの二人は「…おやすみなさい」「…おやすみ」言葉少なに布団に入った。



684 名前:名無しさん@ピンキー [2009/12/23(水) 00:05:27 ID:kf9YihGI]
―その参―

夜半、タキはふと目を覚ました。
「(何かしら…体が重い…?)」頬にさらりと何かが触れる。闇に慣れてきた目を凝らすと、息がかかる程間近に夏目の顔があった。「(夏目君!?…何この状況?)」
障子越しに差す月明かりが夏目の整った顔をぼんやりと照らし、瞳が銀色にきらめく。思わず見惚れていると、ふいに夏目の唇が首筋に触れた。そのまま胸元の方へ舌でなぞられる。浴衣の襟がはだけられようとする―
「きゃあああっ!」
タキは思いっきり夏目の顔面を殴ってしまった。拳が痛い。
「うう…痛ってぇ…何だ…?ニャンコ先生か…?」
顔を押さえたままの夏目が身を起こす。指の隙間からのぞく瞳はいつもの色だった。
「夏目君、ごっ、ごめん!つい条件反射でっ…」
「え?今オレを殴ったのはタキ?」
やっと夏目は現在の状況に気づいた。
すなわち、夜中に女性の布団しかも腰の上に馬乗り→女性の浴衣の胸元がはだけている→殴られた→「(オレはタキに何をしようとしたんだああああ!)ごめん!」とびすさるようにタキの布団から離れたところに、
「モヤシのくせに一人前に夜這いでもかけようとして失敗したのか」
ニャンコ先生から含み笑いの突っ込みが入る。
『よばっ…!』
「(そ、そんな、夏目君がまさか…)」
先程の唇の感触が甦り、タキは自分が赤くなるのがわかった。
「そんなわけないだろっ!」
そっと伺うと、タキの色白の頬が紅潮しているのが月明かりの下でも見てとれた。その俯き加減の顔も胸元を押さえる手も綺麗で、夏目はしばし見つめてしまう。

「ん?夏目、お前何をつけている?それ、そのわき腹の辺りだ」
「え?」とりあえず電気を点け、タキには背を向け浴衣の前を広げて見てみると…あった。わき腹というか腰というか足の付け根近くというか、墨で書いたような黒々とした文字が見える。
「なんだ?「精」?」
「何かあるの?」タキも心配した声をかけてくる。
「ああ、腰の辺りに何だか字が書いてある」
「それって…私の時みたい…まさか」
『妖?』
「…いつだ?…」


突然、部屋の中に風が渦巻いた。
「うわっ…!」「きゃ…!」
琴の音が聞こえる。
「私めの仕業でございます、よもやその呪がお読みになれるとは」



685 名前:名無しさん@ピンキー [2009/12/23(水) 10:20:12 ID:kf9YihGI]
―その四―


風がおさまった部屋の隅に座っていたのは、艶々と銀色の髪をなびかせた女だった。
「むう、妖か…?どこから入った?」
「そのお声は斑様ですね…。お初にお目にかかります、明石と申します。海辺からずっとそちらの方についてきておりました」
「海辺から…?あの時か!」
首筋の痛みを思い出す。
「おい先生…用心棒はどうなっているんだ…?」
「邪気が感じられなかったのだ、私だって暇を持て余しているわけではないっ」
「まあまあ、夏目君も猫ちゃんも、まずは何が目的なのか教えてもらいましょう」
タキが言う。そのままでは彼女に明石は見えないので、部屋に広げた紙の上に陣を描いたのだ。
「夏目!?もしやあなた様は夏目レイコ様ですか?ああそのお顔は確かに夏目様の…私めはなんと恐れ多い方に呪を!知らぬとはいえ大変失礼致しました!」
「いや、待ってくれ明石、夏目レイコは祖母なんだ。それはまた説明するから、まずはこの字が何なのか教えてくれないか?」
「ああ、そうでございますね…」

