27スレ049

49 :41 :sage :2007/07/04(水) 17:34:48 ID:PKtUSQxD(4)

夕日が差し込む赤い部屋の中、少年の荒い息遣いが響いていた
「ハァ・・ハァ・・・」
ここは寮の彼の部屋、現在は同居人の神楽坂 明日菜と近衛 木乃香が外出中のため、少年は一人で留守番中である
少年の名はネギ・スプリングフィールド、
魔法使いでありながら、10歳という若さで教職につき、31人の女生徒の担任もこなす、魔法先生である
そのネギ少年は今一冊の本を食い入るようにみつめ荒い息遣いを繰り返していた
通常の読書であれば問題はない、しかしその『本』が10歳が見るには過激な、いや、対象年齢に満ちた人間ですらその特殊性に耐性がなければ目をそむけてしまうほど過激な内容の雑誌だったのだ
念のために記述しておくとこれはネギが購入、もしくは拾得してきたものではない
彼のペット(というと語弊があるかもしれないが)友人であるオコジョのカモが購入したものだった
カモはこういった商品の購入には通販を利用しているらしく、通常時ならばカモ本人が受け取り、ネギには内密に商品を回収していのだが
今回は運がよいのか悪いのか、ネギが一人の時間帯に荷物が届き、何も知らないまま封を開いてしまったのだ
『ゴクリ』と時折生唾を飲む音とページをめくる音が響いていた
『コンコン』
ふいにノックの音がする、通常ならばネギも対応していただろうが、今は完全に集中してしまっているらしく何の反応も示さない
『ガチャリ』とドアノブが回され、扉が開く
「・・・開いてる?失礼します・・あのーネギ先生?」
そこから顔を覗かせたのはネギの受け持つクラスの生徒 桜咲刹那 だった
自分に気付かず扉に背を向け、部屋の隅でなにやらハァハァと苦しげに呻くネギにゆっくりと近づいていく
「ネギ先生?具合でも悪い・・んです・・・か?」
刹那はそこでネギが何をしているのか見てしまった
「せ・・・先生!?そ・・・それは!?」
「う、うわ!!せ、刹那さん!?ち、違うんです!これは今日、本の中に荷物が届いて!!」
慌てて言い訳を始めるネギ、刹那もあられもない姿の女性が写ったその本を凝視してしまい思わず赤面してしまう
「あ、いえ。いいんです。すいません。勝手に入ってきてしまった私が悪いんです、そうですよね、ネギ先生も男の子ですものね」
しどろもどろになりながらも必死でフォローしようとする
「あ、いえ、ボクが悪いんです。あああああ!すいません、今お茶を!ああ!」
完全に混乱してしまっているネギは立ち上がると同時に机に足をぶつけ、そのまま転んでしまった
「だ、大丈夫ですか!?」
「うう・・・」
そんなネギの様子を見てふっと刹那の表情がほころぶ
(そうだ、私の方が年上なんだからこういう時はしっかりしてあげないと)
妙な使命感にその胸を燃やし刹那はネギを介抱する
「ネギ先生・・・これ、読んでたんですよね?」
「え!?あ、う・・・・はい・・・」
怒られると思ったのかシュンと小さくなってしまったネギをみて刹那の心臓が跳ねる、早くなる鼓動を必死で抑えようと一度息を大きく吸い込む
「ネギ先生は・・・こ、こういう事に、興味が・・・あるんですか?」
「え!?あ、いえ、全然、全然。ボクまだ子供ですし・・・」
「じゃぁ、大人になったらしたいと思います?」
「あ、いえ、その・・・あ、あのやっぱりボクも大人になったらこういう事するのかなぁ・・・って考えたりしましたけど・・・本当に奴隷なんて作らないといけないんでしょうか?」
刹那は驚愕の表情を浮かべ、慌てて足元に落ちている雑誌をちらりと見る、開かれていたページには
『奴隷の作り方』という見出しと共に『奴隷のいない男なんて半人前・成人男性の8割は奴隷を飼育』という教育上よろしくない記事が書かれていた
これはどう考えても普通の本じゃない、こんなのが普通だと思ってしまう前にきちんとした性知識を与えなければ
刹那は使命感に新たに闘志を燃やした

