113 : ◆am/upXHX12 :2006/03/09(木) 01:47:35 ID:IhRm5zIo
―――
「来て……」
亜子は目を閉じた。心臓がバクバク鳴っている。暗闇の中で待つ時間は、一瞬が永遠にも感じた。長い、
長い一瞬。……長すぎる。
「……?」
いつまで経っても何も起こらず、緊張に耐えかねた亜子は薄目を開けて様子をうかがった。ネギは亜子の前で
じっとしていた。
「……あの、ナギさん?」
「は、はい」
「その、じらさないで早く……」
「え? で、でも、あの」
実はネギは、何をどうしたらいいのかわからないのだった。何せまだ十歳、このようなことには知識も経験も
不足している。
「ご、ごめんなさい、僕どうしたらいいか……」
そんな、ただおろおろするばかりのネギを見て、亜子はぷっと吹き出した。
「ぷっ、はははっ、そやったな、これはウチの夢なんやからウチから動かなあかんよな」
「え? あ、亜子さん?」
「ええからええから、さ、横になって、ナギさん」
「あ、は、ハイ」
亜子はナギを仰向けに寝かせると、その上にまたがり、ネギのものを手で軽く握った。
「あの、何だかちょっとマズい気が……」
「ええと、これをこうして……」
「あの、亜子さん、聞いて……ひゃあっ」
ネギのそれを自らの秘所に導く亜子。わずかに腰を落とし、先端を入り口にめり込ませると、
「んっ……これでよし、と。行きますね、ナギさん」
「あっ、あの、ちょっと待って」
ネギはあわてて止めようとするが、その声は亜子の耳に届いていない様子。と言うか、その目も何かに
取り憑かれたようでどこか焦点が合っていない。暴走した亜子はネギの制止を振り切り、ついに、
「えいっ!」
と腰を沈めた。ずむむっ、とネギの肉棒が亜子の中に侵入していき、その感触に思わずネギは「はうっ」と
情けない声を洩らした。
(あ、熱い……それに、ぎゅっとして、滑らかで、くすぐったくて……ああっ)
「はあ、はあ……どうですか、ナギさん……」
亜子が呼吸を整えながら、ネギの髪を優しく撫でて、微笑みかけた。
「あ、あのその、……き、気持ちいいです」
「……ウチもです。初めては痛いって聞いてたのに、やっぱこれって夢なんやなぁ……」
「いやあのコレ、夢じゃ……」
「ま、夢なら夢でええです、せっかくだからうんと気持ち良くならんとな」
「いや、その……」
「それじゃ、動きますね……んっ」
「だから、違……ふぁぁっ」
亜子は恐る恐る、腰を上下させ、息を止めたり、深く吐いたりしながら、次第にそのスピードを上げていく。
ついにはどこで学んだのか、上下の動きだけではなく腰にひねりまで加えてきた。
「は、はあっ、な、ナギ、ナギ、さぁんっ!」
激しく頭を振り体を前後左右に揺らしながら絶叫する亜子。ネギは頭の芯がぼうっとなるのを感じた。
(ああ、すごく熱くて、きつくて、気持ちいい……何だかもう、ボク、ボク……!)
牡の本能が働いたのか、ネギが亜子の尻を両手でつかみ、亜子の動きに合わせて下から腰を突き上げ始めた。
亜子は苦しそうに眉をひそめつつも、腰の振りを小刻みにして、貪欲に快楽を求める。
「あっ、何か来る、何か来るっ」
「来て、ナギさん、来てぇっ!」
「あ、ああぁーっ!」
ネギが亜子の尻を強くつかみ、ひときわ高く突き上げる。その瞬間、熱い奔流が弾けた。
「ふぁ、あ、熱……!」
子宮の中に熱いものが注ぎ込まれ、目の前が真っ白になり、意識が遠ざかり……。
「コラーーッ!」
薄れゆく意識の中で亜子は、バンッ、と扉が蹴破られる音を聞いた。
―――
「ほら、正座だ正座」
「ハイ……」
「ったく、何考えてんだ? 教師が教え子に手を出していいと思ってんのか?」
「ス、スイマセン……」
「すいませんで済むかっ!」
ホテルの一室で、全裸のまま正座して幼女に説教を食らう青年の図。事情を知らぬものが見れば、実に奇妙な
光景である。横では、やはり裸のままの亜子が気持ち良さそうに寝息を立てていた。ちなみに、小太郎は
千雨の判断で廊下に出され(「子供の見るもんじゃねえ!」)、見張りをしている。
「……で、どうすんだ?」
「はい、その、こうなったからには英国紳士として責任を……」
「あーっ! ガキが! どうやって! 責任取ろうってんだ! つか、そもそも薬で変身したその格好を
どうやって説明する気だよ?」
「そ、そうでした……」
亜子が惚れたのは幻術で変身した十五歳のネギである。責任を取ると言っても、ずっとその姿でいるわけには
いかない。かと言って、元の十歳の姿ならいいかと言うと、そういうわけにもいかないだろう。
「で、ではどうすれば……」
「……うーん、仕方ないな。よし、まずは後始末だ。茶々丸、こいつを風呂場に運ぶの手伝ってくれ」
「ハ、ハイ」
「あ、ボクも手伝います」
「おめーはそこで正座して反省してろ!」
「はい……」
気を失った上からさらにネギの魔法で深く眠らされた亜子は、茶々丸の肩に担がれても目を覚ますことはない。
茶々丸、亜子、そして千雨の三人がシャワー室に入り、扉が閉まる。それからしばらくの間、ネギは律儀に
正座したまま、シャワー室から聞こえてくるザーという水音に耳を傾けていた。
―――
「あれっ?」
ここはステージの控室。亜子は伏せっていた机から体を起こした。いつの間にか居眠りしていたようだ。
これからリハーサルだというのに、いくらリラックスせなあかんとは言え、気を緩めすぎや……
亜子はぶるぶるっと頭を振り、立ち上がった。だんだん意識がはっきりとしてくる。
「それにしても、さっきの夢は…… あっ!」
夢の内容を思い出して、亜子の顔が真っ赤に染まった。
「う、ウチ、ナギさんと……な、なんてはしたない……」
「亜子ー?」
「うひゃいっ!?」
外から呼ぶ柿崎の声に、亜子はびくっとして妙な叫び声を上げる。
「どったの、亜子? ……亜子、お客さんよ」
「えっ?」
「ど、どうも……」
ガチャリと開いた扉の向こうから覗いた顔を、亜子はまともに見ることができなかった。
「ナ、ナギさんっ……!」
もっとも、まともに顔を見ることができないのは、ネギのほうも同じであったが。
「……やれやれ、どうやらうまく夢だと思ってくれたようだな。済まねえな、和泉」
その様子を見て、ホッと息をつく千雨であった。
「ひとまず一件落着、かな? ……妊娠してなきゃだが」
(了)
最終更新:2012年01月31日 15:38