「それは私めの呪でございます。人の男に吹き込み、精気を吸って放たれる事で新しい力を得るモノです」「これは消せないのか?」「一度吹き込んだ呪は、放つ以外に私にも消す術はないのです」
「その、放つっていうのは具体的にどうするんだ?」「人の女と契っていただきます」
「契る?」
「馬鹿め、そんなことも知らんのか。情を交わすのだ」
「…もっと分からないんだが」
「性交だ、性交。お前は本当に無知だな」
『せ、せいっ…!』
夏目もタキも思わず声をあげてしまった。
「人の女の中に放たれることで呪は新しい力を持って生まれます。普段であれば夏場のもっと人が多い時期に当たるはずなのですが、今年は何故か今頃に…仕方なく海辺で人の男女が通りかかるのを待っていたところ、強い妖気にひかれまして、それが夏目様だったという訳です」
「…明石、他に方法はないのか?」
「ございません。ですが、夏目様。そちらの方もいらっしゃいますし容易いことと思われますが」
明石の目線の先にはタキがいる。夏目は彼女を見ることすら出来ない。
「いや…彼女は…試しに聞くけれど、このままにしておくとどうなるんだ?」
「呪は早く新しい力を得たいが為に、宿主を意識を奪って手当たり次第に女を襲いましょう」
「…なるほど。さっきの夜這いはこれが原因か。夏目、疑いが晴れて良かったな」
『(なんだってー!)』二人にずーんっと逃げ場のない状況がのしかかった。
呪を消すには女性と契らなければならない、このままでは手当たり次第女性を襲う―



686 名前:名無しさん@ピンキー [2009/12/23(水) 10:25:12 ID:kf9YihGI]
―その伍―

「ニャンコ先生!何か他に方法を知らないか?!」
「知るものか。タキに頼めばいいだろうが」
「…っ!そんな事頼めるわけがないだろうっ!」
祖母の事が知りたくて遠くまで付き合って貰ったうえに、呪いを解きたいから身を任せてくれなどと勝手な言い分だ。
それに、タキだって普通の女の子で、最初はちゃんとしかるべき手順を踏んで好きな人と、と思うのが当然だろう。
「(おれは一体どうすれば…)そうだ!ヒノエ!ヒノエなら何か分かるかもしれない」
顔面蒼白で焦りまくる夏目の手を誰かが握った。
「夏目君、私に手伝わせて頂戴」
タキの顔が間近にある。頬はまだ赤いが、そのまっすぐな眼差しで夏目は自分が落ち着くのがわかった。
「タキ…でもそれは…それはできない」
「こんな遠くまで付き合わせて、しかも傷物にしましたじゃ、タキのご両親にも藤原さん達にも申し訳が立たない。おれ一人で何とかするから、タキは帰るんだ」
「いいえ、私にやらせて。夏目君は私を呪いから救ってくれた。あの時、誰も巻き込みたくなくて人から遠ざかっていた私から、離れずに一緒にいてくれたわ」
「もし呪いが解けていなかったとしても、それだけでもう救われていたの。だから、今度は私の番よ。だから手伝わせて、お願い」
「…でも…それでも」
「夏目君」
頬を染め、瞳はまっすぐに夏目を見つめたまま。

―頷くことしか、出来なかった。

「それでは私はどこかで待たせていただきます。ささやかですが酒宴でもいかがですか?斑様」
「ほう、酒があるのか。美味いつまみも用意しろ」

妖同士で盛り上がっている二人を、夏目は部屋の外へ連れ出す。
「先生、明石、頼みがあるんだ」
「頼みだと?私は高いぞ」「いや、あの…どうすればいいのか…その…教えて欲しいというか…」
「モヤシはやっぱりモヤシだな。契り方もわからんのか」先生はニヤリと笑う。心なしか下品に見えるのは気のせいだろうか。
「…いや、もういっそのこと、妖の姿で助言してくれないか!そうすればタキには見えがっ…痛ってぇぇ!」
「高貴な私に覗きをしろというのかアホウ!ふざけるな!自分で考えろ!行くぞ明石!」
あごに頭突きをくらってしゃがみ込んでいる夏目に、明石がそっと囁いていく。
「ご心配なく、夏目様。私の呪は百戦錬磨でございますよ。する事は自然とお分かりいただけるでしょう」
暗がりに艶やかな笑みを残して、明石はニャンコ先生の後を追っていってしまった。
「…するしか、ないな」
立ち上がった夏目は、部屋の襖を静かに開けた。


