405 :315こと逆まる ◆SxlhWBJj/o :2008/03/18(火) 02:25:24 ID:57Jqu/62
「…おいっ!…げふっ!!」
血相を変えた千雨は脇の二人に腕を掴まれたまま腹を打たれ腰を折る。
「まず、正座して、正座、分かるかなーイギリス人にー」
ネギは、維持になった様に完璧に正座をして見せた。
「うわー、決まってるー、真ん中でビンビンしてるー♪
そう、画面正面見てねー、目ぇ反らしたら駄目よー♪」
嫌らしい、恥ずかしくそそり立ったものに直接響く声が嫌でも耳に入って来る。
画面の中では、全裸の千雨が男の上で腰を振り、
使えるものは何でも使い全身をぬらぬら輝かせて男を楽しませている。
「あれあれー、あれをー、自分の手でするのー、私たちが見える前でー
へんたーいキャハ♪」
「だ、だめだせん、せい…」
ネギの背後から千雨のうめき声が聞こえた。
「こう、ですか?」
「そう、そうそう、いい、終わるまで手ぇ休めたら駄目だからねー」
顔を上気させるネギにデジカムを向けるお姫様の頬もほんのり上気していた。
体験した事の無い刺激と危機感がネギの神経に伝わる。
千雨の痴態を前に、ネギの本能はその事をやめたくないと言っている。
それはさっきの事だと理解するのはたやすかった。
さっき、不意に何か途方もないものが突き抜けたかと思うと、今でも幼い幹には現実のぬるぬるが残っている。
それが、教科書に書かれた「快感を伴う射精」と言うものである事を理解するのは
大卒の先生であるネギには難しい事ではなかった。もちろん、それは他人に見せる様なものではない事も。
自分の手が理性を振り切ってスピードアップしている事に気付いたのは、
バカエロ満開のDVDだけを響かせて店の中が水を打った様に静まりかえった後、
ネギが思わず大きく息を吐いてくったり脱力してからだった。
「クスクスクスクス、撮ーっちゃった撮っちゃったー♪
ネギせんせーの最初のオカズは教え子の現役女子○学生スーパー淫乱ネットアイドルちうちゃんの
エロエロ10Pいんこー映像でございますぅーーーーーーーーーーーっ!!」
パーッと両手を広げたお姫様を前に静まっていた店内に沸き返る嘲笑。
ネギは伏せた顔を真っ赤にして震わせていた。
もちろん、自分の一番恥ずかしい所を見られ、撮影までされたと言う事もある。
だが、それ以上に、背後で啜り泣く声。
それが、全部自分のせいだと責任を感じて流す涙であると、ネギの背中に突き刺さってくる。
「ほらぁ、ちうちゃん観なさいよぉ」
お姫様が千雨の髪の毛を掴み、顔を上げさせモニターを見せつける。
「くすくすくすくす、ほっぺ真っ赤にしちゃって一生懸命シコシコしてるのー。
何かかわいー声出しちゃってるしー」
くすくす笑いながら、お姫様は、それを見ている周辺のチンピラ達の反応も見ていた。
画面を見ながら何か囁き合うチンピラに、お姫様はにやにや笑って口を挟む。
「おおーっ、キタキタキタキタ――――――――――――ッッッ!!
