30スレ169

追って一夏 後編第一部


「明日はゲートポートですね」
「ああ…ま、なんつーか、迎えまで寄越されたさかいな。
結果どーするかはとにかく、いっぺん向こう戻て義理だけは通すさかい」
「ありがとうございます」

ぺこりと頭を下げた愛衣が頭を上げてにっこりと微笑んだ。
そのままたたずむ愛衣を、ベッドに座った小太郎は不思議そうに眺める。

「ん?どないしたん?後なんか打ち合わせとかあったか?」
「いえ」

愛衣が歩み寄り、同じベッドに腰掛けた。

「どないしたん?」
「えー、あー、何と言いますかその…」
「!?」

愛衣の瞳がぶわっと潤んだのを見た、と、思ったら、
小太郎は上半身を小太郎の正面に回した愛衣にしっかと抱き付かれていた。

「お、おいっ…」
「帰って来て、帰って来て下さいお願いですっもうどこにも行かないでっ!
お願いだから帰って来て、魔法世界で離れ離れなんてやだやだやだやだやだっ!!
分かったんです、一緒にいて心の底から分かった、そんなの嫌だ、そんなの耐えられないって。
本当に、小太郎さんが望むんだったら、それで小太郎さんが旧世界に戻って来てくれるんだったら、
それだったら私…」


言い募る唇は、唇で塞がれた。

「私は…友達?弟子?相棒?…恋人、になれなくても小太郎さんに必要な人に、なれますか?
どれでもいい、小太郎さんにとって必要な人に、今だけでも、小太郎さんと繋がっていたい。
分かりませんか?言った筈です。私、そんなに安くない。
そんな、好きでもない男の人に自分から裸になるって、そんな事しない。他になんの理由があって…
旅先の思い出でもいい。それで小太郎さんが戻って来てくれる、
もし、戻って来なくても私の心にだけでも、掛け替えのない思い出が残るなら、私…」
「愛衣姉ちゃん、俺、愛衣姉ちゃんが、欲しい。
あー、なんつーか、ずっと一緒にいて、姉ちゃんどんどん綺麗に、いい女になってく。
だからあれや、俺もしょっちゅうそない思っとって、
それはまー、しょーもない男のガキのあれちゅう事思って一人で勝手にあれや。
けど、今、すっごく欲しい。あんたの言うどれだかは正直分からん。
けど、今俺いい加減な気持ちやない。姉ちゃんが本気なのも、分かるさかい」
「嬉しい」
「だから、な、泣かんといてや、頼むから。俺、愛衣姉ちゃんの笑ろうた顔、好きやから」
「はいっ」

愛衣の最高の笑みと共に、改めて、静かに唇が重ねられた。

 ×     ×

「あー、やっぱりこういう時は、風呂とか入っとくモンか?」

唇が離れた後、小太郎の間抜けな様な的確な様な一言に、愛衣が頷いた。
小太郎に勧められるままに愛衣がバスルームに入りシャワーを浴びバスタオルを巻いて出て来て
ベッドの小太郎の隣にちょこんと座った後、
小太郎が立ち上がってバスルームに向かい開く前のドアに激突したのは、
長時間視線が下に向きすぎていた事が原因であったと推察された。
しかし、その様な事にひるむ事なく、烏の行水を終えた小太郎が
腰にタオル一枚巻いてちょこんと愛衣の隣に腰掛けた。
互いに横を向き、何度目かの口づけを交わす。
そして、小太郎が静かに、優しい手つきで愛衣をベッドに横たえた。

「ええんか?」

愛衣が小さく頷く。
小太郎が、恐る恐ると言った手つきで、バスタオルを外す。
ごくりと喉を鳴らした小太郎は、ほーっと白い裸体に釘付けの視線を送る。
愛衣は、その無遠慮な視線を前に、自らの両腕に懸命に制止の意思力を送り続けていた。


「綺麗やなぁ…」

ようやく、小太郎が言葉を発する。

「ほそっこいんかと思うとったけど、すごい女っぽくて、胸も、結構大きいんやな愛衣姉ちゃん」

既に少女と言える歳ではない、白くたおやかでも力強い大人の裸体に素直な賛辞を送り
その柔らかく成熟した膨らみにふにっと手を伸ばしている過ぎない小太郎の言葉。
本人は素直にそれだけのつもりでも、ベッドで他の女性と比べられる、それは最大の屈辱にしてマナー違反。
そんな、奥底に感じるもの、つまらない疑念を懸命に振り払いながら、
愛衣は意外な程に優しい小太郎の手つきに意識を集中させる。

