29スレ340

姉ちゃんは俺の

第3話


「ん、んー…」
小太郎が頭を振りながら身を起こす。
「目が覚めたでござるか?」
「あ、ああ、楓姉ぇか…」
小太郎が周囲を見回す。そこは、白い壁でテーブルが一つと椅子がいくつか、洋風の部屋だった。
ドアが開き、見慣れた少女達がぞろぞろと入場する。
半ば分かっていた、そんな気分で小太郎は諦める。
「取りあえず、ここに座るでござるよ」
タキシード姿の楓が言った。
「あ、ああ…」
「一人でカッコ付けて出て行くって、絶対やると思ったんだよね。
楓さんに頼んどいて良かった」
夏美が言った。
「カッコ付けてって…」
「では、ここからは当事者同士でしっかり話を付けるがよかろう」
それだけ言って、楓は小太郎とその求婚者全員を残し部屋を出て行った。

「あー…」
正面を、椅子に掛けた求婚者の美少女集団に扇状にぐるりと囲まれ、
取りあえず小太郎は頭を下げた。
「なんつーか、取りあえず返事もせんと逃げ出したのはすまん、謝る、俺が嘘ついた」
それを聞き、少女達も小さく頷く。
「小太郎君から見たら逃げ出したくもなる事態よね。
いきなりこんな人数に結婚迫られて明日にはタイムリミット。
それは仕方のない事」
千鶴が言った。
「でも、逃げられないのも分かるわよね?
明日にはタイムリミット、みんな、小太郎君を失いたくない。
みんなで改めて気持ちを確かめ合った。みんな、ここで簡単に引くつもりはない、勿論私も」
千鶴が言い、小太郎を見た。
「ああ…でも、そんな理由で俺なんかと結婚して、ほんまにそれでええんか?」
「それが大きな理由なのは認めます。でも、それだけではありません私は…」
愛衣が口を開き言い募ろうとする。
「ああ、真剣やて、真剣に俺の事好いてくれてる、それは分かってる。
けどな…俺、自分でそんな結婚するとかそう言う事考えた事もなかった。
ガキやちゅうのもあるけど、あれや、分かるやろ?
今までどっちの世界にも馴染めんかった、だから、俺に子供が出来て、
姉ちゃん達に犬の子産ませて、姉ちゃんもその子も俺みたいな思いさせるなんて、
そんな事考えられんかった。それがどんな大変な事か、悪いけど姉ちゃん達にはなかなか分からへん」

「分からない、かも知れない」
口を開いたのは夏美だった。
「色々あって、私も小太郎君ちょっと不思議だったり怖かったりもした。
小太郎君すっごいヤな思いして来たかも知れない。
でも、ここで、みんなと過ごした事、それは小太郎君にとってなんでもない事なの?」
「大丈夫、一緒にやってこうよ今までみたいに。
こっから先ヤな事一杯あるかも知れない、でも、いい事も一杯あるかも知れない、
こっちでみんなに出会ってからはそうだったんだから、これからもそうなる様に一緒にさ」
円が言った。
「幸いと言うべきか、総統支配の中で亜人管理法などが出来て、
これまでに比べて差別が激しくなる所は激しくなる代わりに確実に認知はされています。
そんな事よりも、わたくしが選んだ殿方と、ともに育てる子供すら大事に出来ずにこの先何が出来ましょう」
あやかは決然としていた。
「それはそれで大きな問題として…」
千鶴が言った。
「肝心なのは小太郎君の気持ちね。
緊急事態でもなんでも、好きでもない女の子との結婚はやっぱり難しくて不幸なものだから」
「俺は…」
下を向いた小太郎が、ちろっと取り囲む美少女軍団を見る。
「俺は…みんなの事…姉ちゃん達の事、好きやで。
いや、ちょっと待ってな、好きちゅうてその、教室でガキらが、男と女であいつに惚れてあいつが好きで、
そう言うんとは違うからな。
千鶴姉ちゃんも夏美姉ちゃんも俺の事優しくしてくれて色々世話してもろて、
夏美姉ちゃんあやか姉ちゃんもや、円姉ちゃんもぽんぽんしゃべくってるのも楽しくて、
あんたと修行しててもな、勉強して立派な魔法使いになりたいって
俺みたいな年下のクソ生意気な半妖からも素直に教わって真面目に修行して、見てて気持ち良かったし、
だから、その…いや、これホントは好きちゅう事なんかいな…」
自分で喋りながら、小太郎が頭をバリバリと掻き始めた。
「あーくそっ、こうなったらいっそみんなと結婚したったら話し早いんやけどな。
ネギがそこら中で仮契約でキスしまくってるみたいに」
その言葉に、一同が顔を見合わせる。
「それでしたら、わたくしどもは一向に構わない大歓迎と言う事で話は付いていますが」
最後に「何か?」と幻聴が聞こえそうなあやかの言葉だった。
「あー、マテ」
小太郎が掌で顔面を抑える。
「姉ちゃんらがそれアリだとしても、俺、そんな嫁はん五人も食わせる甲斐性無いで」
「さすがにこんな無茶な制度を考えた以上、
総統閣下は学生結婚にはそれ相応の補助や融資を制度にしています。
大人になってから返済すればなんとかなる様に。
それに、この雪広あやかの名に懸けて、旦那様に恥を掻かせたりはいたしません」
「逆玉、ちゅう奴か?」
小太郎が自嘲の笑みを浮かべる。

