名取×柊 エロあり
続きです
181 :『あまざれ ~おもいびと~』1/4:2010/04/28(水) 02:45:42 ID:m/+BpA7k
「柊」
「はい」
今日は朝からずっと絹糸のような雨が降っている。
こんな薄暗い日を選んで、名取の自室に呼ばれるようになった。
部屋は屋敷の東の奧だ。
妖祓いに関わる者以外は殆ど訪れない、人の気配が希薄な場所。
暗い中には文机と書棚、小さな古い箪笥。窓からはしっとりと重く濡れそぼった葉桜が覗いていた。
反対側、奥の壁際に飾り気のない部屋に不釣り合いな寝台──ベッドと言うのだと名取が教えてくれた──その前に促され、背で襖が閉まる。
髪がそっと寄せられ、項を名取の柔らかな唇が這って私は静かなため息を漏らした。
「……ふ」
耳に満足気な吐息がかかり、舌はじっくりと窪みをなぞる。「柊」 囁きと一緒に耳朶が軽く噛まれて背筋がぞくりと震えた。
肩に置かれた手が二の腕から腰へと滑って帯が解かれ、着物が一枚ずつ畳へ落とされる。微かな衣擦れが遠い雨音に混じった。
一糸纏わぬ姿の私を名取は軽々と抱きかかえ、寝台に横たえる。
被さった名取の重みで体が柔らかく沈んだ。ぎし、と金属が冷たく撓む音。
「柊」
「はい───主様」
行為の合図となったやり取りは面越しに交わされる。最初の、雨の日。あれから何度呼ばれて抱かれても面が外されることは無い。
それからは打って変わって愛撫も行為も優しくなった。まるで想い人を相手にするように、丁寧に抱かれる。
首筋から鎖骨にかけてをゆっくりと舌が舐めると、熱い息で私の肌はすぐに火照る。
胸を名取の大きな手のひらが包んでやわやわと揉まれ、先端は指先で弾かれた。
「あっ……」
「良い声だ───こらえなくていい」
幾度目か、責めに耐えきれず一声喘いでしまったことがあった。それ以来、嬉しそうに名取はこう言うのだ。
私は何も訊ねない。私の主が、名取が嬉しいのならそれでいい。
182 :『あまざれ ~おもいびと~』2/4:2010/04/28(水) 02:47:14 ID:m/+BpA7k
離れていた唇が胸の上に落ちる。強く吸われて、肌には朱が幾つも散った。刺激でとうに固くなっていた先端を舌で転がされ、体が小さく跳ねる。
「ん、んっ」
「可愛いね、柊」
「主、さま……ひあ、んっ」
名取は交互に突起を口に含み、かり、と時折食んでは名残惜しそうに味わって舐った。私の息を弾ませて鳩尾から臍へと唇は降りていく。
そのずっと先で丸まった爪先は一本ずつ解され、しなやかな指は足首から徐々に昇ってくる。内股の柔らかさを愉しむように撫でられ、ぞわぞわと肌が粟だつ感覚に腿を擦り寄せた。
「力を抜きなさい」
「は、い」
肩と腕でぐい、と脚が付け根から押し広げられる。
重ねられた愛撫に焦れて、名取の指が辿り着いた陰裂は既にたっぷりと濡れていた。触れられた途端に期待でひくつく。
親指と人差し指で襞は開かれ、露になった花芯を擽られ私は身悶える。そこはもう溶けそうに熱い。
「ふ、あっ」
「随分と敏感になったものだ。真っ赤だよ」
「……そんな、ことは」
「そうかい?じゃあ試してみよう」
笑いを含んだ名取の声はとても卑猥に響く。
花芯に掬った粘液を塗りつけて、押し潰すように擦られた。痺れる快感に声をあげる間も無く顔が寄せられ、そこは蜜とともに吸い上げられる。
舌は谷間を上下して秘所の奥まで舐め回される。くちゅくちゅと淫らな音に身を捩った。
「あっ、主さ、まっ……」
「隠してはいけないよ」
閉じそうになった膝が押さえられ、差し込まれた長い指は溢れた蜜をちゅぷちゅぷといやらしい音で掻き混ぜる。
奥で指先は軽く曲がって、探りあてた固い部分を引っ掻くように出入りする。
粘膜はその指に絡みつき、止まることを恐れるように締めあげた。