687 名前:名無しさん@ピンキー [2009/12/23(水) 10:27:27 ID:kf9YihGI]
―その禄―

電気が消され、部屋はまた窓からの月光だけで蒼白く照らされている。

「…タキ」
「ここにいるわ」
窓際の布団の上に、きちんと正座した輪郭が見てとれた。
ゆっくりと近づき、少し離れた畳の上に座ると、タキが口を開いた。
「…さっき、言わなかったことがあるの」
「…うん」
「こんな状況で伝えるのはとても不本意なんだけれど。それに、卑怯なことに思えて。でもやっぱり言わせてね、答えはいらないから」
「…うん」
「私、夏目君が好き。友人としてではなくて、とても大切なの。一緒に貴方が見る世界を見たいの」

夏目は声が出なかった。瞬きすら出来なかった。

「…誤解はしないでね。取り引きをしようとは思わないから。ただ伝えておきたかっただけなの」
微かに、タキの笑顔が見えた。
「…タキ、おれ」
今なら伝えてもいいのだろうか。
いや――伝えたい。
「おれも…同じ様に想っていたんだ、タキ。…でもおれなんかが誰かを愛せるのか、これが真実(ほんとう)なのかもわからなかった」
「相手に迷惑をかけるだけだ、そんな感情を持つこと自体がおこがましいような気がしたんだ」
「それに…伝え方も言葉も知らなかった、伝えていいのかすらも」
顔を上げるとタキのあのまっすぐな瞳が夏目を見ていた。
すう、と息をする。

「…ありがとう、やっとわかった。好きだよ、タキ。傍にいてほしい。君の存在を感じていたい」
やっと伝えられた。想いを伝えたい相手に、まっすぐに。

――涙がこぼれる。二人の瞳から。

二人は静かに近づき、タキの右手が夏目の左手に、夏目の右手がタキの左手に重なり、そっと唇を合わせた。
始めは静かに、徐々に貪欲にお互いの唇を求める。舌が柔らかく絡み合い、息が弾んでくるのがわかった。
夏目は唇を離し、タキの頬にそっと右手で触れ顔を上げさせると、首筋に舌を這わせる。
「ふ…」タキの唇から声が漏れ、肌が上気しているのが感じられた。そのまま舌と左手で浴衣の胸元を開くと、白く滑らかな隆起が露になる。
胸の大きさなど夏目にはわかるはずもないが、両手で包むようにして弾力と手触りを確かめた。白い中に淡い紅色の部分に触れると、既に固く敏感になっているようだ。
「はっ…あ…」夏目の指先の動きに反応して、タキの体が震える。
もう片方は口に含み舌で転がすように味わう。
「…んっ…ふぁっ…あっ」しばらく我慢していた様子だったが、こらえきれずに声をあげ始めると一層感度が上がりタキは身をよじらせる。



688 名前:名無しさん@ピンキー [2009/12/23(水) 10:29:13 ID:kf9YihGI]
―その七―

「んっ…な…なつめくんっ…」
快感と恥ずかしさが入り混じっているのだろう、タキの頬が紅潮していく。

夏目はタキの首と腰に腕をまわし布団に押し倒した。露な胸が月明かりに仄白く光る。
邪魔な帯をゆっくりと解き、浴衣を全て脱がせ、恥ずかしがるタキを見つめる。
「タキ、とても綺麗だよ」「夏目君…」
「貴志でいいよ、透」
「…たかっ…あっ」
みなまで言わせず、腰骨から内股に舌を這わせつつ下着を下ろして足を開かせる。夏目は自分の手際よさが信じられなかったが、
「(…これが百戦錬磨か)」心の中で苦笑する。

