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746 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/01/27(水) 22:50:29 ID:Sdv5IxvF]
『とても大切 ~帰る家 滋・塔子編~』
―その壱―

「戸締まりはしっかりするんだぞ」
「ご飯もちゃんと食べて頂戴ね」
「火の元にも注意して」
「風邪をひかないように暖かくしてね」

塔子が商店街の福引きで、特等の『年末温泉一泊の旅~上質の宿でゆったりとした新年を~』を引き当て、年も押し迫った31日。

準備はとうに終えているが、滋と塔子は中々出かけられずにいた。

「本当に一緒に行かなくて良いの?」
塔子は貴志に問う。
「はい、大丈夫です。滋さんも塔子さんも楽しんで来て下さい」

貴志の分の部屋も予約して一緒に行こうと二人は言ったのだが、「友達から忘年会に誘われたんです」というのに重ねて誘う気にはなれない。
最近は仲の良い友達も出来たようで、貴志の表情も随分と明るくなった。

「…本当に大丈夫なんだな?明日の夕方には帰るから」
「お土産たくさん買ってくるわね。寂しかったら電話してね」
「はい。気をつけて」
「いってきます」
滋と塔子は笑顔で見送る貴志に振り返って手を振る。
「さあ、行こうか」
滋が手を取ると、塔子がうふふとあどけなく笑った。
「ちょっと照れちゃうわね♪」

幾つか電車を乗り換え、到着したのは静かな山あいの宿。
大きくはないが、手が行き届いた居心地の良さが感じられる。
案内されたのは中庭の池が見下ろせる二階の部屋だった。

「お食事は何時頃になさいますか?」
そうねえ、と塔子は小首をかしげる。
「お風呂はいつでもご利用頂けますので、よろしければどうぞ。お肌がすべすべになりますよ」
仲居の言葉に反応した塔子の瞳は浮き浮きとしている。
「まあ、じゃあさっそく入って来ようかしら♪滋さんは?」
本当にいつまでも少女の様なひとだ。滋は笑いながら答えた。
「それなら夕食は遅めにしてもらって、ゆっくり入って来るといい。20時頃でお願いしよう」

部屋で待っているよ、と言う滋に手を振って塔子は風呂へ向かい、滋は一人中庭を眺める。夕闇から夜へと変わる空を映す大きな池は、澄んだ鏡のようだ。
「二人で旅行とは久しぶりだな…」

貴志が家に来てから、あの家も大分賑やかになった。
塔子は元々良く笑うひとだが、二人きりで暮らしていた頃よりもずっと生き生きとして楽しそうだ。
滋は貴志と暮らす事に決めて良かったと思う。



747 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/01/27(水) 22:53:50 ID:Sdv5IxvF]
―その弐―

ただ、貴志は。
いまだに迷惑をかけてはいけない、甘え過ぎてはいけない。そんな空気を感じさせる。
いや、笑顔も良く見せるようになったし決して打ち解けていない訳ではない。
それでもどことなく他人行儀なのはこれまでの環境のせいか、それとも。
「…あの家は私達家族三人の家なんだよ」
何か訳があるのかも、とふと滋は思った。


「…滋さん」
襖がすっと開いて、塔子が戻ってきた。そのまま隣に立って一緒に池を眺める格好になる。
「いいお湯だったかい?」
「ええ、とっても。貸し切り風呂もあるんですって」それにね、と塔子が続ける。
「この池、年に一度、大晦日にだけ鐘の音が聞こえるという伝説があるんですって。今女将さんに教えてもらったの」
「ほお、不思議だね」
「もうずぅっと誰も聞いていないそうなんだけれど。ね、聞けるかしら」
まだほんのり上気した顔に優しい笑みを浮かべる。
「聞けるといいね」
彼女は本当に笑顔が似合う。
陶器の表面を薄い透明な膜で覆ったようなうなじに、湯上がりのまだ濡れたままの髪からほつれた後れ毛がはらはらとかかっていた。
緩めに合わされた浴衣の襟元からは湯の匂いと入り混じって甘美な女の香りがする。
滋の腕は無意識のうちに塔子をしっかりと抱きすくめていた。
ぴったりと密着したその体の香気が滋を昂ぶらせた。
塔子を抱きしめて薄化粧の唇に口づけ、まだされるがままの塔子の舌に舌を絡める。
微かに恥じらいつつも、塔子は控えめに応えてきた。
色白の首筋から鎖骨へとゆっくり唇を這わせていくと、塔子の呼吸に喘ぎの色が混じる。
空いている両手を襟から中へと滑りこませ、出産を経験していない女特有の、まだしっかりとした張りのある胸を掴む。
そのたっぷりとしたボリュームは普段の姿からは想像できない程だ。
手のひらで滑らかな肌の感触を味わいつつ、指先で先端をくりくりと弄ぶと塔子の唇から声が漏れ始めた。
「…は、あ…滋、さん」
甘える様な声が可愛らしい。
「…塔子…」
言って浴衣の帯を解き、一気に脱がせてそのまま畳に押し倒すと、目を逸らし恥じらう表情が目に入った。
本当に可愛いひとだ。



748 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/01/27(水) 22:59:08 ID:Sdv5IxvF]
―その参―

「…君はいつも綺麗だよ」
囁いて胸にそっと口づけては強く吸う。瞬く間にいくつものキスマークか塔子の上半身を飾った。
そのまま紅い部分をじっくりと責める。ねぶるように唾液を絡ませ、舌先で捏ね回すようにしては噛み。
「あっ…ああっ…」
抑えられなくなったのだろう、控えめだった塔子の喘ぎも高くなってくる。