“…あ…でも…なんか、やっぱりちょっと気持ちいい…”
「…小太郎さん…」
「んー?」
「何と言うか、もっと、いいんですよ乱暴にされると痛いけど、でも、その触っても…」
「ほなら…」
「?」

珍しく口ごもる小太郎の態度に、愛衣が小首を傾げる。
「その…ええか、吸うても?」
「?…はいっ」

にっこり微笑む愛衣の前で、真っ赤になった小太郎が、
既にピッと女の昂ぶりを主張していながらも可愛らしいぐらいの桃色の乳首をちゅうっと吸った。

「あっ」
「ん?」
「んふふっ、くすぐったい、気持ち、いいです…」
「ほかほか」
「はああぁ…」

愛衣の分かりやすい説明に、
興に乗った小太郎がやわやわと掴みながらちゅうちゅう取っ替え引っ替え吸い立て始める。

「うぷっ!」
「んんんっ…」

喉を鳴らしながら喘いでいた愛衣が、
むずかった様な声を上げながら、柔らかおっぱいに夢中の小太郎の頭をきゅっと抱き締める。


「ん、んぷぷっ…」
「えへへー、コタローさーん」
「く、苦しいて愛衣姉ちゃん」
「えへへー、ごめんなさーい、コタロー君にちゅうちゅうされて気持ちいーですー」
「あー、さっきパーティーでワイン飲み過ぎたん違うか?」
「そーですよ、おねーさんなんですからとーぜんでしょー」
「おいおい、いきなりどーしたん?」
「んふふー、だってコタローさんかわいーんだもん。あうっ!」
「ちぃと、きつぅしたった方がいいみたいやな酔っ払いには」

知ってか知らずか、小太郎は、甘噛みと言う技法を駆使していた。
ぷくっと尖った乳首にもこりっと決して痛めない加減を加えて愛衣をのけ反らせる。

「あんっ、小太郎さんっ」
「へへっ、愛衣ねーちゃんもかわいーで。師匠をガキ扱いした罰や」
「あううー、ごめんなさい降参です師匠ー」

愛衣の上になってニッと笑みを浮かべる小太郎に、
半分は本心、半分は可愛い可愛い小太郎を満足させてあげる愛衣の言葉。

「ああっ、小太郎さんっ」
「ん、どした?」

何か、赤い顔をしてもじもじしてる愛衣に小太郎が声を掛ける。

「あにょその…」
「何や分からへんね、あうっ」

愛衣は、とても口に出して言えない恥ずかしい事を伝えんと、
やっぱり元々恥ずかしい場所の恥ずかしい状態の所に小太郎の手を掴んでぐいっと導く。

「…こっちも…触って…」
「ええんか?」

小太郎の問いに、愛衣はきゅっと目を閉じてこくんと頷く。
勝手が分からず、小太郎は愛衣が目を閉じている間に、
するすると顔を降下させながらそろそろと手を動かす。

“…震えてる…”

真っ白ですべすべの太股。愛する男性を迎えるべく意思力で僅かに緩めながら、
それを閉ざそうとする羞恥心を懸命に抑え込む。
小太郎のために女が女として懸命に戦っているのが感じ取れる。

「あ、あのっ、あのっあにょですね、小太郎さん」
「あ、ああ…」

訳も分からない小太郎に太股やお腹の黒々とした周辺をさわさわされて、
それはそれでくすぐったく心地よかった愛衣のやっとやっとの言葉に小太郎もやっとやっと返答する。

「えーとあの、ここのこの、ちょっと、尖ってるの、見えますか?」
「あ、ああ、ここがその…いっ!」
「!?愛衣姉ちゃんっ!?」
「ううん、いいの。ここね、女の子の気持ちいい所なの。
でも、敏感過ぎて乱暴にすると痛いぐらい。だから、自分の体から保護するのが自然に出て来てるの、ね」
「あ、ああ…」
「そう…はあああっ!」