すっごいでしょー、一回目出したのにあんな濃いのぴゅっぴゅーってぇー。
ネギせんせーの恥ずかし映像ちゃーんと入れといたからねー、
こんなの流したら世界中のショタコンヨダレ流して寄って来るってー」
「お、お願い、そんなのやめて、やめて下さい、私だけで、私だけでお願いします…」
「ふーん、ちうちゃんがー、可愛いネギせんせーの教え子でエロエロネットアイドルのちうちゃんがねー、
愛しのネギせんせーにイイコト教えてくれるってー」
また、周囲がどっと笑うが、ネギは意味をはかりかねていた。
「そ、そんな、許して…」
弱々しい千雨の怯えきった声、ネギが知ってる千雨の声ではない、千雨をこんな風にしたのも、
自分が至らなかったから、ネギは唇を噛んだ。
「なーんて、ちうちゃんもしたかったんでしょーネギせんせーの筆下ろしー。
ドMエロエロ淫乱にショタ喰いて変態道極まってるよねー」
キャハハハと笑うお姫様を尻目に、ネギと千雨の体は促されるままカラオケステージに乗っていた。
「いーい、時間制限は15分ー、それまでにパスワード入れて操作中止しないと
ネギせんせーが生徒のためって真っ赤になって一生懸命しごいてたの、
ちうちゃんのエロエロ映像と一緒にぜーんぶ世界中大公表いっちゃうからねー。
もちろんリングアウトは即しっかくーっ。
その前にちうちゃんネギせんせーに肉体言語で教えてあげちゃってねぇー」
悪魔に取り憑かれた、ネギを見下ろすお姫様の醜い笑顔にネギは痛感した。
一番恐ろしい悪魔、魔物と言うものは実はこう言う姿をしているのだと。
「あっ、あのっ…」
何か言おうとした千雨だったが、お姫様に睨まれ、その場に土下座していた。
「あ、あのっ、私、私、長谷川千雨は、皆様にいじめられてオチ○ポハメまくり撮影するのが大好きな
ドM変態淫乱エロエロネットアイドルです。
ちうはショタコン淫乱変態ネットアイドルだから、
ちうのやりまくり公衆便所腐れマ○コでネギせんせーの筆下ろしをさせていただくことをお許し下さい」
言葉がすらすら出て来る、体が勝手に動く、逆らう事が出来ない。
千雨が意を決したかの様に立ち上がり、服を脱ぐのをネギも見ているしか無かった。
ネギの目の前で、全裸になった千雨が手で胸と下腹部を隠し横を向いている。
「露出狂の変態ネトアがなーに照れてんのよ。
ちうちゃんのオマ○コズボズボハメまくりまで、もーとっくにーネギせんせーに見られまくってるのにさー。
でもー、その恥じらいがいいのー?ネギせんせーまたビンビン元気だしー」
止まらぬヤジに、ネギも千雨も下を向く。
「ほらほらー、ネギせんせービンビン準備完了なんだからー、
さっさと始めないとネット公開タイムオーバーだよー」
千雨が、諦めた様にステージに座り、ネギに迫った。
「ネギ、先生。ごめんなさい…」
千雨の顔は、心底悔しそうだった。
「…千雨さん、綺麗です」
ネギがぽつりと本心を漏らした。
「ネギ、先生?…」
「綺麗です、凄く。僕の力が足りなくてごめんなさい」
「ネギ先生」
千雨は、涙を流しながらネギを抱き締めた。
二人は、温かい、と思った。
そのまま、唇を重ねた。
千雨が、自分の胸にネギの手を導く。先ほどから、二人重なっているそこにネギがチラチラ視線を向けていた。
「柔らかいです、千雨さん…」
「ネギ先生、気持ちいい…でも、ちょっと痛い、も少し優しく」
「ごめんなさい」
「謝んなよ…ああっ」
ネギは、思い切って、千雨のピンク色に突き出した乳首を吸った。テキストは先ほどから嫌でも目にしている。
「あっ、あのっ」
「いいよ、気持ちいい…」
「んふふー、いいねいいねー、でもー、いい加減下の準備もしないとー」
お姫様が二人の世界に割り込みを掛ける。
「こ、こう、ですか?」
「あ、んっ…ああっ…あっ、あ…」
ネギの繊細な指の動きに、千雨の声と動きは徐々に大きなものとなっていく。
「あっ、ああ…」
「千雨さん?」
千雨は、荒い息を吐きながら、ぐったりとステージに伸びた。
「あーあ、イカセちゃったー、十歳で指マ○昇天ってー、どーゆー末恐ろしいショタなんだかねー。
じゃ、いいでしょ」
「ネギ、先生…入れて…」
「あ、あの…」
「駄目よー、ちうちゃんー、お子ちゃまなんだからー、
王子様にはちゃーんと教えて差し上げないとー」