「生前贈与の一部に株式投資、確かに元手は親でも独立資金として与えられたれっきとしたわたくしの財産です。
それに、この人方を見て、あなた一人だけで乗り切らなければならない、そんな顔ぶれに見えますか?」
あやかの言葉に、小太郎がはあっと大きく嘆息する。
そして、小太郎が下を向いたまま、沈黙が続いた。
もう、少女達にも、言う言葉は無かった。
「もう、時間無いんやな?」
「ええ」
真面目な声で、答える役は千鶴の役だった。
「みんな、それでええんやな?」
「ええ」
「頼む…」
小太郎が、ぽつりと言った。
「俺は、嫌や。ホンマなら総統ぶっ飛ばしてでもて思うけど、そんな事出来ない事くらい分かってる。
まだまだ、まだまだシャバで、まだまだ、姉ちゃん達と一緒にいたい。
俺も、姉ちゃん達の事好きや、大好きや、こんなんでお別れなんて、ホンマは絶対、嫌や…
俺の、嫁さんや、幸せにするためなら何だってやる、だから、頼む。
頼む、これから、俺の事、こんな俺やけど、これからよろしく頼む」
「嬉しい…」
愛衣が、一言だけ言った。
「カッコいいよ、小太郎君」
「わたくしが選んだ旦那様です。最高の殿方に決まっています」
円とあやかが言う。
「これからもよろしくね、小太郎君」
言った夏美の隣で、千鶴が慈母の微笑みを浮かべていた。
「それでは皆さん、参りますわよ」
「参りますて、どこ行くんや?」

部屋を出て、ようやくそこがホテルの一室だったと言う事を知った小太郎が
あやかを追いながら言った。
「何を悠長な、これから婚姻届を出して書類一式管理局に提出しなければいけません。
とにもかくにも正式の夫婦として滞在資格申請をすれば、最低でも審査期間中は追放が延期になります。
何にせよ時間がありません」

一通りの届出を終えて先ほどのホテルの部屋に戻ると、そこにはネギと楓、千雨が待っていた。
「それでは、わたくしたちも支度がありますので」
「待ってるね、コタロー君」
あやかの隣で円がにかっと笑った。
「な、何や?」
「さー、コタロー君、準備しちゃうよ」
「で、ござるよ」
「まー、こいつら力業担当って事で、いくら急ぎっつってもまさか私がマジモンでプロデュースするって…」
千雨が、はあっと嘆息する。

タキシードを着せられ、連行された小太郎は、開いた扉の向こうでわあっと言う歓声に迎えられた。
「は、はは…」
ホテルのホールに広がる光景、これはもう、馬鹿でも分かる。
「準備万端やな…」
「当然ですわ、突貫ながらこの雪広あやかとその旦那様とその妻の門出に相応しく、
総力を挙げさせていただきました」
「全く…」
言いかけて、隣を見た小太郎は言葉を失った。
「綺麗でしょ」
「ああ…」
ネギに言われ、小太郎が思わず素直に答えていた。
「あ、赤くなってる」
「るさい…たりまえや、俺の嫁さんやで」
「おーおー、ご馳走様。さ、そろそろ」
明日菜がにこっと笑って言う。

背伸びした小太郎がベールをずらすと、千鶴は、いつも通り優しく微笑んでいた。
用意こそ大急ぎでも確かなデザインのウエディング・ドレスは千鶴の魅力を満点に引き出している。
もちろん、その恵まれたスタイルも刺激が強すぎない程度に引き立てられ、小太郎を魅了する。
ほんのり頬を染めた千鶴の唇に、真っ赤になった小太郎が自らの唇を重ねる。
ゴージャスにして清楚なあやか、お姫様になって見せた夏美、
この時ばかりはしっかり女の子の顔を見せた円、少女らしく清楚にしかし主役として輝いた愛衣。
一人ずつ、初々しいキスが交わされる。
ほーっとそれを見ていた面々も、何となく年齢順で最後の愛衣がぺこりと頭を下げて退くと
わーっと各種喝采を轟かせた。

