481 :Z-xp03 :2007/03/31(土) 14:51:50 ID:i34PtUwi(7)
早朝――いつも通り、ネギと古菲が稽古している姿が見える。いつもはネギが先生で古菲が生徒だがこのときだけは逆である、教えられている人を教え、教えている人に教わる。いつも学校ではバカレンジャーの一人として申し訳ないと思っているだけに稽古には熱が入る。
「そこっ、少し遅いアル!」
「はい、老師!!」
それにしても大した少年だ、自分が何日も何週間も掛かって会得した技をものの数時間で覚える。もっともそれくらいでなければ魔法使いとは言え、わずか10歳で教師なんて出来るはずもないが・・・。そしてこの日の早朝練習が終わる。
「よし、今日はここまで!」
「はい、ありがとうございまし・・あれ?」
「どうしたアルか!?ネギ坊主!!」
練習終了と同時によろめくネギ、当然古菲は心配して声を掛ける。
「あ、いえ・・ちょっとふらついただけです、大丈夫ですよ。」
「ふらついておいて大丈夫も何も無いアル!ちゃんと言うアル!!」
普段から多少の無理をするネギ・・古菲は明日菜から言われ、その辺に気をつけるように言われている。それに師匠としても弟子の体調に気を遣わないわけにはいかない。
「はぁ・・その・・このごろ眠りが浅くて・・ぐっすり眠れなくて疲れが抜けきらないって言うか・・。」
「ふむ・・なるほど・・。」
一応聞いてみたものの、そんなことどうすればいいかわからない古菲。弱い頭で考えて出した結論は・・・。
「よし、それなら今夜は私の部屋に泊まりに来るといいアル!」
「え?何でですか?」
ネギの反応は当然と言えば当然だろう、いきなり泊まりに来いなんて言われても理由がまるで見えてこない。
「環境を変えてみるアルヨ。いつもと違う場所で寝れば案外ぐっすり眠れるかもしれないアル。」
「なるほど・・でもいいんですか?」
「構わないアル、最近超はハカセと研究室泊まりで部屋には帰って来ないからベッドは空いてるアルよ。」
「そうですか・・・じゃあお言葉に甘えて、今夜行かせてもらいます。」
「うむ、待ってるアルよ!」
約束をするといつも通り二人で寮へ帰る。
以前は帰ってくると「朝帰りだー!」とか騒がれたが最近は修行とわかったからかそんなひやかしは聞こえない、むしろネギに気を遣ったりする声が多い。
その後はいつも通りの日常だ、学校まで走って・・普通に授業して・・・普通に部活に行く。
こんないつも通りの日常も今日は少し違う、ネギが部屋に来る・・ネギが泊まりに来る・・。
古菲が今更ながら何かすごいこと言ったように思いはじめたのは帰り道でのことだった。
部屋に戻って電気を付ける、まだネギはエヴァのところで修行しているので帰って来ない。
「・・今のうちに少し掃除でもしとくアルか・・。」
夕食を後回しにして部屋の掃除を始める古菲、超がいればそれほど散らかってはいないが最近は葉加瀬と研究室に泊まり込んでいるため結構散らかっている。
我ながら少しだらしないと思う古菲であった。そんな矢先に・・。
「こんばんは、古老師。」
ネギがやって来た、いつもよりずっと早い時間だ。予定外のことに慌てる古菲、まだ掃除は全然進んでいない。慌てふためきながらもドアを開けてネギの前に立つ。
「ネ、ネギ坊主、今日はやけに早いアルね。」
「はい、実は茶々丸さんに・・「マスターの花粉症が悪化したために今日の修行は中止するとのことです。」って言われて・・。」
恨むぞ、花粉。お前たちのせいで掃除は間に合わなかった10歳とは言え教師であるネギにこの散らかった部屋を見せろと言うのか?
