59 :座薬 ◆FePZUCQ9Q6 :sage :2005/12/22(木) 00:00:25 ID:UxH82eLR
龍宮真名が依頼された仕事は、とある時間、とある場所、関係ない者を近づけないようにすることだった。依頼
人に指定された男たちだけを通過させ、他の者は拒絶すること。必要ないという理由で、それ以上の情報は与えら
れなかった。
(仕事の割に報酬が多い。どうも怪しいな……)
疑問に思うが、裏の世界において怪しくない仕事などない。真名はその依頼を受けた。
仕事当日。
その場所は学園の体育館、その時間はクラスメイトの佐々木まき絵が、来たるべき大会に備えて新体操の練習を
していることを、真名は初めて知った。依頼の内容からして、まき絵がたった一人でそこにいたのは偶然ではない
だろうが。
しかし、仕事は仕事だ。真名はその体育館に男五人だけを通して、それ以外の者は誰も近付けなかった。
体育館の中から、張り裂けるような悲鳴が聞こえてきた。
「…………!」
まき絵を大の男たちが押さえ付けている姿は、不快を超えて滑稽ですらあった。鈍色に光るナイフで体操服や
短パンを切り裂く男の姿が。泣き叫んでいるまき絵の頬や唇にキスをしている男の姿が。露にされた幼い女性器
にカメラを近づける男の姿が。
笑いながらそれをする男たちの姿が、不快を超えて滑稽だった。
「…………! …………! …………!」
まき絵は処女だったようで、男に犯される花弁から赤い血が滲んでいた。覆いかぶさる男の腰使いに苦しげに呻き
ながら、それでも必死に辱めに耐えて男を睨んでいた。
それは意地だった。思っていたよりも彼女は強かった。
しかし、男の手にバリカンが握られているのを見て、まき絵は恐怖して許しを乞い始めた。それは男たちを欲情
させ、笑い声と泣き声が混じる中、
「いやあああああああああああああああああああああああああああああ!」
バリカンがまるで森に道を造るように、まき絵の紙を奪っていく。
来たるべき大会の、二日前に。
「ふふふ、これであいつは出場できないわ! ざまぁみろってのよ。優勝候補だ妖精だって、ちやほやされちゃって
…………これでも、出れるものなら出てみなさい!」
その関東魔法協会と縁のある新体操選手であるがゆえに疑われるのが明白で、直接魔法でまき絵を攻撃できな
かったその少女は、勝ち誇ったように笑っていた。
そこに一人の影が現われる。
「案外、それでもあいつは立ち直って、大会に出るかもしれないぞ」
仕事を済ませた真名が、微笑んでいた。
「依頼の仕事は済んだ。ここからはサービスだ」
それから、その少女と男たちを見た者はいない。
数年後に世界の頂点に立つことになる、桃色のアホウドリの伝説は、二日後の大会で始まった。
終
最終更新:2012年01月31日 18:41