30スレ233

リボンなナイト09 第二話


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唇が離れ、愛衣の脚がふらふらと後退し、ぽんとベッドに尻餅を着く。

「大丈夫か?…」

駆け寄った小太郎は、愛衣の意味ありげな微笑みを受けてニッと照れ笑いを浮かべる。
その間に、愛衣の形のいい脚はひょいと柵を越えてベッドの中に入る。

「どうぞー」

そう言われて、小太郎も、ひょいと愛衣が空けたベッドのスペースに上がり込む。
小太郎が何かを言う前に、ちゅっと唇を吸われていた。
唇が離れ、目と目が合い、改めてベッドに座っての長いキスが交わされる。

「ん、んっ」
「んんんっ…」

唇が離れた時には、互いに、はーはーと荒い息を吐いていた。

「あー、なんか…」

小太郎が、舌をぺろりと出して呻く。

「駄目でした?」
「いや、駄目やない、まあなんかおもろかったけど」

真面目に応える小太郎の姿に愛衣がクククと笑い、小太郎も釣られて笑みを浮かべる。

「こーゆー事は私がおねーさんなんですからねー」
「あー、そやなー」

クスクスと言う愛衣に、小太郎はぶっきらぼうに応じる。

「ですからー、もっと教えてほしーですかー?」
「あー、頼むわ師匠」

ちょこんとベッドの上に座りながら、何か普段は師弟的な立場の逆転を楽しんでいるのではないか、
そんな考えも小太郎の頭をよぎる。
が、もはや目の前の甘美な果実の虜になりつつある、そんな自分の事も分かる。

「おかしいんかいな?」

腰のタオルを解かれ、ぴょこんと飛び出したのにくすくすと笑われて、
少しむっとした小太郎を前に愛衣はにこにこと首を横に振る。

「ちゃーんと、立派な男の子ですよー」
「むー…おうっ!」
「こーすると、気持ちいーんですよね」
「あ、ああ、ちょいマテ」
「はい」

ぎゅっと掴んで上下した手をこんな時だけ素直に止められ、
何か残念な様な気もしたのもつかの間、すぐに脳天までズキューンと突き抜けた。

「お、おおっ、おおおおい汚いて…おおおっ!!…」

目の前に這いつくばった愛衣がチロッとその潤んだ瞳を上目遣いに小太郎に向けたその時、
小太郎の忍耐力は限界を迎え、目を白黒させていた愛衣がぷるんと程よい膨らみも露わに
ぐいーっとその身を反らす。
小太郎の目の前で、ごくんと白い喉が鳴る。

「あれ、飲んだんか?」

ぽかーんとして尋ねた小太郎に、そっと手の甲で唇の端を拭った愛衣がにっこり微笑む。

「あれって、旨いんか?」
「すっごくマズイです」

愛衣が、ぺろっと舌を出して笑う。

「気持ち良かったですか、コタローさん?」

逆に尋ねられた小太郎がこっくりと頷く。

「なんつーか、そんなんどこで覚え来んねん?」
「それはまーおねーさんなんですからー、
イケナイお喋りとか雑誌の一つや二つそれぐらい知ってますよーだ」
「あーさいで」

微妙について行けず、はあっと嘆息した小太郎は、額にコツンと熱い感触を覚える。

「でも、コタローさんだから、好きな人だからですよ。
好きな人でも、簡単にする事じゃないんですからね。すっごくまずーいですし」

狂わせている熱い額に潤んだ瞳。
だが、それでも、芯は至って真面目、いつも立派な魔法使いになりたいと一生懸命な愛衣。
だから恋にも真面目に一生懸命。
その事を万分の一でも理解し、小太郎は唇で返礼する。そもそも自分のだ、汚いも何も無い。

「あの…」
「ん?」
「また、抱っこ、いいですか?」

小太郎は、下腹から突き上げた快感の余韻を破り、
愛衣の柔らかな裸体がぶるるっと震えている事を思い出した。

「ああ」
「えへへ…」

それでも、ベッドの上に座ってきゅっと抱き締められた愛衣は至福の笑みを浮かべていた。
そして、小太郎は愛衣をそっとベッドに横たえる。

「あー…」

「無理せんでも」、と、続けようと思った所で、
小太郎の視界には小太郎にその熱く潤んだ瞳を向け、
パーッと両腕を広げた愛衣の生まれたままの姿が飛び込んでくる。
そうなると、小太郎も、それが一番の薬かの様に思えてきた。
ベッドの上で静かに抱き合い、唇を重ねる。

「んー、又…」
「かなんなぁ、なんか、愛衣姉ちゃん柔らこうてええ匂いであれや、ホンマ…綺麗やから」
「嬉しい」

にっこり微笑む愛衣に、照れ笑いで従う小太郎はやはり立場の逆転を覚える、が、
それよりも何よりも、愛衣のお腹の上でまたまた節操なく反り返ってるそっちの方が大事に思えて来た。