勘弁してほしい、かと言って後から来いと言うのもどうだろう・・古菲が考えて出した結論は・・・。
「その・・実は今ちょっと部屋が散らかってるアル・・。」
正直に言うことにした。一方のネギの返答は・・。
「そうですか、それなら片付けるの手伝いましょうか?」
「へ?ま・・まぁ・・ネギ坊主が構わないなら・・。」
予想外のことを言われたと思っていたが、頭のどこかでは「やっぱり・・。」と思っている。
頭も良くなく、鈍い古菲でもどこかでわかっている。
ネギは他人の為、それが自分の生徒のためなら自分がどうなろうと構わないでいる、それがネギの長所であり・・短所でもある・・。
わかってはいるがあくまで頭の一部でだけ、結局古菲はネギの言葉に甘えて手伝ってもらった。
その日の夜、この頃一人で食べていた夕食の場に今日はネギがいるということでだろうか、出てくる料理に気合が入っている。
さすがは超と同室だけあってそれなりのものは作れるようになった古菲だった。
「うん、おいしいですよ。くーふぇさん。」
「それはよかったアル。さ、どんどん食べるアル。しっかり食べるのも修行のうちアル。」
「はい!」
こうして見るとやはりこの子は10歳だなと思う、素直に褒めて笑顔で食べる。古菲は思った、この子は今自分にこんなに素直に接してくれている。
早朝の修行や学校では決して見たことの無い表情、いや、笑顔は見るのだがなんというか雰囲気が違う。
いつも一緒に暮らしている明日菜や木乃香はこんな表情を見ているのだろうか・・正直羨ましい・・ん?羨ましい?
(ちょっと待つアル、何で羨ましいなんて思うアル?確かにネギ坊主のこんな笑顔を毎日見られるなんて他の部屋の人には中々無いアルが・・。)
「?どうしましたか、くーふぇさん。」
気が付くとネギの顔がすぐそこにある。
「い、いや、何でも無いアル!!」
「そうですか?」
突然声を掛けられ、慌てて返答したものの心臓の鼓動は早くなっているのを感じた。
理由は二つ、一つは驚いたから、そしてもう一つはおそらく・・。
(はぁ・・ひょっとしてこれが恋アルか?)
色恋にも疎く、あまり物事を深く考えない古菲もようやく気づいた。
そうでなかったら羨ましいなんて思うはずが無い、驚きは無くなったのにこんなに心臓が鼓動することは無い
こんなに気合を入れて夕食を作らない、超がいないからってネギを部屋に誘わない・・・。
修行の時以外でも二人だけでいたかったから、いつもと違う笑顔が見たいから
自分の手料理を食べてもらいたかったから、この状況はあるのだと思った。
「・・・今更気づくとは・・我ながら鈍いアルな・・。」
「はい?何か言いました?」
「いや、ひとり言アル。気にしなくていいアル。」
結局これを自分の中に仕舞い込む古菲、さすがにすぐに言えることではない・・。
古菲は適当に理由をつけてネギを自室の風呂に行かせると一人でどうするか考え出す。
やがて一つの結論を出すと古菲は立ち上がり、ネギのいる自室の風呂場に向かう。
その頃ネギは烏の行水程度の入浴を済ませてさっさと上がろうとしていた。
「よかった、部屋のお風呂で・・大浴場だったら明日菜さんとかに洗われてたろうな・・。」
少し安心していたネギだが、そういうときに限って困難はやってくるものである。
上がろうとすると洗面所に誰かいる・・当然古菲ということになるがネギは何やら嫌な予感がしてきた。
そしてそれは現実になる。
「ネギ坊主!一緒に入るアルよ!」
体にタオルを巻きつけて髪止めを外した古菲が風呂場の扉を勢いよく開ける。
ネギは驚きながらも返答する。
「くーふぇさん!?い、いえ・・その・・僕もう出ようと思っていたので・・。」
「ダメアル。」
古菲はネギの意見をあっさり否定すると右手で逃げないように肩を掴み、左手をネギの頭に乗せて髪を触る。
「ほら、少しベタついてるアル。流しただけでちゃんと洗ってないからアル。」
「い、いいですよ、別に。」
「良くないアル、ほら、洗ってあげるから座るアル。」
「うぅ~。」
普段なら逃げようと抵抗するが今は狭い浴室、しかも目の前にいるのは自分より強い師匠ということもあってか、涙ながらにネギはイスに座った。
そんなネギの後ろには嬉しそうにシャンプーを泡立てている古菲、十分に泡立てるとネギの頭を洗い始める。
しかし嬉しい反面少し恥ずかしいこともあるのか、無意識のうちに力が入ってしまう。
「あつっ・・あの・・くーふぇさん、ちょっと痛いです・・。」
「おぉ、スマンかたアル。つい力が入ってしまった。」
ネギに言われて力を抜くとちょうど良いのか、いつも大浴場で見ているように強張ってはいるが抵抗はしないような状態になる。
やがて頭を洗い終わるとネギは立ち上がって出ようとするが・・。