「ネ、ネギ先生、ちうの、ちうのオマ○コ、ちうのオマ○コの、
とろとろ溢れてる穴に、ネギ先生の、先生のオチ○チン入れて下さい…」
千雨は、脚を開いた上、ぐっと奥を手で広げると言う屈辱的なポーズでそれを行った。
ネギが覆い被さり、千雨は真っ赤な顔を背ける。
だが、体の上でもぞもぞと動きが伝わるだけで、目を開いた千雨は狼狽するネギの顔を見た。
「どうした?」
「あ、あの、その…」
「きんちょーしちゃったー?くすくすくすくす」
「イ○ポかよー、情けねー」
千雨は、嘲笑を遮断するかの様に、ぎゅっとネギを抱き締めた。
千雨の温もり、柔らかさが全て伝わって来る。
ネギの疲れ切った頭は、もう、全てを忘れてこの温もりに委ねたいと思っていた。
「ネギ、先生」
「はい、千雨さん…」
「んっ、ん…」
返事と共に、するりと入り込んだ。
滑り込む感触、今までとは段違いのその快感に、
投げ出されそうな錯覚を覚えたネギはぎゅっと千雨を抱き締めた。
「あっ、千雨さんっ…」
「んんっ…」
次の瞬間には、千雨の全てに柔らかさ、弾力を全身で、特に男の芯で感じたネギ、
そしてネギの下の千雨も又、共にその裸体を重ね絡めながらステージの上で声を上げ痙攣していた。
「はーい、お疲れー♪」
デジカムをチンピラに預けたお姫様が、ネギに後ろ手錠を填めた。
「やっぱりせんせー危ないからねー。
淫乱変態ショタコンネトアお子ちゃま先生の童貞を奪う、
現役○学教師女子○徒とイケナイ課外授業、
タイトルどっちがいいー?
あーあ、ドクドク一杯出しちゃったねー、赤ちゃんの素ー、生徒のお腹の中にー」
振り返ったネギの顔からさーっと血の気が引く。
「大丈夫だってー」
ボスを先頭に、チンピラたちがにやにや笑ってステージに立つ。
「誰のガキかなんてもー分かんねーくらい中出氏してんだからさー」
「やっ、やだっ、やだあっ!」
「やめて下さいっ!」
「おーっ、なんだよー、今まで毎日十人二十人オッケーで散々ハメまくってんだろー、
やっぱ愛しのネギせんせーの前じゃ嫌ってかー?」
「じゃ、ガンガンやっちまおーぜー、やりまくりの腐れマ○コもちっとは締まりよくなんだろー」
「やあああっ!」
「ぐふっ!」
後ろ手錠を填められ、うつぶせに押さえられていたネギの腹に蹴りが叩き込まれ、
千雨はボロボロ涙をこぼしながらボスのを口にくわえた。
「ほらー、見てみてー、ちうちゃん愛するせんせーのために一生けんめーしちゃってるー、
まー、やりまくり大好きの淫乱なのもあるけどねー」
ネギの髪の毛を掴み上げていたお姫様は、ニヤッと笑うとネギの眼鏡を外し、髪の毛を解いた。
千雨からあぶれていたチンピラからおおーっと声が上がる。
「でもでもー、やっぱやり杉だとちうちゃん壊れちゃうからー、
ネギせんせーにも少し手伝ってもらおっかー」
「やっ、やめ…んんっ」
「さぼんじゃねーぞこのヤリマ○」
「んんっ!」
訳が分からずにいたネギが、不意に鼻を摘まれ開いた口に熱い肉の塊が押し込まれた。
混乱する頭の中で、ネギは、千雨と同じ事をされている事を理解した。
「おっ、いいっ、なかなかいいぞこのショタ」
「キャハハー、いけいけーっ」
「おおおっ!」
「んんっ!」
口が自由になった途端、ネギは又、腹を蹴り上げられた。
「何吐き出してんだー、えーっ!」
「ほらー、ちうちゃんちゃんとごっくんしてるでしょー」
「これは、先輩の指導が悪いんだなうん」
「んんんっ!!」
パーンパーンパーンと、千雨の背中に次々と平手が張られる。
「や、やめて、やめて下さいっ!」
「じゃあさー」
「ネギ、先生…」
どっと爆笑するチンピラに取り巻かれ、ステージにこぼれた液体に舌を這わせるネギの姿に
千雨の涙は止まらなかった。
そして、ネギの口も手も次々と男を喜ばせる。
自分も先ほど千雨を前に強かに放った生臭い液体を浴びながら、
その屈辱は、何かネギに倒錯したものすら感じさせていた。
千雨と同じ事をしている、千雨を救えなかった罰を受ける事が出来る。
「ヒッヒッヒッ、そろそろイクかー」
チンピラの一人がネギの尻を抱える。
「…ひぎいいいいいっ!!!…」
「おおおーーーーーーーーーーっ、
キタキタキタキタキタアァア―――――――――――ッッッッッ!!!