「準備、て、こうか?」
「はい、そう、そうですはああっ…」
「んー、なんぞ、愛衣姉ちゃんもぬるぬるして来たで」
「それがいーんです女の子も気持ちいーとここがぬるぬるして男の人を受け容れる準備なんですううっ」

意外に器用で繊細な小太郎の指使い。
既にすっかり露わになった敏感な小粒を、最初は痛いぐらいだったがコツを掴んだ小太郎の指にこね回され、
愛衣はベッドの上で何度も跳ね上がりそうになった。

「コタローさんっ!」
「はいっ!」

愛衣の叫びに、小太郎は思わず叫び返して指を止めた。

「指、じゃ、なくて…」
「ん?」
「ですから、あの、そにょ」
「だからなんやねん?」

どことなく投げやりな返答。少なくともじらす様な器用さは持ち合わせていない。
むしろ、小太郎の方も切羽詰まった機嫌の悪さだ。

「はい。だから、その小太郎さんの、それをそこにですからあにょその…」
「あー、つまりこーゆー事か…あおおおおっ!!」

どっちも初戦と言う事になると、最後の決め手を握ったのは達人小太郎だった。
だが、その位置を正確に把握し、ぐいっと腰を使ったその瞬間、
小太郎は自分が誘い込まれ呑み込まれトドメを刺された事を下腹から脳天まで突き抜ける一瞬に悟った。
それでも、歴戦の猛者は、微かなうめき声歪んだ顔を見逃さない。

「あー、愛衣姉ちゃん」

愛衣の裸体にぴとっと重なり、互いに荒い息を吐いていた小太郎が、ようやく声を掛ける。

「はい」
「あー、なんつーか、入れた時、どうかしたんか?」

小太郎の心配そうな問いに、愛衣はくすっと笑った。

「あのですねー、女性のここってすごーくデリケートなんです。濡らしたから簡単に、じゃなくって。
特に、初めての時は引っ掛かって痛い所があったりするんですよー」
「そうなんか。で、大丈夫か?」
「はい、全然だいじょーぶ、コタローさんはどーでした?」
「ああ、なんつーか、良かったわ」

伝えられない表現し切れないもどかしさを久々に感じる小太郎の今日この頃であった。が、
それはすぐに、熱い口づけによる存分の非言語コミュニケーションをもって埋め合わされる。

 +     +

「大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫、大丈夫です」

こうなったらもう、恥ずかしいも何もない。
小太郎が愛衣を支える形で二人で浴室へと向かい、
腰掛けにすとんと座り込んで汗を流す愛衣の傍らで小太郎もシャワーを浴びる。

「んふふっ、なんか赤ちゃんみたい、恥ずかしいですー」

脱衣所で、まだ視線の定まらぬ小太郎に体を拭いて貰い、
愛衣はくすくすきゃっきゃご機嫌だ。

「ほれ」
「きゃっ♪」

バスタオルで愛衣の体を拭き終えた小太郎が、又、背中と腿を支えてひょいと愛衣を持ち上げる。
こうすると女性がえらく喜ぶものだと、小太郎はふと学園祭での光景を思い出していた。

「えへへ…」

実際、実に嬉しそうに、屈託無く笑うものである。小太郎としても苦笑するしかない。
普段は、ちらっと可愛らしい所は見せても堅苦しいくらいに真面目。
一緒になるのが主に修行の場で、小太郎が師匠みたいなものだからと言う事情もある。
それがこの変わり様、これが素なのかとちょっと呆れそうにもなるが、
自分の事を好きだと言う愛衣が素直に甘えて好意を向けて来る。
それはそれで小太郎も悪い気分はしない。
それは、実際可愛いし、普段の愛衣が真面目なしっかり者だと知っているから、
こんな時ぐらいとも思える。

「ほら、着いたでお姫様。病人なんやから精々おとなしゅう寝ときや」
「はーい、ありがとーございまーす」

そっとベッドに下ろされた愛衣は、実に嬉しそうに敬礼する。

「…けど…残念やったな」
「?」
「クリスマス・パーティーだったんやろ?出れんくて…」
小太郎の言葉ににっこり微笑んだ愛衣が、ベッドの上でゆっくり首を横に振る。

「最高のクリスマスプレゼント、いただきましたから」
「?」

小太郎は又、愛衣の輝く瞳に吸い寄せられ、静かに唇を奪われる。

「大好きな男の人との初めて、最高のプレゼントです」
「…そうか…」
「Merry X’mas 」

もう少し何かを言いたい気もしたが、綺麗な発音で引き取った愛衣は、既に布団を被り寝息を立てていた。

「あー…ぼちぼち乾いたか?」

そんな、愛衣の寝顔を覗き込んでいる自分の姿に気付いた小太郎が、そっぽを向いて誰に言うともなく言い、
腰のタオルを外して下着を乾かしている暖房の前にスタスタと近づく。
その半ばで、物音に気付いた小太郎は、そちらを見ながら滝の様な汗を噴き出していた。