「やっ…」
タキの抵抗は微かだった。淡い陰影に縁取られた部分は、既にしっとりと濡れている。そっと指で開き、舌でなぞった。
「ああんっ」
ぞくぞくするような良い声だ。
そのまま優しく、時に転がすように、吸い付くようにとじっくりと舌で愛撫すると蜜が溢れだしてくる。
「んっ…やっ…」
「あっ…あん」
「はあっ…んっ」
タキはこらえることも忘れて声をあげ身を震わせる。その反応で夏目は自身がよりたかぶっていくのを感じていた。

「透…君が欲しいよ…いいかい?」
「うんっ…貴志君っ…」
こんな時でも夏目は優しい、快感にのまれながらもタキはそう思う。

ぐっと衝撃があった。
「…んんっ!」
思わぬ痛みに声をあげると「透、大丈夫?」
案じる瞳が見つめていた。月光を映して煌めく。
「(貴志君、綺麗…)…ゆっくりなら、大丈夫…」
微笑んで頷くと、夏目は静かに動き始める。
しばらくは痛みをこらえている様子だったタキも、中が馴染んできたのか、夏目の動きに合わせて息を弾ませ声をあげる。
「あんっ!あんっ!はっ!あんっ」
繋がった部分は溢れ出るものでたっぷりと濡れて、はしたない音をたてている。「貴志く…あっ…私っ…もうっ…はあんっ」
タキが夏目の背に腕を絡め抱きついきて耳元で喘ぐ。その息遣いと柔らかな胸が密着した感触で、夏目ももう限界だった。

「透っ」
「貴志君っ」
お互いに叫ぶと、果てた。

二人は月明かりの中抱き合うように寄り添っているが、気恥ずかしさで目は合わせられない。
「透…ありがとう。君が好きだよ、愛してる」
臆面もなく言うのが夏目らしいが、タキも負けてはいない。
「貴志君!文字!消えてるわ!良かった…」

こういう時でも女性の方が現実的だな、と夏目は息をはく。

これから二人で歩んで行くのだろうか―
おれは透の存在とこの想いを抱き締めて、優しい人達に伝えられるだろうか―

「大丈夫よ」

いつか―そう遠くない未来に。
きっと。

689 名前:名無しさん@ピンキー [2009/12/23(水) 10:30:01 ID:kf9YihGI]
投下しちゃいました
目障りだったらすみません…

691 名前:名無しさん@ピンキー [2009/12/23(水) 20:45:06 ID:PdyjbcWM]
>>689 GJ!
友人帳のふいんきを壊さずに話を進めてあって良かったお

この作品の言いたいポイントはここか?
>「男の子と同じ部屋なんて初めてだから緊張するけれど、夏目君なら平気よ」
タキ可愛いよタキぃぃ!

んだから ここの会話なり、仕草をもっと厚くして欲しかったっス


693 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2009/12/23(水) 23:12:15 ID:kf9YihGI]
>>691
その部分の描写、余計な気がして(その禄の告白シーンの印象が強くなるかと思って)推敲段階で削ってました。
お気に召さないかもしれませんが、推敲前投下してみますね


694 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2009/12/23(水) 23:14:04 ID:kf9YihGI]
―その弐―(推敲前・タキ描写多いです)
最後、タキがちょっと「あかく~」の国府化してます


「ようこそいらっしゃいました。時期外れでして賑わってはございませんが、お部屋と食事、温泉はゆったりとお楽しみいただけるようになっております。どうぞごゆっくり」
仲居さんに案内された部屋は広く、やはり窓から海が見渡せるようになっていた。部屋の中は暖かい。