元々お祭り好きの3‐Aメインである。当然大盛況の結婚式となった。
が、中には、それでは済まない来賓も間違いなくいた。
「…なんつーか、すまん…」
小太郎が、高音の前でぺこりと頭を下げる。
「無茶苦茶です」
高音が苛立ちを隠しきれない声で言う。
「あの娘は才能も努力も、立派な魔法使いになる娘でした。それをこんな…」
「すまん」
「愛衣は、その事を諦めた訳ではありません」
「ああ、分かってる。俺も出来るだけ…」
「この程度の事で挫ける娘ではありません。
無茶を承知であなたの所に飛び込んだ様に、大人しく見えても根は情熱的な娘です」
「ああ」

「あの娘からあなたの事、とっくりと聞かされました。悔しいですが嘘ではないのでしょう。
確かに、あなたは実力もある、真っ直ぐな男性である事は確かな様です。
いいですか、そんな愛衣の心を裏切る事だけは、許しませんよ。
おめでとう、私の妹が選んだ新しい私の弟の方」
「ありがとうな」
「お行きなさい」
「ああ」

「ふーっ…」
窓から見えるのは既に夜景だった。
小太郎はどうとソファーに座り込みネクタイを緩めていた。
そこは、同じホテルのスイートルーム。退場した小太郎夫妻一同が入室していた。
「どうぞ」
スイートの玄関であやかの声が聞こえ、来客が訪れた。
「何や、ネギと…」
「あー、こほん。
亜人管理局から結婚観察人に任命されたネギ・スプリングフィールドです」
「同じく葛葉刀子です」
「結婚観察人?」
円が聞き返した。
「ええ、ご存じの通り、刹那さん達は一足先に無事ハネムーンに飛び立った訳ですけど、
コタロー君の場合、過去の経歴とか結婚の経緯なんかで管理局が少し難色を示していまして、
それで、取りあえず48時間の結婚観察が決定しました」
「な、何やそれ」
ネギの言葉に、小太郎が改めて呆れた様に言う。
「つまり、僕らは結婚から48時間皆さんに付いて管理局に報告を上げる事になります。
この場合、偽装結婚と言う事になると共犯者もまとめて死刑ですし、
僕らもいい加減な報告をすると魔法本国を通じて厳罰と言う事になります」
「共犯者、て…」
小太郎が、ちらっと周りを見回す。
「とは言え、何しろ新婚生活です、ええ、新婚生活です、そうですとも新婚生活ですから、
観察にも限度とプライバシーと言うものがあります。
取りあえず今夜は別室に待機しますので失礼します」
ビキビキと言う効果音と共に刀子が一方的に言って、
ネギと刀子はぺこりと頭を下げてスイート内の別室に移動した。
「…すまんな、ホンマ。俺みたいのと一緒になったさかい…」
「バタバタしててお疲れでしょう、お風呂の用意が出来てますわ、旦那様」
「あやか姉ちゃん、こそばゆいなぁ」
「早く慣れないといけませんからね、さ、さっさと入っていらっしゃいオサルさん」
「そうじゃないとなぁ」
小太郎が苦笑して浴室に向かった。