・・・はずだったのだが
「そ、そうですね、英国紳士を自称するなら奴隷の一人や二人居ないと格好がつかないと思いますよ」
口からでたのはそんな言葉だった
「ええ!?や、やっぱりそうなんですか!?ボ、ボクできるかなぁ・・・できなくてもいい・・・」
驚きとともにそれが当たり前だと思ってしまったネギは更に落ち込んでしまう
「あ、いえ、そんなに落ち込まないで下さい、きっとネギ先生なら立派なご主人様になれますよ」
「でも、ボクそんなの自信ないです、女の人を奴隷だなんて・・・」
「そ、それじゃぁ、わ、わた、わたしで試してみてはどうでしょう?わ、私も早くご主人さまを見つけないといけないと思っていたので!」
刹那は早口でそうまくし立てたの顔はもう耳まで赤くなっていたのだが、落ちかけの夕日の光でネギは気付く事は無かった
「わ、私も一人前の奴隷になって早く大人の女性になりたいですし!練習もかねてといいますかなんといいますか・・・」
一体自分は何をいってるんだろう、早く本当の事をいわなければ、刹那の良心は必死に戦っていた、そして今まさに良心が勝利を収めようとした瞬間目の前にネギの笑顔が広がった
「本当ですか!!!?で、でもボクなんかでいいんでしょうか?刹那さんみたいなキレイな人ならもっといい人がいるんじゃ・・・ボクなんてまだ子供だし・・・」
キラキラと目を輝かせ、まっすぐな瞳で刹那を見つめる、思わず刹那はあとずさってしまう
「き、キレイだなんて、とんでもない!ネギ先生にはいつもお世話になってますし。ネギ先生なら寧ろこちらからお願いしたいぐらいです」
精一杯の笑顔で応える、ネギの顔もより明るくなった。するとネギがなにやら雑誌を取り上げ、なにやらゴソゴソと探し始めた
手に取ったのは雑誌の付録、そこには薄いビニールに包まれた銀のプレートと、もうしわけ程度の銀の装飾が施されている一本の黒く細いチョーカー
「じゃ、じゃぁ!こ、これ、付けてもらえますか?奴隷をつくったらこれを付ける物だって書いてあったので・・・」
「え、ええ、いいですよ」
刹那は身長差を考え少しかがむと、ネギは慌ててビニールを破き、その首にチョーカーをとりつけた
するとプレート部分がほんのりと光りを放つ。ネギは一瞬何事かと思ったが、夕日が反射したのだろうと特に気にしないことにした
「で、では今日からはご主人様と奴隷ということで・・・」
「はい!よ、よろしくお願いします!」
二人は照れながらお互いに握手を交わし、無言で見つめ合っていた
『ガチャ』不意にドアが開く、部屋の本来の主である神楽坂明日菜と近衛木乃香が帰宅したのだ
「ただいまー」「ただいま」
二人は慌てて離れる
「「お、おかえりなさい」」
「あら、刹那さん来てたんだ。何?その顔は?まさかネギ、刹那さんに変な事しなかったでしょうね?」
明日菜は冗談のつもりだったが、二人は思わずお互いの顔から目をそらす
「うーん?なに?なんかあったん?せっちゃん顔真っ赤っかやでー?」
「い、いえ、何も、あ、私、そろそろ部屋に戻りますね!そ、その失礼します!」
猛スピードで刹那は部屋から立ち去ってしまった
「なんやー?変なせっちゃん」
「ネギ、あんた本当になんもしてないんでしょうね?」
「な、なにもしてません、本当に」
明日菜に詰め寄られながらネギは気付かれないように足で例の雑誌をベッドの下に押し込むのだった

一方、刹那の部屋
心臓のまだ鼓動が早い、一体自分はなんという事をしてしまったのだろう
「年端もいかない子供に嘘を教えて、あまつさえど、ど、ど・・・奴隷など・・・」
そんな自己嫌悪に陥りながらも、これでネギとの仲を一歩進めることができる、そう考えると自然と笑みがこぼれた
ネギを慕う女生徒は多い、10歳の子供だという事を差し引いても前向きな性格、芯の通った精神、勿論外見も十分に魅力的だと思うし
人気があるのも頷ける。しかし、自分には魅力がない、幼い頃から武術ばかり、ましてやこの身は普通の人のそれとは違う
彼に告白をしたという宮崎のどかなどは傍目から見てもどんどんキレイになっていると思う
明日菜さんも口ではなんだかんだいっているがきっとネギ先生の事が好きだろう、彼女は今のところ一番ネギに近い女性だ、もし本気になられたら・・・
「勝てない・・・」
思わずつぶやいてしまった、もし二人が付き合うことになったら、もし私以外の誰かがネギの隣に立つことになったら・・・
ネギ先生が幸せになるのであれば祝福はしたい、でもとても応援できない・・・
ふと首に手を伸ばす、そこには先ほどネギによって付けられたチョーカーがあった
無機質な皮の感覚が指先に広がるが、暖かかいネギのぬくもりがそこに感じらるような気がした
「ネギ先生・・・ご・・・ご主人・・・様・・・」
暗い部屋の中に誓いのような、か細い、けれども力強い言葉が溶け込んでいった

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最終更新:2012年01月31日 11:55
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