蜜をすくいとった指でつーっと撫でられ、ひくひくっと愛衣の背筋がベッドの上に反り返った。
歴戦の勘は、それが、痛みの声とは微妙に違う事を感じ取った。

「あっ、コ、コタ…あっ、あああっ…ああああっ!」
「エロイ声出してんなー、愛衣姉ちゃん」

先ほどの狼狽をごまかすかの様に、小太郎がニッと笑ってぴちゃぴちゃと面白そうに指を動かし続ける。

「ふーん、指でこーやって気持ちいーんか。ほならなんか自分でも出来そーやなぁ」
「…バカあっ!…」

元々赤かった愛衣の顔が見る見る茹で上がったのを見た、次の瞬間には小太郎の視界は枕に封鎖されていた。

「あたたた…」
「あ、あの…」

怖々と小太郎の顔を見る愛衣に、小太郎は唇で返礼する。
真面目な愛衣をからかう事はたまにはあったが、これはどちらかと言うと女よりも男の方が覚えのある事。
そんな真面目な愛衣が懸命の勇気を振り絞ってるのに、ちょっと悪かったかなと思ったりもする。


「でも、いじられると気持ちいーんやな、かわいーで愛衣姉ちゃん。
こんなにぬるぬるのトロトロんなって、オマメも硬とう尖ってていじってやると…」
「もうっ…そんな…だって、小太郎さんだから…
あっ、あんっ、いい、はい、気持ちいい、です小太郎さんっ」

愛衣が男にこんな姿を晒す。それを懸命に伝えようとする。その相手に選ばれる。
この可愛らしさと知っている姿とのギャップが、選ばれた自分への誇りにも思える。

「あ、あのっ、小太郎、さん」
「ん?」
「ああっ、お願い、小太郎さん…小太郎さんも、その、窮屈そう…」
「ん?」

ようやく気付いた小太郎が、自分の腰のタオルを取る。

「あー、愛衣姉ちゃんだけ丸見えのすっぽんぽん言うのも不公平やったなー」

愛衣は顔を覆った両手の指から怖々と覗き、冗談めかした小太郎の言葉も半ば本心。
やっぱり、愛衣に目の当たりにされると言うのは、非常に気恥ずかしいものがあった。

「…あ…その…つまり、今そうやってそうなってるのが…」
「ああ、そう言うこっちゃ。おい?」

ベッドに座った小太郎が、そこに匍匐前進する愛衣に小首を傾げる。

「本当に立ってるって言うか…すごい熱くて硬い…」
「お、おい、ちょっと待て…お…おおうっ…」

 ×     ×

「お、おい、大丈夫か?」
「は、はい、目は閉じましたし、害は無い筈ですから」
「いや、そーゆー事やないと思う多分」

愛衣の白く柔らかな掌が怖々と、しかし興味深く、熱くたぎった幹を包み込んだ時、
ほんのちょっとした動作確認が、小太郎の限界だった。
内心オロオロで懸命に言葉を口に出して解決策を模索している小太郎の前で、
片目を閉じた愛衣がぺろっと唇を嘗める。


「これが、小太郎さんの…」
「まずないか?」
「すっごくまずいです」

愛衣が言い、二人とも下を向いてくくくっと笑った。

「すっごい顔やで、ま、俺が悪いんやけど、こればっかはあれやから」
「分かってます」
「ほれ、あー、目ぇ開けんなや、結構ヤバイから」
「有り難うございます」

小太郎がまずは引き寄せた箱のティッシュで愛衣の瞼を拭い、後は愛衣が自分で後始末をする。

「あー、すまんな」
「何と言いますか、あんなに元気なんですね、やっぱり。
でも、やっぱり出した後は小さくなるんですね」
「小さくてなぁ…おい…」
「小さくて柔らかくて、なんか可愛い…あっ、やっぱりこーすると又…」
「おい、待て…おおおっ!…」

再び興味深げにぐにぐにいじくられていただけでも結構な事だったのに、
目の前で真っ裸の、それも本来真面目な印象の愛衣にウブなだけにタチが悪いと言う状態でそうされて、
為す術なくムクムクして来た所に今後こそ思わぬ次の手、小太郎は思わずベッドに座ったままのけ反った。