「んー」
やたら豪華な浴室で湯船に浸かりながら、小太郎は唸っていた。
「えらい事になったなー」
今朝からバタバタ動き通しだった小太郎に、ようやく頭を働かせる余裕が出来た。
確かに、他に方法も無かった訳だしシャバでの生活を諦めるのは嫌だ、
最高のお姉さん達の好意に甘えるしかない、それが最善だと言うのは頭では理解出来ている。
「俺、あいつら全員と結婚、したんやからなー、結婚した言う事はつまり…」
ぶんぶんと頭を振り、小太郎が湯を上がって洗い場の腰掛けに座る。
その時、かちゃりと入口が開いた。
「ん?…!?」
そこに、体にバスタオル一枚巻いた美少女軍団がぞろぞろと姿を現していた。
「な、な、何や?」
「妻たる者の務めですわ、旦那様」
あやかが言うと、彼女たちはそれぞれに小太郎を磨き始める。
「お、おいおいおい…」
「だーめ、動かないの小太郎君♪」
「お、おっ…」
小太郎の目の前で千鶴が身をかがめて言い、問答無用の迫力が小太郎の言葉を失わせる間に
千鶴が小太郎の髪のシャンプーを始める。
「見て見て、ほらっ」
「あうあう…」
美少女たちは楽しそうに小太郎を丸洗いし、
ピカピカに磨き上げられた小太郎にじゃーっと湯を掛けて泡を洗い流した。
「さ、私たちも入っちゃおか」
「…!?あうっ、あうあうあうっ!!」
浴室の一角に次々と放り出されるバスタオルに、小太郎がしゃかしゃかと逃亡を始めた。
「んー?駄目だよーコタロー君」
羽交い締めにされ、小太郎の背中にぽよんと円の瑞々しい弾力が伝わる。
「ちゃーんとあったまって出ないと、新婚初夜でいきなし風邪引いちゃうよ」
「はい、ありがとう円さん」
小太郎の正面で千鶴が言う。
「ち、ちちちちづ姉ぇあやか姉ちゃん」
「何ですの?」
腰に手を当てて小太郎の前に立つあやかが言う。
「み、見えて、裸そのっ…」
「何ですの今更他人でもあるまいに」
「いいいや、そのあれやっ」
「きゃっ」
小太郎が円を振り解いてヤケクソの様に広い浴槽に飛び込み、愛衣と夏美が悲鳴を上げた時には、
小太郎の顔はとうにユデダコの様だった。


和室に敷かれたバカデカイ布団の上で、
白い単衣の寝間着姿で髪の毛から湯気を立てた小太郎があぐらを掻いていた。
「ん」
その小太郎が、足音に気が付いて背筋を伸ばす。
そんな小太郎の前に、小太郎と同じ姿の美少女、今や人妻達がぞろぞろとそこに姿を現す。
小太郎も一応の心の準備はしていたつもりだったが、あやかを中心に小太郎の前に腰を下ろし、
扇形に並んで三つ指を突く姿は壮観としか言い様がなかった。
「ふつつか者ですが、どうぞ末永くよろしくお願いします旦那様」
「あ、こちらこそ…
えーと、まあ、よーやくちょっと落ち着いたみたいやけど、
なんつーか、取りあえず、俺みたいなモンと結婚してくれて、すまん」
小太郎がまずは律儀に頭を下げる。
「何ですの、今更」
あやかが憎まれ口を言う。
「あー、なんつーかあれやあやか姉ちゃん、やっぱり聞いときたいんやけどな」
「はい」
「ほんまあやか姉ちゃん、
ちょっとの間やったけど一緒にいてまあキザでクソマジメでいちいち口うるそうて変態入ってて、
…そんだけ、世話好きで俺の事もちゃんと見てて思うてくれてて優しくて、見た目も綺麗やと思うし、
そんなあやか姉ちゃんが俺の嫁さんなってくれて嬉しいし正直あやか姉ちゃんみたいなお嬢、
もったいないとも思う。けど、やっぱりこうなったら嬉しい。
だから、聞いときたいんや。
あやか姉ちゃん、ホンマにこれで良かったんか?
なんつーか、こうなったら後で一人くらい抜けても大丈夫やと思うしな、
いっつもネギネギ言うてたあやか姉ちゃんがな、
いや、今更男らしゅうないちゅうのは分かってる、けど、やっぱ気になるちゅうか…」
「当然ですわ」
あやかが口を開く。
「わたくしは真剣に恋をしました。それを見ていた旦那様が気になさるのは当然の事。
かつて、一人の男性を真剣に想った事、その想いを過去のものとした事、
あなたと結ばれた事、今、すべき事としてわたくしが決めた定め、大切な糧。
女の道は一本道、戻り道はございません。
これが、わたくしの選んだ道であり私の選んだ旦那様です」

二次会会場。
ピカッ、ズガアアァァァァァァンンンンンッッッッ
べんべけべんべんべんべんべんべけべんべんべんべんちゃーちゃちゃーちゃ
「でこぴん三人衆訳分かんないギターBGM、
特殊効果白い雷桜島大噴火でしたーっ」
オオーッパチパチパチー