花芯は舌で突くように弄ばれ、際限なく零れる蜜は体を伝って寝具へ滴り、肌を滑らせた。
「……んんっ!」
敏感な場所を同時に責められて、自分の声かと疑いたくなる程に甘い声が僅かに開いた唇から漏れて。
私は絶頂へと誘われた。
それを悟って名取が微笑む。
183 :『あまざれ ~おもいびと~』3/4:2010/04/28(水) 02:48:12 ID:m/+BpA7k
「そらご覧」
「……はい」
「さて、どうしようか──言って貰おうかな」
「……主様、それは」
面をつけたままなのも忘れて羞恥に顔を逸らす。達したばかりなのに、秘所は疼いてこのひとを求めていた。
目の前にある瞳を見つめる。私の姿は見えていても、その中には映らない。
名取は、何を想って私を抱くのだろう。
一言、二言呟くだけの時もあれば、激しく追われるような時もただただ優しい時もあった。かと思えばこんな風に苛められる。
私は何故、何も言わずに抱かれて浅ましく喘ぐのだ。
知らなくていいと自分に言い聞かせて、何もかもが歪んでいて、それでも私はこのひとを───想わずにいられないからか。
「主さま、を……ください」
目を細めた名取に肩を返され俯せになる。腰を掴まれ太腿を膝で割られ、屹立したものが一気に挿入り込む。今までと違う衝撃に高い声をあげてしまう。
「はんっ!」
「素直だね」
優しい声は背に落ちる。奥へ奥へと、体がずり上がる程に強く突き上げられて私は激しく喘ぐ。それに呼応するように名取の動きも一層激しさを増した。私の中も熱い名取のものをきつく締めつけていく。
何度も叩く勢いで突かれ喘ぐ息が苦しくて肘から力が抜け、寝台に肩をついた。快感に痺れる指先で枕を掴んだ。
頬に当たる面の内側が汗で濡れている。
「んっ……!あ、んっ!」
「ああ、良い声だよ柊」
「ああっ……主様……!」
「たくさん……啼いてご覧」
暗い室内は淫微に湿った水音と、腰を打ちつける乾いた音で満ちている。
ぬるぬると蜜に塗れた内壁を擦って、名取は動く。私の襞はひくひくと蠢いて、いとおしいひとのそれを咥え込む。
崩れた四つん這いの膝が震えて腰を落としそうになると、引き上げられより深くまで貫かれた。鈍い痛みに似た悦楽が体の芯に火を点す。
荒い息は混ざり合ってどちらのものか分からない。
勢いに白く泡立った蜜は、お尻を高く突き上げた私の汗ばんだ内股を、生き物のようにゆっくりと滑っていく。
「あ……んっ!は……」
「もっと欲しいなら……ちゃんと、言うんだ」
欲しい。もっと、もっと欲しい。このひとが欲しい。抱かれるその度に強くなる想いは既に渇望だ。
でも、それでも。それは通わぬもので叶わぬもので、このひとは私には届かない人なのだ。ならば、傍にいて肌に触れられる今この時だけでも。
184 :『あまざれ ~おもいびと~』4/4:2010/04/28(水) 02:49:09 ID:m/+BpA7k
「主……さま……ぬし、さまが……ほ、し……!は、あんっ……!」
動きが早まり、固い名取のものに擦られて灼けるほどに内壁は熱い。
嬌声が咽喉を嗄らす。たてた爪は寝具を引き裂いてしまいそうだ。
「い、ああっ……!」
体が大きく震えて、つかの間意識が飛んだ。悦びに私の中心はきつく収縮して、同時に全身は弛緩していく。
名取が苦しげに息をした。熱いものが私の中に吐き出されて、引き抜かれた。
寄り添うように腕が伸びて、そうしていつもと同じように、面越しに頬が撫でられて。
「柊」
少し強まった雨音の中で、名取は最後に一度だけ私を抱きしめた。
人の匂いがする。今日は本業の予定があったはずだから、きっと誰かに触れたのだろう。
妖の匂いはしない。
ここ一月、式として供すらも禁じられていた。
だから尚更。これは戯れだと理解っているはずなのに苦しかった。
───妖であることが。
最終更新:2010年05月03日 23:18