27スレ483

483 :dem :sage :2007/08/31(金) 10:09:02 ID:oRfSirV2(5)

目が覚めて一番に見たのは、少し黄ばんだ天井。
次に見たのは、私の身体を優しく包み込むたくましい腕。
…ネギ先生のではない、大人の。

「…………」

馬鹿、またか。
忘れるために求めたはずが、何故か逆効果だったらしい。
今まで、嫌なことはすべてこれで忘れられたはずなのに…。
がむしゃらに求めれば忘れられると思っていたのに、今回は何が違うのだろう。
…いや、本当はわかっている。
私はネギ先生を本気で愛してしまっているのだ。
ほんの此間まで子供だ、未熟だと馬鹿にしていた少年を、今では本気で愛しているのだ。
京都では、彼も私を愛すと言ってくれた。
その時の喜びは今でも忘れられない。きっと一生忘れないと思う。
その場の勢いだろうか、私はつい彼にすべてを預けてもいいような気になった。
しかし麻帆良に帰ってきて冷静になってみると、実はそれがとんでもないことだということに気がついてしまった。
まず立場の問題がある。彼は先生で私は生徒。
京都でそれを言及しはしたが、恐らく先生も勢いで言った部分もあると思う。
冷静に考えれば、私と特殊な関係を持つことがいかに危険なことかわかるはずだ。
最悪先生を辞めさせられる。そこで先生の夢は潰える。
先生が一生かけて追い続けようとする夢を、私が潰してしまうことになるのだ。
そんなことをさせられる訳がない。私にも先生にも、いいことは何一つない。
だからもうあんな行為はしてはいけない。昨夜が最後だ。
後で先生にもきちんと説明をしなければ。

大丈夫。頭のいい先生は、きっと私の意を汲んでくれる。

「…………う…っ……うぅ、ぅ」

でも、もう少し待ってください。私の決心が固まるまで、もう少し。
他人に性欲を満たしてもらわなければ自分を保てないような弱い私を、優しく抱きしめてくれた腕を思い出させてください。
太さこそ違えど、この腕に幻想を抱くことを、どうか許してください。
淫らな私を嘲笑って下さい。馬鹿者と罵って下さい。それこそ、私に似合う言葉ですから。

…不意に、腕の力が強まった。
少し驚いて顔を上げると、高畑先生が優しい目でこちらを見ていた。
どうしよう。私はこの優しい人をも、傷つけてしまっている。

「…っご、ごめんなさ、ごめんなさい。ごめ、なさ…っ、ごめんなさい、ごめんなさい」

ただただ申し訳なくて、でも縋るものが欲しくて。
謝りながらも私は、彼の胸に顔をうずめた。
そこは、今まで嫌というほど嗅いできた男性の匂いが強くする。
ひどく安心した反面、いっそう強まった喪失感に、私はみっともなく嗚咽を漏らした。
そんなみっともない私を、高畑先生は優しく抱きしめて、そして。
…少し無理矢理に唇を奪った後、また激しく抱いてくれた。
まるで、私が迷っているのがわかっているかのように。
それを忘れさせようとでもしているかのように、激しく、乱暴に愛してくれた。


つづく

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最終更新:2012年01月31日 12:16
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