美ショタアナル処女本番串刺し地獄責めで
ございますうぅうぅうぅーーーーーーーーーーーっっっ!!!」
デジカム片手に絶叫するお姫様の声も遠くに聞こえる。
ひたすら引き裂かれかき回される、どんな戦いにも勝る激痛。
「いやああーーーーーっ、先生、先生いいいいいっ!!」
「きたぜおいっ、ガチホ○きたぜおいっ、ノーマルもガンガンいかねーとなあっ!!」
「おっ、おっおっね締まるうっ、ネンショーで覚えたのこれたまんねーのよ、
檻ん中じゃてめぇみてぇな綺麗なのいなかったからなーおいっ!
おおおおっ!!」」
獣欲が解き放たれたのが伝わり、一時の解放の中、ネギは啜り泣く事しか出来なかった。
だが、新たな痛みが全身を突き抜け、更に口に押し込まれ、
それが続けられる内に、ネギの心はまた、元々の性格とも言うべきマゾヒズム、
つまり、全部自分で背負い込み自分をいじめる思考に取り憑かれていた。
せめて、千雨と同じ目に遭うのも、無力な自分、自分のせいで汚されている千雨、
そんな千雨に欲情すらして共に汚した自分への罰なのだと。
「くすくすくす、ネギくーん、お尻突っ込まれてネギ君のオチ○チンどーなっちゃってるのー?
ネギ君女の子とするよりああ言うのでビンビンしちゃうのー?」
全裸で犯される千雨の姿を目の前で見せつけられ、ネギの男性を内側から刺激する急所を突かれ続け、
ぐちゃぐちゃのネギの頭とは別に下半身は結論を出してしまっていた。
先ほどからデジカム片手に息を荒げて左手をスカートの中に入れていたお姫様は、
そのままデジカムを置いてワンピースを脱ぎ捨て、下着に手を掛けていた。
「どーう?業界百万$のヌードだよー、
いいよー、軽蔑してるんでしょー、とんでもないチンピラバカ女だと思ってるんでしょー、
ネギせんせー、そんな女にビンビンしてるんだよー、
それでー…」
「きれーです」
ステージに座ったネギが、惚けた様に言った。
「?」
「綺麗ですよ、あなたの裸…」
確かに、客観的に見ると、肩書きを無視しても素材もいい、まだまだ若く、そして手入れも怠らない、
そんな若い娘のヌードだった。
「ふーん、ここまで来るのにさー、どんだけ使わせたか分からない薄汚いもんだけどねー、
これからー、そのバカアイドルの使い古しの腐れマ○コの餌食になるのあんた」
全裸のお姫様が、ネギの前にゆっくりと座った。
「見てー、見てみてー、ちうちゃーん」
千雨の中で、何かがガラガラと崩れそうだった。
「ネギせんせー、私と合体しちゃっるのー、
ネギせんせーのちっちゃいけどすっごく硬くてキモチイイー♪
すっごーい、ネギせんせーすっごーい、あんなに何回もしたのにビンビン絶倫ナンバーワーン!