「ストップストオップ!待てっ、待て待てやっ!!」
「んぷっ、ぷはっ…」

ムクムク復活した所をもごもごと口に含み舌の仕上げで満タンチャージに至り
力ずくで引きはがされた愛衣がきょとんと小太郎を見る。

「あー、愛衣姉ちゃん、どこでそーゆーの覚えて来るんや?」
「んふふー、おねーさんですから、雑誌とか友達とか、イケナイ事ぐらい知ってますよー。
お口の中で熱く大きくなって、やっぱこーゆーの気持ちいーんですかコタローさん?きゃっ」

両肩をベッドに押し付けられ、愛衣はちょっと怖々と上を見る。

「そーゆーお勉強は後で教えてもらおか。なんかすっごいヤバかったけど、
せっかく愛衣姉ちゃんがこんなビンビン準備してくれたんや。今はこれ、愛衣姉ちゃんに、な」

腕を立てて覆い被さった小太郎がニッと笑うのを見て、愛衣もこくんと頷いた。
愛衣が小太郎の手を取り、導いた指が何やらぐにっと沈み込んだ。

「…ここで、ええんやな?」

ぐっと指に力を込める小太郎に、愛衣は目を閉じて頷くのが精一杯だった。

小太郎が愛衣に覆い被さり、抱き締め、キスをして動き出す。
愛衣は、目を開ける事が出来なかった。

「………?」

怖々と開いた愛衣の目には、何かちょっと狼狽した様な小太郎の顔が映り、
お腹に、何か柔らかい感触が伝わった。

「あの…小太郎さん?」
「あ、ちぃと待ってな、愛衣姉ちゃんの裸、綺麗やから今の今まで、あれ?」
「…あの、小太郎さん?そういう事って時々あるとか雑誌でもその…
だから、焦らなくてもいいですよ笑ったり逃げたりしませんから小太郎さん」

いい加減そこそこいい歳の女性として、愛衣は小太郎をきゅっと優しく抱き締める。

「…いや…」

少し、寂しそうな小太郎の言葉だった。

「やっぱりあれや、散々キツイ思いして来たからなぁ。
どっちかつかずでどっちからも邪魔者、そんな半妖の血筋、俺が俺みたいなガキを。ずっとそう思うてた。
万が一、ちゅう事もある。ホンマに、大切な人やから、だから、それが怖いて体が覚えて…」

愛衣が、小太郎の解いた黒髪を、背中を、黙って優しく撫で続ける。

「…ええ匂いやな愛衣姉ちゃん…」
「又、私が、欲しくなった?」

柔らかな自分の腹でそれを確かめた愛衣が、精一杯の女の口調で問うた。

「あ、ああ…」
「お願い。私も、私も欲しい、欲しいから小太郎君。焦らなくてもいいから待ってるから…」
“…す、すごい事言ってんなぁ、愛衣姉ちゃん…”

愛衣にあえて言わせている、恥じらいに身悶えさせながら。
その事は確かにプレッシャーにもなったが、同時に、小太郎の本来の闘争心を奮い立たせる。


「ん、んっ!」
「くっ…」

狙いを定め、ぐっ、と腰を使った小太郎が、脳天まで突き抜ける様な最初の一撃を懸命に耐える。

「愛衣、姉、ちゃん?」

愛衣の目尻から溢れる涙を見た小太郎が、何かを言う前に愛衣がぎゅっと小太郎を抱き締めた。

「小太郎、さん。小太郎さん小太郎さん小太郎さんっ」
「あ、ああっ、愛衣姉ちゃんっ」

男として、とても、腰を動かさずにはいられなかった。
どうあがいてもどうにもならない。今年のナギ杯優勝者、
かのネギ・スプリングフィールドとも張り合い続けた歴戦の猛者犬上小太郎オオガミコジロー、その自分が、
元々粗っぽい関係が多いだけにちょこちょこと目に耳にするベッドのタフ・ガイに及ぶべくもなく、
只只振り回され翻弄される、偉大な力に包み込まれるだけで終わると言う事を、身に染みて痛感した。
そして、リフレインされる記憶、愛衣の顔、それは凄く大事な事だったと。

後編第一部終了

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最終更新:2012年01月28日 14:09
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