「そうか、分かった」
真剣で揺るぎのない覚悟に、小太郎もその上言う事も無かった。
「あなたはネギ先生とは全然違います、まだまだこれからですけれど、立派な男性になると信じています。
この雪広あやかが選んだ殿方です。わたくしに相応しい殿方であると自信を持っていただきます」
「ああ、これからもまあ、ほどほどによろしゅう頼む」
「せっかくのこの制度でこの顔ぶれです、やはり委員長が一人ぐらいは必要ですわね。
みんなと一緒に、それで、
しっかりと目を光らせてしつけ直す者が一人ぐらいいた方がよろしいのではなくって?」
“…いや、あまりよろしくない…”
「ま、よろしく頼むわいいんちょ、夏美と愛衣ちゃんなんかが
ベッドの前で包丁持ち出す前に順番守って交通整理なんてね」
円が苦笑いして言った。
「ちょっと円、それどう言う意味?円の方がヤバイんじゃないの?」
「何よー」
「あ、あの、私は…」
「ホントに、いつの間にこんなにモテモテだったんだかコタロー君」
夏美がはあっと息を吐く横で、千鶴はにこにこ笑っている。
「それでは、旦那様、まずは第一夫人と契っていただきます」
あやかが言う。
「?」
「この中から一人、最初の契りを結んだ相手を第一夫人としてその事を知らしめる。
これはこうした場合の仕来りですわ」
新制度後、「お言葉」を基に作られたマニュアル通りあやかが言う。
「そ、そうか…」
そう言って、小太郎が目の前の美少女軍団をちろちろと見回す。

「えと…よろしくお願いします」
「こちらこそ♪」
掛け布団のまくられた真ん中に座った小太郎がぺこりと頭を下げ、千鶴がにこにこ微笑んで返礼する。
そして、どちらからともなく唇を重ねる。
「…大好きやったで、ちづる姉ちゃん…」
「私もよ、コタロー君」
小太郎が、千鶴を優しく布団に横たえる。

「…やっぱ、あれは反則だよね…」
千鶴が丸裸の上に着ている単衣の前を割り、ちゅうちゅう乳首を吸う小太郎を見ながら、
夏美と円がヒソヒソ話している。
しかし、まあ、千鶴なら仕方がないとも思える。千鶴は全てが大きく、強いと言う事を皆知っているから。
潜在的にずっとそうしたかったと言う事もあるのだろう、
そんな白い豊かな小山に顔を埋めほっぺすりすりご執心の小太郎の手を取って、千鶴はその手を下へと導く。
「おっぱいも気持ちいいけど、こうやって、準備して欲しいの」
「あ、ああ…」
しっとりと湿った毛の感触からその下の何か柔らかいものに触れ、小太郎はようやく返事をする。
「ここが、いいの。でも、周りから段々とするの、小太郎君の手、愛しい人の手でね。
「こ、こうか?」
「うん」
小太郎が、教わるままに、太股や毛触りから徐々に指を中心へと向けて行く。
「ん…あ、んっ」
「ちづる姉ちゃん」
「うん、っ、気持ち良かった。ほら、とろとろしたのが溢れて来てる。
女性の体が受け容れる準備をして、るっ…あっ…」
勘はいいのか、愛しい相手を喜ばせようと一生懸命の小太郎を前に、
千鶴はいつしかピクピクと身を刻みながら甘い声で喘ぎ続けていた。
「すごい、ちづる姉ちゃん、なんか凄いぬるぬるんなって」
「あ、んっ、小太郎君の指、凄く気持ちいいから、ああっ…」
「あっ、何か俺、俺もちづる姉ちゃん俺ももう…」
「分かる?ここ、ここにね、ここに、ここに小太郎君の、私の女に小太郎君の、男の子のを」
さすがの千鶴も、初めてその時を迎える15の乙女の限界一杯に照れながら踏みとどまりながら言う言葉を
小太郎は理解した。そして、既に苦しい程になっている下着を脱いだ。
「こ、こうか?」
「ん」
頷く千鶴だが、実際には分かって言っている訳ではなかった。
「ん…ん、っ」
「ちづる姉ちゃん!?」
あの時の事が思い出される、最初に会った時の事が、千鶴は必死に隠そうとしたが、あの時のうめき声だった。
「ちづ…うっ…」
小太郎は、ぎゅっと抱き締められた。その瞬間、千鶴の見事で、温かな肉体を前に
自分でも理解出来ないままに小太郎に渦巻いていた激しいものが、弾けた。
「ちづる、姉ちゃん、痛かったんか?」
「ちょっと、ね。女の子の体はデリケートに出来てるから。特に最初はそうなの。
でも、良かった…小太郎君と一つになって」
「ああ、なんつーか、ぶっ飛びそうで、たまらんかった」
にこっと笑った千鶴、あの時と同じ笑顔の千鶴が小太郎をきゅっと抱き締め、唇を重ねた。

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最終更新:2012年01月28日 16:36
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