あっ、あああっ、ああああああああ…」
ネギの上に乗って腰を振っていたお姫様は、最初はなぶるつもりで言葉を重ねていたが、
途中から単語にもならなくなって来ていた。スイッチが入ったかの様に、
ネギが巧みな程に腰を動かし始めていた。
「ちょっ、ちょっちょっちょっ、ネギ君ネギ君ネギ君…はひいぃいーーーーーーーー…」
ネギの上で軽い失神から覚めたお姫様がネギの頬を挟んだ。
「あーあ、イッちゃったー、ビーッグアイドルお子ちゃま先生によがり狂う、すごいんだーネギくーん♪
ネギ君あんなに出したのに又私の中で一杯一杯だしちゃったねー、
ネギせんせーの赤ちゃん産まれたらちゃーんと会わせてあげるからね、パ、パ。
アハハハー、震えちゃってるー、かっわいいー♪」
お姫様は、真っ青な顔で震えるネギをのぞき込み、ちゅっとその唇をも汚した。
解放されたネギと千雨が、とぼとぼと並んで夜道を歩いていた。
「ごめんなさい…」
「聞き飽きたよ、ガキ、私の方こそ、巻き込んで…」
「聞き飽きました、千雨さん。僕は、千雨さんの先生です。
生徒を助けるのは当たり前です。でも、でも助けられなかった。
助けられなかったのに、それなのに僕は千雨さんに…」
「そんな事、あんな、先生あんな酷い目遭ったんだ、謝る必要なんて全然無いよ…」
限界を迎えた千雨が、道に座り込み泣き出した。
その千雨をぎゅっと抱き締めたネギだったが、ネギの涙も止まらなかった。
堕ちる時は共に、それしかない、無言で心に刻んでいた。
「キャーッハッハッハッ」
自宅マンションでパソコンを操作しながら、お姫様の口からは独りでに高笑いが漏れていた。
「まさかあんな美ショタが手に入るなんてねー、
美ショタでチ○ポもギンギンのテクニシャンってどこのエロパロだっつーの。
これ、またとーぶん楽しめそー♪いじめ用にー、my性欲処理兼務でー。
ホント…あ、もう、又キタじゃないのー、おもちゃおもちゃ…ハッ!?」
お姫様はハッと振り返る。
まあ、ネギ君にあそこまでの事をしておいて、無事で済むと考える方が大間違いな訳でして。
土曜の夜、帰省した雪広あやかは優しいハーブティーを傾けていた。
「処理いたしました」
「…後学までにあなたの独り言でも聞かせていただこうかしら?」
あやかは、黒い男に目もくれずに言う。
「次から次と沸いては消えるアイドルなる人種の一人が
百人ほどの下賤な男どもを相手に撮影した下賤なビデオとDVDが
ファンクラブ会員全員に郵送されて本人は失踪した等と言う話はお嬢様には何等関わりの無いお話です」
「そうですね、下々には私の様な人間とは関わりの無い話が色々あるのでしょうね」
「その通りでございます。
雪広建設の下請けの下請けの(以下略)山奥の現場や雪広水産の下請けの下請けの(以下略)遠洋漁船で
不慮の転落死を遂げる若年労働者に掛けられている保険金の金額などはお嬢様とは全く関わりのないお話です。
無論、その様な雪広水産の下請けの下請けの(以下略)遠洋マグロ漁船で
大小の他の男性用の排泄の用途に使用される共同便器の事などはお嬢様がお知りになる由もなき事、
この手の便器は大体片道の間にその機能が破綻して海洋投棄されるものですが関わりのない事です」
「海洋投棄は余り感心しませんわね、エコロジカルな観点から、骨の髄まで汚れ切った汚物の塊など特に」
「おおよそ魚の餌となって浄化される素材ですのでお優しいお嬢様のご懸念には及びません。
仮に陸揚げされたとしても使い物にならないまま放り出される事には変わりありません。
無論、お嬢様には何等関わりの無い事でございます」
「そうですね、あなたが連絡を取っていた香港のダルマ職人が
直前につまらないもめ事で命を落としたのが残念ですが。これも私とは何等関わりの無い事ですが。
分かりました、下がりなさい、面白いお話を有り難う」
「いえ、お嬢様とは何等関わりの無い余計なお話を」
夜のお茶を済ませたあやかがドアを開けると、その途端に駆け付けた影にぎゅっと抱き締められた。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん、また怖い夢見たのお姉ちゃん…えぐっ、えぐっ…」