すうっと指先は足の付け根から下着の隙間へと伸ばすと、顔に似合わずそこは濃い。
湿った手触りの中に一段と滑る谷間を探りあてて、指て軽く擦ると粘度を増した液体が溢れ塔子が身を捩る。
「ん…んっ」
ちゅく、ちゅくと音を立てるそこを愛撫したまま下着を脱がせた。
柔らかくなってきているが、まだ細くくびれて分な肉のない腰と、同じく平らなままの下腹部、日に焼けておらず青白いような内股が現れる。
「んっ…はあ、ん」
微かに触れるか触れないかで内股を舐める滋の舌と、つぷ、と音を立てて中を弄る滋の指に敏感に反応し、塔子は肢体を震わせ甘い声をあげる。
滋の愛撫に悦ぶさまは昼と違って艶めかしい。
ぬる、と指を抜くと間をおかずに滋は塔子の中に侵入していく。
「はあっ、あんっ」
一際高い声で塔子が鳴く。じっくりと、ゆっくりと、内側の襞や感触、凹凸を味わいつつ出し入れする。
「あっ…はっ」
快感で淡い桃色になった皮膚の表面からは、熟れた果実の色気が香り、
滋の動きにあわせて柔らかな胸はそれ自体が生き物のように揺れ、
汗で乱れた髪が頬に額に張りついて、悶える塔子の表情をより隠微に魅せる。
塔子の左足を滋は自分の右肩に乗せ、より奥深くへと突き上げていく。
ぐちゅっぐちゅっといやらしい音と、塔子の切なげな喘ぎ、滋の荒い息遣いで部屋の中は満たされる。
「あんっ!あっ…ああっ!」
たがが外れたようにはしたなく声をあげる塔子が、左腕を滋の背中に回ししがみついてきた。
「滋さんっ…このままいってっ…」
滋は崩れおちそうな塔子をしっかりと抱きしめ。
一緒に達した。


互いに身を整え終えると、ちょうど扉がノックされて夕食の膳が運ばれて来た。
「ごゆっくりと行く年をお過ごしくださいませ。御用の際は内線でお呼びだし下さい」
そう言って仲居は下がった。

「自分でお料理しないのもたまにはいいのねえ」
これが美味しい、このお皿が素敵と座卓一杯に並んだ料理にひとしきり感激している。



749 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2010/01/27(水) 23:03:02 ID:Sdv5IxvF]
―その四―

「いつも貴志君にいっぱい食べてもらおうって頑張っちゃうから」
「私は君の料理がいちばんだけれどね」
まあ嬉しい、と照れた塔子がふと呟く。
「…今度は貴志君と一緒に来たいわね」
「ああ、そうだな」
「…貴志君、ずっとあの家にいてくれるかしら。突然出ていってしまいそうで心配」
箸を置いて池の方を見ていた塔子からは笑みが消え、不安げな表情に変わる。
「何故?」
「…貴志君、私達に言えないことがあるんだと思うの。隠しているのじゃなくて、言えないこと」
ふう、と息を吐き、手にしていたグラスをことりと座卓に置く。
「きっとね、私達に心配をかけたくなくて言えないの。それを話したら、今の生活が壊れてしまうんじゃないかって」
塔子は真剣な顔で先を続ける。
「そのせいでいなくなってしまうような気がしたの」「…それはいやかい?」
滋の言葉に少し怒ったような声が答える。
「いやよ、とてもいや。滋さんだって同じでしょう?貴志君は家族だもの」
本当に貴志のことを思っているから。
「…私達では、力になってやれない事なのかもしれないよ」
塔子が笑顔になる。優しい、向けられた相手の心をほぐすような笑み。いつも少女の様で、でもとても強いひとだ。
「そうね、でも。一緒にいる事で力になれるかもしれないでしょう?だから貴志君にはいてもらわなくゃ」
「…そうだな」
私も同じ気持ちだよ、と滋は頷いた。
夜が帳を降ろし、黒々と揺れる水面を眺めながら、二人は語り合う。
「私達は頼りないのかな」
「気を遣ってばかりなの、本当に。大人に心配をかけないつもりでいて、困った子ね」
「面倒事も心配もどんとこい、なんだがな」
顔を見合せ笑う。
「ずっと居てもらわなくては困るだろう、あの家は貴志の家だ」
「そうよ、出ていくなんて言ったらお仕置きものよ。多軌さんと結婚して、孫の顔も見せてもらうんだから」
「そうだな、今から楽しみだ」
お互いの手がそっと重なり、塔子は滋に身を寄せた。
窓の外には師走の闇が満ちている。
滋は塔子の肩に優しく手を回し、塔子は滋の胸に頬を寄せる。
「貴志は、いつか…話してくれるだろう」
「…ええ、そうしたらうんと叱ってやらなくちゃ」
もっと家族を頼りなさい、私達を信じなさいと。

何処からか、除夜の鐘らしき音が聞こえている。それはとても遠く、澄んだ夜に微かに響く。

「…それから、二人で抱きしめてあげましょう。お帰りなさいって」
「もちろん」
いつか訪れるその時に、
私達が君の力になれていたら、君の本当の笑顔が見られるだろうから。

窓の外には、ひらひらと雪が舞い始めていた。
滋は塔子の肩を抱き寄せ、そっと口づける。
「信じていよう」

私達のとても大切な、あの優しい子を。
最終更新:2010年03月01日 12:20
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