「じゃ、じゃあ僕はこれで・・。」
「まだアル、今度は体洗ってやるアルよ。」
「うえぇぇ~。」
またもイスに逆戻り、座ったネギは何か子犬のようだ。
それ見ると古菲は何を思いついたのか持っていたタオルを置いて体に巻いていたタオルを外し、自分の体にボディーソープを塗り始めた。
「あの・・まだですか?」
ネギが質問して来るころには既に塗り終わった後である、古菲はちょっと笑うと質問に答える。
「今から洗うアルよ、準備はいいアルか?」
「え?準備って何――うひゃ!?」
古菲の両腕がネギの首に回ったと思ったら突然ネギの体にタオルとは違う柔らかい何かが当たり、上下する。
しかもそれには二つの膨らみもあるようだ。ネギは驚きながらも何が起きたか瞬時に判断した。
「くーふぇさん!?あ、あの、何を!?」
ネギが首から上だけ後ろに向けると思った通りの状況がそこにある、体にボディーソープを塗った古菲が自分の背中と自分の体を擦り合わせている。
「ふふふ、見ての通りアル、気持ちいいアルか?」
「え・・そ、その・・。」
顔を紅くして俯き、返答に困るネギ。
古菲はその様子に微笑むとネギにのしかかると首に絡めていた手を下に伸ばし、ネギの股間のいきりたっているものにそっと触れる。
「ひゃっ!?」
「頭はともかく、体は正直アルね。」
古菲の言う通り、頭では困っているものの体は正直に反応している。
腰に巻いているタオルの上から見ただけでもわかるくらいネギのモノは男として正常な反応を示している。
古菲はイタズラを思いついたかのように笑うと更に胸を押し付けるようにのしかかり、両手でネギのモノを触り始める。
「うわっ・・や、やめてください・・くーふぇさ・・ひゃう!?」
(ふふふ・・何だかんだ言ってもちゃんと感じてるアルか。・・それにしてもこれは・・。)
思った通りの反応に心の中で笑うがそれもほんの束の間、すぐに触れているものに意識が行ってしまった。
タオルの上からではわかりづらかったがこうして触ってみてわかった。
結構デカイ・・本当に10歳か?と思ってしまう古菲。
すでにそっちに意識が行ってしまって今は何も考えていないようだ、その証拠に手が止まっている。
「あ、あの・・くーふぇ・・さん。」
「はっ!な、何アルか?ネギ坊主。」
ネギの呼びかけでようやく戻ってきた古菲、ふとネギの顔を見ると今にもその目から涙が出てきそうな目でこちらを見ていた。
「あの・・な、何で・・こんなことを・・。」
「・・ネギ坊主が好きだからアル。」
「へ?」
言った、自分の気持ちを。
どうせ隠して自分のことだ、いつかは口が滑って言うに決まっている
どうせ言うなら胸に仕舞い込まないで後日とは言わないですぐにはっきりと伝えたい、自分が貴方に向けている感情を・・。
「もちろん・・え~と・・LIKEじゃなくて・・LOVEの意味の好きアルよ。
毎日修行も授業もあんなに頑張って、ボロボロになっても茶々丸に果敢に戦いを挑んで
父親を探して・・そんないつも一生懸命なネギ坊主が好きになったアル・・。」
「・・・くーふぇさん・・。」
「ネギ坊主・・返事を聞かせてくれアル。」
ネギに返答を求めるが古菲は内心かなり動揺している。
断られたらどうしよう、一方的にこんなことまでしてしまった、軽蔑されたらどうしよう・・そんな古菲らしくもない不安を覚え始めたがネギの返答は・・。
「・・僕もです・・。」
「ふぇ?」
「僕も・・くーふぇさんのこと好きです、もちろん同じ意味で・・。」
「ネギ坊主・・・。」
「実を言うと最近眠りが浅いのも、くーふぇさんのこと考えていたからです。
明日もくーふぇさんに会える、二人きりで修行が出来る、二人だけの時間を過ごせるって思っていると中々眠れなくて。
だから、部屋に誘ってくれた時は凄く嬉しかったです。」
嬉しい、今古菲の頭と心の中はそれしかなかった。
自然とネギに抱きつく、力が強いからかネギは少し苦しそうな表情になるがそれも一瞬、そっと古菲の手を取る。
「ふふ・・よかったアル・・こんなことして・・断られたらどうなるかと思ったアルよ・。」
「そうですね、もう少し考えて行動してくださいね。」
「それは無理アル、バカイエローは考えるよりまず行動する方アル。」
「自覚しているなら本来は直すべきですが・・そこが古菲さんの良い所かも知れませんね。」
「・・・ネギ坊主・・続き・・するアルか?」
古菲の提案に少し考えるネギ、頭の中ではネカネが「生徒とそういうことしちゃダメよ。」と言っているが・・・。
(ごめん、お姉ちゃん。許してね。)
そう心の中でネカネに謝罪するとゆっくり振り向き、古菲とそっと口づけた。
最終更新:2012年01月31日 13:16