「大丈夫ですわ、ネギ先生」
明かりを付けたあやかは、グッズに埋もれた寝室でネギの解かれた髪の毛を優しく撫でた。
「こわーいお姉ちゃんなんてもういないのですから、さあさ、あやかお姉ちゃんが一緒ですからね」
「うん」
この至福の時がどれ程の苦痛の上に訪れたかに思いを馳せ、
ベッドへとネギの手を引きながらあやかの胸はチクリと痛んだ。
とある昼下がり、あやかが雪広邸の東屋を訪れ、腰掛けに掛ける。
目の前に座る千雨がぺこりと頭を下げ、あやかの顔が少し曇る。
手際のいい黒い男の処置により、ネギも千雨も今のところは一見何事もなく生活している。
あやかがどう思おうが、千雨にとってあやかは大恩人、その事実を無視するほど千雨は非常識ではない。
そして、事後処理の関係もあり、千雨がここに足を運ぶ機会は多くなった。
「お呼び立てしたのは他でもありません。ネギ先生の事です」
あやかの言葉に千雨は小さく頷く。
気が付いてしまった。でも、もう自分にその資格はない。
目の前の身も心も綺麗で強い、そして、ネギを救い包み込んだ自分とは正反対の気高き美少女には
その資格が有り余っている。仕方のない事だ。
あやかのお陰で生きていられる、平穏な日常を過ごせる事自体が奇跡なのだから、
あの熱烈な恋路を邪魔する石ころになる資格がある筈も無い。
あやかは、黙ってメモを差し出す。
「ネギ先生は、この便でイギリスに発ちます。休養です。学園側にも内々に話は通してあります」
「そうか、里帰りか、それがいいんだろうな」
だが、あやかは小さく首を横に振った。
「ネギ先生はあなたを待っています」
「は?」
「わたくしに今の言葉を二度、言わせるおつもりですか?」
「…無理だろ」
千雨が嘆息する。
「全部私のせいなんだ、どの面下げて先生の前に…」
「あなたには、原因はあっても責任はありません」
「いや、そうだとしても…」
「わたくしにとって何より大切なのはネギ先生の気持ち、そして、クラスメートであるあなたの気持ちです。
ネギ先生は、あなたの事を待っています。そして、あなたも…」
「いや、だからさ、仮にそうだとしても、
お互い同じ傷を負って、責任感じてるだけ、それだけ、錯覚してるだけだ。
そんな関係で傷嘗め合うだけ、それじゃあネギ先生のためにもならない、
まだまだネギ先生には先もあるんだし、もう、こんな事…」
「今はそうだとしても、ネギ先生にとって、あなたはとても大切な、掛け替えのない女性なんです。
そして、あなたにとっても。それが分からない程わたくしの目は曇ってはいません」
「…ギリギリ、間に合うか…」
「車を用意させています」
「恩に着る、いいんちょ」
あやかが、にっこり笑って、リムジンに走る千雨の背中を見る。
「わたくしの目が澄んでいる筈がない…何時間もの間この事を握り潰していたこの汚れたわたくしの心が…」
パパー、パー、パー
「ちう様、バッ○システム順調に侵略しております」
「支援戦闘機三機分のデータ三沢から南下させておりますすちう様」
「百里、小松から要撃機上がりました」
「ちう様、入間に撃墜指令です」
「当然、関東一円の発着は白紙ですちう様」
「やっちまった…」
事故渋滞のど真ん中、杖を握った千雨が快適なリムジン車内でクラクションを聞きながら嘆息する。
「犯罪者だな、完璧…」
千雨が乾いた笑い声を上げる。
「じい、何も見ておりませんわね」
前方の座席であやかが優雅にハーブティーを傾ける。
「はい、お嬢様」
「趣味のいいBGMですわね」
「○井○次サントラ大全集でございますお嬢様。
他に、婦警下町戦争、死神帳面争奪戦や世界が変わる名探偵などがございます」
息を切らせて車を飛び出す千雨。
ロビーで立ち上がり、足を進めるネギ。
叫ぶ千雨。
振り返るネギ。
「千雨、さん…」
「行くな、ガキ…行かないで…」
どちらともなく、二人はぎゅっと抱き合っていた。
「千雨さん、千雨さん、大好きです。離れたくない」
「私も…私も、大好きだ、大好き、だから…」
遠くで、唇を重ねる二人を見ていたあやかが、じいを横に瞼に指を添える。
ベタにも程があるロスタイムでの幕切れだった。
(枝ルート4・ネギ・終わり)
最終更新:2012年01月31日 11:41