 +     +

「あーーーーーーーーうーーーーーーーーー………」
「………」

謎の光と共に窓をブチ破った小太郎の体が、
若々しく逞しい反り返りの軌跡を描いてキラーンと空に輝くお星様になるのを、
自分の共用部屋の窓をブチ破られた夏目萌はただ呆然と眺めていた。

「…大体の事情は分かりました…」

部屋に生還した小太郎を正座させ、腕組みをした高音がひくひくと眉を震わせる。

「つまり、高熱で朦朧としたままシャワーに入ろうとした愛衣と危ないから止めようとしたあなたが、
バスルームで組んず解れつのすったもんだの末にずぶ濡れの水浸しになって帰るに帰れず現在に至ると」
「あ、ああ…ま、そんな所や…」

言っている間にも、4泳法を泳ぎ切った小太郎の目を見た高音のコメカミにビキッと青筋が浮かぶ。

「あーーーーーーーーうーーーーーーーーー………」
「………」

高音に耳を引っ張られて姿を消す小太郎を、萌は只見送る事しか出来ない。

「あー、高音姉ちゃん…」

小太郎が言いかけた次の瞬間、どんと背中を押し付けられたバスルームの壁に、
ドカカカッと大量の触手が突き刺さる。

「一つだけ言っておきます」
「な、なんや?」

自分の周囲から伝わった衝撃とつり上がった目は、並の猛者でもチビリそうなド迫力。
小太郎も震えを禁じ得ない中で、あえて活路を見出すべく口を開く。

「愛衣を泣かせたらコロス」

頭上の壁にドカン、と、触手が突き刺さり、
小太郎は耐え抜いた自らの膀胱括約筋を誇りに思った。

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「んー…」

ようやく解放された小太郎が、女子寮近くの屋外で腕組みしながら唸っていた。

「やっぱあれか、責任とか取らなあかんのかいなー。
高音姉ちゃんマジんなったら、あの絶対防壁結構厄介やし…
いやいやそういう事やなくて、女にとってすっごく大変な事なんやろなー、
愛衣姉ちゃんも真面目でフツーのええイトはんやし…」

改めて、屈託の無い笑顔が思い出される。ああして見ると実に可憐。
今まで余りそういう発想をしなかったのが急激にイメージされ、更に生々しい経験までついてきて、
小太郎の頭がボッと熱くなる。

「あ、コタロー君」

ブンブン頭を振っていた小太郎がハッと振り返ると、
原作の主人公である魔法少年がタタタと駆け寄って来る所だった。

「なんや、ネギか」

このご挨拶なご挨拶にも、
至って素直な少年は、姉の様に仲のいい神楽坂明日菜を後ろに、にこにこと近づいてくる。

「コタロー君、これ」
「ん?でこぴんロケットクリスマスライブ?って今日、これからやん」
「うん、コタロー君に渡してくれって」
「なかなか捕まらなかったから、間に合わないかと思ったけどねー。
でも、ライブとか行くのコタロ君?」
「んー、まあ、せっかくやからもろとくわ」

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最初は何か騒々しいだけにも思えたが、終わってみると結構楽しい。
そんなライブハウスでの一時を終え、小太郎はふらりと表に出ていた。

「なんつーか、浮かれとるなぁ」

何となくいつもと違う夜の街、今までは無縁と思えたもの。

「よっ」

振り返ると、先ほどまでステージで熱いライブを展開していたでこぴんロケットご一行様が勢揃いしていた。

「おう、姉ちゃん方」

ハッキリ言って、会場で他の面々とはぐれていた小太郎が機嫌良く手を上げた。

「来てくれたんだ」
「ああ、なんか知らんけど良かったわ」
「そりゃどーも」

小太郎の実に素直な感想に、尋ねた美砂も苦笑を浮かべて答える。


「ん?はーい、もしもーし」

美砂が、不意に携帯電話を取り出し話し始める。

「ごめーん、彼のスケジュールが急にオッケーなんだってー」
「はいはーい、ほにゃらば私もーっ」

手を合わせる美砂の脇で、やはり携帯電話を使っていた桜子が続く。

「はーい、ほならうちもナギさんとー♪」
「い、いや、ちょっとそれ明らかに無理あるやろあんた何月連載の和泉さんやねん?」
「んじゃーねー、ちゃーんと送ってきなよ男の子なんだからー」

小太郎の突っ込みも虚しく、美砂が小太郎に釘を刺しながらひらひらと手を振ってその場を後にし、
桜子と亜子もそれぞれ別方向へと消えて行った。

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最終更新:2012年01月28日 14:33
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