先生はさっそく座卓の上の茶菓子に手を伸ばし、タキにお茶を入れてもらっている。
「夏目君!大変!」
タキが突然声をあげた。
「どうした!?」
「テレビがあるわ!100円入れないと動かないタイプよ!見なくちゃ!」
「…そ、そうか…」
宿に到着してから、タキの様子が何となく変だ。そわそわと先生に話しかけているかと思えば、ふと俯いて黙る。
「(ずっと、人と話さない様にしていたんだよな…旅行でも寂しかったのかもしれないな)」
夏目もはしゃぎたくなる気持ちはよく理解出来る。

テレビをつけようとしているタキを見ながら、洗面所の鏡で首筋を確認したが何ともなかった。
「…気のせいか。ところでタキ。聞きたいんだけれど」
「何かしら?」
「どうして君の荷物もここにあるんだ?」
タキが答えるまで少し間があった。見ると僅かに頬が赤い。
「…だって同じ部屋だもの」
「…まさか一部屋しか予約しなかった、とか…」
「私達まだ高校生よ?バイトもしていないのに一人一部屋なんて贅沢出来ないわ」
夏目の顔がさーっと青くなる。「宿の人に言ってもう一部屋用意してもらってくる!」
「夏目君ダメよ!私余分のお金なんて用意してないもの!」
それは夏目も同じだ、同じだが。
「…タキは同じ部屋で構わないのか?…その…」
「ふん、お前の様なモヤシを警戒する女などいるものか」
「モヤシとは何だ!モヤシとは!ニャンコ先生の分の刺身はないからな!」
「何だとっ!モヤシのくせに私の美味いものを奪う気かっ!」
タキがクスクス笑いだし、「…はっ!」我にかえった夏目はパンチを繰り出してくる先生のでかい頭を押さえつつ、もう一度聞いた。
「その…タキは本当におれと同じ部屋でいいのか?男と一緒じゃ気をつかうだろう?」
どことなく硬かった表情がほぐれ、ふわりとした笑顔になる。
「猫ちゃんも一緒だし、その方が楽しいと思うわ」
また僅かに頬を染め、微かな上目遣いで続ける。
午後の陽射しにタキの柔らかな輪郭が淡く溶け、その儚い美しさから夏目は目がそらせない。

「男の子と同じ部屋なんて初めてだから緊張するけれど、夏目君なら平気よ」
また微笑んで、でもはにかむように言う。

タキがいいと言うのに、これ以上反論する言葉も宿代も持ち合わせてはいない夏目だった。
「なら…悪いけど一緒の部屋に泊まらせてもらうよ。ニャンコ先生いびきかくなよ」ささやかな仕返しをする。

露天風呂を堪能(先生と一緒に入りたいと言うタキをなんとか説得)した後は、海の幸たっぷりの夕食(夏目と先生で刺身他の取り合いバトルが勃発するもタキが刺身を分けてくれ和解、酒を寄こせと騒ぐニャンコ先生をなだめ)、グッタリした二人は早めに寝ることにした。

『(…布団がくっついている!)』夏目もタキも何となく赤面してしまう。
「せ、先生の寝相が悪いから間空けるよ」
「え、ええ…」
「何だとっ!高貴な私のねぞっ」先生の口をふさぎ夏目は布団を入り口近くまで寄せる。気恥ずかしさでうつむいたままの二人は「…おやすみなさい」「…おやすみ」言葉少なに布団に入った。
『(…眠れるだろうか…)』夏目もタキも、心臓が耳元にあるかのように感じていた。

「(…今すぐそこに夏目君が…私…ああだめよ、余計眠れなくなるじゃない!考えちゃだめ。それに猫ちゃんだっているし…)」
「(ああ!つるふか猫ちゃんを抱いて眠りたいっ!)」
「(夏目君…もう眠ったかしら…はっ!寝返りをうてば夏目君の寝顔がすぐそこに?!)」
夏目はいつの間にか寝入った様で、微かな寝息が聞こえる。
「(…私ひとりで緊張し過ぎよ、眠らなくちゃ)」
タキもそっと眼を閉じた。
最終更新:2010年03月01日 12:14
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